馬糞風リターンズ

世ノ中ハ何ノヘチマトオモヘドモタダブラリト下ツテモオラレズ

「脂肪燃焼」

2011年06月30日 | 雑学
TVコマーシャルや新聞・雑誌或はチラシ広告に「飲むだけで脂肪燃焼」と云った類いのものが溢れています。
これを飲むと「何故?脂肪が燃焼するの?」と思うのですが・・・。
 「風が吹けば桶屋が儲かる」式の「怪しげな三段論法」なのでしょうが・・・・。
所が、前回「馬毛島」の「トノサマバッタ」の大発生を書きましたが、この「トノサマバッタ」が「脂肪燃焼」の「裏技」を持っている面白い昆虫なのです。

 名前が「トノサマバッタ」と言うので「日本特産」の様に思う人ともいますが、事実はその逆で、中東からロシヤに分布する「トビバッタ」の亜種で日本が分布の東端なのです。
トノサマバッタのほかにサバクトビバッタ(北アフリカ、中東、インド・・聖書などに出てくるもの)、アカトビバッタ(タンザニアアを中心に中部アフリカ)、チャイロトビバッタ(南アフリカ)、パンパストビバッタ(南北アメリカ大陸)、ロッキートビバッタ、オーストラリアトビバッタなどがあります。

 このトビバッタは有史以来大発生を繰り返し、人類と昆虫の闘いが続いています。そして、科学万能のこの時代にあってもこの闘いは解決のめどが着いていないのです。
 大発生をするトノサマバッタと通常草はらにいるトノサマバッタは別の種と考えられていました。
1921年、ロシア人の昆虫学者B・P・ウバロフがこの両者は全く同一のモノであることを発表しました。
今まで別種と思われていたのが、個体群密度の違いで引き起こされる単なる形態の違いであることを明らかにしました。
そして、高密度時の群生し活発に移動するタイプを「群生相」、低密度の群生しないタイプを「孤独相」、その中間のものを「転移相」と名付けました。

 群生相のバッタと孤独相のバッタでは同種でありながらいろいろな点で大きな違いが見られます。
体の色が群生相では「黒」に変色します。また、理由は分からないのですが前胸背の盛り上がりが孤独相の方が大きいそうです。
また、群生相のものは前翅長が相対的に長く、逆に後脚腿節長が相対的に短い、このことと相まって群生相の方が翼荷重が軽減されて長距離飛行に向いているなどの特徴があります。



通常、トノサマバッタは草むらで単独で生活をしています。そして、跳んでもせいぜい5m程度が普通です。
所が、大発生した「群生相」のトノサマバッタは、数百km記録では数千kmも飛翔し移動します。
開拓初期に十勝で発生した飛蝗も日高山脈を越えて石狩平野、札幌にまで群飛しました。なす術もなく軍隊が出動して「大砲」をぶっ放したそうです。

 孤独相のバッタの飛翔エネルギーは「炭水化物」で直ぐに燃焼してしまいます。
所が、群生相のバッタの飛翔エネルギーは「脂肪」で、脂肪はすこしずつ消費され、少量でもカロリーが高いので、長距離飛行ができるのだそうです。

 群生相のバッタが「飛翔」を始めると「炭水化物」から「脂肪」へとエネルギーの切り替えが行われるそうです。
これは、ペプチドホルモンと云うものが分泌されジグリセリドと云う脂肪が飛翔筋に運ばれエネルギーとして利用されるそうです。
 また、脂肪はそのままでは血液に溶けにくく、筋肉へは行きません。そこで、脂肪が血液に馴染み易いように包み、筋肉に運ぶ「リポポリン」と云うタンパク質が存在します。
この「リポポリン」を発見したのが北海道大学の茅野春雄です。
「リポポリン」という「運び屋」があって初めて「脂肪燃焼」が起こるのです。

 「燃焼系」と言われる「サプリメント」の効能を見ていても、このような「確証」があるようには思えません。
なにか「インチキ臭い」ものばかりです。
まァ、総理大臣が「ペテン師」の「能なし」の国では「燃焼系」サプリメントがよく売れても仕方ないか。