「中国のセミ考」(ゲインズ・カンチー・リュウ)と言う本があります。著者のリュウ博士については詳しいことは分からないそうですが、中華人民共和国建国当時には既にハーヴァード大学に在籍する中国系アメリカ人のようです。この本は欧米では非常に高い評価を得ているそうです。欧米人は勿論日本人でも、しかも自然科学分野の人には「漢文・古文」また「中国の民俗・歴史」に疎く近寄りがたいものがありますが、この本(原本は英語で書かれており・Cicadas in Chinese Culture)で得難い情報を多く提供されたためです。著者自身も「一般の昆虫学者にとってはさして興味のわくものではないかもしれない。しかし、中国の科学史や中国文明に興味を持っている人にとっては、おおいに役立つであろうと自負している。これは本来中国の昆虫の歴史であるが、中国の人々を研究するには、この昆虫史は中国皇帝史よりはるかに有用であろう」と述べています。