goo blog サービス終了のお知らせ 

馬糞風リターンズ

世ノ中ハ何ノヘチマトオモヘドモタダブラリト下ツテモオラレズ

オスプレーの安全性。判断基準の難しさ・・・・。(2)

2012年08月13日 | 時事問題
危機管理の分野で「インシデント(incident)」と言う概念があるそうです。重大事故に至る可能性がある事態が発生し、なおかつ実際には事故につながらなかった潜在的事例のことをさす、と解説されています。

 2007年3月13日、大阪国際空港発、高知空港行の全日本空輸 (ANA) 1603便が、着陸前になってQ400の前脚の着陸装置が故障し、高知空港に緊急着陸を行った事故がありました。カナダの航空機メーカーのボンバルディア機がこの事故を皮切りに世界各地で連日のようにトラブルを起こしたの報道がありました。その為、ボンバルディア機と聞くと、すぐ「故障だろう」と思ってしまう、と言われる程利用者に不安を与えました。しかし、この為にボンバルディア機の採用をやめたのはスカンジナビア航空だけだったようです。事故のあった日本やほかの航空関係の機関ではその幾つかは重大インシデントとして対処をしました。
 ここしばらく、ボンバルディア機に関する報道を見かけることは無くなりました。ボンバルディア機が改善されたのか?或いは相変わらず事故は起こっているがニュースにならないのか判然としません。

2002年、横浜市で走行中の大型トラックのタイヤが外れ、近くにいたお母さんと子どもがその直撃で死亡すると云う悲惨な事故がありました。この事故を起こしたトラックは三菱自動車(三菱ふそう)ですが、三菱自動車は国土交通省に「虚偽報告」を行い「整備不良が原因」とし「リコール隠し」をしました。その「リコール隠し」が発覚したため三菱自動車は連日マスコミの集中砲火を浴びました。
三菱自動車への集中砲火は、「車両火災」の報道で連日マスコミに「三菱車また炎上」と攻撃されました。
 2004年6月からの3か月間で「三菱自動車の炎上事故」の記事は約30件にのぼったそうです。確かにこの当時、隣に三菱自動車が走っていたりすると不安になった記憶があります。
所が、この時期の消防白書では、車両火災件数:7,785件で原因のトップは放火:841件、排気管を原因とするもの:786件、その他(衝突・たばこ・内燃機関)となり、整備不良・改造などの持ち主の責任が原因で車両火災は毎日どこかで起こっていたようです。そして、特に三菱自動車だけが特別車両火災多く起こしたデーターはなく、また三菱自動車1社だけが車両火災を起こした事実もない。

 マスコミの影響は非常に大きなものです。この三菱自動車の報道でも分かることは、車両火災の原因の全てが三菱の不祥事と関係しているかのように読み取れる報道のやり方です。「三菱自動車ってしょっちゅう火がでる恐い自動車」と世間に強烈に感じさせました。
この様にマスコミの報道のやり方次第で世間の受け取る印象がガラリと変えることができるのです。

 オスプレー配備の報道のやり方を見てみると「安全性に問題があると言われているオスプレー・・」と「枕詞」を付けて報道します。
マスコミのズルいところは「「安全性に問題があると言われている・・」と表現するやり方です。
「安全性に問題がある」と言ったのは一体誰なのか?きっと誰も言っていないのでは・・。言っているのは報道しているマスコミの側にいる人達だろうと思うのですが・・。

 「夢の垂直離着陸機オスプレーがやっと配備されます」と言う風な報道をすれば今の世間の風潮とはまた違った状況が生まれていたのでは・・・・。
少なくとも恣意に満ちた「枕詞」無しに「オスプレーが配備されます」とだけ報道すればどうなっていたでしょうか・・・。

 現状では明らかにオスプレーは危険である、と言う風潮が強いようです。となると必然的に「そんな危険なものを何故沖縄に持ち込むのか!」「政府は何故アメリカに毅然と拒絶しないのか」という憤懣が起こってくるのは当たり前のことです。
普段「日本のマスコミは信用できない」と言っている人たちが、オスプレーに関しては完全にマスコミ報道に誘導されているように思えるのですが・・・・。
オスプレーはマスコミが喧伝するように本当に安全性に問題があるのだろうか、僕は疑問に思っています。


オスプレーの安全性。判断基準の難しさ・・・・。(1)

2012年08月10日 | 時事問題
「米海兵隊は9日までに、沖縄県の普天間飛行場に配備予定の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの事故発生状況をまとめた。それによると、重大事故に分類されない中程度以下の事故の発生率は、海兵隊が持つ全航空機の平均値を超えることが分かった。」
10日付けの新聞各紙に中程度の扱いでオスプレーの安全性に関する記事を報道しました。
 それによると「海兵隊は航空機事故を重大な方から順にABCの3段階に分類している。今回のデータは2001~12年に起きた事故についてまとめたもので、後遺症が残る重傷者か50万~200万ドルの損害が出た「クラスB」と呼ばれる中程度の事故の発生率は、10万飛行時間当たりオスプレイは2.85件。海兵隊が運用する全9機種の平均2.07件を上回った。」という簡単なものです。

 この記事が出る以前から「オスプレーは危険」として配備に反対する意見が多くありました。そこで不思議に思ったのですが、「オスプレーは危険」とする論拠は何なんだろうということです。
一般にこの様な事柄に関する情報はTV,ラジオ、新聞などのマスコミ報道に頼らざるを得ません。所が、そのマスコミ報道に偏向、俗に言うメディア・バイアスがあれば当然判断に狂いが起こります。
 例えば日本では主に食品などで「天然由来、自然のものは安全」「輸入品は危険。国産品は安全」と言うのが常識のように喧伝されています。「天然、自然」でも「トリカブトや毒キノコ・・・」など危険なものは沢山あります。
最たるものは「原発の安全神話」です。また、阪神淡路大震災の起こるまでは「京阪神は地震災害のない地域」と誰云うとの無くそんな雰囲気がありました。
 この様に確たる論拠もなく事実であるかのような話は沢山あります。また、日常生活をする上でそのようなことは別段大きな支障にならないのです。オスプレーが危険、と言うのはどうもこの類のレベルでの意見のようです。
 
 オスプレーが危険とされるのは、量産決定後の2006年から2011年の間に58件の事故が起こり、最近では2010年4月8日に空軍特殊作戦軍所属のCV-22が、アフガニスタン南部で夜間に着陸に失敗、2012年4月11日に米海兵隊のMV-22、1機がモロッコの南方沖海上で訓練中、離艦後に墜落。全搭乗員4名中、2名死亡、2名重症となった。2012年6月13日に米空軍の垂直離着陸輸送機CV22が、南部フロリダ州で訓練中に墜落事故を起こし、乗員5人が負傷した。この様に立て続けに事故を起こし、報道されたのが安全性に疑問を持つ大きな要因になっているようです。
 確かにオスプレーは試験飛行中には墜落事故が多発して「ウィドウ・メーカー(未亡人製造機)」というありがたくないニックネームを付けられてたことがあったようです。
しかし、もしそんなに危険なものであればアメリカ軍が量産し実戦配備をするとは考え難いのです。

 航空機の安全性を示す指標としては事故率と言うものがあるそうです。それが冒頭の海兵隊が公表したものですが、10万飛行時間当たり1999年から2011年のオスプレイの事故率は3.32。本格運用が始まった2004年以降で見ると1.93です。
因みにこの数字は、戦闘機などを含めた海兵隊全体の平均(2.45)よりもかなり低い水準だそうです。

Plain crash info.comの事故率ランキングと言うサイトがあります。これは世界各国の航空会社の事故率のランキングですが、それと比較してみると大韓航空の事故率は 2.58 でオスプレーの事故率1.93より遥かに危険度は高いことになります。
でも誰も大韓航空が危険だから飛来しないようにと反対運動をする人はいません。

オスプレー配備に反対する人は、オスプレーが危険だから反対するのではなく他の理由、例えば心情的平和論者或いは沖縄基地に反対する人、・・・・などオスプレーの安全性がどうであろうととにかく配備に反対が優先せざるを得ない何らかの理由があるような気がしてなりません。

オスプレー配備の問題点などは次回に書いてみます。