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Studies about acupuncture and moxibustion and Massage.

MasseuseとMasseur

2018-05-29 | マッサージ研究
2018年1月5日
「法案は、グアムのマッサージ産業を規制しようとしている」

以下、引用。
「【必要条件】
グアムで、マッサージをするライセンスを得るためには、最低250時間の監督下でのマッサージ療法のトレーニングを完了する。これには解剖学や生理学の学習も含まれる。マッサージとマッサージ療法トレーニングに関連した30時間の卒後教育も完了する。」
Requirements
Obtaining a license to practice massage on Guam would include completing a minimum of 250 hours of supervised massage therapy training, which must include the study of anatomy and physiology, and completion of 30 hours of continuing education related to massage and massage therapy training.

「18歳以上の、重罪や性犯罪をおかしていないことを確証できるもののみが、協会営業免許またはマッサージ・プラクティス認証を受けることができる。」
Only those who are at least 18 years old and not have been convicted in any court for felony or any sex crime, among other things, would be able to apply for board licensure or certification to practice massage.

「医師、看護師、カイロプラクター、ポダイアトリー足病医、鍼師などマッサージ療法が臨床の一部となっているものは免除される。」
Those authorized to practice medicine, nursing, chiropracty, podiatry or acupuncture, if massage or massage therapy is within the scope of their practice, would be exempt.

「マッサージまたはマッサージ療法は、床屋さんや美容院や認証スポーツトレーナーによるものは免除される。」
Also exempted would be of massage or massage therapy given in barber shops or beauty parlors by any licensed barber or beauty culturist, or by certified sports trainers.

「この法案は、スルハナやスルハヌとよばれるマッサージや植物伝統薬を使う伝統ヒーラーを除外する。」
The bill also exempts traditional healers such as suruhana or suruhanu, who heal through massage and use traditional remedies that include the use of roots, leaves, bark, plants and grass.
以上、引用終わり。
 グアムの先住民族チャモロ人(Chamorro)には、独特の薬草文化やマッサージがあり、グアムに旅行した際には、感銘を受けました。環太平洋シャーマン文化を受け継ぎ、マッサージを使う「スルハヌス(Suruhånus)」と「マカーナ(Makåhna)」が居ます。

 インドネシアにも薬草とスピリチュアル・ヒーリングを行ってきた『ドゥクン(Dukun)』と言われる魔術師ヒーラー兼マッサージ師がいます。
 フィジーにも「マラマダゥ(maramadau)」と呼ばれる薬草ヒーリング・マッサージ師がいます。
 フィリピンにも「ヒロット」という薬草ヒーラー兼スピリチュアル・ヒーラー兼マッサージ師がいます。
 ハワイにも「ロミロミ・マッサージ」があります。

 このスピリチュアル・ヒーリングと薬草マッサージは、フィジー島からハワイ島に至る、太平洋を南北につなぐ文化圏なのかも知れません。

 東南アジアから太平洋諸島のマッサージ文化を観察すると、共通点と相違点があります。まず、マッサージのプラクティショナーはスピリチュアルヒーラーを兼ねて、霊的・心身的修行を行います。東洋医学の「気」によく似たエネルギーを感じるため、才能と訓練が必要です。伝統治療者としての数年から数十年に渡るココロの修行が重視され、特に太平洋地域では母から娘に受け継がれる血統が重視されます。
 しかし、「スピリチュアルエネルギーを感じる才能がある程度、血統で受け継がれる」 、「霊的修行が必要である」などの伝統文化部分や深い部分は、現代のSPA文化のマッサージには不必要なので切り捨てられたようです。

【マッサージとマスース(Masseuse)の意味】
 また、せっかくリサーチしているのだから、マッサージの実技テクニックを研究しようと、ユーチューブなどの動画サイトでアジア伝統の「マッサージ」関連の検索キーワードを英語でうちこむと、出てくるのは「アダルト・コンテンツ」ばかりになり、どの国のどの地域で、そういうマッサージを行っているなどという、いらない知識ばっかりが増えていきます。

 例えば、「タイ伝統マッサージ」は、ベトナム戦争でアメリカ兵たちの慰安所となったタイランド王国のバンコクで、性的サービスの隠れミノとして、1960年代に盛んとなり、それがアジアのSPA文化を創ったという歴史があります。当時は、日本人男性の「東南アジア・ツアー」も社会問題化しました。台湾や香港や東南アジアの「マッサージ・パーラー」というのは、普通はそういう意味でした。当時は、アメリカ人や日本人が、風呂やサウナに入り、性的サービスも受けられるという「おっさん天国」でした。
 1990年代に、日本にアーユルヴェーダ・マッサージ「アビヤンガ(abhyanga)」が入ってきたときは、インド・エステが中心で、インド美人2人がシンクロナイズして男性にオイル・マッサージするというイメージでした。アーユルヴェーダを勉強していく過程で、「宗教的に厳格なインドでは、女性が男性をマッサージしたり、男性が女性をマッサージすることは有り得ない」と知ったときは衝撃的でした。
 
 英語やフランス語で「男性マッサージ師」のことを「マッサーMasseur:英語/məˈsuːɹ//仏語/masœʁ/)」と言います。そして、「女性マッサージ師」のことを「マスース(Masseuse:英語/məˈsuːs//仏語/masøz/)」と言います。英語には男性名詞や女性名詞はありませんが、フランス語は男性名詞と女性名詞があります。「マッサージ(Massage)」はもともとフランス語から英語に輸入されたコトバなので、「マスース(Masseuse)」という女性名詞も同時期に輸入されました。そして、「女性マッサージ師=マスース(Masseuse)」というフランス語・英語には「性的サービスをするヒト」という意味が辞書にも載っています。

  イスラム伝統医学ユーナニの「ダラック・マッサージ」を調べると、「ハンマム(hammām)公衆浴場」のサウナや入浴の治療とセットになっています。イスラム圏では現在でもトルコやモロッコでは「ハンマム(hammām)」という公衆浴場で、入浴とマッサージをする文化があります。基本的に男性には男性マッサージ師、女性には女性マッサージ師があてられます。特にトルコの「公衆浴場ハンマム(hammām)」は、東ローマ帝国の「ローマ風呂(テルマエ・ロマエ:Thermae Romae)」文化も継承した奥の深い素晴らしいイスラム伝統文化です。調べると、昔の「公衆浴場ハンマム(hammām)」のマッサージ師は、カミソリを使って整髪と瀉血も担当していたようです。お風呂は瀉血の後始末がしやすそうです。しかし、瀉血カミソリと整髪カミソリは分けていたんでしょうか(笑)?

 トルコの「公衆浴場ハンマム(hammām)」では、男性には男性のマッサージ師がつくのですが、19世紀のイギリス・ロンドンにはイギリス人が造ったニセモノの「トルコ風呂(Turkish Bath)」が30軒もあり、いずれも女性による性的サービスが行われました。このサービスは1861年にはアメリカにも広がります。そして、性風俗として流行は世界に広がり、上海のニセモノ「トルコ風呂(Turkish Bath)」にヒントを得た元・日本軍の特務機関工作員の許斐氏利(このみ・うじとし:1912-1980)氏が1951年に日本最初のトルコ風店舗「東京温泉」を開業し、現在の日本社会に至るという特殊な歴史があります。1984年に小池百合子議員の友人のトルコ人地震学者ヌレット・サンジャクリ氏が日本政府に抗議して、「トルコ風呂(Turkish Bath)」」という間違った使い方は日本で無くなりました。

 東南アジアのオイル・マッサージの場合は、肌を露出した状態で行います。異性が行うマッサージに性的な問題はツキモノ・不可分といえると思います。これを解決する方法はイスラム・スタイルの「男性には男性マッサージ師、女性には女性マッサージ師」という方式です。

  このように、「女性マッサージ師」を意味する英語・フランス語「マスース(Masseuse)」には、深い意味があると思います。多くのヒトは、マッサージを論じる際に、この性的問題を避けて通ります。しかし、現実問題として、性的に厳格な伝統社会では、「女性を男性がマッサージする」ということは、フランス語の「マスース(Masseuse)」以外には、あまり無かったと思います。

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