alternativemedicine

Studies about acupuncture and moxibustion and Massage.

女性と肝欝気滞

2012-03-30 | 女性と中医学
 「女性の病は肝から治せ」という言葉があるように、女性の治療は、肝を中心に考えます。肝は気の疏泄(そせつ)を主ります。気を全身になめらかにスムーズにまわします。気の流れが滞ると、肝欝気滞(かんうつきたい)となります。

 典型的なのは、「月経前症候群(PMS)」の女性です。生理前の女性は、イライラしたり、ブルー(憂鬱)になり、気がふさぎます。頭痛、肩こり、腰痛、腹痛など、いろんなところが痛みます。生理前の腰痛は、交通事故のオ血腰痛と違います。交通事故のオ血腰痛は物理的に筋肉が損傷しています。一方で、生理前の腰痛は生理が終わったら、治ります。これは物質が詰まっているのではなく、エネルギー(気)が詰まっています。肝経の通っているオッパイが張って痛み(乳房脹痛にゅうぼうちょうつう)、胸が詰まったり、胃が詰まって吐き気となります。肝経胆経が通っている側頭部が痛んで片頭痛となり、肝経胆経が通っている側腹部・下腹部や鼡径部が痛みます。

 あるいは、「更年期の不定愁訴症後群」なども典型的な肝欝気滞です。「更年期の不定愁訴症後群」では、痛むところがあちこち変わります。昨日は頭痛、今日は肩こり、明日は腰痛です。イライラして、ブルー(憂鬱)で、気がふさぎます。しかし、更年期が過ぎると、ウソみたいにケロっとする人もいます。

 「うつ病の腰痛」もそうです。うつ病の腰痛は、圧痛点があちこちに変わります。これは筋線維が痛んでいるのではなく、無形のエネルギーの停滞です。ゴルフに行くと腰痛が治る人もいました。運動すると気はなめらかに流れます。

 気滞の特徴は、「(ちょう)」・「(もん)」・「(つう)」・「遊行(ゆぎょう)」・「不定(ふてい)」・「弦脈」です。乳房脹痛のような張ったような感じや痛み、梅核気(ばいかくき)や胸悶(きょうもん)のような悶々とした詰まったような感じや痛み、そして、その場所は「遊行不定」で、一定しないです。西洋医学では「不定愁訴(unidentified complaints=一定しない訴え)」です。

 肝鬱気滞の場合、1つの方法として、運動すると良いです。スポーツすると症状がマシになります。また、お酒を飲んだり、温泉に入ったり、マッサージを受けるのも良いです。お酒を飲んだり、温泉に入ると、全身の気はグルグル回ります。人と話したり、カラオケを歌って発散するのも良いです。上焦の肺気が発散されて、楽になります。
 ただ、気虚がある場合は、スポーツもお酒も温泉も、気を発散しすぎて気虚が悪化します。お酒を飲み過ぎたり、温泉に入りすぎて湯あたりすると、「だるい、やる気がない、疲れた、元気がない、食欲が無い」といった気虚症状が出ます。人と話しすぎたり、カラオケを歌い過ぎても、だるく疲れた状態となります。

 肝欝気滞の治療法の1つとして、四関穴(=合谷太衝)があります。手足の合谷と太衝に置鍼すると、全身の気はグルグル回ります。太衝は肝経の原穴で疏肝理気作用があり、合谷は大腸経の原穴で宣肺(発散)と降気の作用があります。肝は気の昇発を主り、肺は気の粛降を主り、上焦の肺と下焦の肝は2つの協調によって全身の気をグルグルまわしているのですが、合谷と太衝はこの働きを強めます。西洋医学的にも、肝欝気滞の人は、交感神経が緊張して、血管壁が収縮して弦脈となっていますが、手足の合谷ー太衝に置鍼して10分ぐらいすると、副交感神経優位となって、血管壁が緩んで、少し柔らかい脈になります。

 女性は、定期的に運動したり、お酒を飲んで人と話したり、温泉に入ってマッサージを受けたりして、気のめぐりを良くしたほうが良いです。

2012年3月30日金曜日メモ

2012-03-30 | 頭皮鍼
 YNSA(山元式新頭鍼)の山元敏勝先生の過去の論文やサマリーを、まとめる。1974年から1990年の26年間。1990年9月の「新しい頭針療法」で総括されている。

1974年1月
針麻酔の経験」『日本良導絡自律神経学会誌』VOL19、1、13-13
・腹部手術における針麻酔の効果と考察。症例23例。

1975年5月
頭針について
『日本良導絡自律神経学会誌』VOL20、5、111-111
1)頭部の疼痛:交通事故、打撲、頑固な慢性頚部痛。
2)肩部の疼痛:肩こり、五十肩の疼痛を軽快させる。
3)上腕と前腕の疼痛:腕の疼痛、しびれ、重だるい感じに用いる。
4)腰、下肢部の疼痛:腰痛症、椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、打撲。
多発性リウマチ性関節炎の腰痛や抗生物質殿部筋肉注射による大腿部疼痛で歩行不能な症例も著効。
5)胸部:頑固な気管支喘息。

1975年9月
新しい頭針療法について
『日本良導絡自律神経学会誌』VOL20、9、21-21
・前頭部の髪際を用いた頭皮針。外傷性、交通事故、打撲、骨折後の疼痛や関節炎による疼痛の除去。脳血管障害による片麻痺など。
Aは頸部・後頭部、Bは肩・肩甲部、Cは上腕部、Dは腰+下肢部、Eは胸腔部。
A:正中線より1cmの両側:頸部・後頭部
B:眉の中点より髪際の交わった点:肩・肩甲部
C:眉の中心部より約120度の線と髪際に一致した点:上腕部
D:眉の末端より耳に平行に髪際に点をとり、その点より0.5cmのところ:腰+下肢部
E:眉の中点と髪際の中点にある:胸腔部

1976年12月
新しい頭針点について
『日本良導絡自律神経学会誌』VOL21、12、274-274
・A点、B点、C点、D点、E点。痛みの治療に適しており、麻痺の場合は健側に行い、効果のない場合は両側に行う。

1977年
ハリ通電による知覚抑制について
『麻酔』26(3): 350-350, 1977.

1978年1月
新しい頭針法のサーモカメラに依る効果判定について
『日本良導絡自律神経学会雑誌 』VOL23.NO1:26-26.
・腰痛症に対してD点に置鍼し、サーモカメラで腰部の撮影を行い、置鍼5分後に局所の皮膚温度の低下を認めた。
・前頭部にA点, 頸部B点, 肩部C点, 肩甲関節, 上腕部D点, 腰並に下肢部E点, 胸部などを運動麻痺と気管支喘息に用いている。経絡とは関係なく、経験上見出した。最近は前頭部にもっと細かく身体各部や各臓器と密接な関係をもった点を見つけることができた。

1980年1月
新しい頭針治療のその后
『日本良導絡自律神経学会雑誌』VOL25.NO1:36-36.
・1974年以来、前頭部にいくつかの新しい穴があるのに気づき, それをそれぞれ, ABCDEに分類した。その後、前頭部の正中線を境として身体が横たわった様に, 一致した穴のある事をつきとめた。即ち, C点を中心としてその左右にmmの間をおいて5指があり, D点に於ても大腿部, 膝部, 及び膝下部, 又は5趾指の穴があり腰点の後部には各内臓点がある。又後頭部にも, 前頭部と全く同じ様に身体の各穴があるのに気づき, 恐らく中国医学でいわれている陰陽の関係が頭部の前後部で存在している。

1980年4月
新しい頭針療法のその後
『日本良導絡自律神経学会雑誌』VOL25.NO4.: 102-103, 1980.
・A点の近くに目鼻と顔面。
C点の近くに前腕と各5指。
D点には腰部、下肢、膝関節、5足指。胃・小腸・大腸の穴。
これらは後頭部にもある。
前頭部の陽点は慢性疾患。後頭部の陰点は急性疾患に用いる。

1980年7月
「新しい頭針療法」
『東洋医学とペインクリニック』VOL.10、NO.3:126-134

1980年11月
腹診
『日本良導絡自律神経学会雑誌』VOL25.NO11: 352-353, 1980

1981年11月
中国訪問 学術交流
『日本良導絡自律神経学会雑誌』VOL26.NO11: 268-277

1982年5月
ハリ麻酔
『日本良導絡自律神経学会雑誌』VOL27.NO4.97-100, 1982
・1973年以来ハリ麻酔を下腹部の手術に400例経験した。
1)三陰交、陵下、梁丘
2)三陰交、足三里、中都
各人、各症例によって経穴にズレがあるため、ノイロメーター(電気探索器)
により、経穴を求める。10Hz30分通電する。

1982年10月
頭針と深部体温
『日本良導絡自律神経学会雑誌』VOL27.NO10.: 224-224, 1982.
・以前、腰痛の頭針を行いサーモカメラで腰部の皮膚温の変化を観察したが、深部体温計で観察した。

1984年6月
レーザー光線に依る治療
『日本良導絡自律神経学会雑誌』VOL29.NO6.: 136-137, 1984
・a)急性上気道炎で咽痛がある場合、合谷や耳穴に20秒の照射で鎮痛。
b)頭鍼を用いた症例
【48歳女性】主婦で2日前より右肩甲関節周囲炎があり、上腕挙上運動制限があった。C点を20秒、距離2cmで照射し、右手が治療前挙上できなかったのが、挙上180度出来るようになった。
【56歳男性】農業で5日前より右肩甲関節周囲炎があり、上腕挙上運動制限があった。C点を20秒、距離2cmで照射し、右手が治療前挙上150度程度が、挙上180度出来るようになった。
【77歳男性】3日前より急性腰痛のため来院し、前屈10度程度。D点に照射2秒後、前屈90度できるようになった。
鍼に恐怖心をもっている患者にレーザー鍼は良い。

1986年10月
新しい頭針療法の其の後(その2)」
『日本良導絡自律神経学会雑誌』VOL 31.NO10.: 242-248, 1986.
・最近では、側頭部にあるD点を中心とした領域に、それぞれの臓器ならびに身体の各部分が規則正しく配列されているのを発見できました。肺点や心包点、心点、小腸点など。

1987年2月
良導絡の展望
『日本良導絡自律神経学会雑誌』VOL32.NO8.49-49

1987年8月
画像診断と良導絡
『日本良導絡自律神経学会雑誌』VOL32.NO8.171-172
・MRIで疾患部位を確定し、良導絡の測定を行い、頭針との関係を症例から検討する。

1989年9月
下肢運動麻痺患者に対する新頭針療法の評価
『日本良導絡自律神経学会雑誌』VOL34.NO9. 223-240

.1990年9月
新しい頭針療法
『日本良導絡自律神経学会雑誌』VOL35.NO9.219-230
・1987年に首診を発見し、より系統的な診断治療が可能となった。

1990年10月
東洋医学的診断法に基づく新しい頭針療法
『日本良導絡自律神経学会雑誌』VOL35.NO10.253-253
・古典の腹診を細分化した。1987年に首診を発見し、より系統的な診断治療が可能となった。