alternativemedicine

Studies about acupuncture and moxibustion and Massage.

2012年3月21日水曜日メモ

2012-03-21 | 頭皮鍼
 いま、山元敏勝先生の1970年代に発表された文章を調べているのだが、とても面白い。北村智先生の『鍼灸特殊治療法』の207ページにも「湯氏頭皮鍼」「方氏頭皮鍼」「朱氏頭皮鍼」と並んで「山元敏勝頭鍼」が挙げられている。『鍼灸特殊治療法』211ページには和田清吉先生の「頭髪際刺鍼法」が挙げられている。

「この治療法は和田が頭皮鍼法を臨床的追試を行い、頭皮の反応を指頭で探ったり電気良導点を探索しているうちに、頭髪際縁部において身体症状に対応する反応区があり、一定の刺鍼刺激を与えると症状の緩解が見られることを発見し、従来の体鍼療法のみより速効性(特に疼痛、しびれ、麻痺などに対して)があり、有効率も高いとして1975年に良導絡学会において発表した。その後、多くの治療家によって追試され、特に運動器系の症状に有効であることが確認されている」
北村智著『鍼灸特殊治療法』1998年10月。211ページ

 和田清吉先生の『新しい鍼灸臨床入門』にも以下のように書かれている。

「頭髪際刺鍼法とは、私が中国における中西医学総合の結果うまれた頭皮鍼療法を追試する中で、頭髪際縁に沿う一定の部位を切経し、圧痛・硬結・陥凹などの部位を求めたり、また良導点を求めて、一定の方向に横刺し、一定の刺激を与えると、それぞれの刺鍼部が身体の一定部位の疾患(特に痛み・しびれ・麻痺・関節障害・分泌異常・血管痙攣など急性・慢性の疾患)に対して治療効果があがることが多く、また、中枢性・末梢性ともに効果があることを認めた。これによれば、従来の体鍼療法のみより速効性があり、その有効率も高いように思われるので、ここに発表し、先生方の追試を望む次第である」和田清吉著『新しい鍼灸臨床入門』和田臨床研究会 1977年3月。118ページ。

山元敏勝先生は、以下で書かれている。

1975年5月
頭針について」『日本良導絡自律神経学会誌』VOL20、5、111-111

1)頭部の疼痛:交通事故、打撲、頑固な慢性頚部痛。
2)肩部の疼痛:肩こり、五十肩の疼痛を軽快させる。
3)上腕と前腕の疼痛:腕の疼痛、しびれ、重だるい感じに用いる。
4)腰、下肢部の疼痛:腰痛症、椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、打撲。
多発性リウマチ性関節炎の腰痛や抗生物質殿部筋肉注射による大腿部疼痛で歩行不能な症例も著効。
5)胸部:頑固な気管支喘息。

 上記は後にA点、B点、C点、D点、E点となる。おもに疼痛の除去に使っていたことが類推できるが、注目すべきは後にE点となる胸腔の点で、頑固な気管支喘息を治療している。上記のA点、B点、C点、D点、E点も同じ頭の前髪際を使いながら、和田清吉先生の区域とは、かなり異なっている。かろうじて、和田清吉先生の「腰腿区」と山元敏勝先生のD点(腰・下肢部)が重なっている。

 わたし自身が右の慢性気管支炎があり、右のE点(胸部)を刺激したところ、かなり軽快してきているので、ちょっと驚いています(笑)。

2012年3月21日水曜日

2012-03-21 | 頭皮鍼
1977年
「ハリ通電による知覚抑制について」『麻酔』26(3): 350-350, 1977.
石河延貞, 山元敏勝, 花森隆充, 村上伸樹 宮崎医大第1生理
・成人男子25人について一側の合谷にハリ通電を行ない, 痛覚および触覚の抑制に必要な通電条件を求めた。05~30分間の通電によって指尖から上腕にかけて知覚が抑制された。抑制の程度は通電電気量に依存していた。

1978年1月
新しい頭針法のサーモカメラに依る効果判定について」『日本良導絡自律神経学会雑誌 』VOL23.NO1:26-26.1978年1月
腰痛症に対してD点に置鍼し、サーモカメラで腰部の撮影を行い、置鍼5分後に局所の皮膚温度の低下を認めた。
・前頭部にA点, 頸部B点, 肩部C点, 肩甲関節, 上腕部D点, 腰並に下肢部E点, 胸部などを運動麻痺と気管支喘息に用いている。経絡とは関係なく、経験上見出した。最近は前頭部にもっと細かく身体各部や各臓器と密接な関係をもった点を見つけることができた

1980年1月
新しい頭針治療のその后 」『日本良導絡自律神経学会雑誌』VOL25.NO1:36-36.
・1974年以来、前頭部にいくつかの新しい穴があるのに気づき, それをそれぞれ, ABCDEに分類した。その後、前頭部の正中線を境として身体が横たわった様に, 一致した穴のある事をつきとめた。即ち, C点を中心としてその左右にmmの間をおいて5指があり, D点に於ても大腿部, 膝部, 及び膝下部, 又は5趾指の穴があり腰点の後部には各内臓点がある。又後頭部にも, 前頭部と全く同じ様に身体の各穴があるのに気づき, 恐らく中国医学でいわれている陰陽の関係が頭部の前後部で存在している。


2012年3月19日月曜日

2012-03-21 | 頭皮鍼
長文はこちらにノートとして書いておくことにしました。
山元敏勝先生の過去の論文やサマリーを読む。

1974年1月
針麻酔の経験」『日本良導絡自律神経学会誌』VOL19、1、13-13
・腹部手術における針麻酔の効果と考察。症例23例。

1975年5月
頭針について」『日本良導絡自律神経学会誌』VOL20、5、111-111
1)頭部の疼痛:交通事故、打撲、頑固な慢性頚部痛。
2)肩部の疼痛:肩こり、五十肩の疼痛を軽快させる。
3)上腕と前腕の疼痛:腕の疼痛、しびれ、重だるい感じに用いる。
4)腰、下肢部の疼痛:腰痛症、椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、打撲。
多発性リウマチ性関節炎の腰痛や抗生物質殿部筋肉注射による大腿部疼痛で歩行不能な症例も著効。
5)胸部:頑固な気管支喘息。

1975年9月
新しい頭針療法について」『日本良導絡自律神経学会誌』VOL20、9、21-21
・前頭部の髪際を用いた頭皮針。外傷性、交通事故、打撲、骨折後の疼痛や関節炎による疼痛の除去。脳血管障害による片麻痺など。
Aは頸部・後頭部、Bは肩・肩甲部、Cは上腕部、Dは腰+下肢部、Eは胸腔部。
A:正中線より1cmの両側:頸部・後頭部
B:眉の中点より髪際の交わった点:肩・肩甲部
C:眉の中心部より約120度の線と髪際に一致した点:上腕部
D:眉の末端より耳に平行に髪際に点をとり、その点より0.5cmのところ:腰+下肢部
E:眉の中点と髪際の中点にある:胸腔部
 

1976年12月
新しい頭針点について」『日本良導絡自律神経学会誌』VOL21、12、274-274
・A点、B点、C点、D点、E点。痛みの治療に適しており、麻痺の場合は健側に行い、効果のない場合は両側に行う。

今日は以上。


 1975-1976の論文を読むと、痛みや麻痺といった疾患が中心。D点は、曲鬢あたりだろうか?
 自分が経絡経穴概論を教える際に作成した資料を読むと、沢田流の『鍼灸臨床生情報(1)』(医道の日本社325ページ)に、「曲鬢の灸で立位前屈が改善した」という28歳の女性の症例が掲載されている。邵先生も、耳の周りの胆経のツボを腰痛に用いていたので、印象的だったのでよく覚えている。
 1975年5月のE点(胸腔)を気管支喘息患者に用いているのも興味深かった。