安心院橋の雨・その一 2011年01月28日 | 中学受験 行雲流水録 一昨日から降り出した雨は両岸の土手を洗い、川並の柳は今にも川面に届きそうにしている。その篠突く雨を縫うように一艘の小舟が水嵩の増えた子安川を遡っていた。雨影にけむる鞆では一人の男が慣れた手捌きで流れ来る速さを増した 川水をいなすように櫓を操っている。 「お初に悪いことしちまった。」三五郎は一人ごちた。一仕事終えた高ぶりと充足感が今の三五郎を満たしている。 「早く帰ってやらねえとな&hellip . . . 本文を読む