祖母が死んだのは平成5年の正月、94歳だったが、幼い子供の頃から、ほとんどずっと私たち兄妹は祖母に育てられたと言っていいほどだった。子供時代は寝起きを共にしていたし、大学時代も部屋の掃除から身の回りの世話をしてくれた。
祖母の手伝いをし、畑や山に出かけたし、大学時代は、祖母の使いや、祖母の手伝いをし、晩年、20年近い病院生活には、ほとんど毎週、子供たちや母親を連れて、出かけていた。
祖父の後妻で、親父の継母だったから、私とは一切血のつながりはなかったのだが、数日前、ふっと、そういえば、祖母の実家の苗字は何だろう?と思った。
手元にある戸籍を調べると「八木」という。母親の名前は載っているが、父親の名前がない。空欄になっている。「えっ?」。私が持っている戸籍では、兄妹関係も全く分からない。そういえば、小さい頃から「八木さん」という名前の人が、時々身の回りに現れたり、街中の家に行ったこともある。しかし、父親の欄が空白というのは、母親がおめかけさんだった可能性が高い。
私が記憶している武生の街中の洋風の写真館の主は誰だったのだろう?兄だったのか、母親の旦那だったのか。