ひょうきちの疑問

新聞・テレビ報道はおかしい。
2020年のアメリカ大統領選以後はムチャクチャ

授業でいえない「公共」 36話 金融自由化とBIS規制

2024-03-20 09:07:28 | 高校「公共」

2023.11.7

【イスラエル戦争】
いろいろ気になる政治上のことはありますけれども、今は経済をやっています。今日のG7は、外務大臣会談とかをやってますね、東京で。一言いうと、先月から起こったイスラエル戦争についても、アメリカとロシアの代理戦争のようになってますけど、ロシア側が停戦をいっている。即時停戦と。でもアメリカ側は一時休戦といってます。これはどっちが戦争をやめたいといっているか。ロシア側です。ロシア側のパレスチナ側、アメリカ側のイスラエル側があって、日本の女性の外務大臣がこの間ここに行ったけど、私は見ていてハラハラする。新聞発表はないけど、イスラエル側にもイスラエルを応援しますとか、微妙なことを言っていて、今日G7が東京で開かれています。日本はアメリカ側だから、イスラエル側です。戦争をやめるという方向が非常に弱いですね。日本が議長国となって何かできるか、何か危ない感じがするんですけど。どうなるか、どういう報道になるかね。

アメリカの情勢もいろいろです。前トランプ大統領と現バイデン大統領。ちょっと今週、今までと違うなと思ったのは、アメリカはトランプ優勢なんです。かなり何か月も前からそうだったんですけど、先週ぐらいから新聞でトランプ優勢だと言い始めた。今日の地元新聞も、激戦州でトランプ優勢だとか、地元新聞が本当のことを言い出したなと、私は思ったんです。今は何が本当かというのが非常に分かりづらい。でも、そういう話はずっとネット上では流れてました。
ただ一方では、トランプ大統領が裁判所に起訴されて、裁判にかけられているという報道もあっていて、何が正しいか、見ていてよく分からない人も多い。よく報道を見極めてください。今起こっていることは一種の情報戦だと見ていいでしょう。世論をどちらに誘導するかの。

このイスラエル戦争が起こってから、NHKがあれだけ言っていて、今ほとんど報道されないのが何ですか。ウクライナ戦争です。あれ一体どうなったの、という感じです。ずっと続いているんだけれども、ウクライナ戦争があっているときには、ウクライナの報道ばかりして、それがイスラエル戦争になると、ほとんどウクライナの話題は消えて、イスラエル側の報道ばかりしている。でもウクライナ戦争はちゃんと続いている。これも前に言ったように、ウクライナが劣勢だ、負けそうだという話は、ずっと前からあったんですけど、先週ぐらいから、ウクライナは非常に厳しい、ということが言われはじめているところです。しかし目の前の問題で、我々の生活に一番影響が大きいのは何かというと、石油ですね。

日本がイスラエルを支持したら、パレスチナ側はアラブ諸国でしょう。アラブ諸国というのは産油国です。日本の経済で一番大事なのはこの石油です。石油が来なくなるという危機、それが経済的には一番大きいことです。でもそのことはあまり言われない。人道的なこと、殺されている人たちを人道的に救済する、それは確かにそうですけど、石油の危機についての報道が弱い。





【公開市場操作】
前回言ったことで、ちょっと混乱して説明したなと、私はあとで思った。これは2段階なんです。なぜ混乱したかというと、経済上の日本銀行がやる公開市場操作、横文字でいうと、オープンマーケットオペレーション、このことには国債が絡むんです。この国債は政府の動きなんです。
我々が君たちぐらいのころには、日本は無借金経営で、非常に健全な国だった。経済的には。思想的にはあまりよくなかったけれども、文化的にもあまりよくなかったけれども、経済的には発展していい国だったんです。それが1970年代から、お金が足らないようになって、国の借金がどんどん膨らんで行ったんですよ。そういう状況が話の大前提だった。だから国と国民の関係で言い始めた。それが第1段階です。


この国債を、国の借金の国債を、次に日本銀行がどうするかというのが、この公開市場操作です。この公開市場操作というのが、これなんです。その第1段階では、私と政府で、君たちが国民になってもらったような例えをしたけれど、ここでは私が宣言しないといけなかった。
私が今から日本銀行になると、君たちは地元銀行、ここの金融機関というのは地元銀行とか都市銀行なんです。そこで第2段階にバージョンが変わったんです。それがあいまいだった。これはあくまでも日本銀行の金融政策です。


もう一つ、今日の最後あたりで説明するのは、財政政策といって国のお金の使い方がある。今まで言っていたのは日本銀行のやり方です。これを金融政策といって、そのことを説明しました。これは基本的に難しい。難しいから、試験問題はまだ作ってないけど、出そうか、出すまいか。出せるんです。ここらへん、どっちが増加するかとか、景気がいいときか悪いときか、非常にレベルとしては、昔は高校生に、こんなことは教えてない。それはそのはず、今までやったことがような、教科書に書いてある「非伝統的」というのは、今までやったことはないようなことをやり始めている。それしかできない。ここ20~30年間は。非常に例外的で難しいことをやってるという事なんです。


【日本の低金利】
それで日本の異常さというのは、これは金利です。もう20年、1990年代から、10年前からでもそうですけど、このグラフをみてください。他のこっちのほうのイギリスとかアメリカのこの金利が普通です。ふつうは5~6%あるけど、日本はもう20年間ほとんどゼロでしょう。こういう低金利です。金利は5~6%あれば上下できるんですよ。これが今までの金融政策の中心だったんです。しかし金利がゼロになると、上げられないから、ゼロにせざるをえないですね。しかしゼロ以下というとこれは異常です。だから上にも行けない、下にも行けない。これぐらいゼロに張り付いてる非常に例外的な期間です。例外的というか、異常な期間です。今は。そういう景気の悪さがある。景気がもっとよかったら普通は5~6%ある。景気が悪いから、金利がほぼゼロになってる。ゼロに張り付いている。

そのおまけで、これは応用技ですけど、金利が低いと日本の円は安くなる。10年前まで1ドルは70円台だった。これはあまりに日本の円が高すぎる。ドルが安すぎたから、その後110円ぐらいで10年間ぐらい来ていた。どんどん今150円ぐらい来ている。ドルが高くなっている。円の価値が安くなっている。つまり円の価値があると思う人が少ないんです。だから円が安くなっている。円が安くなると、昔は100万円持っていれば海外旅行に行けた。しかしこの円が安くなるということは、100万円でなかなか行けない。もし行っても、向こうの物価が、外国の物価が高も高くなるんです。

逆に円が安いというのは、日本の物価が安い。資産が安いんです。だからインバウンドで、どこが来ているか。中国人がいっぱい来てます。外国人がいっぱい来てます。東京の雷門とか浅草とか、あのあたりに行ったら日本人もう半分もいない。外国人ばかりです。東京だけではなくて、九州では湯布院とか、温泉の。日本人と同じ顔です。中国人とか韓国人とか。ちょっと見かけは派手です。ずっと近寄っていくと、何を言っているのか、日本語が聞こえてくるか、近づいても、何を言っているのかよく分からない。日本語ではない。中国人とか韓国人とか。なぜ日本に来るか。日本の物が安いからです。安いところをめがけて、その割には日本のサービスはいいから、こんなに安かったらと。まあ日本の資産が落ちているんです。円安が進行している。ここらへんは連続技になる。金融というのは。ボケーッとしていて分かるほど、君たちは受験は関係ないけど、受験用に勉強させようという気は全然ないし、私も受験用の説明はしないけれども、ボケーッと聞いていて分かるほど簡単でもない。次から次に連鎖反応が起こっていくから。

今までは金融政策をやりました。しかし次の時間からは財政政策をします。これが2本柱になります。これは次の時間に言いますけれども、こういうふうに2つの柱でやる。政策はポリシーでしょう。政策が2つミックス、混合している。これをポリシーミックスという言い方をします。その一方の金融政策を今まで言いました。


【金融の自由化】
それで金融のことは、もうちょっと続きます。このあたりも難しいですよ。難しいと思う。10年前だったら、大学の経済学部の先生が説明するようなことだと思う。最近初めて起こったことですから。

日本は1990年から景気が悪くなった。これがバブル崩壊です。バーンと落ちて。1990年、バブル崩壊です。景気が悪くてみんな日本人が苦しんでいる中で、政府は金融の自由化というのをやるんです。自由化の意味は、自由でのびのび、そう考えてもいいけれど、その反面、自由にやるということは競争の世界に入るということです。競争、経済的に自由競争することであって、日本は痛めつけられている。体を鍛えられるときには健康なときにやる。病み上がりの人間にグランド10周走らせたら死んでしまう。これはそういうことなんです。結論から言うと。この金融の自由化というのは、大きく分けて3つあるけど、なぜか教科書には2つしか書いていません。

1つは業務の自由化という。今まで銀行というのは、預金と貸し出しだけだったんです。君たちは銀行に行かないかも知れないけれども、今の銀行は国債も売っている。進んでる都銀なんかは株を売っている。これは証券会社の仕事だったんです。それからどうかすると、終身の、いつ何時死ぬかもしれないから、保険を売っている。交通事故にあうから車の保険を売っていたりする。これは保険会社の仕事だったんです。これを今はやっていい。業務の相互乗り入れを可能にした。こういうふうに自由化したら、普通の小売店だって、オレだって送金ぐらいできるぞといって、セブンイレブンで送金できる。セブン銀行があるね。セブンイレブンの横にある。あれは銀行です。自由化したら誰だって銀行ができる。こういう業務の自由化。そのぶん、銀行、証券会社、保険会社、そういうもの競争が激しくなっていく。体力はこういう時期です。競争するというのは、ここでやられる。しかし、ここでやり始める。

2つ目は金利の自由化、それまでは、国が全国一律、A銀行の預金金利は例えば5%にする、それならB銀行の金利も5%というように国が決めていたんです。金利は一律だったのが、A銀行が6%にしたいと言えば、していいよ、という。B銀行が4%にしたいと言えば、していいよ、という。すると預金はどっちに集まるか、4%よりも6%のほうが預金にはいい。これは競争です。銀行も競争にさらされていく。金利の自由化というのをやる。

教科書に書いてない3つ目は、実はこれが一番、目に見えないけれどもボディブローのように効いてくるんです。ボディーブローはプロの技です。素人がボクシング見て、ウワーっと沸くのは顔面パンチ、特に一発でボコッとやるラッキーパンチ、しかしプロでこいつはと思うのは、ボテッ、ボテッと打つ。打たれる方は、ウッと一瞬うなるんですよ。顔面パンチはパンと天国に行く。ボディーブローはウッウッとくる。ずっと打たれていると、足からガクッと来る。顔面パンチは打たれた瞬間にパーンと倒れるから分かりやすい。
このボディーブローのように効いてくるのが、為替の自由化という。為替というのは1ドル70円とか、110円とかいう、そのことです。これは今までは、円をドルに換えるのは、それまでは貿易取引、つまり物が介在しないとドルを買えなかったんです。


私がいくらお金を持っていても、ドルを買いたいと言って地元銀行に行っても、買えなかった。海外旅行に何十年か前に、若い時に行く時に、ドルは買えないから、当時はトラベラーズチェックといって、ものすごく面倒くさいことを、小切手みたいなものを持っていかないと行けなかった。それくらい円とドルを交換するというは禁止されていたんです。それで必ず物を介在させた。外国車を輸出したらドルと交換できるとか、しかし今は、物は全然なくても、私が1万円をもっていてこれを、100ドルにもならないけど、100ドルに換えたいと、地元銀行に出向けば、これは交換できる。これがいわゆるドル預金です。ドル預金ができるということは、アメリカ人も日本で円預金できるということです。では円預金したアメリカの大金持ちは何をするか。日本の株を買っている。そのほかにも、いろいろ買える。そうすると、こういうことはそれまでできなかった。でもそれができるようになって、外国人の株式保有、5%から30%に上がった。30%を超えたら、過半数を超えなくても、仲間を呼んで、会社の経営権を握れる。
こうやって買われた企業がいっぱい出てきている。

こういう3つの柱というのを1990年代からやり始めました。これもタイミングです。元気な時にやるのは競争させる、競争というのが自由化です。自由化の意味は、分かりやすくいうと競争です。経済的な意味は。体が弱ったときに、こんなことしたら勝てないでしょ。


【バーゼル合意】
さらにこの金融の自由化の影響はどうなるか。金融政策を世界的に一律にやろうという動きがあって、世の中の銀行にはドルと円を、貿易とかで、これをどこで決済するかというのは、とても難しくて、一つ一つやっていたら、こんなこと、貿易の総額をどうやって国家間で調整するかというのはできないから、全世界をまとめて、銀行同士の通貨のやりとりをまとめて、一括して決済する銀行というのが、実はスイスにある。

スイスのイメージは、アルプスの少女ハイジが日本の定番ですけれども、金融界ではそうじゃない。あんな小さな国が今まで侵略も受けずに、しかも中立で独立国を維持できるのか。それはがっぽりお金を持っているからです。ここに世界のお金が集まっているからです。スイスは金融国家です。スイスはアルプスの少女ハイジのイメージで、戦争は中立、中立というと戦争をしない国だと思っている、非武装中立と思ってる人がけっこう日本にいる。
あのイメージで、草原で羊がいて、ハイジがそれを可愛がっている、そういうイメージがあるんですけれども、スイスは軍隊を持ってます。徴兵制もあります。重武装中立です。攻めて来たら絶対戦ってやるぞと。ただどこの国とも仲間にはならないという。それはそうです。スイスは、こっちにフランス、こっちにドイツがいて、南にイタリアがある。どこと仲間になっても、あと2つが文句言う。それぐらいなら仲間にならない、そっちのほうが健全な知恵です。スイスはどことも仲間にならないということもあって、お金が集まるところです。そのスイスのバーゼルというところに、今の話は余計なことです。スイスのイメージは、アルプスの少女ハイジじゃないということです。


バーゼルというところ、スイスの都市の名前です。そこに国際決済銀行といって、円とドル、円とユーロを決済するような銀行がある。ここがお前は仲間に入れないとか言われたら、日本は貿易ができなくなる。だから日本銀行だって、ここには頭が上がらない。言われたとおりにするしかない。この国際決済銀行、これは分かりにくく書いてある。書いてあるというか、省略して書くと分かりにくいでしょう。この国際決済銀行のことを英語の頭文字をとって、BISという。私が単語が分かるのはBがバンクでしょう。Iはインターナショナルでしょう。Sがシステムか、分からないけれども、誰も知らないです。略してBISという。そこが取り決めしたんですから、それをBIS規制という。
それは加盟国、ほとんどの主要国は、これは話が長いでしょう。これは難しいです。日本人の多くは知らないです。簡単に分かるような話ではない。これに参加してる国が、分かりました、言うことを聞きますと合意した。これをバーゼル合意という。


話はまだ続きます。それが1988年、日本がバブル崩壊して弱っていく2年前ですよ。その時にどういう取り決めをしたかというと、5年後、日本はこの時にはバブル崩壊してます。1993年です。銀行の自己資本比率を融資額の8%以上にしなさいという。君たちで、これで意味が分かったら天才だと思う。しかしこれぐらい試験に出るんです。模擬試験とかに。これはどういうことかというと、自己資本というのは、株式の量ですよ。銀行も株式会社だから。その株式が、銀行はそしてお金を貸し出してるでしょ。貸し出している量を融資額といいます。そして自己資本、これが株です。これを8%以上にする、というよりも、下の書き方が分かりやすい。融資額は自己資本の12.5倍以内にしないといけない。この言い方は意味もなく難しいです。


融資額があって、自己資本額があって、つまり株があって、言葉通りいうと、融資額に対して自己資本比率は8%以上に自己資本を増やさないといけない、ということは、逆に融資額から見たら、自己資本がどうなるか。融資額が100万円だとすると、そしたら、ここらへんはもろに算数が要る。雑談みたいに聞いていても分からないです。自己資本というのは、融資額が100万としたら、8万です。8%以上にしなさい、だけども、日本は健全経営だったけれども、歴史的にこの自己資本比率がヨーロッパの銀行よりも低かったんですね。


そこが日本の銀行とヨーロッパの銀行やアメリカの銀行との違いだったんです。だから、例えば自己資本が7万円しかなかったら、この12.5倍以内しか融資、つまり貸し出しはできないんですね。ということは、融資額が87.5万円になるんです。


そのころ銀行はバブルが崩壊して、経済状態が非常に悪い。会社の社長はお金がなくて困ってる。だから銀行からお金を借りたい。しかしそこにBIS規制はお金を貸すなと言ったんです。意味が分かるかな。よく考えてください。これはそういう意味なんです。自己資本比率を8%以上にしなさいと言ったけれども、自己資本である株を、7%を8%にするのは、ものすごくお金がかかって、なかなかできない。できなければも、これを守ろうとすると、かえって自分が貸している100万円、これを明日返せと言って融資額を減らしたほうが、手っ取り早いんです。貸さないどころか、貸しているお金を明日までに返せという。引きはがしです。つまり貸し渋り、引きはがしが起こります。景気は悪い。一般の中小企業はバタバタと潰れる。ここらへんが国際的な動きと、日本のバブル崩壊後の経済というのが、非常にタイミング悪くぶつかるんです。ワザとじゃないかと思うくらい。

1990年にバブル崩壊です。
このバブル崩壊の時も、私はこのとき100万円ぐらいのお金を持っていたけど、バブルが崩壊して景気が悪くなったら、普通は金利を下げないといけない。これがバブル崩壊後1年間、非常に不思議だったのは、私が銀行の100万円の金利を見ていると上がった。景気が悪いときに金利を上げたんです。1年間。金利を上げたら、お金がない人はお金を借りられなくなる。そうすると倒産する。これを決めたのは、有名な日銀総裁の三重野康という日銀総裁だったけど、この人が金利を上げ続けた。あれも不思議だった。こんなことしてたら経済の復活できるもんかと、人は言っていた。その通り30年間、復活できない。ここらへんは言い始めたらキリがない、なぜこんなことをやったのか、ということがいっぱい出てくる。

とにかく日本は景気が悪いなかで、銀行が中小企業にお金を貸さない。つまり助けない。これが貸し渋り、これを続けていったということです。なぜ日本の不況が30年も続いたかという理由の1つかも知れない。ただそういったことこれおかしいという大学の先生はあまりいなかった。私のようなバカ人間は、バカでもないけど、後になって分かる。10年、20年経ってから分かってきた。そういえばあの時、と。


それでバーゼル合意以後の日本は、銀行の積極的な融資が困難になっていく。
そして、お金も貸せないけど、それをきちっと守れる銀行も少なかったから、こういう民間の銀行に政府は、これを助けるために、中小企業ではなくて、銀行を助けるために、政府が公的資金を投入した。

これは政府の資金です。銀行は民間です。このことの意味は何か。公的資金というのは我々の税金です。一番わかりやすく誤解を恐れずに言うと、我々の税金を地元銀行を救済するために使った。では地元銀行は政府機関なのかというと、民間の株式会社です。一民間企業を政府のお金で助けるということは、そんな簡単にやってはいけないことなんです。でもこういうことをやった。


【大蔵省の解体】
同時に、今まで金融行政をやっていた大蔵省というのを解体した。今は財務省になっている。大蔵省というのは、君たちが生まれてからは聞かないでしょう。我々はお金というと、やっぱり大蔵省、これは奈良時代からある大蔵省ですけれども、それを解体して、お金の使い方、税金の使い方、これは財務省になったんです。今は。

しかしもう一つの管轄が、大蔵省は銀行の金融政策を監督する省庁だった。それを分離した。大蔵大臣の管轄じゃないようにした。金融庁という別の組織にした。だから財務省がどうしろと、オレたちに関係ない、という。財務省の言うことを聞かない。この時に、ノーパンしゃぶしゃぶ事件とか、大蔵省たたきの事件もあったんですけど、あれもいろいろ言われて、まあいいか、それは。


【金融機関の独占化】
日本の経済的な苦しさは変わらない。銀行も苦しい。その一方で、外国為替の自由化で、外国資本がどんどん日本に入ってくる。外国の巨大資本が。これから守らないといけないという理由です。これから日本の銀行を守らないといけないということで、体力の弱い銀行同士を早く合体して、ずうたいを大きくしろ。小さかったら食われてしまうから、ドンドン大きくなったら食いにくくなるから、大きくなれ。見事に、独占禁止法どこ行くものぞです。それで巨大銀行ができた。これをメガバンクといいます。

それまでは大銀行でも、東京銀行とか、太陽神戸銀行とか、第一勧業銀行とか、富士銀行とか、君たちが知らないような銀行、一流企業がいっぱいあって、世界のベストテンぐらいの銀行だった。それがどんどん合体して、今はもう一般的に3つしか知らない。都市銀行というと。三菱UFJ銀行、これは三和銀行というのがあって、それと三菱銀行。もう1つは三井銀行というのがあった。住友銀行というのがあった。三大財閥の2つでライバルだったんです。合体です。三井住友銀行になった。そしてみずほ銀行、これは第一勧銀かな。ほぼこういうトップ3の銀行の独占が進む。こういうことをやったのは、外国企業への対抗上ということになっています。


これは、次の時間にも言うけれども、その間に国民からの税金は上がってるでしょ。消費税も、3%、5%、8%、10%まで上がっている。では大企業も税金を払わないといけない。法人税というのを。これが上がってるか、落ちているんです。なんで国民の税金を上げて、企業の税金、税率は下がっているのか。これを使う。大企業に対抗上。外国企業に負けないように。これもいろいろな話はあるんですけど、これは教科書に書いてあることです。


それでますます巨大銀行が成立した。そういうのを金融コングロマリットといいます。コングロマリット、大大企業みたいなものです。これが成立した。つまり金融の独占化が進んでる。しかしさっきまで独占したらいけないという話をしていたけど。ある年の3年生、先生、独占したらいけないと言っていたじゃないですかと言う。そうです。矛盾してます。企業の独占化傾向です。

あとは、例えば地元銀行は民間企業で、株式会社だから、民間の株式会社が倒産した場合には、そこの負債というのはパーになります。だから、イヤ地元銀行は健全な銀行ですよ。ただ例です。噂が噂を呼んでから、地元銀行は危なくない。私が100万円を地元銀行に預けていて、もしその地元銀行が倒産したら、私の100万円は戻ってくるか。これは戻ってきません。原則的には。しかしそれでは国民の不安がるからと言って、ペイオフというのをはじめた。ペイオフ解禁という言葉で。これは何か。金融機関が倒産しても、1金融機関につき1000万円までの預金は払い戻しますということです。それで国民が安心する。なんで、安心させないといけないか。金融不安がずっとあるから。これをペイオフいいます。このような金融不安も、2000年代初めぐらいまでは、今でもあるけど、ずっとありました。不良債権問題というのが続きました。


【仮想通貨】
それで最近は、この金融というのが、最近は理系の仕事ですよね、パソコン上で、フィンテックという技術が、ここらへんは私はよく分からないけど、そういう技術が開発されている。どういう単語かというと、2つの単語の造語です。テックはテクノロジーです。フィンはファイナンスまたはフィナンス、フィナンステクノロジーという。詳しいこと分からないけど、こういう技術を使って生み出されたサイバー空間上の通貨が、今は通貨としての市民権を得ている。これがビットコインです。発明者は不明だけど、ナカモトサトシといわれる。イヤ日本人? 分からない。しかし、サトシナカモトというと、普通は日本人でしょう。でも分からない。どこの誰か。その人がバラまいた。こういうのを仮想通貨といいます。それは政府が発行したんじゃない。勝手にバラまいた。便利だぞということで。

それが盗まれない暗号があるみたいだから暗号資産ともいう。この暗号技術がブロックチェーンです。聞いたことあるでしょう。これを使ってる。私はこの意味が分からなかったけれども、こういう仕事をしているから、何でも試すんです。10年前、1ビットコイン、2万円ぐらい。20万だったら買えないけれども。2万で買った。そして何年か待っていると20万円になった、そしたら差額が18万円だから売りたくなる。それで売った。儲かったと喜んでいたら、1年もたたずに200万円になった。人からは、おまえバカじゃないかと言われた。儲けたけど。これは最高で800万円ぐらいまで行った。それが今は600万円ぐらいかな。とにかくもともとはタダです。大化けしている。でもこれは異常ですね。

これは通貨で、不法通貨ではない。ただこれが不思議なのは、お金には、ふつう発行元、昔の金貨だったらもともとは政府が発行する。しかし200年前のアメリカ、300年前のイギリスから、政府に代わって中央銀行が発行するという、発行元がある。これは発行元がないんです。こういう通貨です。ナカモトサトシ、サトシ・ナカモトさんという人が作ったと言われる。ここが一番の特徴です。こういう通貨が出てきた。ちょっと不自然ですけど。


【デジタル通貨】
この仮想通貨ともう一つ、似て異なるものがある。同じようなイメージだけれども違うものがある。デジタル通貨というのが今出ようとし始めている。これに一番熱心な国はどこか。日本は出遅れています。中国です。中国人のお金の払い方、私も中国に行ったことがないけれども、現金はほとんど使えないといっている。日本人の若い人たちが、電車でも何でも携帯でピッピッとやる。何でもそれで買う。映像で出ているからたぶん本当じゃないかな。

デジタル人民元。中国の通貨は人民元というんです。中国語ではレンミンビとかいうみたいですが、日本語読みして人民元です。これはビットコインのように発行主体がないわけではない。これはしっかりと中国の政府、正確にいうと中国の中央銀行が発行するものです。日本に日本銀行があるように、中国にも中国人民銀行という中央銀行があります。そこが発行するんです。大まかに言うと、セブンイレブンのペイペイみたいなものかな。このブロックチェーンは教科書用語です。ペイペイとブロックチェーンのビットコインとは違うんです。構造が違う。価値は同じかも知れないけど、構造が全然違う。ペイペイは発行元があるんです。
こういう訳の分からない、お金とはいったい何なのかという世界で、コンピューター技術だけで、いくらでもお金ができたりする。これでいいんだろうか。これは理系の技術です。こういう世界になっている。これには発行主体がある。今各国の政府は、こういうことを狙っている。そういう国がある。実現するのかしないのか分からないけれども、よく話題になる。
それでここまでが今お金の話、金融政策の話です、最後はビットコインです。




【財政政策】
ここからは、次に政府の動き、財政政策に行きます。さっきまでは日本銀行の金融政策です。2本柱の一つ。あとの一つです。政府の行う経済活動のことを財政という。この主体は政府のことです。国民からお金を集めて、1億2000万人から何十万のお金を集めてる最大の金持ちというのは、やはり何といっても政府です。1億200万人から税金を取っているんだから、すごいお金です。これに匹敵するような大企業はない。これがどうお金をっていうの日本の経済に直結する。基本的な仕事は、我々のお金を使って、みんなの役に立つようなもの。君の家とか何とか、君のクルマを特別に買ってやるとか、それはダメよ。こういうのを横領という。政治家のポケットに入れる。こういうのを横領という。そうではなくて、みんなの役に立つ。道を作る、高速を作る。ダムを作る、公園を作る、港を作る、飛行場を作る、飛行場は株式会社か。こういうのを公共財といいますね。これにお金を使うことを公共投資という。

学校を作るのもそれです。ものだけではなくて、そして優秀な生徒を育てる。これ一番価値があることだと思うけど、これにお金を使う。しかしこれも20年前から変わったんですよ。昔はいろいろもっと、学校に使うお金はあったんですけど、やっぱり減らされてきた。これは現実としてある。私も30数年やってきて。教育もその一環です。お巡りさんを増やして治安をよくするとか、道路や公園も、人的または物的に。こういうのを公共財といいます。こうやって国民から集めたものを適正に配分する、という役割が政府にある。それが回り回って、我々のメリットにもなる。

それからもう一つは、所得再配分という。世の中、自由主義というのは、年収1000万もらう者と、年収100万もらう者、そういう差はどうしても、あまりよくないけれども必ず出てくるんです。そういう人には、例えば年収100万円だったら税金を10%取る。年収1000万の人は、月収でもいいけど、月収1000万というのはまずいない。年収1000万だったらいる。これも10%。これが平等か。そうじゃないんです。100万で10%なら、1000万だったら20%、30%取る。これが平等だという考え方です。消費税で考えると分からない。消費税は老いも若きも、貧乏人も金持ちも、全部10%です。これで平等だと我々は慣れている。そうじゃない。税金の考え方というのは。こういう考えが10%、20%、30%、所得によって違う。こういうのを累進課税という。こうやって所得税は、お父さんたちの給料の税率は、一律10%じゃない。5%~45%の開きがある。昔はもっと50%以上あった。相続税、お金持ち、親が財産を持っている。その相続税、10%~55%、違うんです。差をつけるのが公平だという考え方です。

ここらへんは何が正しかは、歴史的に決まってないです。決めるのは誰か。民主国家は国民の投票です。どういう政治家を選ぶかで。それで変わる。30年間ズルズルと別の方向に行った感じがあるけど。

終わります。



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