中国主導のアジアインフラ銀行の設置にイギリスをはじめとする欧州各国が協力したことにより、アメリカではオバマ(民主党)大統領の力はますます求心性を失っていくだろう。
今までオバマはアメリカ・ニューヨークのウォール街の金融勢力と手を組んできたからだ。(アメリカA)
イギリスがまずこのグループから手を引いた。続いて、ドイツ・フランス・イタリアと続いた。
すると今度は共和党を中心とする軍産勢力(アメリカB)が、アメリカ政権中枢で息を吹き返す可能性が高まる。
中国主導のアジアインフラ銀行の設置にイギリスをはじめとする欧州各国が協力するというニュースと同時に、チュニジアなどでテロ事件が発生している。
今年1月からの『イスラム国』がらみのテロ事件は今も後を絶たない。
イスラム国の背後にはアメリカの存在があるとも言われるが、もしそれが本当なら、それはオバマ(アメリカA)ではなく、軍産アメリカ(アメリカB)のほうである。
欧州勢力はオバマの金融勢力(アメリカA)とは手を切りつつある。そして新たな相手として中国と手を結びつつある。
アメリカでは軍産アメリカ(アメリカB)だけが取り残されている。
もうしばらくは世界各地でテロが起こり続けるだろう。
しかし金融アメリカ(アメリカA)のいない軍産アメリカ(アメリカB)だけの力で、アメリカの戦費がまかなえるとは思えない。
今アメリカは、裸の王様になりつつあるが、その裸の王様は世界最大の軍事力を持っている。
『キチガイに刃物』の非常に危険な状態だ。
何をするか分からない状態にある。
金融アメリカ(アメリカA)がしぼんだ後の軍産アメリカ(アメリカB)の金づるが、アベシンゾーだとすれば、これは本当に笑えない。
軍産アメリカ(アメリカB)の金づるどころか、1月の中東訪問のように、おだてられたり脅されたりして何をするか分からないのが、今のアベシンソーである。
集団的自衛権の名のもと何をするか分からない『キチガイに刃物』である。
今、アメリカと日本はかなり異常なところにある。
中国主導のアジアインフラ銀行の開設(2015年予定)。
これは中国が輸出主導から、投資主導に切り替えていくということ。
中国の人民元が安かった頃、中国製品は輸出を伸ばした。
しかし人民元はかなり高くなっている。
現在、1人民元=19円前後。(2010年頃は、1人民元=12円前後)
人民元が高くなれば、当然中国製品は高くなり、輸出が伸びなくなる。
しかし逆に高くなった人民元を使って海外に投資をすれば、より多くの投資ができる。
例えば、1人民元=10円ならば、中国は1人民元で10円の融資しかできないが、
1人民元=20円ならば、1人民元で20円の融資ができる。
人民元が高くなればなるほど、中国の実質的投資額は増える。
これは中国が世界の工場から、投資を中心とした金融立国へと舵を切ったということ。
中国は高くなった人民元を使ってアジア諸国に投資をしていくつもりだ。
そうはさせたくないアメリカを尻目に、まずイギリスが中国に協力した。
続いてドイツ、フランス、イタリアも。
アジアにはまだまだ安い労働力人口が眠っている。
人民元の引き上げを求めていたのはアメリカだが、中国はその逆手を取って、それなら高くなった人民元を使って海外投資に乗り出そうというわけだ。
日本は円高の時もそういうことをしてこなかった。逆に米国債を買うことに終始してきた。
日本主導のアジア開発銀行(ADB)はアメリカのご機嫌取りばかりで、本腰を入れて取り組んでこなかった。そのアジア開発銀行(ADB)のトップであった人物が今の日銀総裁の黒田東彦である。
そしていまだにアメリカへのファイナンスをし続けている。
中国は欧州を巻き込んでこのことに取り組もうとしている。アメリカしか見ていない日本とはスケールの違う投資を考えている。
そこに、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアというヨーロッパの主要国が乗った。
自国通貨を通貨高にして海外に投資を行おうとすることは、1990年代以降のアメリカが取った『強いドル』政策と同じである。
ということは、世界の金融政策の中心がアメリカから中国へ移ろうとしているということである。
これにイギリスが乗った意味は大きい。イギリス・ロンドンのシティの金融勢力がそのことを認めたということだから。
そしてすかさず、ドイツ、フランス、イタリアがイギリスに追随した。
このことはドルを刷って垂れ流すだけのアメリカの金融政策がどうしようもないところまで来ていることの証拠ではなかろうか。
イギリス・ロンドンのシティの金融勢力はニューヨークのウォール街を見捨てて、中国の上海に拠点をかまえようとしているように見える。
日本はこの流れにも大きく出遅れた。出遅れるどころかますますアメリカに取り込まれようとしている。
日本は先の戦争でも、大きな潮目を見誤って、国民に大きな犠牲を強いた。
アベシンゾーを見ているとそのことを思い出す。
大きな潮目を読むための冴えた目を持ち合わせていないのだ。
逆に目の前の損得だけに固執し、その先のことが頭の中にない。
もともと能力のない人間が2世議員(本当は3世議員)として親の威光を借りて幅を利かすようになるとこのような危険なことが起こる。
(一度退陣した首相が、期間を開けて再登板するのは吉田茂以来である。小沢叩き、民主党潰し、アベシンゾーの再登板の一連の動きには不自然なものがある。これは終戦後、次期首相候補の鳩山一郎が就任直前に公職追放され、その代わりとしてアメリカの後押しで吉田茂が首相になったと同じように、周到に計画されたものだ。)
今日本の政治家たちは、イギリスを初めとする欧州勢力の動きに唖然とするばかりだ。
まだ何が起ころうとしているのか分かっていない状態なのだろう。
かつてドイツが孤立していく中で、日本がドイツと軍事同盟を結んだように、
アメリカが孤立していく中で、日本はアメリカとの軍事同盟を強化している。
この2つのことがダブって見える。
同じ間違いをしでかさなければよいが。
日本だけが世界の流れと逆行しているように見える。
2015.1.22、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が、ドイツの反対を押し切って、量的金融緩和を決定。ドラギはアメリカのゴールドマンサックスの出身。
2015.2.12、ドイツ(メルケル)とフランス(オラント)の仲介で、ロシア(プーチン)とウクライナ(ポロシェンコ)の間で、ウクライナ停戦協定が結ばれる。この仲介はアメリカの頭越しに行われた。
2015.3.12、中国主導のアジアインフラ銀行にイギリスが参加を表明。
2015.3.17、中国主導のアジアインフラ銀行にドイツ・フランス・イタリアが参加を表明。
俗に欧米と一塊りにいわれるが、欧州(ヨーロッパ)は米国(アメリカ)と距離を取り始めているように見える。
軍事的に、アメリカとイギリスは強い協力関係にあったが、そのイギリスが欧州勢力の中で真っ先に、中国主導のアジアインフラ銀行に参加を表明した。
これは全く予想しない衝撃的なことだ。
アメリカとイギリスの間にははっきりと隙間ができた。
イギリスに続いて、次にドイツ・フランス・イタリアが参加を表明した。
これで一気に大勢が判明した。
G7のうちアジアインフラ銀行に参加していないのは、アメリカ、カナダ、日本だけ。
イギリス、ドイツ、フランス、イタリアは、中国よりにシフトしている。
『アメリカはずし』に動いているように見える。
アメリカがこのアジアインフラ銀行に参加することはあり得ないだろう。
アメリカとカナダは北米大陸で隣接している国だから仕方がないとしても、際だつのはアジアの中にいながら参加していない日本の特異性である。
このような動きの中で日本だけはアメリカよりの姿勢をいっそう強めている。
このまま地の果てまでアメリカに着いていくつもりなのだろうか。
今までの動きは、ドイツは経済的にも軍事的にもアメリカに協力していない。フランスも同様である。
イギリスは今まで軍事的にはアメリカに協力してきたが、ここで経済的には非アメリカ的行動を取り始めた。
日本の集団的自衛権の行使が、アメリカのための軍事援助であることの輪郭がますますはっきりしてきた。
逆に言えばアメリカは、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなどが、中国よりにシフトするのを見越して、その穴埋めのために日本に集団的自衛権の行使を求めたと言える。
そうとも知らずアベシンゾーは、それをありがたがって受けている。
この右よりの日本の首相はバランス感覚が悪いばかりか、世界の動向を察知する力も劣っている。
こんな人間に日本の舵取りをまかせていて大丈夫なのか。
アメリカと欧州の関係は、我々が想像する以上に変化しているのではないか。
WEDGE
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4566?page=5
中国が主導する
「アジアインフラ投資銀行」
ビジョンもガバナンスもなき実態
中国は2015年中にアジアインフラ投資銀行(AIIB)の業務開始を目指す。
本部は北京とし、総裁には中国人が就く予定だ。
その実態を分析していくと、次々に課題が見えてくるが、新興国は設立を歓迎する。
中国と参加国である新興国の真意とは─。
中国は2013年10月にアジアインフラ投資銀行(以下、AIIB)の構想を提唱し、
14年10月には早くもAIIB参加に関心をもつ20カ国と設立合意書(MOU)を交わした。
11月にインドネシアも参加することになり、中国とASEAN10カ国を含む計22カ国が設立協定の作成プロセスを開始した。
AIIBの目的は、アジアのインフラ建設やインフラを通じた各国間の物理的な連結性を強化し、経済発展を支援するというものだ。
アジアの新興国・途上国におけるインフラニーズは高く、ADB−ADBIの『シームレス・アジア』(2009)によれば、10年から20年の間に計8.3兆ドルの資金が必要とされる。
AIIB設立の動きはインフラ資金を必要とするアジアの新興国・途上国の間で歓迎されている。
これに対して、米国や日本はAIIB設立の動きに警戒感を示しており、米国は参加を検討している韓国や豪州などに参加見合わせを促したとも報道されている。
米国が警戒しているのは、中国がインフラ投資を通じて、アジア諸国を取り込み、陸のシルクロード、海のシルクロードなど中国の勢力圏づくりにAIIBを利用しようとするのではないかと疑信しているからだ。
AIIBの設立は、同じく中国の主導で設立に向かっているBRICS銀行(正式には新開発銀行)などとともに、
国際通貨基金(IMF)、世界銀行、アジア開発銀行(ADB)などに代表される既存の国際金融秩序に挑戦するものだとも認識されている。
日本政府は、恒常的に総裁を出しているADBがアジアの途上国に大きく貢献しているという評価を得ていることから、その競争相手となるAIIBの設立構想に戸惑いを見せている。
AIIB設立の基本的な考え方は、設立準備委員会(多国間臨時事務局)の委員長(秘書長)である金立群氏が、北京の中央財経大学・金融学院で開催されたクローズド・ワークショップ「世界の金融ガバナンス」での発言や応答の中で示している。
要約すると、
「既存の国際金融機関では、それらを主導する欧米諸国の意向が強く反映されて、必要な改革ができないので、新たな国際機関を設立することが必要だ」
というものだ。
急成長するアジアでは、経済成長・発展を支えるために、毎年少なくとも7500億ドル(ほぼ90兆円)に上る巨額のインフラ投資が必要とされている。
日本、中国を含むアジア地域は全体として経常収支黒字を計上していることにみられるように、十分な貯蓄を持っており、それをアジアのインフラ投資に振り向けていくことができる。
現在の世界経済には、日米欧の中央銀行による超金融緩和政策によって、短期流動資金は十分に供給されているが、
それは必ずしも長期性のインフラ投資に結びついていない。
そうした中で、中国は法定資本金1000億ドル(当初は500億ドル程度の資本金から出発)のAIIBを設立する動きを始めたわけである。
本部は北京とし、15年中の業務開始をめざしている。
AIIBはアジアのインフラ建設に必要な長期資金を供給する一方、
貧困削減は世銀やADBの仕事だとしている。
しかしAIIBが効果的に機能するためには、日本や米国だけでなく、参加を検討している韓国や豪州などが懸念しているいくつかの問題点を解決する必要がある。
AIIBの問題点
問題点としてAIIBのビジョン・理念、ガバナンス、融資政策・条件、ドナー間の協調の4点が挙げられる。
(1)ビジョン・理念
新たな国際機関を設立するにあたっては、それがなぜ必要なのか理由を明らかにするとともに、使命とするビジョン・理念を明確にする必要がある。
AIIBは、「貧困削減」の使命を世銀やADBに委ねるとしつつ、それに代わるビジョンを提示していない。
インフラの構築、連結性の強化、経済発展は究極の目的を実現するための手段に過ぎず、インフラを通してどのようなアジアを実現させようとしているのか、明らかでない。
AIIBは、たとえば「持続的・包摂的なアジアの構築」などのビジョンを掲げるべきだと提唱したい。
「持続的」とは環境と調和のとれた経済発展を指し、「包摂的」とは成長・発展の果実が全ての国・人々に行き渡ることを意味する。
このビジョンは、今の中国の指導者にとって十分受け入れられるものだ。
(2)ガバナンス
本部は北京、総裁は中国人(初代は金立群氏と目されている)になることが予定されている。
出資比率は各国の国内総生産(GDP)に応じて決められることから、中国が最大の出資国になり、その議決権シェアは最大50%と突出して大きくなろう。
ADBの副総裁を務めた経験のある金立群氏によれば、
「世銀やADBと異なり、本部常駐の各国政府代表者(理事)をおかず、各国代表者は政策と融資計画をあらかじめ承認・決定し、それが一定期間の間、実際に行われ成果が挙がっているかどうか確認して、経営陣を評価すべきだ」
という。
つまり、常駐の理事による日常的な業務のチェックや融資案件ごとの可否の判定は行わないことになる。
常駐の理事を置かない方式は、欧州投資銀行(EIB)でとられており、意思決定を迅速にできるというメリットがある。
しかし、アジアの各加盟国間で政治的な意図が共有できず、インフラ支援の優先度が大きく異なる可能性もある。
そのため、プロジェクト案件ごとの、各国代表者による頻繁なチェック・アンド・バランスが必要になるはずだ。
こうしたガバナンス面での配慮がなければ、中国は総裁と本部をともに手にし、資本の半分ほどを拠出するだけで、
みずから好む国にみずから望むインフラ支援を、二国間支援に比べて2倍のレバレッジを効かせて行えることになる。
要するに中国は援助予算総額を増やさずに援助効果を倍増させ、かつAIIBを対アジア外交強化のために用いることができるのである。
中国としては、「中国はAIIBを通じてみずからの政治的な意図を実現させようとしている」という懸念を国際社会に抱かせることは得策であるまい。
中国一国がAIIBの運営を独占することはない、という姿勢を明確に示すべきだ。
具体的には、中国の議決権シェアを50%よりもはるかに低い水準に設定し、かつ本部に常駐の理事を置くべきだ。
(3)融資政策・条件
AIIBがどのような融資政策を採用するかについては、大きな懸念がもたれている。
とりわけ、インフラ事業における環境保全や人的・社会的保全の基準、調達の方式が問題だ。
AIIBは、これらについては国際的に最善の慣行(ベストプラクティス)をめざすとしているが、金立群氏自身がもともと世銀やADBの融資決定プロセスが遅いと批判していることから、世銀やADBほどには、これらの問題を重視しない可能性がある。
世銀やADBなど既存の国際開発金融機関は、インフラプロジェクトの立ち上げにあたっては、その環境インパクト、人的・社会的インパクトに関して極めて注意深い考慮を払っている。
インフラ事業は自然環境や生態系に対し大きな影響を与えることがあり、かつ住民の立ち退きの問題がある。
これらの面で問題が生じると、インフラプロジェクトがストップに追い込まれうるだけでなく、国際機関としての評価・名声にも傷がつく。
そのため、世銀やADBはプロジェクトの当初からこれらの問題に取り組み、後々問題が発生するリスクを最小限に抑えようとしている。
そのことが、プロジェクトの準備にある程度時間がかかることにつながっているが、これはインフラ事業の成功にとっては最低限必要なコストだろう。
インフラ事業の調達はしばしば腐敗・汚職の温床となり、その防止のために透明性の高い入札ルールを導入することが必要だ。
これも世銀やADBなどは注意深く行っている。
欧米諸国では、我々の税金を無駄な使い方に回したくない、腐敗している国には使いたくない、という意識が強いからだ。
(4)ドナー(資金提供者)間の協調
援助の効果を高めるためには、新興国・途上国政府自身が主体性をもって経済発展のための戦略をたてることが重要だが、加えて、ドナー間の協調が有用であることが知られている。
国際金融機関や二国間援助機関などドナー間の協調は、受け手である新興国・途上国にとって、取引コストを削減し、重複を避け、相乗効果(シナジー)を生み出すというメリットがある。
深刻な問題は、AIIBがベストプラクティス以下の基準でインフラ融資を競い、世銀やADBからインフラプロジェクトを奪っていく可能性があることだ。
そのことは世銀・ADBの融資政策の基準の引き下げ圧力につながりうる。
環境や住民への影響を十分考慮に入れてインフラ事業を進めるためには、AIIBと世銀・ADBとの間の対話・協調を促し、非生産的な基準引き下げ競争を生まないことが必要になる。
そうした観点から、AIIBは世銀、ADBなどと協調しつつ、加盟国のインフラプロジェクト支援を行っていくべきだ。
それに加えて、AIIBは経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)と協調していくことが望ましい。
開発援助委員会は世界的な視野から、新興国・途上国への経済援助の情報を共有したり、国際的なベストプラクティスに則った援助政策の共有をめざすものである。
中国によるAIIBの設立は時間の問題だろう。
AIIBは、以上述べた4つの点(ビジョン、ガバナンス、融資政策、ドナー協調)で、責任ある国際金融機関として踏み出すことを期待したい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【私のコメント】
上記は今年1月初めの記事。
読んでも抽象的で具体的なことは良くわからないが、批判的なことは分かる。
日本は中国のことを良く掴んでいないのではないか。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アジアインフラ投資銀行
(アジアインフラとうしぎんこう、英: Asian Infrastructure Investment Bank、AIIB)は、中華人民共和国が提唱し主導する形で設立を目指している、アジア向けの国際開発金融機関。2015年業務開始予定している。
概略[編集]
日米が主導するアジア開発銀行(ADB)では賄いきれない増大するアジアにおけるインフラ整備のための資金ニーズに、代替・補完的に応えるということを目的として、中国が設立を提唱した[1]。
融資先選定の審査基準や意思決定プロセスに関して、銀行設立および業務開始前の時点において、日本は麻生太郎財務大臣がその透明性を求めていることに言及し[2]、アメリカ合衆国財務長官は他の国際金融機関が融資先に対して課しているのと同様の高い基準の確保の有無に関して不安を表明している[3]
歴史[編集]
- 2013年10月 - 習近平が アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で提唱。
- 2014年10月24日 - 北京に21カ国が集まり、設立の覚書(MOU)に調印。
- 2015年3月12日 - イギリス外務省が、G7(先進7カ国)では初の参加を表明[4]。
- 2015年3月16日 - フランス・ドイツ・イタリアの参加が報じられた[5]。
参加国・参加予定国[編集]
31か国、2015年3月17日現在
アジア太平洋地域 | 他地域 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
関連項目[編集]
<noscript></noscript>中国主導、日本ジレンマ アジアインフラ投資銀めぐり
細見るい、鯨岡仁 ワシントン=五十嵐大介、上海=斎藤徳彦
2015年3月21日19時07分
中国が年内の設立をめざすアジアインフラ投資銀行(AIIB)をめぐり、これまで参加に慎重な立場を取ってきた安倍政権内部から、参加論が出てきた。
中国が「創始メンバー国」の締め切り日とする今月末が迫り、英国やフランスなど主要7カ国(G7)からも、参加表明が相次いでいるからだ。
麻生太郎財務相は20日の記者会見で、AIIBについて、融資の基準や組織の運営などで透明性が確保された場合、
「少なくとも中に入って、どういう(出資)割合にしていくかを協議する可能性はある」と語った。
「政治や経済といった意味から慎重に判断したい」と付け加えたものの、政権幹部が参加の可能性に言及したのは初めて。
21日にソウルで開かれる日中韓外相会談でもAIIBが議題にのぼる可能性がある。
AIIBをめぐる情勢は、この1週間で急変した。
英国が12日に参加を表明すると、
17日に独仏伊が追随。
20日にはオーストラリアが参加の方針を固めたと地元紙が報じ、
中国政府はスイスが参加表明したと発表した。
東南アジア諸国連合(ASEAN)各国を含め、参加表明は30カ国以上にのぼる。
相次いで創始メンバーに名乗りを上げるのは、AIIBの融資案件の入札などで事実上、参加国の企業が優位に立ち、ビジネスチャンスが広がるとみるからだ。
アジアのインフラ需要は、日米が主導するアジア開発銀行(ADB)の融資では、とてもまかない切れない。
「日本企業と技術面で戦うのは欧州企業だ。米国べったりは戦略ミスだ」
(官邸幹部)などと、日本企業が不利になると心配する声が政権内からも漏れる。
とはいえ、日本が参加するハードルは高い。
欧州各国はアジア域外のため、当初の出資金(500億ドル)の4分の1を各国で分担すれば済む。
だが、域内の日本の場合、参加するには残りの4分の3の一定割合を負担するため、数千億円規模が必要ともいわれる。
最大の出資者になる中国が融資などの決定権を握る組織に「巨額の血税を投入するなど、国会を通らない」(財務省幹部)。
歩調を合わせる米国に「抜け駆け」する形で参加する選択肢も、考えにくい。
安倍晋三首相は20日の参院予算委員会で
「中国の発展はチャンスだが、AIIBには課題がある。そんな中で慎重に検討していきたい」と述べるにとどめた。(細見るい、鯨岡仁)
■雪崩打つG7、米の誤算
米政府内部には、AIIBが一定の基準を満たせば関与することに前向きな意見もある。
だが、中国の勢力拡大を懸念する米議会は、自国が主導する国際通貨基金(IMF)改革すら認めておらず、現状ではAIIBへの出資を認める可能性は低い。
「英国やドイツがそこまで参加に前のめりだったとは思わなかった。中国は明らかにうまくやった」。
ある米政府関係者は、「誤算」を認める。
その中国は、相次ぐ参加表明にわく。
「AIIBのはつらつとした勢いは、中国外交の国際社会での影響力を示している」。
19日付の中国共産党機関紙・人民日報は、欧州主要国が加わる事態をこう表現した。
国有メディアは連日、成果を強調する報道を続ける。
昨年10月時点でAIIB設立に同意したのは、途上国を中心に21カ国。
そのままでは格付けが低く抑えられて資金調達で不利と言われたが、信用力のある欧州勢の参加で、心配は薄れつつある。
次の期待は、韓国や豪州などアジア・太平洋域内で経済規模の大きい国の参加表明だ。
日本についても、「交渉の状況は逐一知らせている」(楼継偉財務相)と、扉が開かれていることを強調する。
設立に向けた各国との協議では、日米が「不透明だ」と指摘する組織運営や融資の基準について、高い透明性を求めてくることは確実だ。
「幅広い国が参加すれば、国際標準に合わせる可能性は高まる」(世界銀行中国担当局長をつとめた米ブルッキングス研究所のデビッド・ダラー氏)との見方が広がる。
前アジア開発銀行研究所長の河合正弘・東京大特任教授は
「現状では投票権の50%近くを中国が持つ可能性があり、融資案件を勝手に選ぶことが可能だ。中国が組織運営のあり方を見直さない限り、交渉の結果、参加しない選択肢もある」
と指摘する。(ワシントン=五十嵐大介、上海=斎藤徳彦)