もうすぐ北風が強くなる
http://bator.blog14.fc2.com/blog-entry-2712.html
人質殺害の原因を作ったのは誰だ、魔女狩りと人物破壊が進む日本の危機:孫崎
2015-03-02
孫崎享氏「いま日本は大変な危機的な状況にある」「安倍さんぐらい戦後、米国追随の方針を明確にしている人はいない」
3/2 投稿者 shimb 阿修羅から
2015年2月20日に行われた「日本政治の行方を考える市民と国会議員の勉強会」における孫崎享氏(元外交官)の話の書き起こしです。動画は下記URLで見ることができます。当該個所は33:00あたりからです。(本投稿の添付画像はこの動画から切り出したもの)
20150220 UPLAN 日本政治の行方を考える市民と国会議員の勉強会 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=3cSscfW7KXw
孫崎でございます。よろしくお願いいたします。
私は、いま日本は大変な危機的な状況にあると思ってます。第二次世界大戦が終わってから、こんな危機的な状況になったことはないんじゃないか。
原発が危ないということがわかっていながら、再稼動しようとしている。
TPPというのは実は、関税の問題ではなくって、国家の主権を売り渡すようなISD条項というものが入っている。
そして、秘密保護法をやる。
集団的自衛権で自衛隊をアメリカの、自分でお金を出す傭兵にしようとしている。
こんな危機的な、そしてさらに日本の国内の政治を見れば、格差社会がどんどん広がっていく。大変な時代に入ったと思います。
みなさんご存知のように、今年の新年の挨拶でいまの天皇陛下は、1931年からの満州事変、この歴史を、「満州事変からの歴史を見なければいけない」「そしていま、我々の将来を考えるためにこれを考えなきゃいけない」ということを言われました。
私はいまちょっと、なぜ日本が第二次世界大戦に入ったのかというのを少し勉強しているんですけれども、その時の状況といまと、本当に似ていると思います。
第一に、嘘と詭弁。
第二次世界大戦にいく時には、日本とアメリカは経済力は1対10ぐらいの差がありました。
そして日本が戦争した時には、ルーズベルトは徹底的に二度とこういう国に作らないようにするということを言いましたけれども、ほとんど全ての人が、2年頑張ればアメリカは民主主義だからやめる。そして日本が獲得したものはそのまま日本のものになるという、嘘と詭弁で戦争に入りました。320万の人が死にました。
いま安倍首相が戦後70年の見直しをしようとしている。この時に一番大切なことは、なぜ我々が戦争にいったかっていうことを検討しなければならないはずなんです。
しかし、そうではなくって、従軍慰安婦で強制連行があったのか。
南京事件で30万人死んだのは多過ぎるとか。
従軍慰安婦という制度は日本があった。そして、それは軍と政府が関与した。
南京事件では日本は大量に虐殺をした。そんなことは当然のことなんだ。
部分的な修正をして、そして我々の汚点が無くなるというわけではない。
繰り返しますけれども、やらなきゃいけないのは、何で日本が戦争へいったのか。
そして、それと同じようなことが起こってはいないか。
第二次世界大戦の前に起こっていた現象は、勉強すればするほど、実に的確に人を殺してます。
戦争に反対するような重要な人間、これは次々に殺されていっています。
いまの日本、さすが人を殺すまではやってない。
だけど、同じようなことをやってる。
人物破壊ということで、その人たちを社会的な発言から遠ざける。
そして、然るべきポストから外していく。
もう安倍政権がやってることそのものですよ。
それで少し、私は外交の問題ですから、外交の問題を少しお話していこうと思うんですけれども、私は今度の後藤さんの事件で本当にがっかりしました。
この国の政治、この国のメディア、そして合わせて、この国の国民。この3つに本当にがっくりしたんです。
後藤さんが殺害されたことは、安倍首相の発言に責任があることは明明白白。
政府は、安倍首相の発言は「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をする」ということを言ったって何にもおかしいことを言ってないということを言いましたけれども、安倍首相は合わせて、「イスラム国がもたらす脅威を食い止めるために支援をする」ということを言った。
イスラム国を敵視するということを言った。
そして、それだけではなくて、イスラム国自身が後藤さんを殺害する時に言った言葉は、「日本政府は邪悪な有志連合に参加した愚かな同盟国と同じように『イスラム国』の力と権威を理解できなかった。安倍首相よ、勝てない戦争に参加した向こう見ずな判断によってこのナイフは後藤を殺すだけではない。今後もあなたの国民はどこにいても殺される。日本の悪夢が始まる」と言った。
向こうが、俺は安倍さんの言葉によって私たちは殺したんだと言っているのに、殺してないと、そういうことでないかもしれない。
やってる人がやってるんだと言ってるんですから、これだけ明明白白なことはない。
そして今回、非常に特徴的なのは、極めて早い段階から、日本はお金を出さない、真剣に交渉しないという方針を立てたということです。
安倍さんは、あらゆる手段を尽くして解放に尽くすということを言ったけれども、実際に何をやったかというものを見ると、交渉するつもりなんかさらさらない。
一番最初に言ったのは麻生さんで、「我々は要求をのめばテロに屈するんだ」。だから「予備費から身代金を出すようなことを何も考えていない」。
麻生さんが言うから、またいい加減なことを言ったのかと思った。
だけど菅官房長官が、ロイターによると身代金を用意していたかについて問われて、「これは全くない。100%ない」。
そして、イスラム国と交渉する気は「全くなかった」。
考えてみてください。
自分の国の国民が捕まっていた。
そして安倍氏の、確かに拘束はされたけれども、殺害されたのは安倍氏の言葉が契機になった。間違いない。
それに対して、身代金を出すつもりはなかった。交渉するつもりは全くなかった。
こんなことを言ったら本来は国民が怒るはずだ。
だけど、重要なことは誰に向かってしゃべったかってことなんですよ。
こんなセリフは、普通は国民が反発するに決まっている発言をした。
じゃあ、何でこんな発言をしたのか。
誰に向かって。アメリカですよ。
アメリカは今回例外的に、サキ報道官が「我々は身代金を出すということはしない」「この点は日本政府に伝えてある」。
菅官房長官が「100%お金を出すことはない」「イスラム国と交渉するつもりは全くなかった」。
日本国民にしゃべっているんじゃないんですよ。
アメリカにしゃべっている。
もうそういう時代に入ってしまった、日本というのは。
ということで、それを少し調べればわかるけれども、マスコミは全く報じなかった。
報じないだけではなくて、何人かの人が政治家はコメントをしました。
新聞によりますから正確なことはもっとしゃべっておいでになるかもしれないけれども、民主党の枝野幹事長は「安倍首相の人道げんどう(人道支援表明)が口実を与えるようなことになっていないか検証していきたい」。検証しなくったって明確なんですよ、もう。
社民党の吉田党首。「首相の中東訪問の時期、演説の英訳が口実を与えるようなことになったのではないか」。
野党ですよ。
本来、安倍さんの発言が殺したんじゃないか。その責任をどう取るんだと、こう言わなきゃいけない。
それを言えない。
そしてさらに、ツイッターで池内沙織・共産党議員が、「こんなにも許されないと心の底から思った政権はない。国の内外で命を軽んじ続ける安倍政権。安倍政権の存続こそ、言語同断」。
全く正しいことを言った。
だけど、ところが、すぐに削除した。
上の人から言われたと言ってる。なんですか、これ。
それで、2月4日の産経新聞。「『イスラム国寄り』発言 野党・元官僚続々」ということで、さっきの民主党の枝野さん、私たちから見るとおかしいじゃないかという発言まで、イスラム国寄り。テロリスト。
民主党の徳永エリ。共産党の池内さん。社民党の吉田さん。この中で一番正当な発言をされているのは小沢一郎さんなんですよね。
「日本も敵だととらえられても仕方ない。支援表明はイスラム国には宣戦布告とも言える」。
その通りですよ。だけど、これを言える政治家ってほとんどいない、もう。
そして、柳澤協二と古賀茂明と私。ということで、魔女狩りをして排除していってる。
ひどい状況に入ってきていると思います。
そういうことで、何を見ても、そしてそれをいま集団的自衛権ということで、日本は本当に海外に派遣しようとしている。
集団的自衛権というのをわかるために、極めて明確な答えがある。
集団的自衛権は一体何なのか。
3つの漢字。4つの漢字。集団的自衛権とは自衛権ではない。
他衛権。他国を守る権利。他国防衛。日本の安全とは全く関係がない。
それをアメリカに追随するだけ。
それが、安倍さんのこの動きっていうのは、なんとなく右翼っぽいことをちょこちょこっと言うんですけれども、だけどアメリカ追随で、安倍さんぐらい戦後、追随の方針を明確にしている人はいないと思います。
どうも。