田舎の倉庫

Plala Broach から移植しました。

嫉妬~角田光代著「森に眠る魚」

2012年02月08日 | 読書三昧

角田さんはきっとすばらしく頭の良い人なのだろう。
自らの頭脳の回転に急かされるようにこの小説を書いたに相違ない。

世の母親が、自分の子供にかける期待の大きさ切なさに辟易しながら書き綴ったに違いない。

物語~東京の文教地区で出会った同じ年ごろの子供を持つ5人の母親が、「ママ友」付き合いの中、心強い仲間として心を通わせる。しかし、子供らの小学校受験のための幼児教室や受験校探しなどを通して、その関係はエゴと嫉妬が入り込む関係に変化していく。

構成のたしかさと上手な文章に助けられ最後まで読み通したが、子供を持つ若い母親の感情の起伏の激しさ、わが子可愛さからくるエゴや嫉妬心のすごさに辟易した。また、現代に生きる若い母親たちの深い孤独と哀しみに同情を禁じえなかった。