徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

8月の記録と9月に訪れたい展覧会

2006-08-31 | 美術(Index)
8月の記録

展覧会(日付は鑑賞日)

  • 4日  大正・昭和の風景版画家 川瀬巴水展(前期)ニューオータニ美術館(前期は終了)
  • 4日  プライス・コレクション 常設展 東京国立博物館
  • 5日  第12回 秘蔵の名品 アートコレクション展 花鳥風月「日本とヨーロッパ」ホテルオークラ アスコットホール(終了)
  • 5日  館蔵日本美術による Gold ~ 金色(こんじき)が織りなす異空間(前期) 大倉集古館(9月3日まで)
       国宝「古今和歌集序」
  • 5日  近代洋画の巨匠たち 浅井忠 岸田劉生そしてモネ 泉屋博古館 分館(10月9日まで)

  • 7日  ピカソ 5つのテーマ  ポーラ美術館(箱根)(9月17日まで)

  • 10日  常設展企画展「天下人たちの時代 -信長・秀吉・家康-」 徳川美術館 
  • 11日  「珠玉の日本美術 細見コレクション・リクエスト展06」細見美術館
  • 11日  「美のかけはし」常設展 京都国立博物館
  • 12日  楽美術館
  • 12日  「茶道入門 ― 描かれた茶の風景 ―」茶道資料館
  • 12日  相国寺 瑞春院(特別拝観)
  • 12日  「伝来の茶道具展」 相国寺承天閣美術館

  • 15日  常設展(いま見られるコレクション)川村記念美術館(終了)
  • 15日  パウル・クレー 創造の物語 川村記念美術館(終了)
  • 15日  エコール・ド・パリ展 松岡美術館(9月3日まで)
  • 16日  花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に>(第5期)三の丸尚蔵館(9月10日まで)
  • 18日  川瀬巴水展(後期) ホテルニューオータ二美術館(9月3日まで)
  • 18日  東京国立博物館 常設展(本館)
  • 18日  東京国立博物館 常設展(東洋館)

  • 20日  Asian Art Musuem @ San Francisco
  • 20日  Matisse and Beyond @San Fancisco Modern Musuem of Arts

  • 27日  JOY POP!ポップアート1960's→2000's 損保ジャパン東郷青児美術館(9月3日まで)
  • 31日  青磁の美 ―秘色の探求― 出光美術館(9月3日まで)

    結局、カミーユ・クローデル展には行けずじまい。

    9月に訪れたい展覧会
  • 「モダンパラダイス展」 8/15-10/15 @東京国立近代美術館
  • 「ペルシア文明展」 8/1-10/1 @東京都美術館
  • 「ベルギー王立美術館展」 9/12-12/10 @国立西洋美術館
  • 「クリーブランド美術館展」9/9-11/26 @森アーツセンターギャラリー
  • 「リール近代美術館所蔵 ピカソとモディリアーニの時代」9/2-10/22 @Bunkamuraザ・ミュージアム

  • 特集陳列 中国書画精華 前期 9/5-10/1, 後期 10/3-10/29 @東京国立博物館
  • 特集陳列「佐竹本三十六歌仙絵」 2006/9/5~2006/10/1 @東京国立博物館
  • 特集陳列「懐月堂派の肉筆浮世絵」2006/9/12~2006/10/22 @東京国立博物館

  • 国宝 風神雷神図屏風 9/9-10/1 @出光美術館 午後7時まで延長開館◆会期中無休
      新発見の尾形光琳「布袋図」も展示予定
  • 赤と黒の芸術 楽茶碗 9/16-11/12 @三井記念美術館
  • 「館蔵日本美術による Gold~金色が織りなす異空間」後期:9/5〜10/1 @大倉集古館
  • 夏季展 明代陶磁と能装束 8/15-9/18 畠山記念館
  • 秋の優品展 絵画・墨蹟と李朝の陶芸(前期)9/2-9/24 @五島美術館 (「紫式部日記絵巻」は10/14-10/22)
  • H18年度第2回所蔵品展 後期 9/12-10/15 @東京国立近代美術館
  • 歌麿と英之 歌麿没後200年・英之生誕250年- 9/1-9/26(前期)10/1-10/26(後期) @太田記念美術館 

  • 竹内栖鳳とその弟子たち―重要文化財《班猫》登場― 9/30-11/19 @山種美術館
  • 「ウィーン美術アカデミー名品展 9/16-11/12 @損保ジャパン東郷青児美術館 10/1は無料
  • インペリアル・ポースレン・オブ・清朝 -華麗なる宮廷磁器- 9/30-11/19 @静嘉堂文庫美術館
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    青磁の美―秘色の探求― @出光美術館

    2006-08-31 | 陶磁器
    やきものに親しむV
    青磁の美
    ―秘色の探求―
    出光美術館
    2006年7月22日~9月3日

    出展されていない写真がありますがご容赦を。(すべてSRCリンクです)

    冒頭から、「青磁と玉」の関係についての展示。青磁が「秘色」と表現される深みのある釉色を理想とし、最も中国の人の琴線にふれるやきものであった。独特の釉色の原点は、玉にあり、その色沢の再現こそが青磁焼造のエネルギーであった。なるほどと納得します。

    まず、灰釉陶が。
  • 灰釉印文双耳壺 西周から春秋時代

    そして
    西晋時代の古越磁
  • 3 青磁貼花獅子鳳凰文円筒壷
  • 4 青磁神亭壷
    壷の上に動物や植物、人物などいろいろな文様が貼り付けてあります。東博にもいま展示されていますが、そちらの解説によれば墳墓に副葬するための明器。被葬者の死後の生活に備えるための穀倉庫あるいは死者の魂の住処と考えられる。浙江省、江蘇省の3から4世紀の墓葬において見られる。とのこと。
  • 青磁天鶏壷 
    こちも墳墓、副葬用の明器。3点ほど展示されていた。

    北方青磁
    北宋時代の耀州窯が見事だった。
  • 23 青磁刻花牡丹文碗
  • 24 青磁刻花牡丹文壷
  • 25 青磁刻花牡丹文壷
  • 27 青磁印花牡丹唐草文碗



    南宋官窯
  • 30 重文 青磁下蕪花生(瓶)


    同型の国宝 青磁下蕪瓶(アルカンシェール財団)は、龍泉窯とされている。

    龍泉窯 南宋(いわゆる砧青磁)
  • 32 重文 青磁袴腰香炉

  • 33 青磁鳥紐蓋長頸瓶
  • 38 青磁浮牡丹不遊環耳瓶
  • 39 青磁浮牡丹香炉

    青磁鳳凰耳花生が4点並ぶ。大き目のタイプで有名なのが国宝「萬聲」(和泉市久保惣記念美術館蔵、徳川家光、東福門院と伝わり、江戸時代以降、毘沙門堂(京都)に伝来した。)。細口のタイプで有名なのは「千聲」(陽明文庫蔵、徳川家から東福門院の入内にともない、天皇家へ、そして近衛家へと伝わる。)。「万声」という銘は、「擣月千声又万声」という詩句から、「千声」(重要文化財)とともに江戸時代に後西天皇によって名付けられたことが『槐記』(18世紀の随筆)の記事により知ることができる。
    「萬聲」の写真(和泉市久保惣記念美術館へのSRCリンク)

    「千聲」の写真(表千家のHPへのSRCリンク)

  • 重文 青磁鳳凰耳花生 南宋 龍泉窯(五島美術館蔵)益田鈍翁旧蔵品。 「萬聲」タイプ
  • 重文 青磁鳳凰耳花生 南宋 龍泉窯(大阪市立東洋陶磁美術館)丹波青山家伝来。「萬聲」タイプ
  • 重文 青磁鳳凰耳花生 南宋 龍泉窯(白鶴美術館)「千聲」タイプ
  • 青磁鳳凰耳花生 南宋 龍泉窯 「千聲」タイプ

    龍泉窯 元
  • 41 青磁浮牡丹瓶



  • 42 青磁縞文壷
  • 52 青磁刻花牡丹唐草文瓶

    飛青磁
  • 国宝 青磁鉄班文瓶 元 龍泉窯(大阪市立東洋陶磁美術館);写真ではわからなかったが、ガラスのような透明感のある釉薬。出色のでき。このために1000円を払いましたが満足。鴻池家伝来。
    (大阪市立東洋陶磁美術館へのSRCリンク)



    珠光青磁茶碗
  • 珠光青磁茶碗 南宋 同安窯系 同安窯は、黄味ががった青磁釉が底辺部を除いて施され、箆(へら)描きの劃花文の間に櫛描き文がはいるのが普通。



  • 青磁三閑人壷 龍泉窯 明;壷の中にも動物が。。。


    本来の「秘色」は晩唐期(9世紀)の上質の越州窯青磁をさした呼び名。「秘色」の呉が最初に見られるのは晩唐の陸亀蒙(~881)の詩の題名「秘色越器」であり、同詩に「九秋風露越窯開、奪得千峰翠色来」とあり、「秋の日に越州窯の窯が開かれるとその色は峰々の翠色を奪ってきたようだ」と形容して、越州窯の青磁の釉色を山の緑に喩えている。以来「秘色」は越州窯の精品の持つ釉色をさす言葉として用いられるようになった。
    陜西省の法門寺の唐代仏塔の地宮で端正な器形で美しい艾(よもぎ)色の青磁釉のかかった上質な越州窯青磁とともに咸通十年(874)銘の奉納物を記した石碑「監送真身使随真身供養道具及金銀宝器衣物帳」が出土し、「瓷(し)秘色」と明記されたいたことから、晩唐の秘色青磁の実態が明らかになった。
    中国語の「秘」の音は「碧」=青緑色と同じBIであり、「秘色」は青緑色の美名である。


    こちらは、出展されていませんが、法門寺出土の秘色瓷盤と秘色瓷碗(琴詩書画巣さんのHPへのSRCリンク)


    砧青磁という名称については、(1)「千聲」「万聲」など、鳳凰耳花生という瓶があるが、その形が衣をうつ砧に似ていることからついたというものと、(2)静嘉堂文庫美術館にある青磁鯱耳花生(千利休…伊達家…岩崎家伝来)の「ひびわれ(鎹で補修してある)」を砧を打つときの「ひびき」にかけたものともいわれている。いずれにしてもある特定の青磁から、その種類の青磁を包括する用語として広く応用されるようになったのである。(土橋尚起(専修大学大学院修士課程) )http://www.d1.dion.ne.jp/~n_d/come@/report1.html

    (7月22日、8月31日)
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    ポップアート1960's→2000's

    2006-08-29 | 美術
    JOY POP!
    ポップアート1960's→2000's
    リキテンスタイン、ウォーホルから最新の若手まで
    2006年7月8日から9月3日
    損保ジャパン東郷青児美術館

    Roy Lichtensteinが多数出展されていてご機嫌。Marina Kappos は注目。


    株式会社ミスミのアートコレクションによる現代ポップアート展。現代アートといっても一番みなれたポップアートです。先週、SFMOMAを見た感覚としては、やはり、日本人好みなのではないかな、とは思った。

    最初の一室は、リキテンスタインがずらっと並びます。ここまで一堂に会すると壮観です。漫画の一場面のSweet Dream Baby、Crack、Crying Girl。モネをモチーフにしたHaystack。セザンヌやピカソを意識したモチーフ。La Sortieはテレビドラマをモチーフにしているのでしょうか?
    Roy Lichtenstein ロイ・リキテンスタイン
    Sweet Dream Baby, Screenprint on Paper, 1965, 156/200
    Crack, Offset Lithograph, 1964
    Crying Girl, Offset Lithograph, 1963
    Brushstroke, Screentprint on paper, 1965
    Haystack, Screenprint on pape, 126/250

    Bull Head I, Lithograph and linecut on paper, 1973, 3/100
    Bull Head II, Lithograph, Screenprint and linecut on paper, 1973, 3/100
    Bull Head III, Lithograph, Screenprint and linecut on paper, 1973, 3/100

    Still Life with Pitcher and the flower, Lithograph and Screenprint on paper, , 24/100
    Two Figures, 1978, Oil and magna on canvas
    Road before the forest, 1985, Lithograph, woodcut and screenprint on paper, 29/60

    La Sortie, 1990, woodcut/musuem board, 54/60

    Andy Warhol アンディ・ウォーホル
    Untitled(Yellow Flower), (Orange Flower), 合成ポリマーとスクリーンプリント, 1963
    ジャッキーII, 1963
    マリリン・モンロー, 1967
    キャンベルスープII(Golden Mushroom), 1969
    Lifesavers, 1985
    $9, 1982 (2枚組み)

    ヴィック・ムニーズ
    オランピア(チョコレートの絵画), 2000

    最近の作品で気に入った作家を。作品名まではメモしきれませんでした。

    Carl Fudge
     カラー写真を思い切り引き伸ばした模様。 
    Greg Bogin
     ミニマル・ポップ、ポップストラクション。

    Marina Kappos マリーナ・カポス
    (077,白鳥,2004), 2004
     ゴーギャンのような世界で楽しい。

    David LaChapelle デヴィッド・ラシャペル
    (ゴム風船 ブタ), 2002
     強烈な印象です。美しい女性とゴム風船(美しいないもの)の対比がユーモアです。サディステック。

    P.S.
    7月9日は無料だったのですね。
    ヨーロッパ絵画の400年 ウィーン美術アカデミー名品展も、10月1日も無料感謝デーのようです。

    P.P.S
    株式会社ミスミグループ本社のアニュアルレポート2005から
    「ミスミコレクションの出品
    ミスミは数年前より、アメリカ現代美術展に特別協力としてミスミ・アート・コレクションを過去に5回出品しています。ミスミ・アート・コレクションは、アメリカ現代美術に焦点を絞ったコレクションであり、先見性にあふれた個性的なコーポレートアートとして高く評価されています。アメリカ現代美術は、第二次世界大戦後、ヨーロッパの影響から自立を目指して、アートの可能性を自由に追い求めた革新的な精神にあふれており、それは常に革新性を求めるミスミグループの企業姿勢と重なるものです。2004年度は、うらわ美術館、名古屋市美術館の展覧会に、ミスミ・アート・コレクションの作品を出品しました。2005年11月には、鳥取県立博物館開催の「ミスミコレクションによるアメリカ現代美術展」に出品する予定です。」
    www.misumi.co.jp/ir/library/misumigroup/pdf/2005/ar_05.pdf

    (27日)
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    Matisse and Beyond @SFMOMA

    2006-08-28 | 美術
    Matisse and Beyond
    San Fracisco Modern Museum of Arts(SFMOMA)

    常設展示ですが、マティス以降ですから、20世紀美術です。
    初めの一室だけ、興味深くみました。

    ピカソとフォービズムのマティスです。これだけまとまったフォービズムのマティスのコレクションを見て、すこしマティスのイメージが豊かになりました。
  • Pablo Picasso, Scene de rue, 1900、ポーラ美術館とほぼ同時期のピカソ
  • Henri Matisse, Portrait of Micheal Stein, 1916
  • Henri Matisse, Portrait of Sarch Stein, 1916、コレクターの夫妻の肖像画。
  • Henri Matisse, Femme au chapeau (Woman with the Hat), 1905 (下図 SRCリンクです)
  • Henri Matisse, The Girl with Green Eyes, 1908
  • Henri Matisse, The Joy of Living, 1905-06
  • Henri Matisse, The bloom Trees, 1905
  • Pablo Picasso, The Still life and the Coffee Pot, 1944



    Bronze
  • Henri Matisse, Slave, 1900-03
  • Henri Matisse, Madeleine, 1901
  • Henri Matisse, Large Head Henriete II,

    これ以降は、20世紀美術は、好きになれない私としてはピンと来ていない作品ばかり。
  • マルセル・デュシャンの泉もありました。
  • Rene Magritte, Personal Values, 1952 (大きなワイングラスと小さなベッド、部屋の中に雲がなびく。)
    ぐらいが目に付いたところ。
    最後にごく最近の作品として、
  • Gerhard Richter, Lesende (Reader), 1994(こちらでSTART Programを押して)これは、読書する作者の妻の横顔を写真のように美しく仕上げている。読書する女性という伝統的なモチーフの作品。

    このほかにもいろいろな現代美術の企画展示があります。

    (20日)


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    Asian Art Museum @ San Francisco

    2006-08-27 | 美術
    Asian Art Museum
    200 Larkin Street, San Francisco, CA

    サンフランシスコ空港から市内を結ぶ鉄道BARTのCivic Center Stationの近くにSFMOMAがあるつもりだった。10年以上も前のJALの地図ではそうだった。でも、移転したようで折角ということで、Asian Art Museumを訪問。

    1階は特別展示室。The elegant gathering中国の書(The Yeh Family Collection)とA Curious Affair: The Fascination Between East and West (June 17–September 3 , 2006)が開催中。後者には、南蛮屏風が何点か展示されていた。司馬江漢の下総利根川今井浜1812には富士山が描かれていたが、富士山が妙に大きく描かれていて奇妙であった。筑波山ならわかるが。

    3階は、インド、インドネシア、タイと中国の翡翠など。所狭しと並べられている。量は多く東博などは圧倒している。特に、中国の玉のコレクションは、凄い。中国人は玉を愛しているというのがよくわかる。
    2階も中国の続き。陶磁器コレクション。書は董其昌の草書懐素自序帖巻、文徴明 行書秋興賦巻が。
    朝鮮につづき、日本。芦雪の「象と子供」「那智の滝」があった。応挙もあった。樂宗入作 黒樂(平)茶碗 銘夏神楽。仁清の茶碗もあったが、本物?仁清写し?

    日本美術は中国と比較するとちょっと見劣り。逆に中国人にとっての中国文化と日本人にとっての中国文化の違いを実感。
    (20日)
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    「新たな国民のたから」+常設展 東京国立博物館

    2006-08-25 | 美術
    特集陳列 文化庁購入文化財展 「新たな国民のたから」
    2006年8月8日~2006年9月3日
    主催:文化庁・東京国立博物館
    東京国立博物館 本館特別1・2室

    「文化庁の文化財にかかわるいろいろな事業のなかには、文化財を国が優先して購入できる制度があります。これは貴重な国民のたからものである文化財が海外に流出するのを防ぐためのものです。この制度によって国は多くの文化財を購入してきましたが、その多くは国立博物館や国立美術館に移管してそこで公開・活用してきました。国立博物館や国立美術館が独立行政法人となった現在は、文化庁が保管しつつ、各地の美術館や博物館に貸し出して公開しています。」ということで、文化庁が買い上げた作品が展示されていました。何とカラーのパンフレットまで作成しています。

  • 重文 紙本著色浜松図 六曲屏風 1双 室町時代・15世紀
    「浜松図は絵巻物の画中に頻出し、愛好されていたとみられるが、現存する中世の作例は3例しかみられない。本図はそのなかでも最古とみられ、磯馴松(そなれまつ)が横長の大画面にゆったりと展開する様は、中世やまと絵の屏風の精髄を伝える代表作である」とのこと。磯馴松の向こうには、リズミカルな波、帆掛け舟が一艘、二艘、左隻手前には苫屋、左隻には、赤い葉の木は柿か何かか、右隻には紅梅、白梅を描く。保存状態もよく存在感のある構図の屏風。

  • 紙本著色西行法師行状絵詞 巻第三断簡 5幅 俵屋宗達筆 烏丸光廣詞書 江戸時代・寛永7年(1630)五幅。「1630年、烏丸光廣は禁裏から西行法師行状絵詞4巻を借り、宗達法橋に写させ、詞書を記した。巻4の奥書にその経緯が光廣によって記されている。本断簡は、巻第三の一部であったもの。宗達作品の中で唯一制作年の判明する作品。」とのこと。五幅とあるが、3つの場面が展示されていた。(2場面は、絵と詞書が別に装丁されている。)

  • 本墨画淡彩山水図 1巻 藝愛筆 室町時代・16世紀 ;「藝愛」印の捺された作品によってその存在が知られる画家。16世紀前半の頃の活動が想定されている。本館には南宋の夏珪画に基づくと見られる図様も多く、わが国における夏珪画の影響を考える上で重要

  • 重美 紙本墨画江山蕭寺図 1巻 王時敏筆 明時代・崇禎8年(1635); 王時敏は、幼少のころより董其昌(1555-1636)に書画を学んだ。本図は44歳の作であり、この時期に最も意を用いて学習した元時代の黄公望、倪?の作風にならい流麗自然に起伏する山水を巧みにあらわしている。

  • 重文 紙本著色名所風俗図 六曲屏風 1双 安土桃山時代・16世紀;琵琶湖畔を近景に、後方には右隻には日吉山王社、左隻には三井寺とみられる寺院を配する。狩野派正系の画家の作と見られる。

  • 色絵樹下人物文八角大壺 1口 伊万里・柿右衛門様式 江戸時代・17世紀 ;高さ53cm、胴径38cm、八角大壺としては国内最大級

    あとは、鎧兜、太刀、歴史資料(重文 扶桑略記 巻第二残巻 真福寺本、重文 文選集注 巻第六十三、第九十三、奈良時代の文書(重文 写経料紙充帳 1巻 奈良時代・天平宝字4年(760、 重文 墾田立券文 延暦二十一年正月十日 1通 平安時代・延暦21年(802)、 重文 家地立券文 嘉祥二年十一月廿日 1通 平安時代・嘉祥2年(849)、重文 校生勘紙帳 1巻 奈良時代・天平11年(739)、重文 銭納帳 1巻 奈良時代・神護景雲4年(770)) 扶桑略記は平安時代後期の皇円による私撰の史書。 文選集注は梁の昭明太子が撰した詩文集である「文選」の注釈書。他の注釈書にない注をひく孤本。金沢文庫伝来。 それにしても奈良時代の文書を見ていると、忘備録のようなものあり、面白いですね。



    「重文 夏秋草図屏風 酒井抱一筆」 公開
    本館7室 2006年8月8日~2006年9月18日

    もともと尾形光琳(こうりん)の「風神雷神図屏風」(重要文化財・東京国立博物館蔵)の裏側に描かれていたそうだ。

    「10数年前に「夏秋草図屏風」の下絵(東京・出光美術館蔵)が発見され、その袋の一部と思われる紙に書きつけられた抱一の墨書から、この屏風が第11代将軍徳川家斉(いえなり)の実父にあたる一橋治済(はるなり)の注文によって文政4年(1821)頃に完成したこと、屏風表裏の取り合せが抱一の制作当初からのものであったことが明らかとなりました。表の金地に対して裏を銀地とし、雷神の裏に夕立に打たれて頭をたれる夏草を、風神の裏に野分の風に吹きあおられる秋草を対応させたことなどは、すべて抱一自身の構想であったことが確認されたわけです。屏風の表裏の絵は、あたかも連歌・連句における付合のようにみごとな呼応をみせています。そして確かに、裏として使われたとき、つまり折り目を手前にして立てたときに、各隻(せき)両端の空間が一段と奥へとひろがって見えるようです。今回もそのような折り方で展示いたしますので、ぜひ会場で抱一の意図した空間構成を確かめていただきたいと思います。」とのこと。
    「折り目を手前にして立てた」というところまで意識せずに鑑賞したので、期間内にもう一度確かめたいと思います。銀地はどうしても状態が悪くなり易いので残念です。P.S.25日に、折り目を確かめました。なるほど。

  • 周茂叔林和靖図屏風 6曲1双 狩野探幽筆;
    周茂叔は、隠棲の地として知られた慮山に棲み蓮を愛でて暮らし、林和靖は宋の時代に西湖の孤山に隠棲し梅を300本植え鶴を二羽放して悠々自適の生活を送っていたという隠遁生活を理想とする文人の憧れを描く。という。行年六十歳探幽法眼とある。1661年の作品(?)。

  • 国宝 納涼図屏風 2曲1隻 久隅守景筆 江戸時代・17世紀 ;(8/8-8/20)
    久隅守景は、探幽門下四天王の一人。というよりは、やはりこの納涼図屏風の方が有名です。いつ見ても汚い屏風ぐらいにししか見ていませんでした。先般の日曜美術館では、破門を余儀なくされた久隅守景の思いを描いたという話。久々の拝見ですが、そうおもってみるとなかなか。雰囲気がなんともいえない悲哀に満ちています。

  • 鷹狩図屏風 8曲1双 久隅守景筆 江戸時代・17世紀 個人蔵;(8/22-9/18)
    こちらは、逆に探幽門下で作品。鷹狩のようすがよくわかり面白い。鷹匠のほかに農民が走り回ったり、鷹が鶴を捕らえたりしています。鷹匠が這って鷹に近寄ったりする描写や、さらに鶴、鷹の描写などは見事。鷹匠などの人物は、納涼図屏風の顔つきと似ています。

  • 虎図 1幅 円山応挙筆 江戸時代・18世紀;署名は平安仙嶺。応挙は仙嶺、一嘯などと号し、1766年に名を応挙としたとのこと。
  • 重文 兎道朝暾図 1幅 青木木米筆 江戸時代・文政7年(1824);木米にばかり出会っています。別稿をおこします。
  • 浪に鵜図 1幅 熊斐筆 江戸時代・18世紀 ; 装飾的な波。鵜が魚を飲み込みます。
  • 富士山図 1幅 宋紫石筆; 南宋画風な愛宕山の向こうに普通の富士山が重なっています。御殿場あたりから見た風景で、いまでも同じ風景ですが、スタイルをいれると絵はこう変るというのが面白いです。

  • 鶏図扇面 1本 伊藤若冲筆 江戸時代・18世紀
  • 仕丁図扇面 1本 尾形光琳筆 江戸時代・18世紀;7人の貴族が舞を舞う様。仕丁とは何でしょうか?雛飾りで仕丁というのがあるようで、十五人の揃いの雛飾りでは、内裏雛(2人)、官女(3人)、五人囃子(5人)、随身(2人)、仕丁(3人)からなるようで、仕丁とは、別名を衛士ともいう。3人一組のもの。十五人揃いに属し、白衣を着たもの。向って右から立傘・沓台、台笠持ちの順に飾る。笑い、泣き、怒りの表情から、三人上戸の別称もある。とのこと。http://www.ningyo-kyokai.or.jp/jiten/

  • 重文 船窓小戯帖 1帖 田能村竹田筆 江戸時代・天保元年(1830) 個人蔵
  • 鯉魚図襖 2面 円山応瑞筆 江戸時代・18世紀; 鯉魚を応挙の弟子らしく描きます。

  • 扇面 1幅 烏丸光広筆 江戸時代・17世紀
  • 題九成宮詩 1幅 池大雅筆 江戸時代・18世紀;楷書。
    市河米庵(1779-1858)の書が展示されていた。
    市河米庵はこんな顔の人物。(市川米庵像および画稿 渡辺崋山筆、画像は京都国立博物館へのSRCリンク。説明はこちら)。京都国立博物館でを11日拝見し、厳しそうな人と拝察したところ。

    市河米庵は、先日の「唐様の書」ではじめて知った。祖父市河蘭台は、細井広沢(1658-1735)門下、父市河寛斎は昌平こう学頭。米ふつの書に私淑。5千人もの門弟をもったという。素晴らしい手本が出展されていた。「唐様の書」には、こちらが展示されていた。手本の類だが、美しい字体。
  • 楷書千字文 1帖 市河米庵筆 江戸時代・19世紀 市河三次氏寄贈 米庵折手本のうち
  • 中興頌 1帖 市河米庵筆 江戸時代・19世紀 市河三次氏寄贈 米庵折手本のうち
  • 米庵先生漫抄 2冊 市河米庵筆 江戸時代・19世紀 市河三次氏寄贈
    今回展示されていたのは、
  • 扇面 1幅 市河米庵筆;
    小品だが、扇面にきちんと細かい文字で書いてあり見事。



    浮世絵 第10室(2006/8/15~ 2006/9/10)
    常設展示は、いつも最後までみるには体力がつづかず、ついつい浮世絵のところは飛ばしてしまう。今回は、珍しく浮世絵までゆっくりと見る時間があった。また、作品がよかったのか、体力があったのか、いくつか優品に目がいった。

    春信は、前回の東博ではおきゃんな娘といった画題だったが、今回は違います。
  • 重美 見立菊慈童 1枚 鈴木春信筆 江戸時代・18世紀 横中判 錦絵
  • 六玉川・萩の玉川 1枚 鈴木春信筆 江戸時代・18世紀 中判 錦絵
    見立菊慈童は、解説では、「「見立て」とは、古典などの設定を当世風俗に移し変え、絵解きを楽しむもの。この図は可憐な少女を菊慈童に見立てたもの。菊慈童は中国の仙人で菊の霊薬によって童形のまま長寿を保ったとされます。」とのこと。画面を横切る川には菊の花。手前に川辺に少女が坐る。手前は黄色、向こう岸はピンクに塗り分けられた画面は極彩色。
    六玉川・萩の玉川は、春信らしい娘二人が、萩咲く玉川にいる図。

  • 美人挿花 1枚 北尾重政筆 江戸時代・18世紀 中判 錦絵;北尾重政は独学で錦絵を学ぶ。北尾政演(山東京伝)、窪俊満らを輩出。画面は、部屋の中に、生け花と挿し花をする娘が二人、挿し花をする立ち姿の娘の動きの表現が見事。髪の表現、着物の表現は細やか。窓の外にはおっとりとした笹の花が対比的。
  • 重美 当世美人色競・山下花 1枚 北尾政演筆 江戸時代・18世紀 大判 錦絵;1782ごろに山東京伝と名乗る。煙草屋も経営。着物の表現はともかく、どうして重美か?
  • 山東京伝の見世 1枚 歌川豊国筆 江戸時代・18世紀 横大判 錦絵;遊女花扇、三代目瀬川菊之丞、沢村字十郎、市川海老蔵など人気者が訪れる図。面白い。

  • 風俗東之錦・萩の庭 2枚 鳥居清長筆 江戸時代・18世紀 大判 錦絵 2枚続;見栄をきったような三美人(萩の庭)武士とお付と女性(風俗東之錦)。 清長らしい女性表現。

  • 六玉川・萩の玉川 1枚 窪俊満筆 江戸時代・18世紀 大判 錦絵;趣向のこんだ摺り絵、三人の女性を描くが草花の様子が趣向に富んでいる。

    歌麿の優品があった。
  • 重文 婦人相學十躰・浮気の相  1枚 喜多川歌麿筆 江戸時代・18世紀 大判 錦絵
    《婦人相学十躰》は,美人大首絵の中に気質の類型まで描き分けようとした歌麿(1753?-1806)の代表作ともいえる揃物。湯帰りの女が振り返った一瞬を描いた本図では,その嬌慢な表情の中に,多情で浮かれがちな女の性格が見事に写し出されている。これぞ歌麿といったイメージの錦絵を久々に鑑賞した。あと2点と出来の差があまりにある。
  • 婦人相學十躰・面白キ相 1枚 喜多川歌麿筆 江戸時代・18世紀 大判 錦絵
  • 桃の皮むき 1枚 喜多川歌麿筆 江戸時代・18世紀 大判 錦絵


  • 柱時計美人図 西川祐信筆 江戸時代・18世紀; 西川祐信(1671-1750)は京都の浮世絵師。絵本と肉筆美人画に活躍し,江戸の浮世絵にも大きな影響を与えた。柱時計の分銅の紐を結ぶ美人の姿を描いた本図では,たおやかな女の容姿と繊細かつ華麗な衣裳模様に,祐信美人画の特色がよく表れている.男性を待つが時がきてしまた女性の心理を描くとのこと。柱時計が描かれているのがなかなかモダン。


    画像は特記ない限り、東京国立博物館へのSRCリンクです。
    18日+(25日)
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    花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に>第5期

    2006-08-24 | 美術
    花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に>
    第5期 2006年8月12日~9月10日
    2006年年3月25日~9月10日 
    三の丸尚蔵館

    第4期までの記録
  • 第1期
  • 第2期
  • 第3期(その1),(渡来の中国絵画)
  • 第4期

    動植綵絵 伊藤若冲
    9  老松孔雀図
    10 芙蓉双鶏図
    21 薔薇小禽図
    27 群魚図<蛸>
    28 群魚図<鯛>    
    30 紅葉小禽図

    さて、半年に亘り開催されてきた動植綵絵の展示も終わってしまいます。

    伊藤若冲(1716-1800)の年譜を作成してみました。
    宝暦5年(1755) 「旭日鳳凰図」画業に専念の年
    宝暦7年(1757) 「動植綵絵」を描き始める。
    宝暦9年(1759)頃 鹿苑寺大書院の障壁画50面を手がける。
    明和2年(1765) 「釈迦三尊図」3幅対と「動植綵絵」24幅を相国寺に寄進
    明和3年(1766) 「動植綵絵」30幅が揃う
    明和4年(1767) 『乗興舟』(じょうきょうしゅう)伏見から大阪までの淀川の風景
    天明八年(1788) 天明の大火、若冲邸、相国寺焼失、これ以降、高価な画絹、良質の絵具を用いることが少なくなる。
    寛政2年(1790) 京都伏見の海宝寺(黄檗宗)群鶏図(水墨画、京博所蔵)(図面)
    寛政2年(1790) 大阪の西福寺 仙人掌群鶏図(総金地著色画)(毎年11月3日に虫干しで公開だそうだ)

    やはり若冲にとっては、この一連の相国寺寄進の作品が、一番気合の入った作品なのでしょう。祖父がお寺に随分寄進していたのを思い出すと、相国寺と若中との関係もわかるような気もします。

    プライスコレクションは、やはり動植綵絵の下絵ならびに別の面の若冲という気がします。

    今回の6点は、薔薇小禽図、紅葉小禽図が私のお気に入り。 老松孔雀図、芙蓉双鶏図の鳥の絵も、この半年でだんだん慣れてきました。まだ、群魚図にはピンと来ていません。

    こちらに若冲の号、こちらには「動植綵絵」の款

    今回の一つの目玉は、この展覧会2度目の応挙の登場です。
  • 牡丹孔雀図 円山応挙 1幅 安永5年(1776)
    2匹の孔雀を描いているのですが、凄いですね。

    プライスコレクション等で色々な江戸の画家の作品を鑑賞したので。すこし江戸の画家の絵も楽しく見れるようになってきました。
    12 正五九花卉図 柳沢淇園 3幅対
    13 花卉図 1幅
    16 孔雀図 森徹山 対幅
    17 秋草図衝立 呉春 1基
    18 玉堂富貴図 清水曲河 1幅 文政元年(1818)
    20 芙蓉野薔薇に白鷺図 岡本秋輝 対幅

     森徹山の孔雀図は、羽を閉じて降ろした孔雀と、羽を閉じて揚げた対幅。彼にはこれしかかけなかったのか(この姿勢の孔雀はよくいて簡単に写生できそうです。)それとも彼なりの主張があったのか、本人の弁をききたいものです。反骨ですね。

     玉堂富貴図は、画題としては、「ホテルオークラ 第12回 秘蔵の名品 アートコレクション展」で勉強したので、玉蘭(木蓮)と海棠と牡丹と錦鶏と了解。

     秋草図衝立 呉春は、しっとりとした穏やかな秋の草花です。

    28 餐香宿艶図巻 沈南蘋 1巻 中国・清時代(18世紀)
    沈南蘋 は前回展示箇所のほうが図柄は楽しかったか。

    (16日)
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    動植綵絵の款

    2006-08-23 | 美術
    三の丸尚蔵館での「動植綵絵」の展示は、もうすぐ終わってしまう。1点ずつじっくり楽しめたのだが、構図的には対で展示すべきものもばらばらだった気もする。そんなことを思って、款がすこしは関係するかと思い、気にしてみていたら、実は、図録に掲載されていたので転記しておく。なお、若冲の号については、すでに書いた。(こちらに

    伊藤若冲「動植綵絵」で使われている款記(図録には印についても一覧がある。)
    1  芍薬群蝶図  平安城若冲居士藤汝鈞畫於錦街陋室
    2  梅花小禽図   宝暦戌寅春居士若冲製       宝暦8年(1758)
    3  雪中鴛鴦図  宝暦己卯仲春若冲居士製      宝暦9年(1759)
    4  秋塘群雀図   宝暦己卯仲秋居士若冲製      宝暦9年(1759)
    5  向日葵雄鶏図 宝暦己卯仲秋若冲製        宝暦9年(1759)
    6  紫陽花双鶏図 宝暦己卯平安錦街居士若冲造    宝暦9年(1759)
    7  大鶏雌雄図  宝暦己卯平安錦街居士若冲造    宝暦9年(1759)
    8  梅花皓月図  居士若冲製
    9  老松孔雀図  居士若冲製
    10 芙蓉双鶏図  心遠館若冲居士造
    11 老松白鶏図  若冲居士作
    12 老松鸚鵡図  心遠館主人居士写

    13 芦鵞図    宝暦辛巳春居士若冲造      宝暦11年(1761)
    14 南天雄鶏図
    15 梅花群鶴図
    16 棕櫚雄鶏図
    17 蓮池遊魚図  斗米葊主若冲
    18 桃花小禽図  若冲居士
    19 雪中錦鶏図  錦街若冲製
    20 群鶏図
    21 薔薇小禽図  心遠館居士畫
    22 牡丹小禽図  若冲
    23 池辺群虫図  斗米菴若冲
    24 貝甲図

    25 老松白鳳図
    26 芦雁図
    27 群魚図<蛸>
    28 群魚図<鯛>
    29 菊花流水図
    30 紅葉小禽図

    制作の順については、辻惟雄氏の研究に基づく。
    1 -12 1757-1760頃か
    13-24 1761-1765頃か
    25-30 1765-1766頃か

    1765年:「釈迦三尊像」と「動植綵絵」24幅を相国寺に寄進。
    1769年:相国寺せん法講にて「釈迦三尊像」と30幅が方丈を飾る。
    明治22年:皇室に献上。



    さて、相国寺では、来年どういう順番で並べて飾るのでしょうか?「斗米庵」の款の、 蓮池遊魚図、池辺群虫図などは双幅ではないかなどと、款を見ているといろいろ考えてしまいます。いろいろすでに辻先生が考えられているのでしょうが。1点では、好きにはなれなかった鶏図も並べてみると、構図がしっくりいくかも知れないと思い楽しみです。


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    エコール・ド・パリ展 松岡美術館

    2006-08-22 | 美術
    エコール・ド・パリ展
    松岡美術館
    2006年4月29日から9月3日

    ぐるっとぱすの有効期限の8月15日、慌てて、松岡美術館を訪れました。

    他にも作品は展示されているのですが、キスリング7点が印象的でした。
    《グレーシー城の庭園》(1949)
    《シルヴィー嬢》(1927頃)
    《裸婦》(1925頃)
    《褐色の髪の少女》(1933頃)
    《プロヴァンスの少女》(1918頃)
    《女性像》(1926)
    《花瓶》(1918)

    《グレーシー城の庭園》は変哲もない緑の庭園。でも、明るい庭園の様子は、光溢れていて心を明るくしてくれる。もしかすると、ホテルオークラで生々しい花瓶を見る前にこの作品を見ていると切り捨てていたかもしれませんが、そこから連想すると、心明るい気分になります。それにしても、今年は、ベオグラード美術館展で女性像を2点、ホテルオークラでの第12回秘蔵の名品アートコレクション展 花鳥風月での花瓶にいけた花4点を加えると、それなりの数のキスリングを見ることができました。

    シャガールの油彩2点。
    藤田嗣治 《二人の子供と生誕》(1918)、《生誕》(1918)
    ピカソ《ドラ・マールの肖像》(1941)

    などなど。
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    パウル・クレー 創造の物語

    2006-08-21 | 美術
    パウル・クレー
    創造の物語
    2006年6月24日から8月20日
    川村記念美術館

    色彩と描線の詩人、クレーの本格回顧展
     果敢な造形上の探求と詩情あふれるイメージが交錯する、パウル・クレー(1879-1940)の絵画。リズミカルに色分けされたパッチワークのような画面に、お伽の国を思わせる街や奇妙な姿の生き物、あるいは文字や記号めいた形を配列する神秘的な作風で、ピカソやマティス、ミロなどと並んで20世紀のモダン・アートを象徴する巨匠の一人となりました。

    誰にでも親しみやすいクレーの絵画ですが、そこには画家の心を占めていた多様な要素が複雑に織り込まれています。皮肉な人生観、音楽と文学に対する造詣、自然現象や人智学への興味、古い時代へのあこがれ、画材に対する職人のように誠実な取り組み、そして何よりも、新しい造形言語の創造への熱意――こうしたクレーの幅広い関心が交差する「場所」として、奇跡のように生み出された作品群は、時を越えて見る者を魅了し続けているのです。

    本展では、それぞれ世界屈指のクレー・コレクションを誇る、ノルトライン=ヴェストファーレン美術館、シュプレンゲル美術館、フォン・デア・ハイト美術館というドイツの三美術館が所蔵する作品を中心に、国内外から精選された油彩、水彩、素描、版画など約150点を展観します。初期の風刺的な線描画から、ナチスに迫害され病魔と戦いながら制作に励んだ晩年まで、「光の絵」「自然と抽象」「エネルギーの造形」「イメージの遊び場」「物語る風景」という5つの側面から、クレー芸術に潜む奥深い多様性に迫ります。


    「世界屈指のクレー・コレクションを誇る、ノルトライン=ヴェストファーレン美術館、シュプレンゲル美術館、フォン・デア・ハイト美術館というドイツの三美術館が所蔵する作品を中心に、国内外から精選された油彩、水彩、素描、版画など約150点を展観」という。今年2月に開催されたクレー展は、美術館。さらに昨年9月には、ミュンヘンのレーンバッハハウス美術館訪問(Paul Kleeについて別稿をおこすといって何もかいていなかった。)とこの一年でかなりの数のクレーの作品を鑑賞している。昔から数えれば、もっと多くの作品を見ているはず。

    「光と絵」「自然と抽象」「エネルギーの造形」「イメージの遊び場」「物語る風景」という5つの側面から今回の展覧会は構成されている。決して、何年から何年まではある作風と分かれているわけではないが、彼のテーマは年代とともに「光と絵」「自然と抽象」「エネルギーの造形」「イメージの遊び場」に移ってきていることが判る。1933年のスイスへの亡命、病気により、また画風は変る。

    どの作品も装飾のようであり、どの作品がよかったとコメントするのは難しい。あえていくつかの印象に残った作品を。

    まずはごく初期の亜鉛エッチングの作品。24歳の頃から1年8ヶ月かけて10点を制作したという。そのうちの何点かが展示されていた。《互いに自分のほうが高位だと思っている二人の男が出会う》(1903)(シュプレンゲル美術館)この内省的な思考が晩年まで続く。ピカソのように爆発することもなく、セザンヌのようにひたすら技術を追求したわけではない。彼の物語を絵にしたいという思いが伝わってくる。

    第1章「光と絵」のテーマへ。《ある庭園の思い出》(1914)(紙、水彩・鉛筆、厚紙に貼付)(ノルトライン=ヴェストファーレン美術館)彼が北アフリカ、チュニジアを旅する直前に描かれたと推定される。色彩画家としても飛躍的に腕を上げていった時期の作品。この頃から画面を色彩で分割するようになるが、あくまでも対象があってそれをイメージして画面を色彩分割をしていっている。《はじめに光ありき》(1918)(紙、水彩・ペン、厚紙に貼付)(フォン・デア・ハイト美術館芸術協会)では、光そのものがテーマになっている。

    第2章「自然と抽象」。《ある庭園の思い出》ですら、庭園の抽象化だが、《破壊の町》(1920)(厚紙にアスファルト下地、油彩)(長島美術館)は第一次世界大戦の抽象化だろうし、《測量された区画》(1929)( 紙、水彩・鉛筆、厚紙に貼付)(ノルトライン=ヴェストファーレン美術館)は、1928年末から翌年にかけたエジプト訪問が題材。

    第3章「エネルギーの造形」。すこし画面にダイナミズムのある一連の絵がこのテーマで展示されている。《野いちご》(1921)(紙、水彩・鉛筆、切断し再接合、グワッシュ・ペンで縁取り、厚紙に貼付)(ミュンヘン市立レンバッハハウス美術館)とか、他の作家の作品に比べればほんの小さなエネルギーです。カンディンスキーが音楽を題材にしたのに比べると、あくまでも視覚に基づく絵画です。

    第4章「イメージの遊び場」。アフリカ文化の影響のみてとれる《黒い殿様》(1927)(麻布に油性下地、油彩・テンペラ、オリジナル額)(ノルトライン=ヴェストファーレン美術館)。ピカソと比べると、なんと洗練された自文化への融合でしょうか。逆説的にいうとあくまでも自分の文化を守っている作品でしょうか。

    第5章「物語る風景」。《赤いチョッキ》(1938)( 黄麻、糊絵具、合板に貼付)(ノルトライン=ヴェストファーレン美術館)赤いチョッキの人物はいません。ピンクです。何を意味しているのでしょうか?「赤いチョッキ」の人物は隠れている。そして今回の展覧会の最晩年の作品は、《隣の家へ》(1940)( 紙、糊絵具、厚紙に貼付)(シュプレンゲル美術館)。隣の家に行こうとするが壁がたくさんあってなかなか辿りつかないと思えます。なんて寂しい絵でしょうか。

    (15日)

    P.S.

    20日にSFMOMA(San Francisco MOMA)で2点の晩年の作品をみた。(他にもエッチングの作品が数点展示されていた。)
    Blue Core(1940), At the beginning of the Party(1940)。前者は、画面の中央に青いコアがある抽象画。後者は、これからパーティが始まるというが、何をしているかよくわからない人物が描かれていた。

    P.P.S
    今回の図録、「クレー ART BOX 線と色彩」(ベルン・クレー・センター開館記念」、レーンバッハハウス美術館の図録は購入してあるのでよく眺めたいとは思います。
    コメント (1)
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