徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

12月の記録

2006-12-31 | 美術(Index)
12月の記録

展覧会(日付は鑑賞日)

  • 1日 市政90周年記念 現代日本画名作展-文化勲章受賞作家を中心に- 八王子市夢美術館(終了)
  • 2日 浦上玉堂展(後期)千葉市美術館(後期)(終了)
  • 3日 明治神宮外苑創建80年記念特別展
    「小堀鞆音と近代日本画の系譜 -勤皇の画家と『歴史画』の継承者たち-」明治神宮文化館宝物展示室
    (終了)
  • 10日 館蔵 茶道具取り合わせ展 五島美術館(12/9-2/12)
  • 16日 揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに 東京国立近代美術館(終了)
  • 16日 所蔵作品展 近代日本の美術  東京国立近代美術館(終了)
  • 17日 花鳥画への誘い 後期 松岡美術館(終了)
  • 17日 特別展 今輝く、中国古典美術の遺宝 敦煌経と中国仏教美術 三井記念美術館(終了)
  • 17日 開館40周年記念 出光美術館名品展II(後期)(終了)
  • 22日 スーパーエッシャー展 ある特異な版画家の軌跡 Bunkamuraザ・ミュージアム(終了)
  • 24日 中国絵画 明清画精選 東京国立博物館(後期)
  • 28日 漆芸界の巨匠 人間国宝 松田権六の世界 東京国立近代美術館(2/25まで 展示替あり)
  • 28日 川崎小虎と東山魁夷展 三越百貨店 日本橋本店(1/14まで)
  • 28日 石山寺と紫式部展-時を越えて輝き続ける源氏物語の世界へ 松坂屋銀座店(1/8まで)


    映画
  • 007 Casino Royale (2006) (12/23 サロンパス ルーブル丸の内)
    Directed by Martin Campbell
    Starring
    Daniel Craig .... James Bond
    Eva Green .... Vesper Lynd

    GOO, imdb.com
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    石山寺と紫式部展 松坂屋銀座店

    2006-12-30 | 美術(Index)
    石山寺と紫式部展-時を越えて輝き続ける源氏物語の世界へ
    2006年12月28日から2007年1月8日
    松坂屋銀座店

    実は、滋賀県は通過してばかりで殆ど足を踏み入れたことがない。近江八景の一つ「石山秋月」は、画題では見るが、どこだかさっぱりわかっていない。源頼朝の寄進の国宝の多宝塔も切手で描かれていたのは知ってはいるが、まだ見たこともない。

    その石山寺が紫式部のゆかりの地だというのは今回浅学にしてはじめて知った。1004年(寛弘元年)に紫式部は仕えていた一条天皇の皇后、中宮彰子(988-1074)から新しい物語を作るよう命じられ、案を練るため石山寺にこもり、8月「十五夜」の月が琵琶湖に映え、それを眺めていた紫式部の脳裏に物語の構想が浮かんだとされ、「源氏物語」の「須磨の巻」が書き出されたといわれているそうだ。

    そのような言い伝えをもとに1500年に近衛政家が「石山や鳰(にお)の海てる月かげは明石も須磨もほかならぬ哉(かな)」 と詠み、近江八景の一つに「石山秋月」を選定したということになるのだろう。

    展覧会では「紫式部石山寺観月図」が数点。土佐光起から上村松園等まで。「紫式部図」(土佐光起)。さらに源氏物語図屏風などが並ぶ。時代不同歌合絵巻断簡(紫式部と凡河内躬恒)もあった。

    「石山寺縁起絵巻」は、大絵巻展で巻一の宇多院臨行の部分を拝見していたが、今回は、土佐光信筆で描いた七巻の内巻四の紫式部や谷文晁が描いたという巻が展示されていた。大絵巻展の図録によれば、巻一から三は鎌倉後期、巻五はそれより少し遅れ、巻四は明応六年(1479)に補われ、さらに巻六、七は1805年に谷文晁の筆で補われている。けれども上三巻の詞書と同筆の石山寺絵詞が三十三段として書写されていることから、これが当初の構成で有ったと見られる。とのこと。

    この展覧会は石山寺では、春秋に毎年行われているようだ。次回は源氏物語を覚えてから拝見したい。
    (28日)
    コメント (1)
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    川崎小虎と東山魁夷展 日本橋三越本店

    2006-12-29 | 美術
    川崎小虎と東山魁夷展
    2006年12月27日から2007年1月14日
    日本橋三越本店 新館7階ギャラリー

    小堀鞆音の弟子にあたる川崎小虎(正しくは川小虎 かわさきしょうこ)(1886-1977)の展覧会を拝見してきた。先ほど開催された「小堀鞆音と近代日本画の系譜」(記録はこちら)では、祖父川崎千虎(正しくは川千虎 かわさきちとら)(1835-1902)の「佐々木高綱被甲図画稿」や川崎小虎の「芍薬」「北野天神縁起絵巻夷 菅公之図模写」などを拝見。川崎小虎は、土佐派の系譜に土佐光文-川崎千虎-小堀鞆音-川崎小虎と連なり、兄弟弟子に安田靫彦がいる。

    展覧会は、「教会堂の夜」(1912-16)「うどんげの花を植える女」(1912-16)「浜に立つ女」(1912-16)など大正浪漫的な作風の一見洋画チックな作品から始まる。
    そのあとに優美な淡い色調の大和絵の屏風が並ぶ。十二単風の平安女性を描いているのだが、あくまで淡彩の単色の着物で描いている。「伝説中将姫」(六曲一隻、1920、山種美術館)、「囲碁」(六曲一隻、1921、山梨県立美術館寄託)、「春の訪れ」(六曲一双、1924、山種美術館)、「萌出づる春」(六曲一双、1925、東京国立近代美術館)。そして、東山魁夷が感動をうけたという「西天求法」(六曲一隻、紙本墨彩、1926、東京国立近代美術館)。駱駝を引いて西へ向かう三蔵法師だろうか。「狐火」(四曲一隻、紙本彩色、1926、東京都現代美術館)。この作品では宙を舞う女性の表情があやしく印象的。武田上杉の争いを扱った浄瑠璃と歌舞伎の脚本「本朝廿四孝」の大詰め、長尾館奥庭狐火の場。女性は上杉謙信の娘八重垣姫を描いているそうだ。

    このあとは、がらっと違った紙本彩色の洋画風の小品がならぶ。「麻布に桃」(1935)、「麦秋(落合村)」(1948)、仔犬を描いた「春庭」(1975)などに目がいった。

    大正浪漫から屏風絵、そして洋画風の小品と鑑賞すると「揺らぐ近代」で展示されるべき作家であったと感じる。

    東山魁夷は、長野県信濃美術館・東山魁夷館や先般拝見した北澤美術館や、山種美術館などからの作品が展示されている。東山魁夷の岳父が川崎小虎ということで展示されている。

    なお、本展覧会は、図録を購入すると展示作品一覧がいただける。(ただし、請求しないともらえないので忘れずに)

    一覧表によれば、本展覧会は、山梨県立美術館で4月21日から5月27日、岐阜県立美術館で7月20日から8月26日と巡回。今回は展示されなかった作品もかなり展示される。

    (12月28日)

    P.S.
    日本橋三越本店では、フンデルトヴァッサー展が2/27-3/11に開催予定のようだ。

    川崎小虎(1886-1977)は大和絵の伝統に近代の感性を加え、新たな日本画の可能性を開拓しました。伝統的な大和絵からその画業をはじめた小虎は洋画主題を取り入れた革新的な作品を発表します。その後、平安朝を主題にロマンティックで幻想的な大作で評価を受ける一方、平凡な生活の中の喜びを謳う主題や、小さな動物への愛情溢れる作品など、90年の生涯をとおして誠実で純真な態度で絵画に向き合い、清らかな画境を確立しました。
     大正15年、小虎が帝展に出品した「西天求法」に大きな感動を受けたのが、同年に東京美術学校(現・東京藝術大学)に入学した東山魁夷(1908-1999)でした。縁により岳父となった小虎に対して、魁夷は作品だけではなく、芸術家として深い尊敬と敬愛の念をいだき続けました。非凡な造形力により静謐で平明な風景画を確立した東山魁夷もまた、生涯をかけて謙虚に自然と向き合い、画家として一筋の道を歩みました。このふたりの芸術家に共通する、知的な透明感溢れる画風は、互いの芸術への共鳴に裏打ちされているように感じられます。本展では、川小虎、東山魁夷という二人の画家が日本画壇に残した、清冽な軌跡を辿ります。
    コメント (1)
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    漆芸界の巨匠 人間国宝 松田権六の世界

    2006-12-28 | 美術
    漆芸界の巨匠 人間国宝 松田権六の世界
    Matsuda Gonroku:Master of Lacquer Art and Living National Treasure
    2006年12月19日から2007年2月25日
    東京国立近代美術館 工芸館

    松田権六(1896-1986)の回顧展。日本芸術院会員(1947)、重要無形文化財「蒔絵」保持者認定(1955)、文化勲章受賞(1976)という輝かしい経歴の松田権六の世界に一挙に触れるのは今回が初めて。

    金沢に生まれた松田は、加賀蒔絵の伝統を踏まえつつ、正木直彦東京美術学校長や大茶人益田孝(鈍翁)との知遇、室町や桃山時代などの古典研究、朝鮮・楽浪漢墓出土の漆器や中尊寺金色堂をはじめとする数々の保存修復をとおして、漆芸の意匠や様式、広範な技法を鋭い洞察と鑑識とで解明し、自らの創作に応用、発展させました。その創作は、まさに近代漆芸の金字塔といっても過言ではないでしょう。とのこと。

    鶴を描いた《蓬萊之棚》(1944)(石川県立美術館蔵)、《赤とんぼ蒔絵箱》(1969、京都国立近代美術館蔵)、《蒔絵竹林文箱》(1965、東京国立近代美術館蔵) 《鷺蒔絵棚》(1938、広島県立美術館蔵)、《蒔絵螺鈿有職文飾箱》(1960 東京国立近代美術館蔵)など完成された作品は素晴らしい。

    でも思わず立ち止まってしまうのは、動物や鳥を可愛らしく描いた作品。出世作の《草花鳥獣文小手箱》(1919、東京藝術大学)《動物蒔絵膳(熊)》(1927)、《双雀文撥鏤蒔絵棗》(1962)と《蒔絵撥鏤双雀文雪吹》(1962)。

    また、《漆絵梅文椀》(1966 東京国立近代美術館)。所蔵した桃山時代の碗をもとに製作されたというが明るい朱色が鮮やか。木曽檜に下地も布張りも施さず、国産漆を三回吸わせた後に8回塗り重ねてあるそうだ。 いくつか碗が展示されていたが、こんな碗を一組手に入れたくなります。

    さらに、美の継承者たちとして、寺井直次、大場松魚、田口善国、前史雄、増村紀一郎、小森邦衛、中野孝一、室瀬和美の各氏の作品が展示されていた。

    なお、期間限定展示は、
    松田権六《鶴亀蒔絵棗》(出光美術館蔵) 2006年12月19日~2007年1月21日
    松田権六《牡丹文蒔絵盤》(金沢市立中村記念美術館蔵) 2006年12月19日~2007年1月8日
    《蒔絵秋草に垣図硯箱》(石川県立美術館蔵) 2006年12月19日~2007年1月8日・2月6日~2月25日
    《重要文化財 住吉蒔絵唐櫃》(東京国立博物館蔵) 2007年1月10日~1月21日
    《重要文化財 扇面散蒔絵手箱》(前田育徳会蔵) 2007年1月23日~2月4日
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    国宝 法隆寺伝来 細字法華経 @東博 法隆寺宝物館

    2006-12-24 | 
    国宝 法隆寺伝来 細字法華経

    この1点が見たいがために年末の24日に慌てて、東博の法隆寺宝物館の建物に向かった。「長安宮廷写経」の絶品である敦煌経「妙法蓮華経巻第二」(675)などを三井記念美術館(記録はこちら)で拝見して、唐代の写経の別のものが見たくなった。こちらは聖徳太子所持との伝来。細字で32文字を一行に書く様は見事だが、やはり、少し時代が下るためかそれほど謹厳ではない。また経筒も拝見できたが竹製の筒であった。竹製ものが千年以上も伝来していることを目の前にすると感慨深い。(木簡など例は多いのだが)

    国宝 細字法華経 唐時代・長寿3年(694) N-7
    国宝 経筒 唐時代・7~8世紀 N-7付属

    展示期間 2006/10/24~ 2006/12/24(終了)
    http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?pageId=B07&processId=00&event_id=2576&event_idx=1&dispdate=2006/10/24

    e国宝から(
    http://www.emuseum.jp/cgi/pkihon.cgi?SyoID=3&ID=w098&SubID=s000

    中国・魏晋南北時代の鳩摩羅什(くまらじゅう 344-413)が、406年に訳した法華経を、唐時代の694年に李元恵(りげんけい)が書写したものである。李元恵は長安の人であるが、伝記の詳細は不明。
     麻の繊維をすいた麻紙(まし)39枚を継ぎ、1紙56行に淡い墨の罫線を引き、1行32字詰に1部7巻を書写している。全長は20メートルに及ぶ。文字は、背をやや低くした細字で、書き出しは精細で謹直だが、巻がすすむにつれて速写となり、字体はくずれる。唐代の書写年代の判明すること、細字で法華経全巻を1部に写したものとして貴重である。
     撥(ばち)形の軸首に碧玉をはめ込み、香木を二つ割りして内側をくりぬいた経箱に納められていた。永く法隆寺に伝来し、聖徳太子所持と伝えられ、「御同朋経」(ごどうぼうきょう)という俗称がある。太子は中国の高僧慧思禅師(えしぜんじ)の生まれ変わりで、前世に中国の寺院の仲間(同朋)が用いていたこの経典を、使いを派遣して取り寄せた、という伝説に基いている。
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    スーパーエッシャー展

    2006-12-22 | 美術
    スーパーエッシャー展
    ある特異な版画家の軌跡
    2006年11月11日から2007年1月13日
    Bunkamuraザ・ミュージアム

    エッシャー(1898~1972)の回顧展に行ってきました。22日金曜日の夜八時前。それほどの混雑でもなく、それなりに落ち着いて鑑賞することができました。

    展覧会は、
    第一部 身近なものと自画像:若い頃の作品から始まります。自画像が数点。「椅子に座っている自画像」(1920)は下から見上げる構図。自信ありげな自画像。また、フンコロガシ、トンボ、蝶などの昆虫などを版画とは思えないリアルさで描いた作品が並びます。「24の寓意画」(1931)も24点が並ぶ。
    第二部 旅の風景:イタリアを訪れた1922年以降の風景作品。コルシカ島やアマルフィーの海岸の風景など。平坦な国オランダ人がイタリアの大理石で多い尽くされた空間に驚いたようすが見て取れます。「ヴァン・エイクやデューラー、ホルバインといった北方の巨匠たちを思い起こす。北方ルネサンスの伝統の系譜に位置づけられるべき作家」と解説がある。
    第三部 平面と立体の正則分割:「昼と夜」(1938)など正則分割の作品が並ぶ。
    第四部 特異な視点、だまし絵:「球面鏡のある静物」など特異な視点の絵のほかに、「バルコニー」(1945)のようなだまし絵がならぶ。

    また、音楽と数学とアートの関係を感じさせたのは、「図式化されたJ.S.バッハの平均律」(1936)。バッハの対位法の音楽にのせて、画面がエッシャーの作った規則に従ってコンピュータCGで表示されます。面白いです。

    さて、もしかするとエッシャーの版画を直に鑑賞するのは始めてかもしれません。エッシャーが紹介された「少年マガジン」(1968)を直接読んだことはありませんが、だまし絵としてエッシャーの作品は、雑誌などで紹介されていて誰でも知っています。でも深く考えることなく今日まで過ごしてしまった。それが今解き明かされた。その数学的な背景を知っていれば、自分ははまっていただろう。そんな気分です。

    そして出口で、図録ではなく、「美術手帖」11月号を購入してしまいました。梶川泰司氏監修の「アート&サイエンスの革新者M.C.エッシャー」という特集が掲載されていたためです。正則分割、遠近法、無限法、不可能性というキーワードでエッシャーの絵の構図をユークリッド幾何学的空間、非ユークリッド幾何学的空間、バチェフスキー幾何学、リーマン幾何学というような言葉を駆使して解説しています。

    でもその構図の上に、図柄と絵を重ねたところは、天才的であり、CGアートの古典といっていいわけである。ダリ展とエッシャー展は、年配の方よりも若い観覧者が圧倒的に多い気がしますが、現代の日常生活にある映画やテレビの元祖を感じられるという意味では当然なのかもしれません。

    さらに詳しく知るには、下記の本が、数学者ブルーノ・エルンストによるエッシャー作品解説の決定本のようです。
    エッシャーの宇宙

    朝日新聞社出版局

    このアイテムの詳細を見る






    一枚の紙の中に緻密に思い通りの世界を構築していく男。そこに無限を出現させ、不思議な秩序を操り、不可能を可能にしてみせてくれる男。オランダの版画家 M.C.エッシャー(1898年~1972年)が創り出したのは、かつてシュルレアリストが夢見た超現実世界とは別の、画面中で自立した「現実」であり、 閉じた小宇宙なのです。だから私たちはつい身を乗り出し、その調和や規則性に魅了され、遊び心に興奮させられます。
    美術界の異端児と呼ばれながらも多くの支持者をもつエッシャー。17世紀以来のだまし絵とも一線を画したその特異な主題は、前人未到の分野であっただけに、むしろ数学や心理学といった他の分野からの関心を集めてきました。しかし美の技法的革命が進行する今、彼をその先駆者として捉え直すこともできます。その技術的制約ゆえにあえて版画にこだわったこの職人気質は、腕にものを言わせ、丹念に、ときには強引に、全ての法則を自らが律する思いのままの王国を築き上げたのです。
    本展はオランダのハーグ市立美術館の約160点に様々な資料を加え、CGアートが美術界を席巻する21世紀における古典としての意味を考える、意欲的な、しかし相変わらず心躍らされる、画期的なエッシャー展なのです。
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    開館40周年記念 出光美術館名品展II(後期)

    2006-12-20 | 美術
    開館40周年記念 出光美術館名品展II
    ―競い合う個性―等伯・琳派・浮世絵・文人画と日本陶磁―
    後期:2006年12月8日から12月24日
    出光美術館

    全期展示のものを除くと、

    屏風絵
  • 扇面貼交屏風 狩野松栄・狩野秀頼他筆 六曲一隻 室町~桃山時代
  • 韃靼人狩猟図屏風 狩野光信筆 六曲一隻 桃山時代;韃靼人を描こうというのは、だれが言い出したのか?興味深いところです。
  • 源氏物語 賢木・澪標図屏風 狩野探幽筆 六曲一双 寛文9年(1669);新しいやまと絵を模索した探幽晩年、法印時代の入魂の力作とのこと。
  • 竹鶴図屏風 長谷川等伯筆 六曲一双 桃山時代
  • 江戸名所図屏風 筆者不詳 八曲一双 江戸時代;江戸はやはり水の町。いたるところに橋がかけられているのが印象的でした。現存最古の江戸名所図屏風で、寛永期の風俗で明暦の大火以前の江戸の様子をしることができる作品とのこと。

    琳派など
  • 龍虎図 伝 俵屋宗達筆 双幅 江戸時代 ;龍というよりは猫
  • 紅白梅図屏風 伝 尾形光琳筆 六曲一双 江戸時代
  • 梅・撫子・萩・雪図 尾形乾山筆 四幅対 寛保2年(1742)
  • 糸桜・萩図 酒井抱一筆 双幅 江戸時代
  • 四季花木図屏風 鈴木其一筆 六曲一双 江戸時代
  • 重文 西行物語絵巻 第四巻 画/俵屋宗達筆 詞書/烏丸光広筆 一巻 寛永7年(1630)  
  • 重文 仮名消息 陽光院(誠仁親王)筆 三巻 桃山時代
  • 花卉摺絵古今集和歌巻 書/本阿弥光悦筆 下絵/俵屋宗達筆 一巻 寛永5年(1628)
  • 鹿蒔絵硯箱 伝 尾形光琳   江戸時代中期
  • 色絵龍田川文透鉢 尾形乾山   江戸時代中期
    あまりピンとくるものはなかったが、やはり西行物語絵巻は美しい。

  • 「ふる池や」「ながき日も」 二句懐紙 松尾芭蕉筆 一幅 貞享3、4年(1686、87)句作  
  • 「宿かりて」 句文懐紙 松尾芭蕉筆 一幅 元禄4年(1691)句作

    仙がい
  • 堪忍柳画賛 仙がい 一幅 江戸時代後期 ;気にいらぬ風もあろふに柳哉  堪忍 
  • ○△□ 仙がい 一幅 江戸時代後期  
  • 一円相画賛 仙がい 一幅 江戸時代後期 ;これ食ふて茶のめ 
  • 老人六歌仙画賛 仙がい  一幅 江戸時代後期

    文人画
  • 重文 十二ヵ月離合山水図屏風 池大雅筆 六曲一双 明和6年(1769)頃;十二ヶ月を書き分けています。山の立体感の表現が面白い。池大雅について回顧展が待ち望まれます。
  • 寒林孤鹿図 与謝蕪村筆 一幅 安永8年(1779)  
  • >重文 雙峯挿雲図 浦上玉堂筆 一幅 江戸時代後期;視線の位置が千葉美術館で拝見したより下の方に展示されていたため、小さく見えました。  
  • >重文 籠煙惹滋図 浦上玉堂筆 一幅 江戸時代後期
  • 重文 梅花書屋図 田能村竹田筆 一幅 天保3年(1832); 繊細な筆遣いで梅花を描く。
  • 新緑帯雨図 青木木米筆 一幅 文政9年(1826)  
  • 重美 渓上探梅図 高橋草坪筆 一幅 天保2年(1831)
  • 重文 戸山山荘図稿 谷文晁筆 一冊 寛政10年(1798)
  • 口出蓬莱図 富岡鉄斎筆 一幅 明治26年(1893)

    浮世絵

  • 重文 四季日待図巻 英一蝶筆 一巻 江戸時代;俗に島一蝶とよばれる配流中の作品とのこと。
  • 重美 伊勢物語図 岩佐又兵衛筆 一幅 江戸時代;褐色を背景にしたおどろおどろしさは岩佐又兵衛。
  • 立姿美人図 宮川長春筆 一幅 江戸時代
  • 美人鑑賞図 勝川春章筆 一幅 江戸時代
  • 二美人図 鳥文斎栄之筆 一幅 江戸時代;優品。  
  • 鍾馗騎獅図 葛飾北斎筆 一幅 弘化元年(1844);北斎展でも気に入っていた作品です。北斎の鍾馗騎獅には信仰的なものを感じます。
  • 重美 養老勅使図 田中訥言筆 一幅 江戸時代

    小杉放菴
  • 湧泉(いずみ) 小杉放菴   大正14年(1925)
  • 出関老子 小杉放菴   大正8年(1919)
    パステルカラーがやわらかい。

    陶磁器
  • 色絵栗樹文皿 鍋島藩窯   江戸時代中期  
  • 色絵鸚鵡置物 柿右衛門 一対 江戸時代前期

    樂焼
  • 重美 赤楽兎文香合 本阿弥光悦   江戸時代初期;土のやわらかさが兎の雰囲気を醸し出しています。
  • 黒楽茶碗 銘 黒面翁 長次郎   桃山時代
  • 黒楽茶碗 銘 此花 道入(ノンコウ) 江戸時代前期;また出会えました。美しい。
  • 赤楽茶碗 銘 酒呑童子 道入(ノンコウ) 江戸時代前期; すこし口広でいかにも酒呑童子という銘がぴったりで面白い。
    仁清
  • 重文 色絵鳳凰文共蓋壺 野々村仁清   江戸時代前期;豪奢な中国風の文様。
  • 重文 色絵芥子文茶壺 野々村仁清   江戸時代前期(全期)
    仁清の重文が二点。茶壷タイプの後者と共蓋壺のタイプの前者。

    (17日)
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    敦煌経と中国仏教美術 三井記念美術館

    2006-12-18 | 
    特別展 今輝く、中国古典美術の遺宝
    敦煌経と中国仏教美術
    2006年11月18日から12月17日
    三井記念美術館

    最終日17日に敦煌経を眺めてきた。今年は写経を多く鑑賞しているが、是だけ並ぶとなれば、一度拝見しておかなければならない。
    今回の目玉のひとつは、「長安宮廷写経」。「長安宮廷写経」とは、「唐の高宗の時代、咸亨二年(671)から儀鳳二年(677)頃にかけて官吏の監督下のもと門下省、弘文館などの書手によって書写された一群の写経。経典としては法華経と金剛経の二種が知られている。その筆致と料紙は中国・朝鮮・日本という漢字文化圏に伝わる古写経の中では最高の出来映えとされ、遺品は敦煌経のなかでは、30点余りに過ぎない。」という。

  • 敦煌経「妙法蓮華経巻第二」三井記念美術館 唐時代 上元二年(675)
  • 敦煌経「妙法蓮華経巻第七」三井記念美術館 唐時代 上元三年(676)

    の2点が並んで展示されている。長安宮廷写経では厳重な管理がされていて、何度も校閲されたとのこと。たしかに巻末に写経の年月日 書手、校閲者七人、監督の名前が記名されている。紙の継ぎ目ですこし字の大きさが変っているところもあった。校閲の結果書き直しになったのだろうか。厳重な管理に吃驚。

    実は「美の伝統 三井家の伝世の名宝」(記録はこちら)にて「妙法蓮華経巻第七」は拝見している。そのときもあまりの書体の謹厳な美しさに感動した覚えがある。だが、敦煌経とは謳っていた覚えがあまりない。図録を見返しても敦煌経とは記載されていない。偽者が多く近年学術的な検討を加えて厳選したので、はじめて敦煌経として展示したのでしょうか?

    三井記念美術館が所蔵する、世界に現存するなかでもトップクラスの「敦煌経」34点と、この敦煌経の展示に関連して、同じ敦煌の石窟から発見された東京国立博物館、白鶴美術館、久保惣記念美術館が所蔵する幡、仏画、画巻など極めて珍しい作品が出品されます。また、世界で二番目に古い中国在銘金銅仏である永青文庫蔵如来坐像など日本の美術館・博物館、大学が所蔵する中国の金銅仏、密教法具の名品14点を一堂に展示いたします。

    「敦煌経」とは、中国の敦煌の莫高窟石窟の一つから偶然に発見された多量の経典類のことで、今から1000年ほど前に何らかの理由で納められて密閉され、900年間タイムカプセルのように眠っていたものが、今から100年前に発見されて初めて明らかにされたというドラマチックな歴史をもった写経です。かって、このことを題材とした井上靖『敦煌』が、日本での敦煌ブームの火付けとなったことはよく知られているところです。そして、三井記念美術館が所蔵する「敦煌経」は、中国、朝鮮、日本など漢字文化圏に伝えられた写経の中でも最も優れた唐時代の「長安宮廷写経」や、則天武后時代の端正な字姿とされる「大般涅槃経」などを含む第一級の写経とされております。

    今回の展覧会では、もう一つの柱として中国の仏像としては最も古い4世紀、五胡十六国時代の如来像をはじめとする各時代の金銅仏や、唐時代の密教法具などを展示いたします。敦煌経、敦煌出土の幡、仏画と合わせて、中国仏教美術の質の高さと奥の深さを十分に鑑賞していただきたいと思います。
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    花鳥画への誘い(後期) 松岡美術館

    2006-12-17 | 美術
    花鳥画への誘い
    平成2006月9月9日-12月23日 後期 : 2006年10月31日-12月23日
    松岡美術館

    松岡美術館で開催中の「花鳥画への誘い」に前期に引き続き(記録はこちら)行ってきた。それにしても、まだキラー通りの銀杏並木がきれいに色づいていた。

  • 伝 狩野山楽 《老松古木花鳥図》屏風 六曲一双のうち左隻 桃山時代;前期の右隻を頭で思い出すがやはり一双で拝見したい。
  • 狩野探幽 《牡丹に雉子、尾長》 双幅 寛文6年(1666);そつはないが面白みはない。 
  • 狩野常信 《寿福人、竹鶴、松鹿》三幅対;そつはないが面白みはない。

  • 円山応挙 《菊図》 一幅 紙本墨画 安永5年(1776)以降; 応挙臨写; 応挙らしい。印もいくつもあり、自信作でしょうか?
  • 樂道入 赤樂獅子香炉
  • 色絵梅花鳥図鉢 古九谷様式 有田皿 1650年代
  • 岩岱 《岩山鷲図》 紙本墨画淡彩 衝立 一基 江戸時代

  • 円山応挙《遊鯉水禽図》屏風 紙本着色 六曲一双のうち左隻 天明紀元年丑晩夏写(1781);源応挙;前期の右隻を頭で思い出すがやはり一双で拝見したい。
  • 円山応挙《牡丹孔雀図》紙本着色 一幅  安永乙未冬日写 安永4年(1775);細密な孔雀です。
  • 円山応挙《丸月亀図》紙本着色 一幅  天明二年(1782)頃

  • 松村景文《薔薇双鴨図》 紙本着色 一幅 江戸時代;薔薇の表現、鴨の表現ともリアルに描写された優品

  • 岡本秋暉《花卉孔雀図》 紙本着色 一幅 安政4年(1857);岡本秋暉は初めて意識して鑑賞。絵を崋山に学び椿 椿山とともに崋山十哲に数えられる。沈南ぴんを密かに師として装飾的な絵画を描くといたという。孔雀の表現が細密だがマニエリスム的で迫力。
  • 岡本秋暉《花卉孔雀図》 紙本着色 一幅 嘉永6年(1853)
  • 渡辺崋山《蓮池蜻蛉図》 紙本墨画淡彩 天保5年(1834);薄い青墨で蓮池を描く。
  • 椿 椿山《一品當朝図》 絹本着色 一幅 嘉永元年(1848)

  • 狩野探信 《画帖 山水・花鳥・人物》 絹本着色 江戸時代
    <blockqouote>
  • 福禄寿
  • 波間に浮かぶ鴨?二羽
  • 雲雀?と牡丹?
  • 菊慈童 太平記巻十三「龍馬進奏の事」、観世流謡曲「菊慈童」
  • 大井川 藤原資宗朝臣 新古今 冬554 後冷泉院御時うへのをのこども大井河に罷りて紅葉浮水といへるこころを よみ侍りけるに 「筏しよ待てこと問はむ水上はいかばかり吹く山の嵐ぞ」 
  • 張果老 唐代の仙人 瓢箪から駒の図
  • 鶏二羽雛三羽
  • 唐美人5人
  • 水仙と鶏
  • 伊勢 古今和歌集 春歌上34,35 水のほとりに梅の花咲けりけるをよめる「春ごとに 流るる川を 花と見て 折られぬ水に 袖や濡れなむ」「年をへて 花の鏡と なる水は 散りかかるをや 曇ると言ふらむ」
  • 牡丹?と小禽
  • 鹿
  • 吉野山
  • 竜田川
  • 源氏物語 初音 「年月をまつに引かれて経る人にけふうぐいすの初音きかせよ」 
  • 源氏物語 藤裏葉 「春日さす藤のうら葉のうちとけて君し思はばわれも頼まん」
  • 琵琶行?

  • 尾長
  • 小禽
  • 童子たち<blockqouote>

    (17日)

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    揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに

    2006-12-16 | 美術
    揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに
    2006年11月7日から12月24日
    東京国立近代美術館

    ちらしには、如何にも劇画風の小林永濯「道真天拝山祈祷の図」 。これを見て一寸引いてしまっていたが、好評のようなので行ってきた。狩野芳崖、小林永濯、小杉放菴など普段まとまって作品を鑑賞しない作家の作品が楽しめた。

    まずは、第一章 狩野芳崖・高橋由一 日本画と洋画の始まり

    高橋由一は、
  • 高橋由一 捕象図 明治7年 1874 墨/絹布 軸 東京国立博物館
  • 高橋由一 美人(花魁)  明治5年 1872 油彩/キャンバス 額 東京藝術大学 重文
    などが展示されていた。 「捕象図」では、西洋の画題をデッサンをうまく描いているが、油彩に取り組んだ作品は悪戦苦闘ぶりがありあり。従来の画題(花魁とか)、表現法で、そのまま油絵を描こうとしてうまくいっていないのだ。この展覧会では「鮭」は展示されていない。どこやって「鮭」に到達したか。そこを展示をしてほしかった。

    狩野芳崖は、
  • 狩野芳崖 地中海真景図 明治15年 1882 墨、膠彩/紙 額 個人蔵
  • 狩野芳崖 暁霧山水 明治20年 1887 膠彩/絹布 額 東京藝術大学 も彩色のため、さらに不思議な雰囲気を備えている。
  • 狩野芳崖 不動明王 明治20年 1887 膠彩、金/紙 軸 東京藝術大学 重文
  • 狩野芳崖 仁王捉鬼 明治19年 1886 膠彩/紙 軸 個人蔵 ;
    などが展示されていた。
  • 狩野芳崖 悲母観音 明治21年 1888 膠彩、金/絹布 額 東京藝術大学 重文
    は、前期だけのため、今回は未見。狩野芳崖は、もともと西洋技法に興味をもっていたようで、「地中海真景図」などは日本画に心境地を開いている。銅板画のような印象を与える。「小堀鞆音と近代日本画の系譜」(記録はこちら)にて「江山一望之図」(明治17年)という遠近法のある同種の山水図を見たばかり。「暁霧山水」は、彩色のため、さらに不思議な雰囲気を備えている。
    そして「仁王捉鬼」。この極彩色の仁王。赤と青緑の対比は、新しき西洋絵具を用いたために出すことが出来た色合い。ここを昇華して到達したのが、「悲母観音」ということになるとのこと。無理やり油彩を始めず、日本画の中に西洋画の技法をいれたことにより、EVOLUTIONに成功したのが、狩野芳崖であったのだろう。

    印象派は、西洋の絵画の伝統に日本の浮世絵を技法をうまく取り入れて昇華させた。西洋人はすごいという論調を昔読んだ気がする。ゴッホの「ゴーギー爺さん」などは浮世絵の影響を受けているとよく例に引き出されるが、あの昇華されていない印象と、高橋由一の「美人(花魁)」は印象は同じようなものにも思えてくる。日本人も日本の絵画の伝統に、西洋の技法をうまく取り入れて1888年という印象派と同じ時期に完成させていると思いを強くした。

    第二章 明治絵画の深層 日本画と洋画の混成
    ここでは、河鍋暁斎、小林永濯、橋本雅邦、彭城貞徳、田村宗立、原田直次郎ほかが展示されているが、この章のハイライトは小林永濯だろう。
  • 小林永濯 道真天拝山祈祷の図 明治7-19年頃 c.1874-86 墨、膠彩、水彩/綿布 軸 ボストン美術館
  • 小林永濯 加藤清正武将図 明治4年 1871 墨、膠彩、金/板 額 杉並区 堀之内 妙法寺
  • 小林永濯 七福神 明治13年頃 c.1880 墨、膠彩/絹布 軸 ボストン美術館
  • 小林永濯 天瓊を以って滄海を探るの図 明治17-23年頃 1880年代半ば 墨、膠彩/絹布 軸 ボストン美術館
    劇画風の道真、趣味の悪い七福神、なまなましいイザナギ、イザナミを描いた「天瓊を以って滄海を探るの図」などインパクトは絶大。現在のわれわれには許容の範囲だが、当時はどうだったのだろうか?

  • 田村宗立 (月樵) 弁慶曳鐘図 明治34年 1901 油彩、金/キャンバス 額 京都国立博物館;
    この作品の弁慶が鐘を曳く力強い表現は、日本のルーベンスといいたい。洋画では、このような力強い表現は他にないのでは。

    第三章 日本絵画の探求 日本画と洋画の根底
    ここは大家の作品が並ぶ。日本画家は日本画の革新を、洋画家は洋画の日本化を求める傾向があったというが、その意味安心して見れる作品ばかり。
  • 横山大観 迷児 明治35年 1902 木炭、金(裏箔)/絹布 軸 個人蔵
  • 下村観山 ダイオゼニス 明治36年 1903 膠彩/絹布 軸 東京国立近代美術館
  • 下村観山 魚籃観音 昭和3年 1928 墨、膠彩/紙 軸 3幅 西中山 妙福寺
    モナリザの顔をした魚籃観音。妖しい雰囲気となる。三渓園でも魚籃観音を拝見したが、今回は三幅対で展示されていたので観音様らしく拝見。
  • 竹内栖鳳 ヴェニスの月 明治37年 1904 墨/絹布 軸 高島屋史料館
  • 菱田春草 秋木立 明治42年 1909 膠彩/絹布 軸 東京国立近代美術館

  • 岡田三郎助 あやめの衣 昭和2年 1927 油彩/紙(キャンバスに貼付) 額 ポーラ美術館 (ポーラ・コレクション)
  • 和田英作 野遊び 大正14年 1925 油彩/キャンバス 額 東京藝術大学
    など。

    第四章 日本画の中の西洋、第五章 洋画の中の日本画。
    藤田嗣治の墨の多用は藤田嗣治展で納得したが、梅原龍三郎も岩絵の具を混ぜて画面の色彩を創っていることが紹介されている。

    第六章 揺らぐ近代画家たち 日本画と洋画のはざまで
    萬鉄五郎のキュビスムな日本画の軸「橋下望遠図」「渓流に魚を釣る」には、思わず笑ってしまう。

    岸田劉生の麗子像の不気味さは、デューラーなど北方ルネサンスの影響というのは今回初めて知る。日本画「四季の花果図」は即興的な面白さはあるが手遊びか。

    小杉放菴の作品が少しまとまって展示されていた。
  • 小杉放菴(未醒) 黄初平 大正4年 1915 油彩、金/キャンバス 額 小杉放菴記念日光美術館
  • 小杉放菴(未醒) 水郷 明治44年 1911 油彩、木炭/キャンバス 額 東京国立近代美術館
  • 小杉放菴(未醒) 羅摩物語 昭和3年 1928 油彩/キャンバス 額 東京国立近代美術館
  • 小杉放菴(未醒) 白雲幽石図 昭和8年頃 c.1933 墨、膠彩/紙 額 小杉放菴記念日光美術館
  • 小杉放菴(未醒) 海南画冊 昭和6年 1931 墨、膠彩/紙 画帖装 全18面 東京国立近代美術館
  • 小杉放菴(未醒) 椿 昭和12年 1937 墨、膠彩、金/絹布 屏風 2曲1隻 東京国立近代美術館
  • 小杉放菴(未醒) 天のうづめの命 昭和26年 1951 油彩、金/キャンバス 額 出光美術館
  • 小杉放菴(未醒) 静物 昭和30年頃 c.1955 油彩/キャンバス 額 小杉放菴記念日光美術館
    小杉放菴は、先月出光美術館で「天のうづめの命」が展示されていて、出光佐三がパトロンとして購入し、実は多くの作品を出光美術館で所蔵していることを知ったばかり。そして、今回初めてまとまって作品を見た。小杉放菴は、日本画も西洋絵画も器用に描いたという。
    図録の解説に、文化人類学者山口昌男「敗者の精神史」という論考が引用されていて、放菴は再評価されるべきとあった。しかし、シャヴァンヌに影響された作品「水郷」という作品。放菴という画号。そんなことからして、放菴は世間の評価よりも文人のような隠棲を望んでいたのではないのかと思ったりした。隠棲しても十分な出光というパトロンがいたのですから。いずれにしろ、小杉放菴記念日光美術館というのがあるようだ。一度訪れたい。

    川端龍子の西洋画の技法を用いた日本画「佳人好在」はなんともいえない日本家屋の風景。

    熊谷守一も実はまとまって鑑賞するのは始めて。「海の図」「畳の裸婦」「白仔猫」は可愛いですね。


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