徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

MOA美術館 陶磁器の優品

2007-10-25 | 陶磁器
MOA美術館の陶磁器の優品
MOA美術館 併設展示作品
2007年10月24日まで(?)

展示室7から展示室10には、日本、中国の陶磁器の名品が並んでいた。

展示室7
  • 国宝 色絵藤花文茶壺 野々村仁清 江戸時代 17世紀

  • 色絵熨斗香合 野々村仁清 江戸時代 17世紀;優美な色絵。
  • 白濁釉八角下蕪花生 野々村仁清 江戸時代 17世紀
  • 色絵龍田川文四方茶碗 野々村仁清 江戸時代 17世紀
  • 銹絵山家文茶碗 尾形乾山 江戸時代 18世紀
  • 重美 色絵桜楓文鉢 仁阿弥道八 江戸時代19世紀

  • 黒楽茶碗 銘 あやめ 長次郎 桃山時代 16世紀;千宗旦所持箱書、天正15年(1587)、千利休が茶会でもちいる。
  • 灰被天目茶碗 秋葉天目   中国 宋~元時代 13~14世紀 ;伊達家伝来。
  • 御所丸茶碗   朝鮮時代 17世紀 ;轆轤成型した茶碗を生乾きのとき沓形に変形させたフォルム。純白に近い磁質。透明の白釉、刷毛目。

  • 褐釉肩衝茶入 渋紙手 瀬戸 銘山桜   桃山時代 16世紀
  • 絵唐津鉢 銘百万石   桃山時代 16世紀後期
    等のほか美濃などが並ぶ、

    このあと、伊万里、鍋島。

    展示室8、10
    景徳鎮窯の優品が並ぶ。時間がなくてじっくりと拝見できなかったが、青磁の2点と琺瑯の2点は心に残った。祥瑞の蜜柑水指は、どこでみてもフォルムが美しい。青磁大壺は、ほんとうに大壷。日本の床の間には大きすぎなのか、日本には鑑賞陶器として伝来したのでしょう。粉彩、夾彩は、雍正、乾隆年間の派手な色合いはもちろん、表面に浮彫りされた文様が見事だった。

  • 青花蜜柑水指 祥瑞  景徳鎮窯 中国 明時代末期 17世紀
  • 青磁大壺 郊壇官窯 中国 南宋時代 12~13世紀
  • 粉彩団龍文瓶  景徳鎮窯 中国 清時代 雍正年間(1723~35)
  • 夾彩花唐草文管耳瓶  景徳鎮窯 中国 清時代 乾隆年間(1736~95)

    (10月16日)
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    岩佐又兵衛 浄瑠璃物語絵巻 

    2007-10-25 | 絵画
    浄瑠璃物語絵巻
    MOA美術館 併設展示作品
    2007年10月24日まで

    既報のとおり、岩佐又兵衛の浄瑠璃物語絵巻の全巻が、2年ぶりにMOA美術館で公開されていた。熱海を通る機会があったので、滞在時間1時間ということで、浄瑠璃物語絵巻を覘いてきた。

    展示室6に拡げられていた。
    (巻一)(三河国矢矧宿)
    (巻二)笛の音、物見の段;牛若は「せみおれ」笛を吹く
    (巻三)風くち;
    (巻四)四季の段、姿見の段、枕問答の段、局入、忍入りの段
    (巻五)やまとことばの段、精進問答の段、御座うつりの段
    (巻六)別れ;
    (巻七)(牛若の受難)
    (巻八)(牛若の罹病)
    (巻九)(牛若の死)
    (巻十)(浄瑠璃の旅)
    (巻十一)牛若の蘇生
    (巻十二)五輪くだき;

    牛若が、十五の春、秀衡を頼んで東国へ。三河国矢矧宿に泊まった夜。宿を抜け出した牛若は宿場で名高い長者の唐御所から聞こええる管弦の音に誘われる。牛若が、浄瑠璃の唐御殿の中に入り込んで浄瑠璃と契りを遂げる。牛若は東国に向かうが罹病して死んでしまう。浄瑠璃は牛若をさがしに旅に出る見つからない。浄瑠璃姫は母親に家を追い出され、身をやつし死ぬ。牛若は蘇生して、牛若は、付き人の冷泉のために冷泉寺を建立。浄瑠璃の母に復讐。浄瑠璃の墓の五輪塔が割れて、一片が義経に届き、金色の光を放ち飛び立つ。

    巻二から巻五まで、唐御殿の中の様子は豪華絢爛(すべての段までは展示されていなかった.。一寸残念)。受難から死まで巻は、龍なども登場し奇譚。巻十二の、討入りは群集は見事に活写されている。

    類型的な人物表現から又兵衛工房作とされているようだが、あまりに豪華絢爛な全般、奇譚、そして見事な群集表現。

    山中常盤物語絵巻の全巻が展示される機会が待たれます。
    (10月16日)
    コメント (2)
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    ムンク展 Edvard Munch - The Decorative Projects

    2007-10-21 | 絵画
    ムンク展
    Edvard Munch - The Decorative Projects
    2007年10月6日から1月6日
    国立西洋美術館

    ムンク展にいってきた。ムンクは、2006年3月に、北米で30年ぶりという大回顧展をMOMAで拝見して以来(記録, MOMAでの展覧会での展示作品一覧、図入り)

    ムンクは、自らが描いた作品のなかでも、最も中心的な諸作品に〈生命のフリーズ〉という名をつけたという。「〈生命のフリーズ〉は、全体として生命のありさまを示すような一連の装飾的な絵画として考えられたものである。」(エドヴァルド・ムンク「生命のフリーズ」より)

    第1章〈生命のフリーズ〉:装飾への道
    この章に
    6 不安1894年
    7 絶望1893年頃
    が並べて展示してあった。叫びも並べも圧巻だが、そうはいかないところが残念。エーケリーのアトリエ(1929年、扉の上部に《叫び》《不安》《絶望》が並べられている)写真が展示されていた。

    14 声/夏の夜1893年、
    13 生命のダンス1925-29年
    これらは昨年MOMAでは別のバージョンを拝見している。

    31 病める子供1925年;これは5バージョンあるそうだ。

    さて、本題の〈生命のフリーズ〉

    第2章人魚:アクセル・ハイベルク邸の装飾
    有名な人魚Mermaidはフィラデルフィア美術館に現在所蔵されている。今回の来日は、下絵。2005年、2006年と2年続けて見ているのでよく覚えています。

    第5章オーラ:オスロ大学講堂の壁画
    MOMAのムンク展でも「太陽」の下絵が展示されていて、これは何と思っていたのですが、氷解しました。太陽、歴史、アルマ・マーテルで成り立つ壁画なのですね。

    この2つ章は、そういう意味で、馴染みがあったので楽しめました。

    第3章〈リンデ・フリーズ〉:マックス・リンデ邸の装飾
    子供部屋の装飾だそうだが、子供部屋らしくないと発注者に受け取ってもらえなかった作品。
    第4章〈ラインハルト・フリーズ〉:ベルリン小劇場の装飾
    第6章〈フレイア・フリーズ〉:フレイア・チョコレート工場の装飾
    第7章〈労働者フリーズ〉:オスロ市庁舎のための壁画プロジェクト

    この4つの章は、ピンときませんでした。NYのムンク展は、1900頃年を境に作品が少なかったわけですが、オスロ大学講堂の壁画に1909年から16年まで取り組んでいたり、眼を患っていたからなのですね。

    あとは、叫びを鑑賞しにノルウェーに行きたいですね。
    (13日)
    コメント (2)
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    フィラデルフィア美術館展

    2007-10-19 | 絵画
    フィラデルフィア美術館展
    2007年10月10日から12月24日
    東京都美術館

    2005年7月にフィラデルフィア美術館を訪問している。(記録はこちら。)その1階の展示室の圧巻さは、拙Blogが美術関係ばかりなってしまった契機。それくらい圧倒された。セザンヌのThe Large Bather(画像)とその手前の池を囲んだ部屋の印象派の画家の作品(画像の一覧。必見)。ピカソの初期の作品。ダリ(画像)。そんな中から、どの作品がやってくるのか。(もちろんここまでは全然やってこないのですが。)

    今回、目にとまった作品は、
    第1章 写実主義と近代市民生活(コロー、クールベ、ブータン、マネ)
  • ジャン・バティスト。カミーユ・コロー 泉のそばのジプシー娘;コローは人物が生前3点しか発表しなかったのに、没後アトリエから100点以上もが発見されたとは知りませんでした。
  • ギュスターヴ・クールベ スペインの女 1868;印象的なまなざしは覚えがあります。
  • エドゥアール・マネ キアサージ号とアラバマ号の海戦 1864;フランス沖での海戦を描いたものとは。日本語での解説だと頭によく入ります。

    第2章 印象派とポスト印象派(ドガ、ピサロ、モネ、ルノワール、ゴッホ、セザンヌ、ソローリャ、ロダン、ルソー)
  • エドガー・ドガ 室内;なにやらドラマティックな様子を暗示します。
  • クロード・モネ 睡蓮、日本の橋 1918-26;フィラデルフィア美術館では、モネは1室以上を占領しています。フィラデルフィア美術館の印象派の画家の作品が並んだ池のあるの部屋には、初期の緑濃い睡蓮、日本の橋(画像)が展示されていますが、今回の睡蓮、日本の橋は、赤い睡蓮でした。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/69328.html
  • ピエール・オーギュスト・ルノワール ルグラン嬢の肖像 1875;ルグラン嬢にはいつも魅了されます。
  • ピエール・オーギュスト・ルノワール アリーヌ・シャリゴの肖像(ルノワール夫人)1885;セザンヌの個展が画商Vollardにより開催された年の作品。(先月パリのオルセーを訪れたときに見たVollardの特別展で勉強したばかりなのですが。)どうみてもセザンヌの影響を受けています。セザンヌの個展が大反響を呼んだのがよくわかりました。
  • ピエール・オーギュスト・ルノワール 大きな浴女 1905
  • ピエール・オーギュスト・ルノワール レース編みをする少女 1906-08
  • フィンセント・ファン・ゴッホ オーギュスティーヌ・ルーラン夫人と乳児マルセルの肖像 1888または1889
  • ホアキン・ソローリャ 幼い両生類たち 1903 スペイン外光派の作品。この画家は初めて。

    第3章 キュビズムとエコール・ド・パリ(ピカソ、ブラック、レジェ、カンディンスキー、ドラン、マティス、ルオー、ドローネ、デュシャン、モディリアーニ、ユトリロ、シャガール他)
  • パブロ・ピカソ 自画像 1906;Rose eraの今回のポスターにもなった作品。今回はこの作品が選ばれて来日していますが、フィラデルフィア美術館は19世紀のピカソの作品からキュビズムにいたるまで、1室半以上がピカソの作品が展示されています。特にHead of Womanのその黄色や黒の強烈な画面の印象の方がつよかった。覚えがよみがえりました。
  • パブロ・ピカソ 三人の音楽師 1921年;日本で開催されるといいところは解説が日本語のところ。すっと頭に入ってくる。第一次大戦で負傷した亡くなったGuillaume Apollinaire(右)とPierrot(中央)とアルルカンに扮したPicassoとMax Jacobを描いているという。204.5x 183.2の画面について、
    井出教授は「同じ主題の作品は他の美術館にもあるが、迫力が違う」といっているが確かに。MOMAにも同主題の作品があるようだが。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/53963.html
  • アンドレ・ドラン アンリ・マティスの肖像 1905;コリウールに滞在するマティスを訪ねたときの作品だとのこと。いろいろな手法に傾倒したドランの作品。このときはフォビズム。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/53894.html

  • アンリ・マティス テーブルの上の静物 1925
  • アンリ・マティス 休息する二人のモデル 1928
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/59852.html
  • アンリ・マティス 青いドレスの女 1937 ;マティスが3点並ぶ。1920から30年代のマティスの装飾的な画面。大好きです。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/55720.html

  • アメデオ・モディリアーニ ポーランド女の肖像 1919;Hanka Zborowskaの肖像画。今年はモディリアーニがたくさん見れて嬉しい。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/59575.html

  • モーリス・ユトリロ モンマルトル、テルトル広場 1912頃;
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/63337.html
  • マルク・シャガール 自画像 1914;
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/59619.html
  • マルク・シャガール プリム祭 1916-18;
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/59482.html

    第4章 シュルレアリスムと夢 キリコ、ミロ、マグリット
  • ジョアン・ミロ 馬、パイプ、赤い花 1920; キュビズム的なミロの作品。最近ミロ展が開催されないのですが、この手の作品もあるのですね。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/83114.html
  • ジョアン・ミロ 月にほえる犬 1926
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/53949.html
  • ルネ・マグリット 六大元素 1926;炎、裸婦、森、建物、雲、鉛
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/51043.html

    第5章 アメリカ美術
    実はこのコーナーが楽しめました。カサット、オキーフやワイエスはともかく、アメリカ画家についてよく知らないので、解説が参考になりました。フィラデルフィア美術館では、アメリカ美術に至る前におなかいっぱいになってします。また知らない画家の絵画ばかりで逆に的が絞れないとかになってしまうのですが、このぐらいにセレクトされているのがちょうどいいといったところでしょうか。
  • ウィンズロー・ホーマ 狩人と犬 1891;http://www.philamuseum.org/collections/permanent/102943.html

  • メアリー・カサット アレクサンダー・J・カサットとその息子ロバート・ケルソ・カサットの肖像 1884;
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/104479.html
  • メアリー・カサット 母の抱擁 1884;http://www.philamuseum.org/collections/permanent/66441.html;フランスで印象派展に参加していたんですからアメリカ美術というべきか。

  • マースデン・ハートリー ニューメキシコの風景 1919;http://www.philamuseum.org/collections/permanent/50659.html
  • マースデン・ハートリー ハリケーン島、ヴァイナルヘイヴン、メーン州;
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/48466.html;アメリカの風景を描く画家

  • ダニエル・ガーバー 室内、朝の光 1923;1905年にパリから帰った画家。藤島武二の《幸ある朝》(1908)を思い出してしまいました。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/49667.html
  • ジョージア・オキーフ ピンクの地の上の2本のカラ・リリー 1928;ポスターにもなっている作品。
  • ミルトン・エイヴリー 黒のジャンパーススカート 1944;娘がモデルだとのこと。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/63772.html
  • ドロテア・タニング 誕生日 1942; エルンストと結婚した女性の作品。シュールです。
    http://www.philamuseum.org/collections/permanent/93232.html
  • アンドリュー・ワイエス 競売 1943;

    最初にも書きましたが、フィラデルフィア美術館には来日しなかった名品がまだまだたくさんあります。この展覧会をみてやはりもう一度フィラデルフィア美術館を訪れたくなりました。
    (13日)

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    BIOMBO/屏風 日本の美 (VI期)

    2007-10-16 | 絵画
    サントリー美術館開館記念特別展 ビオンボ
    BIOMBO/屏風 日本の美 (VI期)
    2007年9月1日から10月21日
    サントリー美術館

    第Ⅱ期(記録はこちら)もすごいと思ったが、第VI期もまたちょっと凄かった。

  • 重文 高野山水図屏風 六曲一双 鎌倉時代13世紀 京都国立博物館;春夏秋冬がうっすら描かれる屏風。
  • 日月山水図屏風 六曲一双 室町時代15世紀 出光美術館;状態が悪いが、大胆に描かれた尾長?(雉?)などは、一双を並べてゆっくり眺めれば大胆で伸びやかな場面。
  • 重文 四季花鳥図屏風 狩野元信筆 室町時代16世紀 白鶴美術館;状態がすばらしい屏風。数多く描かれる花鳥と中国風の岩が相俟って狩野派の世界を作り上げている。
  • 重文 巌樹遊猿図屏風 式部輝忠 六曲一双 室町時代16世紀 京都国立博物館;画面一般に猿、猿、猿。毛並みがすばらしい。

    南蛮図屏風二点。
  • 二十八都市・万国絵図屏風 八曲一双 桃山時代17世紀初 宮内庁三の丸尚蔵館;城郭都市が二十八都市も描かれているが、
  • 泰西王侯図屏風 六曲一双 桃山時代17世紀初 長崎歴史博物館;イエズス会の紋章の入った屏風。小さな画面を拡大して堂々たる西洋の人物を描いているが大したものです。西洋人に出合った驚きが伝わってきます。

  • 洛中洛外図屏風 六曲一双 江戸時代17世紀 大阪市立美術館;大仏と二条城を主題とする珍しい屏風

    踊る桃山時代の雰囲気を伝える二点。
  • 重文 豊国祭礼図屏風 狩野内膳筆 六曲一双の内左隻 桃山時代17世紀 豊国神社;
  • 重文 阿国歌舞伎図屏風 六曲一双 京都国立博物館

    そして合戦図屏風。
  • 重文 関が原合戦図屏風 六曲一双 桃山時代17世紀 大阪歴史博物館;

    ライデン国立民族学博物館の返礼の屏風の雅な画面はオランダ人にどう伝わったのだろうか?
  • 鷹狩図屏風 狩野勝川院雅信筆 六曲一双 安政3年(1856)
  • 野場図屏風 狩野雪渓俊信筆 六曲一双 安政3年(1856)
  • 太平記図屏風 住吉内記弘貫 六曲一双 安政3年(1856)

    もちろん、祇園祭礼図屏風(ケルン、サントリー)、社頭図屏風、賀茂競馬図屏風も展示されている。何度見ても、往時の襖絵の華やかさは圧巻。

    今週いっぱい。(21日まで)お見逃しなく。夜間に行くのが画面を見渡せてお勧めかと。

    (11日)


      
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    特別展 大徳川展(その2 茶道具他)

    2007-10-15 | 茶道具
    特別展 大徳川展(その2 茶道具他)
    2007年10月10日から12月2日
    (前期11月4日まで、後期11月6日から)
    東京国立博物館 平成館

    さて、今回の大徳川展。ポスターにもある茶道具を見に行ったというのが目的。2.格式の美のメインはこちら。武家好みの茶道具が並ぶ。

  • 195 重文 唐物肩衝茶入 銘 初花(大名物) 南宋~元時代・13~14世紀 東京・川記念財団蔵; こちらに解説
    なんて大きな茶入れでしょうか?立派の一言。
  • 196 重美 漢作肩衝茶入 銘 新田(大名物) 南宋~元時代・13~14世紀 水戸・徳川博物館蔵;大坂落城後に補修された。
    三大肩衝茶入(あとは楢柴肩衝、現存しないらしい)のうちの2点。ポスターにもありました。前期のみです。

  • 198 唐物文琳茶入 銘 秋野(名物) 1口 南宋~元時代・13~14世紀 個人蔵;赤くて小ぶり。近年再発見されたとのこと。
  • 193 重文 唐物茶壺 銘 松花(大名物) 南宋~元時代・13~14世紀 名古屋・徳川美術館蔵;管領・斯波氏-村田珠光-宗珠-誉田屋宗宅-北向道陳-織田信長-信忠-堀秀政-豊臣秀吉-秀次-油屋大小路次郎左衛門-徳川家康-初代義直と伝来。「玩貨名物記」所載。こちらに解説
  • 194 唐物茶壷 銘 弾正(名物) 南宋~元時代・13~14世紀 水戸・徳川博物館蔵

  • 200 大高麗茶碗(大名物) 1口 朝鮮時代・16世紀 名古屋・徳川美術館蔵 
  • 201 白天目(大名物) 1口 朝鮮時代・16世紀 名古屋・徳川美術館蔵
  • 222 曜変天目(油滴天目)(大名物) 1口 金時代・12~13世紀 名古屋・徳川美術館蔵;堺の町衆であった樋口屋紹札-油屋紹佐-油屋浄祐-徳川家康(駿府御分物)-初代義直と伝来。「玩貨名物記」所載。こちらに解説

  • 217 竹茶杓 銘 泪(名物) 1本 千利休作 安土桃山時代・16世紀 名古屋・徳川美術館蔵; 天正19年(1591)2月、豊臣秀吉に切腹を命ぜられた千利休は、自らこの茶杓を削り、最後の茶会に用い、古田織部に与えた。その後、古田織部はこの茶杓用に、長方形の窓をあけた筒をつくり、その窓を通してこの茶杓を位牌代りに拝んだと伝えられる。 こちらに解説
  • 203 竹茶杓 銘 虫喰 1本 小堀遠州作 江戸時代・17世紀 水戸・徳川博物館蔵;10/30からは利休作の虫喰も展示される。

    茶席仕立てで展示されていたのが、
  • 210 元和御成記 1巻 江戸時代・17世紀 名古屋・徳川美術館蔵
  • 211 居布袋図堆朱香合(大名物) 1合 明時代・15世紀 名古屋・徳川美術館蔵
  • 212  重文 虚堂智愚墨蹟(名物) 1幅 南宋時代・宝祐2年(1254) 名古屋・徳川美術館蔵
  • 213 漢作肩衝茶入 銘 宗無(大名物) 1口 南宋時代・13世紀 名古屋・徳川美術館蔵
  • 214 牡丹唐草文堆朱盆(薬師院盆)(名物) 1枚 明時代・16世紀 名古屋・徳川美術館蔵
  • 215 古銅砧形花生 銘 杵のをれ(名物) 1口 元~明時代・14~15世紀 名古屋・徳川美術館蔵
  • 216 三島茶碗 銘 三島桶(大名物) 1口 朝鮮時代・16世紀 名古屋・徳川美術館蔵 千利休-千道安…初代義直と伝来。「玩貨名物記」所載。こちらに解説
  • 218 南蛮水指 銘 芋頭(大名物) 1口 16世紀 名古屋・徳川美術館蔵
  • 219 古天明釜 銘 梶(名物) 1口 室町時代・15世紀 名古屋・徳川美術館蔵


  • 190-1 重文 大燈国師墨蹟 1幅 鎌倉時代・元弘2年(1332) 水戸・徳川博物館蔵
  • 190-2 大燈国師墨蹟添状 1幅 一休宗純筆 沢庵宗彭識語 室町~江戸時代・15~17世紀 水戸・徳川博物館蔵

  • 220 重文 布袋図・朝陽対月図 3幅 名古屋・徳川美術館蔵 こちらに解説
  • 220-1 重文 布袋図 1幅 伝胡直夫筆 偃渓廣聞賛 南宋時代・13世紀
  • 220-2 重文 朝陽図 1幅 無住子筆 自賛 元時代・元貞元年(1295)
  • 220-3 重文 対月図 1幅 無住子筆 自賛 元時代・元貞元年(1295)

  • 221 紫銅向獅子香炉(名物) 1口 明時代・15世紀 名古屋・徳川美術館蔵
  • 204  重文 青磁経筒水指 1口 南宋時代・12~13世紀 東京国立博物館蔵
  • 205 花鳥図堆朱盆 1枚 元時代・14世紀 名古屋・徳川美術館蔵
  • 206 楼閣人物図螺鈿分銅形食籠 1合 明時代・15~16世紀 名古屋・徳川美術館蔵 こちらに解説




    このほか、格式の美として、文房具、能面、鼓などが展示されていた。

  • 249 重文 西行物語絵巻 1巻 鎌倉時代・13世紀 名古屋・徳川美術館蔵
  • 250 重文 掃墨物語絵巻 巻下 1巻(2巻の内) 南北朝~室町時代・14~15世紀 名古屋・徳川美術館蔵
  • 253 四季花鳥図屏風 6曲1双 狩野探幽筆 江戸時代・17世紀 水戸・徳川博物館蔵
  • 255 百蝶図 1幅 円山応挙筆 江戸時代・安政4年(1775) 水戸・徳川博物館蔵

  • 258 古筆手鑑「玉海」 2帖 奈良~江戸時代・8~17世紀 名古屋・徳川美術館蔵
  • 259 古筆大手鑑  3帖 奈良~江戸時代・8~17世紀 水戸・徳川博物館蔵
  • 257 重文 源氏物語(河内本) 第一・十四・十八・十九・二十三冊/桐鳳凰蒔絵書物箪笥 5冊(23冊の内) 鎌倉時代・嘉元4年(1306) 愛知・名古屋市蓬左文庫蔵

    源氏物語絵巻は三期に分けて展示。
  • 248-1 国宝 源氏物語絵巻 柏木一 詞2面、絵1面 ~10/21
  • 248-2 国宝 源氏物語絵巻 橋姫 詞2面、絵1面 10/23~11/11
  • 248-3 国宝 源氏物語絵巻 東屋一 詞2面、絵1面 11/13~

    (13日)
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    特別展 大徳川展 (その1)

    2007-10-15 | 歴史
    特別展 大徳川展
    2007年10月10日から12月2日
    (前期11月4日まで、後期11月6日から)
    東京国立博物館 平成館

    徳川将軍家、尾張・紀伊・水戸の徳川御三家、さらに久能山・日光・紀州の東照宮、また寛永寺や増上寺といった徳川家ゆかりの地に伝えられた宝物を一堂に集めた展覧会。博物館に相応しくいろいろなものが展示されている。

    ■1.将軍の威光
    まずは、武具。
    鎧、刀。旗(金扇馬印 伝徳川家康所用 1本 江戸時代・17世紀 静岡・久能山東照宮博物館蔵 とか)など。

    次の部屋には、家康大権現がずらっと。
  • 76 徳川家康坐像(芝東照宮御神体) 1躯 安土桃山時代・慶長6年(1601) 東京・芝東照宮蔵
  • 77 東照宮御影 九月十七日拝礼 1幅 江戸時代・正保2年(1645)9月16日 東京・川記念財団蔵
  • 78 東照宮御影 四月十七日拝礼  1幅 江戸時代・慶安元年(1648)12月16日 東京・川記念財団蔵
  • 82 重文 東照大権現霊夢像 寛永十六年十二月十六日 1幅 狩野探幽筆 江戸時代・寛永16年(1639)12月16日 栃木・日光山輪王寺蔵

  • 102 国宝 日光東照宮造営大工道具 1具 甲良豊後守寄進 江戸時代・寛永13年(1636) 栃木・日光東照宮蔵; なぜこのような立派な大道具がと思いきや、普請の無事を祈願のために奉納したものとか。

    家康が出版に興味があったというのも面白かった。伏見版という木版活字もあれば、グーテンベルクの技術を輸入して銅版活字をはじめて日本ではじめたのが、家康というのも興味深かった。
  • 103 伏見版『孔子家語』 第一・四冊 2冊(4冊の内) 安土桃山時代・慶長4年(1599)刊 宮内庁書陵部蔵
  • 104 伏見版『貞観政要』 第一・八冊 2冊(8冊の内) 安土桃山時代・慶長5年(1600)刊 宮内庁書陵部蔵
  • 105 駿河版『大蔵一覧集』 第一・二・十冊 3冊(11冊の内) 江戸時代・元和元年(1615)刊 愛知・名古屋市蓬左文庫蔵
  • 106 駿河版『群書治要』 第三十四・三十七冊 2冊(47冊の内) 江戸時代・元和2年(1616)刊 愛知・名古屋市蓬左文庫蔵
  • 107 重文 伏見版木活字 4箱(52320個の内) 安土桃山時代・慶長4年(1599) 京都・圓光寺蔵
  • 108 重文 駿河版活字(銅大字・銅小字・銅罫線・銅輪廓・摺板) 2箱・1組 江戸時代・慶長12年(1607) 東京・凸版印刷株式会社 印刷博物館蔵

    このあと各将軍のゆかりの品々がならぶ。

    また、西洋から品物。洋時計、望遠鏡や地球儀があった。望遠鏡は、ヨーロッパで発明されてすぐに(1年で?)伝来したという。
  • 40 重文 洋時計(1581年マドリッド製刻銘) 1個 ハンス・デ・エバロ作 スペイン・1581年 静岡・久能山東照宮博物館蔵
  • 153 望遠鏡 徳川義直所用 1点 ヨ~ロッパ・17世紀 名古屋・徳川美術館蔵
  • 187 地球儀 徳川斉昭所用 1基 鱸重時作 江戸時代・嘉永5年(1852) 水戸・徳川博物館蔵

    キリスト教関連の資料も保存されている。
  • 154 キリスト像 1点 ヨーロッパ・16~17世紀 水戸・徳川博物館蔵
  • 155 デウスの十戒 1枚 安土桃山~江戸時代・16~17世紀 水戸・徳川博物館蔵
  • 156 重文 萩蒔絵螺鈿聖餅櫃  1合 安土桃山~江戸時代・16~17世紀 水戸・徳川博物館蔵

    寛永行幸図巻は、記録なのだろうが、すばらしい保存状態でかつ立派。
  • 166 寛永行幸図巻 巻第一狩野永納筆・寛永行幸記 1巻・1冊(3巻・1冊の内) 江戸時代・寛文7年(1667) 御物

    このあと歴史文書が並ぶ
  • 162 徳川家康任征夷大将軍宣旨 1通 江戸時代・慶長8年(1603)2月12日 栃木・日光東照宮蔵
  • 163 位記・宣旨箱 1合 江戸時代・17世紀 栃木・日光東照宮蔵
    からはじまって幕末の動乱の記録まで
  • 184 大政奉還上意書 1巻 江戸時代・19世紀 東京・寛永寺現龍院蔵
  • 185 大政奉還勅許写 1通 徳川慶喜筆 江戸時代・慶応3年(1867)10月15日 個人蔵
  • 186 徳川慶喜将軍辞職につき御沙汰書 1通 江戸時代・慶応3年(1867)12月 個人蔵

    ■2.格式の美
    こちらは、その2で記録しました。

    ■3.姫君のみやび
    何とも立派でありゃりゃというのが正直な感想。
  • 263 国宝 千代姫婚礼調度 江戸時代・寛永16年(1639) 名古屋・徳川美術館蔵; 名古屋の徳川美術館でも一部拝見したが、長持の覆いまで多数のお道具具が展示されていた。

  • 274 竹葵牡丹紋蒔絵女乗物 伝従姫所用 1挺 江戸時代・寛文4年(1664) 東京国立博物館蔵;はじめて公家で江戸に下った鷹司家従姫所用とのこと。

  • 280 東福門院入内図屏風 6曲1双 江戸時代・17世紀 名古屋・徳川美術館蔵;三井文庫の屏風と違い記録性はないが状態はいいし、人物も大きく描かれていて行列の細部がよくわかる。
  • 281 唐衣裳のうち表着・唐衣・桧扇・髪上具 東福門院所用 1具 江戸時代・17世紀 京都・霊鑑寺門跡蔵

  • 284 萌黄地葵唐草筥牡丹文二陪織小袿 天璋院所用 1領 江戸時代・19世紀 東京・川記念財団蔵

    でも流石天皇家の格。和宮の持ち物はすごい。
  • 286 白綸子地雲立涌菊折文打掛 伝和宮所用 1領 江戸時代・19世紀 東京・川記念財団蔵
  • 288 白麻地紅葉桜蝶文四つ身 伝和宮所用 1領 江戸時代・19世紀 東京・川記念財団蔵
  • 290 白綸子地菊牡丹藤麻葉蝶文打掛 伝和宮所用 1領 江戸時代・19世紀 東京・川記念財団蔵
  • 296 六玉川蒔絵袖机 和宮所用 1基 江戸時代・19世紀 東京・川記念財団蔵
  • 297 文房具 和宮所用 江戸時代・19世紀 東京・川記念財団蔵
  • 299 金糸楓に雀文刺繍懐紙入 和宮所用 1点 江戸時代・19世紀 東京・川記念財団蔵 こちらに解説

    でも、家斉が京で和宮への土産にと、もとめた西陣織は一寸涙を誘います。
  • 306 空蝉の袈裟 和宮所用 1領 江戸時代・19世紀 東京・増上寺蔵

    (12日)
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    特別展 美の求道者 安宅英一の眼 @三井記念美術館

    2007-10-15 | 陶磁器
    特別展 美の求道者 安宅英一の眼
    安宅コレクション
    2007年10月13日から12月16日
    三井記念美術館

    大阪市立東洋陶磁美術館は開館25周年を迎え、この10月から改装ということで、安宅コレクションの巡回がはじまった。わたしのように、安宅コレクションをきちんと拝見したことがない者にとっては、うってつけの機会と思って、東京まで名品がやって来るのは嬉しい。安宅コレクションは約1000点。そのうち、今回の企画では、大阪展では202点が展示されたようだが、東京展では展示スペースの関係で、126点しか展示されていない。一寸残念。

    第一室から第三室にまずは、中国陶磁の名品がならぶ。
  • 加彩婦女俑 唐時代 8世紀中葉 図録81 広田不狐斎氏旧蔵
  • 国宝 飛青磁花生 龍泉窯 元時代13世紀から14世紀 図録89;鴻池家伝来、器形 玉壷春
  • 重文 木葉天目 吉州窯 南宋時代 12世紀 図録91;加賀前田家伝来
  • 重文 白磁銹花牡丹唐草文瓶 定窯 北宋時代11から12世紀 図録86;定窯白磁に鉄泥で褐色の文様。器形は太白尊。
  • 重文 青磁刻花牡丹唐草文瓶 耀州窯 北宋時代11から12世紀 図録87;彫が深いのが印象的。器形は吐嚕瓶
  • 青磁水仙盆 汝窯 北宋時代11末から12世紀初 図録84;日本にある汝窯三点のうちのひとつ。現在個人蔵(川端康成氏旧蔵)の汝窯の青磁盤は泉屋博古館分館で開催された「中国陶磁 美を鑑るこころ」(2006)にてで拝見したが、もう一点は何処?
  • 青磁八角瓶 南宋官窯 南宋時代 12世紀 図録85;F.C.ハリソン氏旧蔵(1903年)、故宮蔵品票「第七百五十一號」。仇焱之氏がクリスティーズ・オークションに依頼しで落札。太陽光で見ると釉色が美しいとのこと。もう一度、大阪市立東洋陶磁美術館を訪れないといけない。
  • 重文 緑釉黒花牡丹文瓶 磁州窯 北宋から金時代 12世紀 図録82;仇焱之氏から購入
  • 黒釉刻花牡丹文梅瓶  磁州窯 北宋から金時代 11から12世紀 図録83
  • 重文 青花蓮池魚藻文壷 景徳鎮窯 元時代14世紀 図録93
  • 重文 瑠璃地白花牡丹文盤 大明宣徳年製 明 宣徳年間(1426-35)図録98
  • 重文 法花花鳥文壷 明時代 15世紀 図録99;仇焱之氏から購入

  • 国宝 油滴天目 建窯 南宋時代 12から13世紀 図録88;豊臣秀次所持、西本願寺、三井家、若狭酒井家と伝来。

    途中から気がついたが、陶磁器以外の説明がガラス面に説明がある。安宅氏の入手の逸話だ。油滴天目を若狭酒井家の当主から、パレスホテルで緊張の面持ちで譲っていただいた逸話は、安宅氏がこうやって集めていたのかと髣髴とさせる。

    また、
    茶室(第三室)
  • 青磁鳳凰耳花生 龍泉窯 元時代13世紀 図録外
  • 重文 清拙正澄墨跡 霊致別称偈 室町三井家

    第四室
    ここからは、いくつか目に付いた品を。
  • 重美 三彩貼花宝相華文壷 唐時代・7世紀後半 図録111;唐三彩の壷
  • 青磁長頸瓶 銘「鎹」龍泉窯 南宋時代12世紀から13世紀 図録113;鎹(かすがい)で継いだ青磁瓶
  • 重文 青磁鳳凰耳花生 龍泉窯 南宋時代12世紀から13世紀 図録112;丹波・青山家伝来。債権担保物品であった情報を得て、担保をはずして手に入れたという。
  • 青磁管耳瓶 哥窯 南宋時代・13世紀;くすんだ白地に黒褐色の貫入がはいっているのが哥窯の特徴という。哥窯は真贋が難しいが、著名な研究者のみなが真正と認めたという。仇焱之氏からの購入。造形といい、釉色といい、控えめだが、さすが青磁美しい。

  • 重文 白磁刻花蓮花門洗 定窯 北宋時代・11世紀 図録52;ロンドンのP・ディヴィッド財団蔵のものとともに定窯深鉢として双璧とのこと。口縁部には銀の覆輪が嵌められている。
  • 五彩松下高士図面盆 大明萬暦年製銘 景徳鎮窯 明時代 万暦1573-1620 図録54;表面にスレ傷ひとつない。
  • 紫紅釉盆 鈞窯 明時代 15世紀 図録53;
    図録52-54の三点は、広田不狐斎氏が三種の神器として秘蔵した名品。それが、安宅氏に知れることになり、ついに譲ることになってしまった逸話が書かれていた。また、安宅氏が「コレクションを作り上げるの印象に残る人は」と問われて、広田不狐斎氏、仇焱之氏の二人を答えたそうだ。なるほど。

  • 重文 青花 枇杷鳥文 盤 明時代 永楽年間1403-24;50センチ径の大型の青花盤。ゆがみのない造形。

  • 青花蜀葵文碗 大明成化年製銘 景徳鎮窯 明時代 成化年間1465-87 図録119;
  • 青花鳳凰文盤 大明成化年製銘 景徳鎮窯 明時代 成化年間1465-87 図録117; 
  • 青花瓜文碗  大明成化年製銘 景徳鎮窯 明時代 成化年間1465-87 図録118;
    成化年間につくられた青花の碗はパレスボールと呼ばれ、世界に十数点しか残されていないとのこと。わずかにクリームを帯びたやわらない白磁の釉色。青花の色も淡くなっておだやかになる。洗練さの極致。とのことだ。なるほどと見入ってしまった。パレスボールは、今度覚えておこう。故宮にでもいかないと拝見できないか。

  • 五彩金襴手瓢形瓶 景徳鎮窯 16世紀;図録100

  • 黄地紅彩龍文壷 大明嘉靖年製銘 景徳鎮窯 明時代 嘉靖年間1522-66 図録101;
  • 黄地青花紅彩 牡丹唐草文 瓢形瓶 大明嘉靖年製銘 景徳鎮窯 明時代 嘉靖年間1522-66 図録120;
  • 緑地紅彩 宝相華唐草文 瓢形瓶  大明嘉靖年製銘 景徳鎮窯 明時代 嘉靖年間1522-66 図録121;
    など嘉靖年間の五彩の優品が並ぶ。


    さてこのあと
    第四室から第五室は高麗時代の青磁と朝鮮時代の粉青面象嵌;
    第六室は小品。
    第七室は朝鮮時代の陶磁器が並ぶ。
    すばらしい作品ばかりだが、素養がなく、どれもこれも目移りしてしまう。

  • 青磁象嵌六鶴文陶板 高麗時代 12世紀後半 図録29;顧歩、唳天、啄苔、疎翎、舞風、警露の中国古来の六鶴図に由来するポーズとのことだが。可愛らしい。
  • 青磁象嵌竹鶴文梅瓶 高麗時代 12世紀後半 図録26;こちらも六鶴図
  • 青磁象嵌辰砂彩 牡丹文 壷 高麗時代 13世紀 図録63;
  • 青磁象嵌辰砂彩 牡丹文 鶴首瓶 高麗時代 13世紀 図録64;銅紅釉が見事な二点。

  • 白磁 壷 朝鮮時代16世紀 図録150;青山二郎氏と安宅コレクションの関係を示す稀代の一点。青山氏の箱蓋裏書 銘白袴と青山二郎の角印のラベル。
  • 青花 草花文 面取瓶 朝鮮時代18世紀前半 図録161;
  • 青花辰砂 蓮花文 壷 朝鮮時代18世紀後半 図録163;浅川伯教氏(1884-1964)旧蔵品。赤星五郎氏が譲り受ける。18世紀後半官窯の傑作。安宅英一氏から直接、大阪市立東洋陶磁美術館に寄贈された。


    図録は、以前に大阪でもみた所蔵品の図録よりカラー図版がよかったので買い求めた。2100円もお手ごろ。これが読み応えがあった。

    「開催にあったて 主催者」 安宅産業崩壊から30年、大阪市立東洋陶磁美術館開館25周年、安宅英一(1901-94)氏が他界して13年目の節目の年の開催、ということで、コレクション形成に関する功罪を問う声も消えうせ、ようやく安宅英一氏の眼の軌跡をたどり、内包するものを問い直す。とあった。

    「安宅コレクション 林屋晴三」によれば、安宅コレクションは約一千点であるが、韓国陶磁793件(高麗陶磁304件、朝鮮陶磁485件、日本の茶の世界で高い評価を受けた高麗茶碗はない)、中国陶磁は144件(漢から唐代43件、宋時代33件、元明時代68件。)など。高麗・朝鮮陶磁はあらゆる作風のものが集められている、中国陶磁は名品主義的。特に朝鮮陶磁の質は韓国の国立中央博物館に劣らぬと評されている。

    「ある夏の想出-コモ湖畔のシュナーベル- 安宅英一」
    「古美術 安宅英一」
    「論考 ものをして 語らしむ-安宅英一の美学 伊藤郁太郎」。美術史専攻した伊藤氏は、昭和30年に安宅産業にコレクションのための要員として入社。そして昭和52年9月末に安宅産業が崩壊後、安宅氏に「頼みました、よ」との天の声に従い、幾多の壁を乗り越え、大阪市立東洋陶磁美術館館長を務めることになる。現職。その氏が、安宅英一氏の美学について論考している。

    つまり、この展覧会は、安宅英一氏に仕えた伊藤氏の集大成的な展覧会ということになる。キャプションが面白いのも当然。

    このほかに
    「中国陶磁の特質と安宅コレクション 出川哲朗」
    「近年の韓国陶磁研究と安宅コレクション 片山まび」
    「大阪市立東洋陶磁美術館 館長インタビュー 伊藤郁太郎」
    なども収録されている。もう一度、(展示替があるわけではないが)訪れたい。
    12月1日(土)から12月16日(日)は19時まで開館まで開館しているので、このあたりが狙い目。

    (13日)

    巡回
    福岡市美術館 2008年1月5日から2月17日
    金沢21世紀美術館 2008円2月29日から3月20日
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    Great Ukiyo-e Masters 春信、歌麿、北斎、広重

    2007-10-12 | 絵画
    Great Ukiyo-e Masters
    春信、歌麿、北斎、広重
    -ミネアポリス美術館秘蔵コレクションより-
    (前期)2007年10月2日から10月28日
    (後期)2007年10月30日から11月25日
    渋谷区立松涛美術館

    とらさんのBlogを拝見して早速行ってきた。300円とは思えない充実ぶり。
    リチャード・P・ゲール氏(1900-73)の3000点のコレクションとルイス・W・ヒル・ジュニア氏のコレクションの中から約240点を厳選したというもの

    1.紅摺絵の発色の良さに吃驚。
  • 鳥居清倍 神力定家東遊(宝永7年(1710)頃)
  • 二代鳥居清倍 七小町 六 あふむ小町

    2.春信が前期後期あわせて36点(東博で一年間通っても同数ぐらいしか見れません。それを考えるとすごい点数)
    前期は以下の18点。水売りは背景のピンクが良く残っているとの解説だったが東博のほうが状態は良かった。(20年前の図録では)
    エンボスも多用されていて見ていて楽しい。

  • 鈴木春信 見立玄宗皇帝と楊貴妃 明和2年絵暦
  • 鈴木春信 見立て高砂 明和2年絵暦 
  • 鈴木春信 水売り 明和2年絵暦 
  • 鈴木春信 見立小野道風 もと明和2年絵暦

  • 鈴木春信 花魁道中 明和3年頃
  • 鈴木春信 座鋪八景 塗桶の暮雪 明和3年頃
  • 鈴木春信 座鋪八景 台子の夜雨 明和3年頃

  • 鈴木春信 見立て牧童  明和4年頃
  • 鈴木春信 薫衣香 明和4年
  • 鈴木春信 三味線を弾く男女 明和4年頃 
  • 鈴木春信 三十六歌仙 紀友則 明和4年頃
  • 鈴木春信 隅田川舟遊 明和4年頃
  • 鈴木春信 船に乗り込む芸者  明和4年頃
  • 鈴木春信 花見の籠  明和4年頃
  • 鈴木春信 風流譚八景 松風の秋月 明和4年頃

  • 鈴木春信 松もとや前 明和5年頃  
  • 鈴木春信 風俗四季哥仙 仲秋  明和5年頃
  • 鈴木春信 見立琴高仙人   明和5年頃 
      
    3.状態のよい清長
  • 鳥居清長 三囲神社の夕立 三枚組み 天明7年

    4.北斎の摺物
    下記は摺物だと思うが、淡彩が魅力的だった
  • 北斎 壬生狂言 棒振 寛政2年
  • 北斎 壬生狂言 花盗人 寛政2年
  • 北斎 蟻通明神 享和年間
  • 北斎 王子稲荷境内 享和から文化
  • 北斎 大原女 享和から文化

  • 北斎 馬尽 駒曳銭 文政5年;北斎展のときより状態がよいような気がしたが。

    このほかも発色のいい北斎が楽しめる。北斎は前期後期合わせて56点。

    5.広重
    広重も前期後期合わせて50点。こちらもどの作品も楽しめる。
  • 広重 阿波鳴門之風景;水色の潮が綺麗。
  • 広重 本朝名所 遠州秋葉山;広重は遠近法が巧み。この山道の描き方など見入ってしまう。

    P.S.
    学芸協力は、千葉市美術館の浅野秀剛さんほか。

    奈良県立美術館 2008年4月5日から5月25日
    サンリツ服部美術館 2008年6月10日から7月10日
    に巡回。

    (7日)

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