徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

常設展 川村記念美術館

2006-08-20 | 美術
常設展(いま見られるコレクション)
川村記念美術館
2006年6月24日から8月20日

パブロ・ピカソ
酒場の前の男女 1900年 パステル、紙
 肘掛け椅子にすわる女 1927年 油彩、カンヴァス
 シルヴェット 1954年 油彩、カンヴァス
が3点。このほかに版画が5点。1900年の酒場の前の男女は、青の時代の前の作品。シルヴェットは前回3月にも見たが、モノトーンでデフォルメされていない若い女性が描かれている。いいですね。

長沢蘆雪 牧童図 1790年代(寛政年間) 屏風(六曲一双)、紙本墨画
尾形光琳 柳に水鳥 18世紀初頭 屏風(二曲一双)、紙本金地彩色
橋本関雪 琵琶行 1910年 屏風(六曲一双)、絹本着彩
鏑木清方 四季美人図 未詳 掛軸(四幅対)、紙本着色

4点とも素晴らしい作品。Kleeを見に来たのを忘れて見入ってしまいます。
長沢蘆雪の牧童図。牛に乗る牧童と、木にぶら下がったりして遊ぶ牧童。墨で一気に描いた樹木と薄い金雲で模様をつけた画面。伸びやかな筆遣いと長閑な風景が広がる。
尾形光琳 雪の名の緑と赤い葉でアクセントした晩秋と冬を対比させた柳に水鳥図。この1点で元がここまで来た甲斐がありました。
橋本関雪 琵琶行。説明がないので話が不明ですが、三艘の舟でいく壮年の男性たちと女性が描かれる。画面いっぱいに拡がる人物描写からは、只者ならぬ雰囲気が伝わってくる。帰ってGoogleすれば白楽天の有名な詩だそうで。たとえば、こちらに
鏑木清方 清方らしい、四季の美人図。

(15日)
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伝来の茶道具展 相国寺承天閣美術館

2006-08-19 | 茶道具
開基足利義満公600年御忌記念 改築事業完成オープン
伝来の茶道具展
2006年7月15日から2007年4月15日まで
相国寺承天閣美術館

開基足利義満公の600年御忌の記念事業として増改築に入り、昨年より一年休館していた承天閣美術館が、新館展示室や新収蔵庫の建設に加え、従来の展示室の内装も一新。今回は既存展示室を先行オープン。

相国寺に伝来してきた茶道具をはじめとする名品の数々に加え、重要文化財や、旧萬野美術館から寄贈された作品など、当館初公開となる作品も含めて多数展示、新たな門出を記念する展覧会。江戸前期、金森宗和によって作られ、明治期に復元された鹿苑寺(金閣寺)内の茶室「夕佳亭」を、このたび展示室内にも再現。


とはいうものの、初めて本美術館を訪れます。お香のいいにおいがします。重文とか重美とかは少ないのですが、一品一品が東京とは違い、室町文化、桃山文化の伝統真髄を感じさせる京都の五山ならでは展示でした。なお紙で頂いた目録を以下記録しましたが、一部追加はありましたし、展示順と異なっていたので、本当に展示されていたかは自信はありませんのであしからず。

まずは、茶道具
  • 竹茶杓 千利休作共筒 画像と説明正月に五島美術館でも千利休作の茶杓を拝見してはいる。茶杓まで鑑賞しだすと始まらないのだが。
  • 竹茶杓 蒲生氏郷作 山田宗へん(行人偏に扁)書 桃山;

  • 天青釉双耳香炉 汝窯 宋;形押しの虎の顔がついている。
    青磁の茶碗が2点見入ってしまいました。(この2点はリストに掲載されていなかった)
  • 砧青磁篠木茶碗 宋;二十本の蓮木文が刻まれる。雨過天晴を呈し口金の金の覆輪と相俟って碧天の美しさ
  • 砧青磁平茶碗 銘雨龍 宋 自片桐石州 贈鳳林承章(相国寺第95世);釉中に釉だまりがあり、口辺から高台にかけて一本の貫入が橋って金つくろがある。
  • 天龍寺青磁管耳花入 元;相国寺で天龍寺青磁を見ると納得してしまいます。 

  • 錐呉器茶碗 銘さらし 李朝
  • 青井戸茶碗 銘嶺松 李朝
  • 高麗茶碗 銘柿の蔕 藤村庸軒所持 李朝
  • 御本茶碗 銘春錦 李朝;

  • 唐津奥高麗茶碗 銘関戸の宿 桃山;
  • 絵唐津茶碗 銘丸米 桃山;
  • 黒樂茶碗 長次郎造 宗旦・直斎箱書き 桃山;
  • 絵志野茶碗 銘桂川 桃山;
  • 古瀬戸褐釉割高台茶碗 桃山;

  • 古染付葡萄棚水指 明;
  • 伊賀耳付末広形水指 桃山;

  • 明初染付山水人物大壺 明;
  • 百合口花入 定窯 宋;

  • 蓮弁文碗 鎌倉時代;画像と説明;リストにはないが多分展示されていた。(鎌倉時代の茶碗が1点でていた記憶があり凄いとおもった覚えが。)

    香合はすばらしかった。HPでかなりの香合が解説してにも関わらず、今回のものと同一のものは1つもありません。それだけ香合は多くのものを所蔵しているようだ。
  • 青磁犬鷹香合 明;型物香合番付 東二段目四位
  • 交趾蟹香合 明;
  • 阿蘭陀染付有馬筆香合 18世紀;
  • 堆黒雁香合 明;
  • 堆朱倶利龍字香合 明;
  • 堆黒牡丹香合 明;
  • 祥瑞蜜柑香合 明;
  • 青貝琉球漆龍香合 江戸;
  • 夕顔蒔絵粉溜錫縁香合 室町;

    このほか(?)に天目茶碗(?)を含めた台子の茶道具一式が飾られていた。


  • 蘭渓道隆墨跡「宋元」 鎌倉時代;すばらしい。印象的。宋元への想いが伝わってくる。
  • 一休宗純墨跡 大燈佛法 室町;
  • 春屋宋園墨跡 體中玄 江戸;
  • 舞布袋図 沢庵宗彭 松花堂相乗筆 江戸;
    など

    書状など
  • 千利休消息 桑山式部大輔宛 桃山
  • 千道安消息 桃山;
  • 千少庵消息 九月十九日付 桃山;
  • 柳に燕図 千宗旦画賛 江戸; 

    絵画
  • 重美 春屋妙葩頂相 自賛 南北朝;画像と説明
  • 重美 夢窓疎石頂相 我無影像 南北朝;あまりに状態がよく感激。インターネットの画像とは違い実物はすばらしい。
  • 重文 毘沙門天像 雪舟等揚筆 室町;
  • 観音猿猴図 狩野探幽筆、狩野尚信筆、狩野安信筆 三幅 江戸;
  • 江天暮雪図 牧谿筆 東山御物;柴田勝家、秀吉、家康、紀伊徳川家伝来;
  • 重文 陸信忠筆「十六羅漢図」 元時代
  • 敲氷煮茗図 円山応挙筆 1780年 江戸;「開元天宝遺事」にみえる故事にちなむ。
  • 朝顔に狗子図 円山応端筆 江戸;
  • 雲龍図 能阿弥筆 室町;銀閣寺伝来 明治初期に海外に流出したが里帰り。

    「夕佳亭」再現
    金閣寺に所在の茶室。95世鳳林承章が金森宗和に作らせたと伝えられる。上段の間、鳳棲楼は1661年9月28日後水尾院行幸にあたって増築。茶会記は、金森宗和でまとめられていた。

    床  金森宗和消息
    香合 夕佳亭古材 擬宝珠
    花入 竹尺八 金森宗和作
    釜  「古芦屋松竹梅地紋釜」 金森宗和所持 覚々斎箱書 桃山時代;古芦屋釜というのは、はじめて拝見。
    風炉 唐物写八角形 定林造
    敷板 重文 相国寺法堂古材
    水指 白釉水指 野々村仁清造
    茶入 古瀬戸面取 金森宗和箱
    茶碗 色絵桐波文茶碗 金森宗和箱
    茶杓 金森宗和共筒ノムラ殿 休夢宛
    建水 古銅成化年製
    蓋置 金森宗和作 寄竹

    玉座の間
    煙草盆 鉄刀木
    火入 染付松竹梅紋
    (草冠に良)入 蒟醤
    煙管 吸江斎好
    (12日)
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    相国寺瑞春院

    2006-08-19 | 日記
    相国寺瑞春院

    京都のホテルで今月の催し物を見ていたら相国寺瑞春院が特別公開になっているので訪れてみることにした。(7月22日から9月30日まで)

    相国寺瑞春院は臨済宗相国寺派の塔頭寺院。
    まずは方丈。今尾景年筆「孔雀の襖絵」、上田萬秋筆「雁の襖絵」などを拝見。水上勉の直木賞受賞作「雁の寺」の舞台として有名とのお話。水上勉が瑞春院にて雛僧として修行時の思い出をつづったのが「雁の寺」。彼は、あとで瑞春院を訪れ、実際は「孔雀の襖絵」しか見ていなかったはずなのに、「雁の絵」を見ていたと思い込んでいたと回想しているそうだ。修行僧の身では、「雁の絵」の部屋にははいれなかったはずだと。
    庭園は,夢窓国師の作風を取り入れた室町時代風の池泉回遊式庭園。約1千坪の庭の中央に心字型の池を配し,東側には観音霊場にみたてた33個の赤石の滝組。京都の街中とは思えない静けさ。草木が綺麗に手入れしてあり、夏萩が咲いていた。5月に訪れると、珍しい花が咲くと伺ったが、樹木の名は失念。池のほとりには表千家不審庵写しの茶室「久昌庵」。この茶室への入口のつくばいが水琴窟となっている。

    なお、特別拝観については京都市観光協会のホームページを調べれば掲載されていた。「京の夏の旅」定期観光バスのところ。別に定期観光バスに乗らなくても個人で拝観できる情報が書いてある。
    (12日)
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    樂焼の七不思議 樂美術館

    2006-08-18 | 陶磁器
    シリーズ樂ってなんだろう 親子で見る展覧会
    樂焼の七不思議
    2006年6月17日〜 9月3日
    樂美術館

    1階展示室

    初代長次郎     黒楽茶碗 銘 勾当
    二代吉左衛門・常慶  黒楽平茶碗
    三代吉左衛門・道入  黒楽四方茶碗
    四代吉左衛門・一入  赤楽茶碗
    五代吉左衛門・宗入  黒楽茶碗
    六代吉左衛門・左入  赤楽茶碗 銘 横雲
    七代吉左衛門・長入  赤楽茶碗
    八代吉左衛門・得入  赤楽茶碗
    九代吉左衛門・了入  黒楽茶碗 稲妻写(三代の稲妻の写)
    十代吉左衛門・旦入  赤楽茶碗 (グレーに緑班)
    十一代吉左衛門・慶入 黒楽茶碗 銘 大空
    十二代吉左衛門・弘入 赤楽茶碗 銘 楓の錦
    十三代吉左衛門・惺入 黒楽茶碗 銘 荒磯 (蛇褐釉)
    十四代吉左衛門・覚入 赤楽茶碗 銘 連山
    十五代吉左衛門    黒楽茶碗 銘 栗太郎 


    2階展示室
    目に付いたもののみ

    覚入 銘富士山 赤楽茶碗
    弘入 銘大文字 平茶碗
    弘入 つるかめ食籠
    惺入 貝絵御手洗水指

    以下は形のバラエティ
    一入 赤楽茶碗 銘明石
    弘入 黒楽平茶碗 銘渦潮
    了入 黒楽筒茶碗 銘氷柱(つらら)
    道入 筆洗型黒楽茶碗
    惺入 馬上杯赤楽茶碗
    慶入 唐人筒香炉釉茶碗
    長次郎 黒楽平茶碗 銘隠岐島(3碗しか長次郎の平楽茶碗はしられていない)
    吉左衛門 三星 黒楽茶碗
    吉左衛門 白楽釉楽茶碗 銘天小舟

    樂十五代の個性を見分けるのは大変。
        
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    常設展 京都国立博物館       

    2006-08-17 | 美術
    「美のかけはし」で、かなり疲れてしまったので、常設展は、ざっとみたのみ。

    1階では、小特集 近代京焼の革新者・清水六和が開催中。実は連休も展示されていたが。
    2階では、
  • 乗興舟 伊藤若冲;夏の定番なのでしょうか?1週間に2本も拝見することになりましたが、でも展示されていました。タイトルの「乗興舟」から5メートル以上は展示されていたのでは。大倉集古館所蔵のものよりも黒が濃い気がしました。文化遺産オンラインに画像がありました。「伊藤若冲が相国寺の大典和尚と淀川下りをした折りの感興を絵画化したもの。ふつうの版画とは異なり、拓本をとるようにして作ったもので、当時としては知的でハイカラな感じがした。こうした拓版画を、若冲は冊子本の「玄圃瑶華」「素絢帖」などでも試している。」とのこと。

  • 重文 波濤図 長谷川等伯筆。(禅林寺)寺伝では、狩野元信とされているが特徴ある皴法により長谷川等伯の作とされる。金雲墨画にしか見えないが、群青色も残っており、制作当初は華やかだったと推定されてる。とのこと。すこし傷みがひどく残念の一言。
  • 市川米庵像および画稿 渡辺崋山筆;市川米庵は、東博の特集「唐様の書」で知った。5千人もの弟子がいた大家。渡辺崋山と親交があったとは。

    仏画のフロアは、閻魔天像のオンパレード。小さな顔のついた棒を持っているのが閻魔天のトレードマークのようです。怖いですね。でも顔は優しげなのは、この優しげな閻魔天の顔にだまされてないようにという教訓のためでしょうか?

    (11日)
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    京都国立博物館 開館110年記念「美のかけはし」

    2006-08-17 | 美術
    特別展覧会 開館110年記念「美のかけはし」-名品が語る京博の歴史-
    2006年7月15日から8月27日 
    京都国立博物館

    京都国立博物館 の自慢名品ばかり並べた展覧会でした。それほど混雑もしていませんでしたし、とても楽しめました。東京から来たかいがあった。

    【第一章 諸行無常 東山の光と影】

  • 後白河法皇像  1幅  鎌倉時代 14世紀  京都・神護寺(寄託品);
  • 国宝 文覚四十五箇条起請文  1巻  平安時代後期 元暦二年(1185)  京都・神護寺(寄託品)
  • 国宝 白描絵料紙金光明経巻第三(目無経) 一巻  鎌倉時代 建久三年(1192) 京都国立博物館;
     後白河法皇関連が先ず3点並ぶ。昼間鞍馬寺霊宝殿「百の義経展」でディジタル画像処理で修正した後白河法皇像を見たばかり。そこに本物がでてきて吃驚。なお、京博のとなりの妙法院にも重文 後白河法皇像があるようだ。
     さらに次に、文覚四十五箇条起請文には、後白河法皇の朱色の手印が押されています。大天狗ではなく、梁塵秘抄を編纂した謡に凝った天皇だと「百の義経展」という話を振り返ると、この手印の品のよさもさもありなん。
     文覚(1129-1203)とはというと、Wikipediaによれば「俗名は遠藤盛遠(えんどうもりとお)で、元は摂津国渡辺党の武士であり、鳥羽天皇の皇女統子内親王(上西門院)に仕えていた北面の武士。従兄弟で同僚の渡辺渡(わたなべわたる)の妻、袈裟御前に横恋慕し、誤って殺してしまったことから出家したという。荒廃しきっていた神護寺を再興するため後白河天皇に強訴したため、渡辺党の棟梁の摂津源氏の源頼政の知行国であった伊豆国に配流された。そこで同じく配流の身だった源頼朝に平家打倒の挙兵を促す。」などとあった。そのときの有名な起請文ということになる。
     白描絵料紙金光明経巻第三(目無経)は、下絵のある料紙を用いて写経されている。この物語絵巻は後白河法皇のもとで制作されていたもので、『理趣経』巻末の奥書によると、法皇は晩年にある女性と物語絵を作っていたが、その途中で崩御されたので、残された人びとは、下絵までできていた絵巻の制作を中断し、その紙に経典を書写することにしたという。故人ゆかりの紙に経典を書写することが供養になると考えられていたからである。、『金光明経』4巻と『理趣経』1巻のうち完存するのは京都国立博物館蔵の『金光明経』巻第三と東京・大東急記念文庫蔵の『理趣経』(国宝)の2巻だけで、巻第二と巻第四が断簡となって残っている。(e国宝から確かに料紙に目無しの人物などが描かれています。大東急記念文庫のものをこんど拝見したいものです。

  • 国宝 土佐日記 藤原為家筆  1帖  鎌倉時代 嘉禎二年(1236)大阪青山短期大学(寄託品);土佐日記の写本。流麗な書体まで写したのでしょうか?

  • 公家列影図  1巻  鎌倉時代 13世紀  京都国立博物館;平氏の面々が描かれています。 

    【第二章 大仏出現 秀吉の夢の跡】
    昨日の徳川美術館天下人たちの時代 -信長・秀吉・家康-に引き続き秀吉の展示です。京博が秀吉を取り上げているのは、もともと京博(の一部の敷地)は、方広寺の敷地だったということによる。功名が辻4巻を読んでおいてよかった。

  • 重文 豊臣秀吉像 玄圃霊三・惟杏永哲賛  1幅  桃山時代 慶長五年(1600)  滋賀・西教寺(寄託品);徳川美術館では、原本 一宮市妙興寺蔵を桜井清香模写(1936)を拝見しましたが、こちらは当時のもの。
  • 重文 日月蒔絵硯箱  1合  桃山時代 16世紀 京都・仁和寺(寄託品);日月という意匠は天皇を敬うものとは。なるほど。
  • 重文 桐矢襖文胴服 豊臣秀吉所用  1領   桃山時代 16世紀  京都国立博物館;秀吉の派手さがよくわかります。
  • 重文 豊臣棄丸坐像  1躯  桃山時代 16世紀  京都・隣華院(寄託品)     
  • 重文 小形武具 豊臣棄丸所用  1具のうち  桃山時代 16世紀  京都・妙心寺(寄託品)
          松竹鶴亀菊文童具足 1領、蓬莱文童具足  1領、金箔押兜  1頭
    「功名が辻」の原作4巻を最近読んだばかりです。秀吉の話が随所に挿話されていて、棄丸の話も知りました。それにしても、こんな豪華絢爛な武具も他にはないでしょう。
  • 素文透柄鏡・菊桐紋蒔絵柄鏡箱  1具    京都・妙法院(寄託品)     
       素文透柄鏡  1面  インドネシア・東ジャワ時代 14~15世紀     
       菊桐紋蒔絵柄鏡箱  1合  桃山時代 16世紀     
  • 豊公遺宝図略  2冊  江戸時代 天保三年(1832)  京都国立博物館 
    「豊公遺宝図略」(真静編 呉景文・岡本豊彦画 天保3年(1832)刊2冊。豊臣秀吉の遺宝の図集。兜、鎧、太刀掛、表袴、王冠、茶道具などが載っている。)と遺宝「真珠付純金団扇」を徳川美術館で拝見したばかり。京博では、同じく「豊公遺宝図略」から素文透柄鏡・菊桐紋蒔絵柄鏡箱(京都・妙法院(寄託品))を拝見したことになります。
  • 梵鐘銘拓本  1巻のうち一点  江戸時代 19世紀  京都国立博物館
     問題の方広寺の梵鐘銘拓本。「国家安康」「君臣豊楽」
  • 方広寺大仏殿諸建物并三十三間堂建地割図 大工頭中井家建築指図のうち  1巻  江戸時代 17世紀  埼玉・中井正知(京都市歴史資料館寄託)     
  • 京都大仏雛形  1躯  江戸時代 17世紀  東京国立博物館     
  • 方広寺大仏殿瓦  3点のうち2点  江戸時代 17~18世紀  京都国立博物館 巴紋軒丸瓦  1点、桐紋軒丸瓦  1点
     奈良の大仏より大きな大仏殿があったとは想像しがたいです。奈良の大仏は8世紀から鎮座しているとは、これはすごいことなのですね。

  • 豊国祭礼図屏風 すでにこちらに記事を書いた。


    【第三章 京博誕生 文化財保護の原点】
  • 旧帝国京都博物館建築資料  1括のうち  明治時代 明治二十八年(1895)京都国立博物館      毘首羯磨(びしゅかつま) 、伎芸天、菊花紋章
     本館入館の際、空を見上げながら、何気なく破風に目がいって立派だなと思った。中に入って建築資料として展示されていて、偶然に吃驚。毘首羯磨(びしゅかつま) 、伎芸天だそうだ。作者は、東京美術学校(現東京芸術大学)教授の竹内久一と伝承。
  • 柳橋水車図屏風  6曲1双  桃山時代 17世紀  京都国立博物館
     先般小さな柳橋水車図屏風を大倉集古館で拝見しましたが、こちらは、立派な6曲1双でした。

    【第四章 魅せる 名品との出会い】
    ここのコーナに国宝がずらっと並びます。
  • 国宝 龍智像 真言七祖像のうち  7幅のうち1幅  平安時代前期 弘仁十二年(821)京都・東寺(寄託品); 真言七祖像は、空海の請来目録にある五祖師像に2つの祖師像を追加したもの。五祖師像は、唐画の遺品中でも名高い。今回の龍智像は、仏画の平安初期に稀な作品。伝空海による筆がある。
  • 国宝 釈迦如来像  1幅  平安時代後期 12世紀  京都・神護寺(寄託品);画像・解説はこちら
  • 国宝 釈迦金棺出現図 1幅 平安時代中期 11世紀  京都国立博物館;状態はよくないですが、構図といい、素晴らしい。
    「釈迦が金棺に身を横たえたとき、天上からはせ参じたものの間に合わなかった母のため、神通力を用いて復活説法する場面を描いている。奇跡に立ち会った会衆の驚喜の感情が、巧みな筆線と求心的構図によって見事に活写されている。典拠は『摩訶摩耶経(まかまやきょう)』。この主題を単独画面として描いたものは本作品だけであり、平安仏画の大画面の遺品としてもたいへん貴重である。様式史的にみて11世紀後半から末頃の制作であろう。本作品はもと京都の天台宗長法寺にあり、江戸時代には「涅槃図」と呼ばれていた。その後、松永記念館の所有をへて国に寄贈された。」(e国宝
  • 国宝 孔雀明王像  1幅  中国・北宋時代 11世紀  京都・仁和寺(寄託品);東博にも国宝の孔雀明王像があるようだ。拝見したいもの。画像は展覧会の説明に。
  • 国宝 源頼朝像・平重盛像  2幅  鎌倉時代 13世紀  京都・神護寺(寄託品); 4月に東博の国宝室で伝藤原光能像も拝見しているので三幅とも拝見したことになります。    
  • 国宝 山水図 李唐筆  2幅  中国・南宋時代 12世紀  京都・高桐院(寄託品);隠し落款で李唐作となったそうです。李唐の解説と、画像はこちら   
  • 国宝 瓢鮎図 大岳周崇ほか賛 如拙筆  1幅  室町時代 15世紀  京都・退蔵院(寄託品);第四代将軍の足利義持による問答の絵。鮎魚(ねんぎょ。本来、『鮎』は鯰を意味する)竹竿(ちっかん)に上(のぼ)る」(苦労して成功するという意味)「いわんや瓢をや」ということです。高僧の賛がいっぱいです。画像・解説はこちら     

    【第五章 蒐める 収蔵品の成り立ち】
    【守屋コレクション】
  • 重文 一字蓮台法華経 如来神力品第二十一  1巻  平安時代中期~後期 11~12世紀  京都国立博物館; 最澄と天台の国宝で、国宝 一字蓮台法華経 9巻のうち 巻第3 平安時代・11世紀 福島・龍興寺蔵を拝見しています。画像・解説はこちら     
    【上野コレクション】
  • 集王書大唐三蔵聖教序(宋拓)  1帖  中国・唐時代 咸亨三年(672)建碑  京都国立博物館;画像・解説はこちら(文化遺産オンライン)   
  • 陶淵明・飲酒二十首 文徴明筆  1巻  中国・明時代 嘉靖三十三年(1554)  京都国立博物館;文徴明の書って素晴らしいです。画像はこちら文徴明(ぶんちようめい:1470~1559)が東晋の詩人、陶淵明(とうえんめい)の「飲酒二十首」を絹本(けんぽ
    ん)に書写したもの。巻末に「甲寅七月朔書、時年八十有五、徴明」とあり、徴明が官を退いて郷里の蘇州で自適していた晩年の作であることがわかる。円熟した典型的な行書体を示す優品である。

    【購入と管理替】
  • 国宝 芦手絵和漢朗詠抄  2巻のうち1巻  平安時代後期 永暦元年(1160)京都国立博物館;画像・解説はこちら(京博)
  • 国宝 山越阿弥陀図  1幅  鎌倉時代 13世紀  京都国立博物館;画像・解説はこちら(京博)
  • 重文 遠浦帰帆図 伝牧谿筆  1幅  中国・南宋時代 13世紀  京都国立博物館;画像・解説はこちら(京博) 
  • 鸞天目(鼈盞) 吉州窯  1口  中国・南宋時代 12世紀  京都国立博物館;前田家伝来。画像・解説はこちら(京博)     
  • 国宝 太刀 銘則国  1口  鎌倉時代 12~13世紀  京都国立博物館;刀剣には、余り興味がないのですが、この銘則国は細身で美しかった。画像・解説はこちら(文化遺産オンライン)
  • 堀江物語絵巻 岩佐又兵衛筆  1巻  江戸時代 17世紀  京都国立博物館;大絵巻展では、よく拝見しなかったのですが、今回はしっかり拝見。 

    【第六章 護る みやこの宝蔵】
  • 国宝 絵因果経  1巻  奈良時代 8世紀  京都・上品蓮台寺(寄託品);Wikipediaによれば、奈良時代の作例としては東京芸術大学本(国宝)、京都・上品蓮台寺本(国宝)、京都・醍醐寺本(国宝)、東京・出光美術館本(重文)などがある。画像・解説はこちら(京博)。東京芸術大学本は、東京美術倶楽部 創立100周年記念「大いなる遺産 美の伝統展」で、東京・出光美術館本は、開館40周年記念 出光美術館名品展Iにて拝見したばかり。
  • 阿弥陀二十五菩薩来迎図  1幅  鎌倉時代 13~14世紀  京都・知恩院(寄託品); 画像・解説はこちら(京博)  
  • 重文 方丈記  1巻  鎌倉時代 13世紀  京都・大福光寺(寄託品); きちんとした字です。

    【第七章 甦る 文化財の総合病院】
  • 中巌円月坐像  1躯  南北朝時代 14世紀  京都・霊源院(寄託品)
        毘沙門天立像(中巌円月像内納入)  1躯  鎌倉時代 13世紀 
  • 重文 聖一国師像 自賛  1幅  鎌倉時代 弘安二年(1279)  京都・万寿寺(寄託品)
  • 信長公記 太田牛一筆  15冊のうち1冊  江戸時代 17世紀  京都・建勲神社(寄託品)

    (11日)   
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    「珠玉の日本美術 細見コレクション リクエスト展06」

    2006-08-16 | 美術
    「珠玉の日本美術 細見コレクション リクエスト展06」
    2006年7月7日~9月10日
    京都 細見美術館

    この一年、かなりの数の展覧会を見ている。時々細見美術館所蔵とある。たとえば、
  • 天台宗開宗1200年記念 特別展の普賢菩薩像 1幅 平安時代・12世紀;国宝の普賢菩薩像とは違って、とても秀麗な表情。象もやさしげだった。
  • 北斎展(後半) 202 五美人図;五人も美人が所狭しと描かれていて華麗
  • 北斎展(前半) 136 夜鷹図; 肉筆画、柳がいい。
    こんなわけで、是非一度訪れたいと思っていた。

    細見美術館は、開館は平成10年3月22日。平安神宮をはじめ美術館、図書館などの文化施設が集まる岡崎公園の一角に位置する。細見コレクションは、昭和の実業家、細見良(初代古香庵1901~79)に始まる細見家三代が蒐集したもの。千余点にのぼる蒐集品には重要文化財三十数件が含まれ、日本美術のほとんどすべての分野、時代を網羅する日本美術コレクションとして内外より高い評価を受けている。ということ。

    さらに、現在開催中の展示は、、
    夏恒例の「細見コレクション・リクエスト展」今年はさらにエントリーを増やし、充実のラインナップで開催。恒例となりました細見美術館夏のお楽しみ、「珠玉の日本美術 細見コレクションリクエスト展」。 第6弾となる今年も、お気に入りの館蔵品に、館内&ホームページで投票していただき、 ドリームリストができあがりました!ランキング発表とともに名品の競演を心ゆくまでご鑑賞ください。
    というわけで、否が応でも期待が高まります。

    さて、コンクリートのモダンな建物に、入館のシールをもらって入場です。

    リクエストTOP20と、神仏の世界、琳派・RIMPA、若冲の世界と近世絵画、遊楽さまざま、かざりと雅で番外が発表されています。残念なのは、重文 豊公吉野花見図屏風(桃山時代)がTOP20に入りながら、作品保護のため出展されていなかったこと。今回の名古屋・京都ツアーでは、秀吉関連の品々を、徳川美術館、京都国立博物館、さらには茶道資料館ですら北野大茶会図を拝見していたので、これも見たかった。なお、どういう順位がついていたかは、ここでは一応秘密でしょうから、訪問してのお楽しみとしておきます。

    その中でも私の目にとまったのは、

  • 金魚玉図 神坂雪佳 一幅(明治期から昭和期)
    神坂雪佳の作品ははじめて。琳派の系譜を引くそうだ。コミカルです。
  • 重文 金銅春日神鹿御正体 南北朝時代
    春日曼荼羅の鹿の工芸品です。余りにリアルで素晴らしい。
  • 富士望見図 青木木米 1824 一幅;
    青木木米といえば、京焼と思っていました。(こちらは昨年の東博での特別展)先日の東京国立博物館で「唐様の書」の展示で「染付詩文四方茶壺 2合 青木木米筆 江戸時代・19世紀」「色絵詩文煎茶碗 5口 青木木米筆 江戸時代・文政7年(1824)」と焼き物の上に書をしたためた作品が展示されていた。ここでは、ついに画です。焼き物のほかに書画も嗜んだことになります。
  • 志野茶碗 銘 弁慶;すこし大振りでの茶碗、お決まりの橋の文様は五条大橋。
  • 伊勢物語図色紙「大淀」俵屋宗達
  • 重美 貫之集断簡「石山切」(和泉の国にあるあいだ);二面のうち一面は、破り継ぎの料紙。貫之集で破り継ぎの料紙は初めて拝見。
  • 重文 芦屋霰地楓鹿図真形釜(あしや あられじかえでしかず しんなりがま);釜はよくわかりませんが、細見古香庵氏は「茶の湯釜の研究」とか書籍を出してますし、茶道資料館発行 図録に「細見コレクション―釜と掛物―」というのがありました。

    もちろん、普賢菩薩像、北斎はありましたし、若冲が5点、抱一も。

    絵葉書売っていたのでしょうか?見つかりませんでした。
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    2つの豊国祭礼図屏風

    2006-08-15 | 美術
    今年は、「功名が辻」の放映もあり秀吉ブームである。豊国祭礼図屏風が京都と名古屋で展示されていた。たまたま2日続けてみたのでちょっと吃驚だった。京都国立博物館で開催されている「美のかけはし」(2006/7/15-8/27、豊国祭礼図屏風は、前期後期で一隻ずつ入れ替え)と徳川美術館で開催されている「天下人たちの時代 -信長・秀吉・家康-」(2006/7/22-9/3)だ。

    文化遺産オンラインから引用すると、
    重文 豊国祭礼図屏風 狩野内膳筆 六曲二双;京都 豊国神社 (財団法人 京都国際文化交流財団 )
    秀吉の七回忌にあたる慶長9年の8月12日~19日にかけて例年をはるかに凌ぐ規模で挙行された臨時大祭礼の様子を描いた屏風。豊臣秀頼が片桐且元に命じて作らせたもので祭礼の2年後の慶長11年に豊国社に奉納された。右隻には広大な豊国社を中心に据え8月14日に行われた行事を描き、左隻には巨大な方広寺大仏殿を中心に置き8月15日に行われた行事を描く。

    画像(左隻)は京都新聞へのSRCリンク。文化遺産オンラインはこちら(左隻)こちら(右隻)

    重文 豊国祭礼図屏風 伝岩佐又兵衛 六曲一双;徳川美術館
    豊国祭礼は、豊臣秀吉七回忌を記念して慶長九年(一六〇四)八月に行われた祭典である。向かって右隻には豊国神社社頭における田楽猿楽の奉納、騎馬行列が、左隻には方広寺大仏殿を背景に、上京・下京の町衆が華美ないでたちで豊国踊に熱中するさまが描かれる。一双で千人近い人物が華麗な彩色と力強い筆致で、しかも細密に描きだされており、これらの群衆が織りなすうねるような狂躁や熱気は、見る者を圧倒する。本図は岩佐又兵衛筆と伝承されるが、確証はない。高野山光明院、蜂須賀家と伝来し、昭和八年徳川美術館の所蔵となった。

    画像は徳川美術館へのSRCリンク。文化遺産オンラインはこちら

    後者の方が、伝岩佐又兵衛というだけあり、生き生きと人々が描かれていて楽しい。また保存状態も良好と感じた。しかし、今写真で見ると、全体的な構成という意味では、狩野内膳筆もなかなか、整然とした画面構成である。

    なお、2006年7月15日に、日本美術史学会西支部例会で「徳川黎明会所蔵『豊国祭礼図屏風』について-岩佐又兵衛とその工房に関する一考察」(京都大学大学院 筒井忠仁)という発表があったようだ。(PDFはこちら)。発表要旨によれば、

    「もっとも初期の作例と考えられているのが、慶長十一年(1606)に豊臣秀頼によって奉納された豊国神社所蔵『豊国祭礼図屏風』である。狩野内膳の落款を持つこの屏風は、計算された構想のもとに事物を整然と配置するとともに、祭礼の威儀を忠実に記録しようとする意図が見られ、一つの規範性を獲得することに成功して、後の作品に多くの影響を与えている。徳川本『豊国祭礼図屏風』もまた、画面の構成やモチーフの選択において豊国神社本を強く意識しているが、描写法の相違によって、対照的とも言える印象を見るものに与えている。そのため、これまで徳川本について論じるさいには、常に豊国神社本との比較が行われ、豊国神社本の秩序だった構成や静謐な画面と、徳川本の雑踏や乱舞の混沌としたさま、あるいは彩色や文様の描写に見られる過剰さといったものが対比されてきた。」と今までの一般的な見方を述べたあとに、別の面について言及している。詳細はPDFを。
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    天下人たちの時代 -信長・秀吉・家康- @徳川美術館

    2006-08-14 | 美術
    天下人たちの時代 -信長・秀吉・家康-
    2006年7月22日から9月3日
    徳川美術館

    書状はとりあえず飛ばして、目に付いたものだけ。

    三英傑の人となり
    織田信長
    4 唐物茶壺 銘 金花 大名物 織田信長所持 南宋- 元 13-14世紀
    5 唐物茶壺 銘 松花 大名物 同上所持 南宋-元 13-14世紀
    安土城を完成させた織田信長に、各地からさまざまな名物が贈られた。中でもとりわけ信長を喜ばせた品が、当時とても有名な名物であった金花・松花の茶壺であったと記録されている。 特に「松花」は現存する茶壺の中で、最も数多く記録に登場し、茶壺としては唯一重要文化財に指定されている。
    茶壷なるものは、博物館でまじまじみたのは初めて。高さ30センチもあろうかという壺です。大きさに吃驚です。

    豊臣秀吉
    9 豊臣秀吉朱印状 刀狩令 天正十六年七月八日付 桃山 天正16年<1588> 名古屋大学文学部
    歴史を感じます。

    10 真珠付純金団扇 豊臣秀吉所用 朝鮮王朝 16世紀
    11 豊公遺宝図略 山内英司氏寄贈 江戸 天保3年<1832>
    「豊公遺宝図略」(真静編 呉景文・岡本豊彦画 天保3年(1832)刊2冊。豊臣秀吉の遺宝の図集。兜、鎧、太刀掛、表袴、王冠、茶道具などが載っている。)に掲載された「真珠付純金団扇」。赤い団扇です。秀吉の派手好きがよくわかります。翌日に京都国立博物館で、同じく「豊公遺宝図略」から素文透柄鏡・菊桐紋蒔絵柄鏡箱(京都・妙法院(寄託品))を拝見。「豊公遺宝図略」は有名な図録のようです。

    徳川家康
    文書に見る「天下人」のしるし


    さも目出度き御時代かな
    40重文 豊国祭礼図屏風 六曲一双のうち 江戸 17世紀
    慶長9年(1604)8月に行われた、秀吉七回忌の祭礼の情景を描く。右隻は豊国神社の社頭における田楽猿楽と武者行列、左隻は方広寺大仏殿を背景に、上京・下京の町衆が揃いの華美ないでたちで、風流踊に熱狂する光景を描いている。祭礼の計画を進めたのは、秀吉の歿後、天下人となった家康であった。天下人によってもたらされた安定と平和を、世に大きくアピールするねらいがあった。

    翌日に京都国立博物館で、重文 豊国祭礼図屏風 狩野内膳筆も拝見している。比較などについては別項で。

    茶の湯 伝統と新風

    41 太閤記 巻七 小瀬甫庵著 二十二冊のうち 江戸 万治4年<1661> 名古屋市博物館
    42 古芦屋姥口雹釜 名物 豊臣秀吉・徳川家康所持 室町 15世紀
    実にたっぷりとした、古芦屋の名釜である。武野紹鴎が所持し、当時の茶書や名物記に「筋釜」として登場している。『玩貨名物記』所載。 これも古芦屋の、滑らかな地肌の結構な金味が見所である。 ただ現状では、展示されている側の裏がかなり傷んでいる。それだけでなく、釜の銅より下は、後世の補修になる物と思われる。明らかに肌の調子が違うので、すぐに分かるだろう。先に「実にたっぷりとした」と書いたが、釜の胴より下が不自然に高く大ぶりになったのはこの為であり、当初の釜はもっと扁平の、自然な形をしていた筈である。 従って、この釜の見所は、胴上のオリジナルの部分であると言えるだろうか。後世の補修部分と、当初のオリジナルの部分とを比べれば、オリジナルの、古芦屋の肌合の素晴らしさが一目瞭然であろう。(名古屋茶道大鑑より)

    43 竹茶杓 銘 ひがし山ごぼう 伝豊臣秀吉作 岡谷家寄贈 桃山 16世紀

    44 古瀬戸肩衝茶入 銘 横田 大名物 織田信長・豊臣秀吉・徳川家康所持 室町 15世紀
    45 朱塗四方盆(若狭盆) 名物 明 16-17世紀
    名物古瀬戸茶入の双璧と称賛されているのが、「鎗の鞘」と「横田」である。「横田」は所有者の名と思われるが不明である。大振りで背の高い寸胴形で、胴の中ほどに斜めに大きな篦痕(へらあと)がある。総体に渋紙釉がかかり、梨子地状に銀色に発色する斑点が無数にあり、荘重な味わいの中に華やかさを含んでいる。
     花兎文古金襴(はなうさぎもんこきんらん)(角倉金襴類裂)の仕覆が附属する。足利義政、義昭、織田信長を経て豊臣秀吉に伝わり、天正13年(1584)小牧長久手の戦いの和議の際、秀吉から家康に贈られ、更に初代義直に譲られた。

    小牧長久手の戦いの和議の際、秀吉から家康に贈られたという逸話は、凄い話ですね。

    47 古瀬戸肩衝茶入 銘 筒井 大名物 筒井順慶・徳川家康所持 室町 15世紀
    48 朱塗四方盆 明 16-17世紀

    49 竹の子文志野筒茶碗 歌銘 玉川 岡谷家寄贈 桃山 16世紀
    柔らかい志野(しの)独特の釉の中に、紅の竹の子が幻想的に浮かび上がっている。向付(むこうづけ)として作られたものであるが、あまりにもその姿が端正で美しいため、茶碗に用いられた。この茶碗は、かなり灰の混ざった長石釉(ちょうせきゆう)が薄くかけられ、文様に古雅なところがあり、製作年代は比較的古いと思われる。銘の「玉川」は、小堀遠州(こぼりえんしゅう)の第三子である小堀権十郎による命名で、「新古今和歌集」巻第六の「冬歌」に収められている下の歌による。岡谷家寄贈。
     夕されば汐風こしてみちのくの野田の玉川千鳥なくなり 
    能因法師


    50重文 織部筒茶碗 銘 冬枯 岡谷家寄贈 桃山 16世紀
    筒形の茶碗である。桃山時代の着物や漆工品に多くとり入れられた「片身替り(かたみがわり)」の意匠を思わせるかのように、黒釉と白釉とにかけ分けられている。黒釉の部分は、文様が削り出され、白釉の部分には鉄絵で描かれている。抽象化された文様は、世界デザイン史上の革命とも云え、いかにも冬の野原に枯れ残った草木を髣髴とさせるとも見える。底部にも白釉がかけられ、高台内に「Q」と読める印が捺してある。岡谷家寄贈。

    暮らしを彩る桃山のデザイン
    59◎ 紫地葵紋付葵の葉文辻ケ花染羽織 徳川家康着用 桃山-江戸 16-17世紀
    この羽織は「胴着」と称されて、四代吉通が、幼年のときに着用したとの記録がある。だが文様や仕立て寸法、染の技法からみて、「駿府御分物」の中から選んで吉通が愛用した羽織と解される。家康着用の羽織は、日光東照宮や上野東照宮にも秘蔵されるが、本品はその中でもデザイン、保存状態とも抜群である。紫地に染め抜かれた葵の葉は、色とりどりに美しく、その配置も妙を得ている。縫い絞りによるおおらかな表現と、引きしまった葉柄の線にみられる繊細さなど辻ヶ花染の技巧を余すところなく駆使した代表作である。(文化遺産オンライン)(画像は文化遺産オンラインに)
    61 根芹に雪輪小紋筒小袖 徳川家康着用 桃山-江戸 16-17世紀
    65 薄浅葱地雪持桐文麻浴衣 徳川家康着用 桃山-江戸 16-17

    芸の道 文の道
    武将が愛した名刀
    命をかけた戦いの現場
    89 長篠合戦図屏風 六曲一隻 江戸 18世紀
    鉄砲隊が描かれています。
    松平忠吉と関ヶ原の戦い


    武将の横顔―戦いの文書を読む
    105 徳川家康三方ヶ原戦役画像 桃山-江戸 16-17世紀
    家康の経験した負け戦とは三十一歳に当たる元亀三年(一五七二)十二月、三方ヶ原で起こった武田信玄との合戦である。家康は後年、この敗戦を肝に銘ずるためにその姿を描かせ、慢心の自戒として生涯座右を離さなかったと伝えられる。威厳のある堂々とした権現像とは異なり、憔悴し切った家康の表情が巧みに描かれており、別名「顰(しかみ)像」とも呼ばれている。(文化遺産オンライン)(画像は文化遺産オンラインに)
    先週、テレビの「功名が辻」で紹介されたばかりだったので吃驚。



    戦いから武芸へ―乱世の終焉
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    徳川美術館 常設展

    2006-08-14 | 茶道具
    徳川美術館 常設展
    2006年7月25日から9月24日(全期)
    前期(8/22まで)のみの展示あり。

    徳川美術館は侯爵徳川義親の寄附によって昭和6年に創立された財団法人徳川黎明会が運営している私立の美術館で、昭和10年(1935)開館。尾張徳川家の歴代相伝の重宝、いわゆる「大名道具」を収め、しかもその後、徳川宗家(将軍家)や紀州徳川家、一橋徳川家、蜂須賀家などの大大名の売立重宝の一部も購入し、岡谷家をはじめいくつかの篤志家の寄贈品をも収めてさらに充実し現在に至っている。国宝9件、重要文化財57件、重要美術品46件 など一万数千件。

    今回初めて、徳川美術館を訪れ、その一端に触れることが出来た。東京の展覧会とは違った、当時を再現した「大名道具とは何か」について膚で感じられた。

    第一展示室 武家のシンボル 武具・刀剣
    10 白絽地葵紋付波文陣羽織 徳川慶勝(尾張家14代)所用 江戸 19世紀; 陣羽織とはこのようなものかと。波文がおしゃれだ。
    19 唐銅飛龍形百目大筒 江戸 17世紀;大筒にわざわざ飛龍形の意匠をつけて,龍の口が銃口に。威嚇です。
    三所物(みところもの)三所物とは、小刀柄(こづか)、笄(こうがい)、目貫三点の総称。刀剣装具には、厳しい格式があり、小刀柄、笄をつける身分の武士は上級のもの。後藤家で製作された金具を使うのが慣例。後藤家は足利将軍家から徳川家に代々仕えた。とのこと。

    刀はさっぱり判らないのですが、鞘以外にも、細かい細工があることを勉強。

    第二展示室 大名の数寄 茶の湯
    名古屋城二の丸御殿にあった猿面茶室が再現されて、茶席が設けられ展示されている。
    1 山水図 伝周文筆 万里集九賛 岡谷家寄贈 室町 15世紀
    3 人物文染付花生(高砂手) 明 16-17世紀
    4 芦屋網代釜 江戸 17世紀
    5 南蛮砂張水指 岡谷家寄贈 明 16世紀
    6 瀬戸青柳手茶入 桃山 16世紀
    7 斗々屋茶碗 銘 螢 岡谷家寄贈 朝鮮王朝 16世紀
    9 竹茶杓 銘 山彦 織田貞置作 江戸 17世紀

    雰囲気はよくわかるのですが、個々の茶道具は、すこし距離が遠くてよくは鑑賞できません。「高砂手」とは、頸に二人の唐人、胴に松を描いた花瓶。

  • 19 珠光青磁茶碗 銘 荷葉 元-明 14世紀;珠光青磁茶碗については、先日出光美術館で拝見しました。こちらは釉薬は黄味をおび、猫掻手文様。
  • 20 唐物文茄茶入 銘 玉すだれ 元-明 14-15世紀; 文茄とは文琳(林檎)と茄子の中間型の意。黄釉の上に紫釉で文様。小堀宗中(1786-1867)箱書き。
  • 21 祥瑞阿古陀形薄茶器 明 17世紀;阿古陀とは南瓜のこと。青の発色がいい。

    第三展示室 大名の室礼 書院造
    押板飾り
    1 太公望・墨竹図 徳川光友(尾張家2代)筆 三幅対 江戸 17世紀
    4 菊花文青磁三ツ足香炉 元 14世紀
    5 青磁竹節中蕪形花生 元-明 14-15世紀
    6 梔子文堆朱香合 彫銘 「張成造」 明 16世紀
    8 火道具 江戸 19世紀
    9 饕餮文古銅分銅形花生 一対 明 15-16世紀

    三具足飾り押板(近世以降の床の間)の最も基本的な装飾形式が三具足飾り(みつぐそくかざり)。最も格式の高い室内装飾の形式。三具足とは花瓶、燭台、香炉(中央)。壁面に三幅対または五幅対。押板には、中尊と呼ばれる香炉を中心に、向かって右に燭台、左に花瓶、さらに左右に一対の脇花瓶を置く。

    中央の青磁の香炉と花生、脇の饕餮文古銅分銅形花生が取り合わせが武家らしい。

    違棚飾り
    10 古瀬戸肩衝茶入 銘 本阿弥 名物 室町 15-16世紀
    11 建盞天目茶碗 木下家寄贈 南宋 13世紀
    12 孔雀羽蒔絵沈箱 江戸 17世紀
    13 古銅鶏香炉 江戸 17-18世紀
    14 花鳥人物螺鈿食籠 明 16-17世紀
    天目茶碗も茶入も違い棚の上の方に飾られていてよく拝見できず残念。

    鎖の間
    上段の間
    4 鉄切合風炉・釜 辻与次郎作 桃山 16世紀
    5 唐銅花鳥文鍍金水指 明 14-15世紀
    6 金紫銅穗屋香炉蓋置 岡谷家寄贈 江戸 18世紀
    7 唐銅銀象嵌建水 江戸 18世紀
    8 砂張砧形杓立 明 16-17世紀
    9 唐物文琳茶入 明 15世紀
    10 上建盞天目茶碗 南宋 12-13世紀

    台子(だいす)の御点前の茶道具。黒を貴重とした侘び茶以前の茶道の形式。こちらも天目茶碗は見込みは拝見できず。

    次の間飾り
    12 七字一行書「長松下当有清風」 徳川斉温(尾張家11代)筆 江戸 19世紀
    14 七宝象耳花生 明 16-17世紀
    16 古芦屋八景釜 室町 16世紀
    17 唐物自在釜掛 明 16世紀
    18 萩茶碗 江戸 17世紀
    20 黒塗利休形大棗 岡谷家寄贈 江戸 17世紀

    こちらの唐物自在釜掛は、鎖の間に相応しい、細工の立派な作品。

    第四展示室 武家の式楽 能
    名古屋城二の丸御殿内の能舞台の再現がされていた。

    第五展示室 大名の雅 奥道具
    7 初音蒔絵耳盥 霊仙院千代姫(尾張家2代光友夫人)所用 国宝 江戸 寛永16年<1639>
    「初音の調度」は三代将軍家光の娘千代姫(ちよひめ)が寛永16年(1639)数え年三歳で二代光友(みつとも)に嫁入りした時に携えた婚礼調度で、附属の文書類とあわせて75件が現存している。
     意匠は『源氏物語』初音(はつね)の帖「年月を松にひかれてふる人に今日鶯の初音きかせよ」の歌に因み、歌文字の一部分が金銀の彫金で絵に隠れるように散らされる「葦手(あしで)」が用いられている。梨子地(なしじ)に多様な技巧を駆使した蒔絵技法と王朝美の伝統意匠とにより、近世蒔絵および近世大名婚礼調度の最高峰といわれる。幕府の御用蒔絵師の幸阿弥家(こうあみけ)の記録によると、同家の十代長重が製作に当り、千代姫誕生の寛永14年(1637)に早くも注文を受け製作を開始した。


    14 合貝 聖聡院従姫(尾張家9代宗睦3男治行夫人)所用 江戸 18世紀
    15 扇面散蒔絵貝桶 江戸 19世紀

    雅な婚礼調度です。
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