徒然なるまままに

展覧会の感想や旅先のことを書いてます。

10月の記録と11月に訪れたい展覧会

2006-10-31 | 美術(Index)
10月の記録と11月に訪れたい展覧会

展覧会(日付は鑑賞日)
感想をかけていない展覧会がいつかありますが

  • 1日 歌麿と英之 歌麿没後200年・英之生誕250年-(後期) 太田記念美術館(終了)
  • 1日 旧朝香宮家邸のアール・デコ  都庭園美術館(終了)
  • 1日 花鳥画への誘い 前期 松岡美術館(終了、後期は10/31-12/23)

  • 7日 国宝伴大納言絵巻展 出光美術館(5日まで) 
  • 7日 ムンク 出光美術館(2007年8月まで)
  • 7日 秋季展 中国宋元画の精華 夏珪 牧谿 梁楷...日本人が愛した伝来の絵画 畠山記念館(12/10日まで、展示替えあり)
  • 8日 ウィーン美術アカデミー名品展 損保ジャパン東郷青児美術館(11/12まで)

  • 15日 館蔵 秋の優品展(後期)絵画・墨跡と李朝の陶芸 五島美術館(終了)
  • 15日 インペリアル・ポースレン・オブ・清朝 -華麗なる宮廷磁器- 静嘉堂文庫美術館(11/19まで)
  • 15日 開館20周年記念 ルソーの見た夢、ルソーに見る夢  世田谷美術館(12/10まで)

  • 20日 仏像 一木(いちぼく)にこめられた祈り 東京国立博物館(前期は11/5まで、12/3まで)
  • 21日 光悦と樂道入 二つの樂茶碗 ふたりの交友 樂美術館(11/26まで)

  • 23日 生誕100年記念 ダリ回顧展 上野の森美術館(1/4まで)
  • 23日 クリーブランド美術館展 森アーツセンターギャラリー館(11/26まで)

  • 28日 常設展 東京国立博物館
          特集陳列 中国書画精華(終了)
          特集陳列 茶の湯釜を楽しむ(終了)
  • 28日 大エルミタージュ美術館展 東京都美術館(12/14まで)
  • 29日 竹内栖鳳とその弟子たち―重要文化財《班猫》登場― 山種美術館(11/19まで)
  • 29日 シャガールとエコール・ド・パリコレクション 青山ユニマット美術館(11/1まで)


    11月に訪れたい展覧会

  • ボストン美術館所蔵 肉筆浮世絵展「江戸の誘惑」 10/21-12/10 @江戸東京博物館
  • 浦上玉堂展 11/3-12/3 千葉市美術館(前期11/19日まで、11/21日より)
  • 花鳥画への誘い 後期10/31-12/23 @松岡美術館 
  • 市政90周年記念 現代日本画名作展 9/29-12/10 @八王子市夢美術館
  • 浮世絵 特集陳列「写楽」11/7~12/3@東京国立博物館
  • 中国絵画 明清画精選 10/31~12/27 @東京国立博物館

  • 特別展 中国陶磁 美を鑑るこころ 11/3-12/10 @泉屋博古館 分館
  • 仏像 一木(いちぼく)にこめられた祈り 10/3-12/3 @東京国立博物館
       国宝 十一面観音菩薩立像(滋賀・向源寺蔵)は11/7から

  • 南方熊楠 -森羅万象の探求者- 10/7-11/26 @国立科学博物館 みどり館地下1階展示室

    遠いけど行きたいのは、
  • 生誕120年 前田青邨展 浜松市美術館(10/21-11/23) (無理っぽい)
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    シャガールとエコール・ド・パリコレクション

    2006-10-29 | 美術
    開館記念
    シャガールとエコール・ド・パリコレクション
    2006年7月26日から11月1日
    青山ユニマット美術館

     TakさんのBlogで知り表記にいってきました。3日からは、『ミレー、コロー、クールベ展』が始まってしまうので今週末が行ける最後。(どこが展示替えになるか今ひとつ不明ですが。)
     開館記念ということか、優品が展示されています。4階から2階まで展示スペースとは事前情報で知っていたので、それなりに作品点数とは予想していましたが78点です。ちょっとしたものです。
     箱根にあったそうですが、そちらは訪れたことがありません。初めてなので凄いというのが感想。

    シャガール
    さて4階はシャガール、18点です。そのうち油彩が10点。詳しい解説が1点1点ついているので、一通り読んでもう一度作品と対面。眼に留まったのは、
  • マルク・シャガール《ソファーに坐る少女(マリアシンカ)》1907年;シャガールが絵を習いだして1年余りのときの作品だそうです。モデルは妹。
  • マルク・シャガール《ダブル・ポートレイト》1937-38、油彩・パステル。ベラと一身一体であることを強調した作品。
  • マルク・シャガール《ブルー・コンサート》1945年 油彩;パリが解放されてそのあとすぐベラが亡くなる。その後9ヶ月間筆をとらなかったシャガールが、ようやく筆をとった頃の作品。彼の代表作といわれながら、はじめての一般展示だという。ミューズとしてベラが中央に美しく描かれ、緑色のバイオリンを奏でる。青い牛と鶏が寄り添う。白く魂が昇天することでベラがすでにいないことを表す。背景には青く、ロシアの故郷が描かれる。
  • マルク・シャガール《戦争と平和》1954 インク・水彩
    印字されたドイツ将校への叙勲の証書(主に右半分)の空白にシャガールの絵が描かれる。水彩でフランス国旗やエッフェル塔を画面右側に、左側にはシャガール自身、牛などを描いく。右側のヒトラーのサインと同じ位置に左側にシャガールのサイン。戦争と平和という主張に満ちた作品。
  • マルク・シャガール《誕生日の大きな花束》1969年 油彩;解説ではベラが焼き菓子と花束をもって彼の部屋を訪ねてきたことを題材にした《誕生日》(1915、MOMA)を思い出して描いただろうという。大きな花束がキャンパスいっぱいに描かれる。

    川村記念美術館のような大作はないものの、シャガールの全貌について、垣間見ることができた展示だった。

    藤田嗣治
    5点
  • 藤田嗣治《横たわる裸婦》1932年
  • 藤田嗣治《横たわる裸婦》1924年
  • 藤田嗣治《長い髪のユキ》1923年
  • 藤田嗣治《2人の裸婦》1926年
  • 藤田嗣治《バラ》1922年、解説では禅的な静物画と。

  • ラウル・デュフィ《マダム・ルーディネスコの肖像》1934年;青い背景が印象的

    キスリング
  • モイーズ・キスリング《金髪の少女》1933年
  • モイーズ・キスリング《ダリア》1941年
  • モイーズ・キスリング《長椅子の裸婦》1950年;緑と赤の空間に挟まれた横たわる裸婦。
  • モイーズ・キスリング《ジョルジェットの肖像画》1945年

    ゴッホ
  • ゴッホ《石膏トルソ(女)》1887/88冬(パリ)

    このほかにも、マティス、モネ、ドガなど、また萩須高徳が4点ほど展示されていたのですが、そこまで気合を入れていなかったので、またの機会にじっくりと鑑賞します。

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    大エルミタージュ美術館展 東京都美術館

    2006-10-28 | 美術
    いま甦る巨匠たちの400年の記憶
    大エルミタージュ美術館展
    ヴェネツィア派からモネ、ゴーギャン、ルノワール、ピカソまで
    2006年10月19日から12月24日
    東京都美術館

    あまり期待しないほうがいいとのTakさんなどの前情報。でも混雑具合は一流でした。さすが「大」エルミタージュ展。ブランドに弱い日本人。
    Ⅰ.家庭の情景、Ⅱ.人と自然との共生、Ⅲ.都市の肖像という構成。とっても難しい展示構成です。

    Ⅰ.家庭の情景
     作者不詳《聖母子》(1480年代ヴェネツィア派)、ボニファーツィオ・ヴェネローゼ《エジプトへの逃避途上の休息》(1530年代)のあとに
  • ルイ・ガレの小品《漁師の家族》(1848)
  • ギュスターブ・ド・ヨンゲJonghe, Gustave de(1829-1893)の《散歩のあと》(1860)、《窓辺の夫人(変わりやすい天気)》(1863)画像はこちら
    など。

    ルイ・ガレもギュスターブ・ド・ヨンゲもベルギー出身。ギュスターブ・ド・ヨンゲは初めて知りましたが、ポピュラーな絵を描く画家です。こちらのサイトには他のギュスターブ・ド・ヨンゲのオークションなど扱われた作品などがありました。

  • フランソワ・フラマンFrançois Flameng《18世紀女官たちの水浴》(1888);画像はこちら;
    フランスのアカデミィックの画家。artcyclopediaを見る限り、Fine Arts Museums of San FranciscoやHermitage Museum以外では公共の美術館では大々的には展示されていないよう。

  • モーリス・ドニ《婚礼の行列》(1892);これは小品
  • ピエール・オーギュスト・ルノワール《扇子を持つ女》(1880);
  • マリー・ローランサンMarie Laurencin《アルテミス》(1908);画像はこちら
    ピカソとマティスに影響を与えたのではないかと思うほどの曲線の美しさとシンプルさ。


    参考:Picasso, Woman with Yellow Hair, 1931 Guggenheim Musuem(記録はこちら)

    Ⅱ.人と自然との共生
  • クロード・ロラン《リュコメデス王の宮殿に到着したオデュッセウス》(1648)
  • ヤコーブ・ファン・ライスダール《森の中の小川》(1665-1670)
  • フランソワ・ブーシェFrançois Boucher《池のある風景》(1746)
  • フラチェスコ・グァルディFrançois Guardi《風景》(1775-1785);画像はこちら
    グァルディの絵画の中でもロマン派的でした。初めです。
  • ポール・ゴーギャンPaul Gauguin《果実を持つ女(エウ・ハエレ・イエ・オエ》(1893)
  • フランソワ・フラマン《フォンテンブローの森でのナポレオンI世の狩り、1807年》(1898)ナポレオンの絵画がロシアにあるのも面白いですね。
  • パブロ・ピカソ《農夫の妻(全身像)》(1908);画像はこちら
    農夫という画題もあって、強烈な印象的です。

    Ⅲ.都市の肖像

  • アンリ・マティスHenri Matisse《リュクサンブール公園》(1901)
    Henri Matisse, The Luxembourg Gardens, 1901 画像はこちら
  • アンリ・ルソーHenri Rousseau《リュクサンブール公園、ショパン記念碑》(1909)
    Henri Rousseau, The Luxembourg Gardens. Monument to Shopin, 1909 画像はこちら

    どちらもリュクサンブール公園だが、アンリ・マティスは、まだ駆け出しの頃の絵、それもセザンヌに影響を受け、フォービズムを確立する以前。アンリ・ルソーはスタイルを確立した晩年の絵。しかし、時代はほぼ同時代。この展覧会で一番興味深い展示でした。それにしても、昨年のプーシキン美術館(記録はこちら)のマティスの。《ブローニュの森の小道》(1902)。《金魚》(1912)。《白い花瓶の花束》(1909ca.)でもそうでしたが、ロシアには、マティスの初期の作品が多数ありますね。今回の《リュクサンブール公園》も少し、フォービズムの色調を感じたのは私だけでしょうか?1905年のサロン・ドートンヌの一室を、若い芸術家が描いた原色を多用した激しいタッチの絵を埋め尽くし、これを見た当時の批評家が「あたかも野獣(フォーヴ)の檻の中にいるようだ」と表現したのが始まりであるといわれるのですから、マティスもそのような絵画を描いていて当然ですが、この《リュクサンブール公園》(1901)を経て、《Femme au chapeau (Woman with the Hat)》(1905)(SFMOMA記録はこちら))にいたるという感じました。




    参考 Henri Matisse, Woman with the Hat, 1905

    画像は所蔵美術館へのSRCリンクです。
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    特集陳列「中国書画精華」 (後期) 東京国立博物館

    2006-10-27 | 美術
    中国絵画・書跡 特集陳列「中国書画精華」
    2006/10/3~ 2006/10/29
    東京国立博物館

    (前期の記録はこちら)

  • 重文 李白吟行図 1幅 梁楷筆 南宋時代・13世紀 TA-164

    詩仙李白を水墨の簡略な筆で見事に表現した本図は,梁楷の「減筆体」の水墨人物画を最もよく示すものといわれる。図上のパスパ文字で「大司徒印」と記された鑑蔵印は元朝に仕えた阿尼哥の印といわれる。狩野家摸本より江戸時代には東方朔図と対幅であったことがわかる。松平不昧旧蔵の由緒をもつ。
    結った髪の部分は一筆で描いたのでしょうか?筆のタッチは一筆にしかみえませんが、それで髪の様子をうまく描いています。口ひげ、あごひげの筆遣いも見事。
  • 国宝 十六羅漢図(第五尊者) 1幅 北宋時代・10~12世紀 京都・清凉寺蔵
    おどろおどろしく尊者と従者(?)が描かれています。尊者の肩から掛ける襷の青、前掛けの赤が退色はしているがいまだ強烈な対比。従者はまるで金太郎。
  • 重文 十六羅漢図(第五尊者) 1幅 金大受筆 南宋時代・12世紀 TA-298
    こちらは同じ第五尊者だが、樹木の下で従者を従え、尊厳なようすで書を読む図。
  • 重文 猿図 1幅 伝毛松筆 南宋時代・13世紀 TA-297

    この猿図は単なる写実を越えたすぐれた表現をもっており,数ある宋画の中でも名品として知られている。中国の猿ではなく日本猿といわれ,水墨のみならず金泥を用いた毛描きはきわめて繊細で自然である。南宋の画院画家である毛松の作の伝称は狩野探幽にはじまるものと思われ,その根拠は乏しいものがある。武田信玄より曼殊院覚如に寄進された由緒をもつ。
    思わず猿の毛並みの描写に目が行くのですが、猿の顔の描写も表情まで精緻に描かれています。足の指まで立てる様など細かいとこまで目配りしています。
  • 重文 竹鶏図 1幅 蘿窓筆 南宋時代・13世紀 TA-341

    蘿窓は南宋末の禅僧。杭州西湖の畔の六通寺に住し,水墨画の名手であった牧谿と画意が等しいといわれた。自賛によれば本図は五更(午前四時)の時,未明の幽暗の中に文,武,勇,仁,信の五徳を備えるといわれる鶏を描いたものであるが,その姿は五更の時に大悟した禅僧の姿のようにも思われる。浅野家旧蔵。
    笹の葉が熊笹のように太めです。
  • 重文 高士観眺図 1幅 伝孫君沢筆 元時代・13世紀 TA-356

    俗塵をはなれ山中に隠棲し清遊することは中国文人の常に求めたことであった。この高士観眺図は南宋の馬遠,夏珪の院体山水画風を継承し,やがて元の孫君沢につながる表現を示す。雲霧を示す空間表現は極めて自然で余情あるものとなっている。大徳寺塔頭養徳院旧蔵品。
    山が半分切れてしまっていますし、手前の川も切れてしまっているような気がするのですが。。。
  • 国宝 寒山拾得図 1幅 因陀羅筆 元時代・14世紀 TA-343

    因陀羅は,本図の款記によれば,法名を壬梵因といい,ベン梁(開封)の大光教禅寺に住し大師号を授けられた高僧である。本図は禅林とその周辺の人物にかかわる逸話を主題にした禅機図巻の断巻と思われる。水墨人物画の伝統である面貌を細緻に,衣文を粗筆で表現する手法をふまえているが,本図において筆墨は渾然と一体化し,因陀羅独自の画境を示すものになっている。図上に元末の禅僧楚石梵キの賛がある。浅野家旧蔵品。
    因陀羅の断機図は今年3点目。(一覧)、(畠山記念美術館の記録)漸く見方を覚えてきたのか、本当にそうなのか、この1点が一番上手と感じた。寒山拾得の帯の濃い描写など筆もなめらか。
  • 重文 山水図 1幅 李在筆 明時代・15世紀 TA-145

    李在はホ田(福建省)の人。明の宣徳年間(1426-35)に画院画家となり,山水,人物画をよくした。浙派を代表する画家でもあり,入明した雪舟が師法した画家としても知られる。本図は北宋の李成・郭煕派的な画風を倣った李在山水画の代表作である。
  • 重文 四季花鳥図(冬) 1幅 呂紀筆 明時代・15~16世紀 TA-163
    写生と装飾が混在している。画面右端の上部は、写生的に樹木と小禽三羽を描く。画面中央より下に尾長。画面をくねって装飾的な流れが描かれている。
  • 重美 売貨郎図 1幅 呂文英筆 明時代・15~16世紀 TA-345
    明の時代の売貨郎。荷車には多くの玩具から陶器までを載せ、唐傘を広げ、そこにも商品をぶら下げてお店を広げる。太鼓を打てば子供たちが4人も寄ってくる。売り物の操り人形で遊ぶ子供いる。明るい色彩で陽気な風景。
  • 山水図 1幅 王世昌筆筆 明時代・16世紀 TA-362
    渓谷の道を行けば嵐の前のような風が吹く
  • 重文 四万山水図 4幅 文伯仁筆 明時代・嘉靖30年(1551) TA-153

    文伯仁(1502-73)は蘇州(江蘇省)の人。明代蘇州の呉派を代表する文人である文徴明の甥で,文徴明をはじめとする文氏一門の中で最も画技がすぐれたという。本図は,林泉に清遊する文人の姿を白描風の清逸な筆致で描いたもの。各図には,万壑松風,万竿烟雨,万頃晴波,万山飛雪という「万」字を冠する自題があるため,四万山水図と総称されている。各図とも明末の芸苑の中心人物であった董其昌の賛がある。
    明の時代の優品なのでしょう。四幅がそれぞれ墨書淡彩だが筆致が異なる。硬い細筆で描いた作品、ぼかしが入った柔らかい細筆で描いた作品、いずれも画面いっぱいに広がる世界。宋元の時代のシンプルな作風とは異なり、細密画といってもいい。
  • 花卉雑画巻 1巻 徐渭筆 明時代・万暦3年(1575) 高島菊次郎氏寄贈 TA-304

    徐渭(1521-93)は山陰(浙江省)の人。字の文長,号の天池,青藤などをもって知られる文人画家で,波乱に充ちた生涯を送った。詩文,書のほか戯曲もよくした。画は文人墨戯本来のあり方を示す自在な水墨画をよくし,とくに花卉雑画にすぐれ清の揚州派をはじめ後世に大きな影響を与えた。本図は住友家本の花卉雑画巻と並ぶ徐渭の代表作である。高島菊次郎旧蔵品。

  • 重美 江山無尽図巻 1巻 呉振筆 明時代・崇禎5年(1632) TA-171
    さまざまな筆致で風景を描く。
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    クリーブランド美術館展 森アーツセンターギャラリー

    2006-10-23 | 美術
    クリーブランド美術館展
    女性美の肖像 モネ、ルノワール、モディリアーニ、ピカソ
    2006年09月09日~11月26日
    森アーツセンターギャラリー

    雨の月曜日ということもあったのでしょうが、意外にガラガラの中、機嫌よく鑑賞できました。印象派は最近は飽きられているのでしょうか?展示作品リストは、係りの人にお願いするとコピーをいただけます。

    セクションI:印象派の時代
    クリーブランド美術館のサイトで、今回展示されている画家について所蔵作品を見てみましたが、このセクションはクリーブランド美術館の印象派の1部屋ごとかなりの部分をもってきたというところでしょうか?

  • ギュスタブ・クールベ《ロール・ボロー》1863年;クールベらしくない作品とおもったら1863年サロン出品作。


  • アンリ・ファンタン =ラトゥール《マリー=ヨランド・ド・フィッツ=ジェイムズ》1867年;
    Henri Fantin-Latour, Marie-Yolande de Fitz-James

  • アンリ・ファンタン =ラトゥール《ルロール夫人》1882年;サロン出品作品。古典的肖像画。
    Henri Fantin-Latour, Madame Lerolle

    アンリ・ファンタン =ラトゥールというと花の絵ばかりかと思っていました。

  • クロード・モネ《春の花》1864年
    Claude Monet, Spring Flowers

  • クロード・モネ《赤いスカーフ、モネ夫人の肖像》1868-78年;
    Claude Monet, The Red Kerchief: Portrait of Mrs. Monet

    モネ夫人の肖像はいつ観ても可愛そうになります。
  • クロード・モネ《アンティーブの庭師の家》1888年;
    Claude Monet, Gardener's House at Antibes

    モネは、アンティーブ(ニースとカンヌの間の町です)を訪れているのですね。

  • ピエール = オーギュスト・ルノワール《ロメーヌ・ラコー》1864年;
    Pierre Auguste Renoir, Romaine Lacaux
    ルノワールのサインのはいった多分一番最初の作品だという。少し服の胸のあたりの描き方がぎごちない。顔が真っ白に描かれているのは陶磁器の絵付師の経験からではないかという。

  • ピエール = オーギュスト・ルノワール《りんご売り》1890年; 典型的な色の混ざったルノワール様式。
    Pierre Auguste Renoir, The Apple Seller


  • ウジューヌ・ブーダン《ドヴィールの海岸》1864年
  • カミーユ・ピサロ《ポントワーズの閘門》1872年

    2点の作品が、ベルト・モリゾの姉妹として展示されていました。
  • エドゥアール・マネ《ベルト・モリゾ》1869年頃
    Edouard Manet, Berthe Morisot
    こちらは、ベルト・モリゾ。

  • ベルト・モリゾ《読書》1873年
    Berthe Morisot, Reading
    こちらは、ベルト・モリゾのSisterのEdma。
    この作品は、1874年の第一回印象派展で展示。モリゾって、Jean-Honoré Fragonardの孫だそうで。知りませんでした。


  • アルベール・ベナール《マドレーヌ・ルロールと娘イヴォンヌ》1879-80頃;同じルロール夫人を描いたアンリ・ファンタン =ラトゥール《ルロール夫人》と並べて展示されていた。はじめて知る画家。
    Albert Besnard, Madeleine Lerolle and Her Daughter Yvonne


  • ティソ・ジェイムズ《7月・肖像画の見本》1878頃
    Jacques-Joseph Tissot, July: Specimen of a Portrait
    ;キャサリン・ニュートンKathleen Newtonを美しくも孤独でアンニュイに描く。白いレースの服の襞が描写が見事。キャサリン・ニュートンはティソのモデルで美神で彼の愛人。四季の寓意的表現の4つのコンポジションの1つ。とのこと。このセクションでは気に入った作品のひとつ。彼が日本美術に傾倒していたからでしょうか?


    など

    セクション2-I:印象主義を超えて Post-impressionism
  • ポール・セザンヌ《小川》1895年-1900年
    Paul Cézanne, The Brook
    Aix-en-Provenceの南東を流れるArc Riverの谷間の風景とこと。

  • ポール・ゴギャーン《波間にて》
    Paul Gauguin, In the Waves

    1889年4月、 北フランスPont-Avenでの作品。1889年にパリのthe Café Volpiniで開催されたthe Symbolists—a groupの第一回とされる展覧会に出展。
  • フィンセント・ファン・ゴッホ《大きなプラタナスの木》1889年11月
    《サン・レミのヴィクトル・ユゴー大通りの道路工夫》とも(「ゴッホ全油彩画」による題名)。同じ構図がThe Phillippe Collectionにある。

  • フィンセント・ファン・ゴッホ《サン=レミのポプラ》1889年10月
    《丘の道の2本のポプラ》とも。(「ゴッホ全油彩画」による題名)

    Vincent van Gogh, Poplars at Saint-Rémy
    テオへの手紙の中で、"I have a study of two yellowing poplars against a background of mountains and a view of the park here, an autumn effect."とこの作品について触れているそうだ。施療院に住んでいたときの作品。

    セクション2-Ⅱ:象徴主義・ナビ派
  • モーリス・ドニ《緑のドレスのエヴァ・ムーリエ》1891年;

  • エドゥアール・ヴュイヤール《カフェ・ウェプラー》1908-10年頃、1912年再制作

  • ジョヴァンニ・セガンティーニ《松の木》1897年頃

  • ピエール・ボナール《デザート》, 1920頃
    Pierre Bonnard, The Dessert, or After Dinner

    日常風景。肘をついて座る画家の妻Marthe Bonnardと少年を描く。ボナールってピンとこないです。
    など

    セクション3:近代彫刻のさきがけ ロダンとロッソ
    ロダンの彫刻が7点並ぶ

    セクション4:ピカソと20世紀の前衛
  • パブロ・ピカソ《ケープを纏った女(ジャンヌトン)》1901年;

    ほかキュビズム作品2点。ブラック1点など
  • アメデオ・モディリアーニ《女の肖像》1918-19年

  • アンリ・マティス《ニース、花のフェスティバル》1923年;
    Henri Matisse, Festival of Flowers, Nice (Fête des fleurs)

    このテーマで少なくとも5点ある作品の1つ。ニースのthe Hôtel de la Meditérranéeからthe Promenade des Anglaisを臨む。娘のMargueriteとモデルHenrietteが花を投げる様子。とのこと。ニースらしい風景。一度海外沿いの高級ホテルに宿泊してこんな風景をみたいものです。
  • ルネ・マグリット《秘密の生》1928年
  • マックス・エルンスト《草上の昼食》1944年;こちらは正確には草上ではなくHerbreつまりLe Déjeuner sur l'Herbeではない。

    セクション5:北ヨーロッパの光
  • ピエト・モンドリアン《前景に若い木のある野原》1907年
  • ピエト・モンドリアン《菊》制作年不詳
  • ピエト・モンドリアン《赤と黄色、青のコンポジション》1927年

  • ガブリエーレ・ミュンター《未来(ストックホルムの女)》1917年;

    第一次世界大戦の勃発によりカンディンスキーと別離したあとの作品。ミュンヘンにあるレーンバッハ美術館を訪れたとき(記録はこちら)に購入した図録The Blue Rider in the Lenbachhaus MuseumにもPensive Woman,1917という同時期の作品が掲載されていました。
    など

    画像は全てクリーブランド美術館へのSRCリンクです。


    クリーブランド美術館といえば、日本美術も優品を多く所蔵していて
    上畳本三十六歌仙絵 平兼盛

    十牛図断簡

    とか


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    光悦と樂道入 二つの樂茶碗 ふたりの交友 @樂美術館

    2006-10-21 | 陶磁器
    光悦と樂道入 二つの樂茶碗 ふたりの交友
    2006年9月12日から11月26日
    樂美術館

    「そうだ。京都へ行こう」とJR東海の口車に乗せられて、いや新幹線に乗って、日帰りで行ってしまいました。夏に樂美術館に寄って(記録はこちら)、この秋は、三井記念美術館と樂美術館の共同企画があると知ったときには、また来たいなぐらいに思っていた。三井記念美術館で(記録はこちら)長次郎の茶碗の侘び錆とノンコウ(道入)の光を楽しむ作風の違いを楽しんだときは、まだ誘惑を抑えていました。しかし、9月27日の日経新聞で編集委員の竹田博志氏が、東西の楽焼の展覧会を「これは一足早い眼の正月の到来だ」「長次郎と光悦という楽茶碗の両雄の至芸を心ゆくまで堪能できるのは誠に痛快なことだ」と記事を読んでしまうと、やはり両展覧会とも拝見したくなるのを抑えきれなくなってきた。
    本当ならば、11月にゆっくりと京都を訪れればいいのだが、3日からの連休は宿ももう取れない、23日から飛び石連休は紅葉で京都はごった返しているので、紅葉以外のものを拝見するには落ち着かないということで、時間の取れた、明日は時代祭りという間隙を縫っていってきました。
    到着したのは10時過ぎ。まばらな人出でゆっくりと鑑賞できます。

    当代が、強く意識する光悦の陶芸に的を絞った企画で長年あたためてきたテーマだという。展示は、光悦と道入(ノンコウ)を混ぜて展示している。図録には展示作品がすべては掲載されていないが、メモを取ってこなかったので、図録に収録されている名品のみを列挙して、少しだけご紹介。大満足でした。

    なお図録には、当代樂吉左衛門光悦茶碗の身体性、道入茶碗の視覚性というエッセイが掲載されているが、読み応えがあります。これもお勧め。

    本阿弥光悦
  • 黒樂茶碗 雨雲 重要文化財 三井家伝来 三井記念美術館蔵; 口端の切れ味、釉薬を掛け外し妙の面白さは、昨年に三井記念美術館ではピンときていなかったが(記録はこちら)、1年たつと納得。米国の家具は、新品でも虫食い等をつけ古さを誇張するが、そんなことがふと頭をよぎった。
  • 赤樂茶碗 乙御前 江岑書付 益田鈍翁 平瀬家 森川家伝来; 益田鈍翁が外箱に「たまらぬものなり」と書付し嘆賞したとう。その丸みをおびた姿と口部は片方は端反り、片方は内に抱え込むひしゃげている。造形の妙。図録では横からの写真しかなくその様がよくわからないのが残念。
  • 毘沙門堂 山科毘沙門堂 高野是間 鴻池伝来 ;11/8から展示。残念。
  • 飴釉樂茶碗 紙屋 加賀紙屋家 酒屋宗左衛門; 飴釉のべたべたした面白みとともに、造形は、正面から見て右手の腰の部分が丸みをおびているのに、左手はまっすぐに下りている。当代の樂吉左衛門氏が光悦茶碗を仮名文字にあてはめてみたときに、紙屋は「ぬ」に例えているのもさもありなん。
  • 黒樂茶碗 七里 伊勢屋 益田克徳 益田鈍翁 五島家 五島美術館蔵
  • 黒樂茶碗 東 三井次郎左衛門家伝来 北村美術館蔵
  • 黒樂茶碗 村雲 樂美術館蔵; 現在、東京で展示中。
  • 赤楽筒茶碗 弁財天 三谷宗鎮書付 後藤三右衛門
  • 飴釉樂茶碗 園城 松永耳庵旧蔵
  • 赤樂茶碗 大ふく
  • 赤楽筒茶碗
  • 黒樂茶碗 水翁 頴川美術館蔵
  • 黒樂茶碗 朝霧
  • 飴釉樂茶碗 立峯 樂美術館 
  • 飴釉樂茶碗

    樂道入(ノンコウ)
  • 黒樂茶碗 稲妻 ノンコウ七種之内 不審菴伝来蔵 表千家蔵;表千家では家元襲名の際にだけ用いられる特別な茶碗。見込みにひかる赤釉が稲妻として光る。ぞくぞくとした。
  • 黒樂茶碗 青山 加賀七種之内 青山将監 亀山伊右衛門伝来
  • 黒樂茶碗 獅子 ノンコウ七種之内
  • 黒樂茶碗 桔梗 加賀七種之内 木倉家長右衛門 木谷藤右衛門伝来;見込みの景色が六弁の 桔梗の花のようにみえることから名づけられたという。
  • 黒樂茶碗 木下 樂美術館蔵
  • 黒樂茶碗 残雪 了々斎直書 鹿嶋屋広岡家 伝来 樂美術館蔵
  • 黒樂茶碗 寿老人 覚々斎書付 鴻池善衛門 馬越恭平伝来
  • 黒樂茶碗 若緑 啐啄斎書付 鴻池家 戸田露吟伝来
  • 赤樂茶碗 禿 如心斎書付 樂美術館蔵
  • 赤樂筒茶碗 山人 一燈書付 樂家旧蔵 樂美術館蔵
  • 黒樂茶碗 笹の絵 樂美術館蔵
  • 黒樂茶碗 霜夜
  • 黒樂茶碗 羽衣 覚々斎書付 小曽根家旧蔵
  • 黒樂平茶碗 燕児 樂美術館蔵
  • 黒樂茶碗 撫牛 樂美術館蔵

    光悦書状
    光悦が樂家を徳川家に引き合わせたのではと推測している書状。利休なきあと、樂家も大変だったようで。辻惟雄氏の「ギョッとする江戸の絵画」でも、狩野山楽は、豊臣家の遺臣だと幕府に狙われ、松花堂昭乗の徳川氏へのとりなしでようやく許されたが、外様扱いだったという話が書かれていました。
  • 曾我又左衛門宛 「茶碗屋吉左父子~」 樂美術館蔵
  • ちゃわんや吉左宛 「ちやわん四つ分ほど~」 樂美術館蔵
  • ちゃわんや吉左宛 「此ちやわんのくすり~」 樂美術館蔵
  • 前田家家臣某 宛 「小袖拝領の文~」 樂美術館蔵

  • 光悦 蓮下絵百人一首和歌断簡 後鳥羽院
    伸びやかな光悦の書が素晴らしい。元は巻子本。前半25首、後半30首は関東大震災で消失。
    GOOGLEするとMIHOMUSUEMやニューヨーク・バーク・コレクション展や出光美術館で昨年秋に開催された「京の雅び・都のひとびと」でも別の箇所が展示されていたようです。
     
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    特別展 仏像 一木にこめられた祈り 東京国立博物館

    2006-10-20 | 美術
    特別展 仏像 一木(いちぼく)にこめられた祈り
    2006年10月3日から12月3日
    東京国立博物館

    あまり仏像は判っていない。珍しく音声ガイドを借りる。

    第1章 檀像の世界

    インドの伝説では、世界で初めての仏像はインド産の白檀で造られたとされているそうだ。材の特色を生かして表面に彩色をせず、細かな彫りをするのが特色。中国では、中国では白檀が自生しないため、「栢木(はくぼく)」で代用、日本では、「栢木」をカヤとみなし、カヤによる代用檀像が流行したそうだ。

    まずは、十一面観音菩薩立像が何体も並ぶ。十一面観音の顔はすべて同じではなく、それぞれ表情は微妙に異なるところも見所。
  • 重要文化財 十一面観音菩薩立像(唐時代・7世紀 像高42.1cm)東京国立博物館蔵。藤原鎌足(614~669)の長男・定恵(次男は藤原不比等)が唐から持ち帰った可能性が高いという。細かな彫りは惚れ惚れとする。インド的な風貌。
  • 重要文化財 十一面観音菩薩立像(奈良~平安時代・8~9世紀/像高45.5cm)京都・海住山寺蔵。針葉樹の一木から造る典型的な檀像(だんぞう)様の像。照明の加減か色々な端々がキラキラと光り美しい。
  • 重要文化財 聖観音菩薩立像 平安時代・9世紀; 醍醐寺;

    第2章 一木彫の世紀
    8世紀から9世紀の一木彫の仏像が並ぶ。
  • 重文 伝薬師如来立像 1躯 奈良時代・8世紀 奈良・唐招提寺蔵; 鑑真は仏師も連れて渡来したという話が吃驚しました。
  • 弥勒仏坐像 東大寺 奈良~平安時代・8~9世紀;大仏様を小さくしたような仏像。「試みの大仏」
  • 重文 楊柳観音菩薩立像 1躯 奈良時代・8世紀 奈良・大安寺蔵
  • 重文 多聞天立像 1躯 奈良時代・8世紀 奈良・大安寺蔵
    仏像のできはともかく、奈良・大安寺では、中国からの仏師たちが集まっていた奈良の文化の国際性に吃驚。今の六本木でしょうか?
  • 国宝 薬師如来立像 1躯 奈良~平安時代・8~9世紀 奈良・元興寺蔵; 今年の春に拝見していてお参りはした覚えまではあります。

    今回の呼び物の一つが
  • 国宝 菩薩半跏像(伝如意輪観音)奈良~平安時代・8~9世紀 像高88.2cm 京都・宝菩提院願徳寺蔵(11/5まで);二重瞼だろうか、格好いいといった顔立ち。腰から下を流れるような衣は襞の彫りっぷりは装飾的ではあるが、リアリズムそのもの。
    左手前膊(ぜんはく)(前腕)半ばから先、右手先、両足先等を除いて、本体から台座の蓮肉(れんにく)部までを含み、カヤと見られる針葉樹の一材から彫出し、像内に刳りも施していないという。
    中国からの将来品または中国人による作品で、高貴な人物の依頼による作品と想定されているという。

    宝菩提院願徳寺は、白鳳7年(678)に持統天皇(天武天皇の皇后)の願いによって向日市寺戸に創建されたお寺だそうですhttp://www.gantoku.or.jp/

  • 国宝 地蔵菩薩立像 1躯 平安時代・9世紀 奈良・法隆寺蔵; 桜井市の大神神社(おおみわじんじゃ)の神宮寺である大御輪寺にあったが、明治の神仏分離で法隆寺へ移動。このころから地蔵菩薩信仰が盛んになったそうです。このほかにも何体か地蔵菩薩が並んでいます 神仏習合の表れとしての奈良・橘寺蔵、和歌山・慈光円福院蔵とかの仏像も並びます。
    島根・大寺薬師蔵の四天王立像(伝持国天・伝広目天)(9世紀)は、新羅来襲?からの来襲に備えて山陰で多く造られた四天王立像のひとつという。

    第3章 鉈彫
    鉈彫の仏像があるとは今回初めて知った。平安時代の10世紀後半から12世紀頃を中心に、表面にノミ目をのこす不思議な一木彫像が流行したという。関東から東北地方に独特の技法ようだ。

  • 重文 薬師如来および両脇侍像 3躯 平安時代・10世紀 神奈川・宝城坊蔵; 宝城坊のある丹沢山塊の日向山の中腹には、かつて霊山寺という山中寺院があり、この三尊像はその創建時からの本尊であっただろうという。顔や胸を滑らかに仕上げ、それ以外は台座をふくめてノミ目が刻まれている。
  • 重文 十一面観音菩薩立像 1躯 平安時代・11世紀 神奈川・弘明寺蔵; 正面からみえる部分に、意図的に横縞状のノミ痕を。全身は白木のままで、唇にわずかに朱が残り、眉、目、ヒゲ、胸飾を墨で描いている。
    庶民に親しまれる独特の造形
    今回の代表作はどちらも神奈川県。日向山も弘明寺も訪れたことはないが、親しみがわく。鎌倉幕府以前の関東は、平将門の乱とか武士のイメージだが、そのイメージを補足するものとして面白い。

    第4章 円空と木喰

    円空(1632-1695)と木喰(1718?-1810)。この二人も始めて知りました。円空の仏像は、ナタで割った木材の切断面がそのまま残され、彫刻面のノミ跡もごつごつしたままの、すこし荒々しさは雰囲気。木喰の像は、表面をなめらかで、その微笑の表情が独特。

    江戸時代には、白隠禅師(1686-1769)が、不思議な仏画を庶民のために描いたと辻惟雄先生のテレビ「ギョッとする江戸絵画」で知ったばかり。江戸時代の僧侶の布教の試みと庶民の信仰(祈り)の一面を窺えますね。
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    ルソーの見た夢、ルソーに見る夢 @世田谷美術館

    2006-10-17 | 美術
    開館20周年記念 ルソーの見た夢、ルソーに見る夢
    アンリ・ルソーと素朴派、ルソーに魅せられた日本人美術家たち

    2006年10月7日-12月10日
    世田谷美術館

    久々の世田谷美術館です。日曜日の15時過ぎでしたが、結構混雑していました。ルソーは人気があるようです。

     「やさしいルソーよ、きこえますか」と詩人アポリネールが亡くなったルソーに呼びかけてから、百年近くの時がたとうとしています。パリの裏町で貧しく暮らしながら、目覚しく近代化していくパリの街を、また秘境の楽園に遊ぶ動物たちを描いたアンリ・ルソー(1844-1910)。素人画家として、無理解と嘲笑にさらされながらも、彼は最期まで自分の「夢」を捨てませんでした。夢と現実が奇妙に交錯する彼の世界は、また多くの人々をも夢見させる力をもっていました。藤田嗣治は、1914年ピカソのアトリエでルソーの作品を見せられ、「絵画はかくまで自由なものなのだ」と強い衝撃を受けたといいます。ルソーの作品は、パリを訪れた、あるいは訪れることのなかった多くの画家たち、美術評論家、そしてコレクターたちを魅了し続けました。いかにしてルソーの見た夢は、日本にたどりつき、いかにして日本の芸術家たちに夢を手渡してきたのでしょうか。本展は、アンリ・ルソーの作品、ルソーに続く素朴画家たちの作品を紹介すると同時に、ルソーに魅了された日本の作家たちが描いた夢を、洋画、日本画、写真から現代美術に至る多彩な作品でたどります。私たち日本人がルソーと共有した「夢の力」を味わっていただければ幸いです。


    第1章 ルソーの見た夢

    このコーナーでは、日本の公立・私立の美術館、個人蔵のアンリ・ルソーHenri Rousseau作品22点が並びます。(サントリーミュージアム所蔵の作品1点が、前期、後期で展示替)。

  • アンリ・ルソー 《夕暮れの眺め、ポワン・デュ・ジュール1886, 個人蔵; これは大作。セーヌ川沿いの風景を描く。
  • アンリ・ルソー 《フリュマンス・ビッシュの肖像》》1893年頃, 世田谷美術館;解説を読んで意外なストーリーがあることを知りました。結婚一年目で夫を亡くした女性に対して、亡き夫の肖像を偲ぶために贈ったものとのこと。
  • アンリ・ルソー 《ラ・カルマニョール》1893年, ハーモ美術館; 人々が踊る様子;
  • アンリ・ルソー 《サン・ニコラ河岸から見たサン・ルイ島》 1888年 世田谷美術館;
  • アンリ・ルソー 《牛のいる風景 パリ近郊の眺め、バニュー村》1909年大原美術館
  • アンリ・ルソー 《要塞の眺め》1909年財団法人ひろしま美術館;藤田嗣治の描いた東京国立博物館所蔵のパリ風景と似ている。藤田はこの作品を見て描いたのだろうか?別の作品?
  • アンリ・ルソー 《花》1910年、ハーモ美術館; ルソーの作品は、世界中に200点前後しか残されていない。中でも「花」の絵は1 0数点現存しているに過ぎない。なぜならば、彼は生前世間から認められなかったばか りに、心ない人達によって多くの作品が粗略に扱われて亡失してしまったからである。
     「花」の絵は、晩年に集中している。ルソーの「花」と言えばジャングルの大輪の花 を思い起こす人も多いだろうが、マーガレットとミモザを題材とした作品は、はるかに おとなしく、むしろ安らぎの印象を与えている。又、正面性に固執しているルソー特有 の構図からやはり、ジャングル風景の中の花にどこか不思議な生気が感じられる。
     展示されている作品は、日本で見ることが出来る唯一の貴重な「花」である。http://shinshu-online.ne.jp/museum/harmo/harmo2.htmから

    ハーモ美術館という美術館は、諏訪湖のほとりにある美術館のようです。自慢の所蔵品の1点は、ルソーの《果樹園》(1886)で現在、米国に貸出中。ルソーを崇拝していたピカソによってサインがある由。
  • アンリ・ルソー 《牧場》 1910年, 石橋財団ブリヂストン美術館蔵;土田麦僊が日本へ持ち帰ったルソー作品
  • アンリ・ルソー 《熱帯風景、オレンジの森の猿たち》1910年;所蔵者が不明です。もしかして画商が所蔵している売り立て中の絵でしょうか?それは、兎も角、今回の展覧会のパンフレットにもなっている作品です。猿と森の鬱蒼とした木々からも熱帯の様子が伝わってきますが、緑と蛍光色のオレンジ色の対比が強い太陽を光を想像させます。

    第2章 素朴派たちの夢

     アンリ・ルソーの発見者でもあり、最初の伝記作者であるヴィルヘルム・ウーデは、1927年ルソー、ボーシャン、ボンボワ、セラフィーヌ・ルイ、ヴィヴァンの5人の作家を集めて展示し、彼らを「聖なる心の画家たち」と呼びました。*1 いわゆる素朴派(パントル・ナイーフpeintres naïfs)の作家たちが美術の世界に登場する発端です。花々と神話の世界に生きた庭師ボーシャン、丸々とした女性たちのパリの日常をつづったボンボワ、魔術的な植物を描いた家政婦セラフィーヌ、パリの街角を丹念に取材した郵便配達夫ヴィヴァン。ここでは、ルソーにつづいた4人の画家たちの個性的な世界を展示します。
    *1 Wilhem Uhde, Cinq maîtres primitifs - Rousseau - Louis Vivin - Camille Bombois - André Bauchant - Séraphine de Senlis, traduction de l'allemand par Mlle A. Ponchont, préface de Henri-Bing-Bodmer. Librairie Palmes - Philippe Daudy, éditeur, 1949.

    丸々とした女性たちのボンボワの作品は、リール美術館所蔵作品展(記録はこちら)で着目していたところ。アンドレ・ボーシャンAndré Bauchantは9点、カミーユ・ボンボワCamille Bomboisは7点、セラフィーヌ・ルイSéraphine Louisが1点、ルイ・ヴィヴァンLouis Vivinが6点も展示されています。
    カミーユ・ボンボワには、丸々とした女性を描いた《池のほとりの女性たち》(1928)のような作品だけでなく、《活気のある風景》(制作年不詳)のように非常に緻密に描かれた街路樹の葉の下に、豆粒のような人間たちを描いた作品も描いたようです。

    第3章 ルソーに見る夢 日本人作家たちとルソー
     1914年、パリにわたったばかりの藤田嗣治はピカソのアトリエでルソーの作品を見せられ、これまでの芸術観を覆されるほどの衝撃を受けました。彼の初期作品は稚拙で素朴な味わいのあるパリ風景から出発しています。
     岡鹿之助は、ルソーおよび素朴派を日本に紹介するに最も功績のあった画家であり、生涯ルソーに愛着を持ちつづけました。


    目に付いた作品を中心に。

    洋画
  • 藤田嗣治 《ル・アーヴルの港》1917年、横須賀美術館開設準備室;あれれ横須賀美術館なんていうのを企画しているのですね。

    岡鹿之助の海辺の風景を中心に8点。
  • 岡鹿之助 《信号台》1926年、目黒区美術館
  • 岡鹿之助 《観測所(信号台)》 1926年、茨城県近代美術館

  • 小出楢重 《子供立像》 1923年、山種美術館; 山種美術館に小出楢重のような洋画も所蔵されているのですね。

    松本竣介は7点。
  • 松本竣介 《立てる像》1942年、神奈川県立近代美術館;自信と希望に満ちた表情ですが、これから戦火が激しくなるのでしょうが。プラハ国立ギャラリーにあるルソーの自画像(1890)をベースにしているという。画像はWikipedia FRへのリンクです。
    <image src="http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d7/Rousseau09.jpg/300px-Rousseau09.jpg" width="150">

    日本画
  • 小野竹喬 《春耕》1924年、笠岡市立竹喬美術館
  • 加山又造 《月と犀》1953年、東京国立近代美術館

    写真
  • 植田正治 《パパとママとコドモたち》1949年,島根県立美術館
  • 植田正治 《妻のいる砂丘風景(V) 》1950年,島根県立美術館
    砂丘を背景に人物写真。CMフィルムを髣髴とさせる。とするとCMフィルムもルソーの影響を受けていますね。

    第4部 現代のルソー像

  • 横尾忠則のパロディーが5点。

    出口の近くに
  • 青木世一 《ROUSSEAU-KIT「 フットボールをする人々」》2003年、栃木県立美術館
    ROUSSEAUの作品を立体的に再現できるおもちゃとして表現。コレって、本当にこんなKITがあるのでは、と思ってしまいました。傑作。


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    インペリアル・ポースレン・オブ・清朝 静嘉堂文庫美術館

    2006-10-16 | 陶磁器
    インペリアル・ポースレン・オブ・清朝 
    -華麗なる宮廷磁器-
    2006年9月30日~11月26日
    静嘉堂文庫美術館

    中国陶磁史上、清時代(1644~1911)は、その装飾技術や焼成技術において頂点を迎えました。ことに景徳鎮官窯で制作された宮廷使用のやきものの美しさは格別です。すでに元~明時代に制作されていた青花(染付)、上絵付技法の五彩や豆彩、単色釉磁器はさらなる発展をみせ、清初・康煕から雍正帝の時代には、ヨーロッパの無線七宝の技術を採用した粉彩技法を開発し、絵画に遜色ない華麗な磁器を世界に先駆けて焼成しました。日本で随一と賞される静嘉堂の清朝陶磁コレクションが、この秋一堂に会します。どうぞご期待ください。

    清朝の陶磁器が約90点もが展示されている。数が多いので圧巻。
    入り口に
    49 重美《青花臙脂紅龍鳳文瓶》一対 「大清乾隆年製」銘 
    が一対で展示されている。青花と臙脂紅のピンクで華やかな大瓶。

    冒頭に技法などの説明がある。
    -暗花:線刻による装飾技法の一
    -臙脂(えんじ)紅:粉彩の絵具の一。金を呈色材として高価な絵具で失透性の華やかなピンクが特徴。「金紅」ともいう。康熙年間に官窯で開発された。
    -火焔紅:銅紅釉の一
    -貫入
    -五彩:famille vert;
    -青花:Blue and white
    -青磁
    -素三彩:磁胎の三彩。雑彩もその一種。Yellow Hathrow, Black Harthrow
    -茶葉末:鉄を呈色材とする。日本では蕎麦釉ともいう
    -銅紅釉:
    -豆彩:
    -堂斎銘
    -粉彩:famille rose
    -抹紅:
    -琺瑯彩:宮廷内工房の内務府造辧処の琺瑯作において粉彩技法により絵付けをした陶磁器
    -釉裏紅:釉下に施す下絵技法の一つ、日本では辰砂ともよぶ
    -陽刻:浮き彫り

     技法の差は判別することは無意味なくらい官窯の優品が並ぶ。その中でも目に付いたものをピックアップして、いくつかはメモを付けた。

    18*《豆彩八仙文杯》8口 康煕年間; 白地の小さな文杯。 
    19《五彩花卉文杯》12口 「大清康煕年製」銘;白地の小さな文杯。 
    24《五彩万寿桃文盤》「大清康煕年製」銘;桃のピンクが絶妙。
    30*《粉彩菊蝶図盤》 「大清雍正年製」銘
    34《青花雲龍文盤》2枚「致遠堂製」銘;あまり図は凝っていないので民窯でしょうか
    35《青花釉裏紅八仙文瓢型温酒器》「養和堂製」銘;造形が楽しい。
    36《粉彩梅花喜鵲図碗》「大清乾隆年製」銘 (白地の琺瑯彩);白地に梅花喜鵲図が描かれる。優品。
    37《粉彩瑞果文碗》一対「大清乾隆年製」銘
    45《青花紅彩龍濤文盤》一対のうち「大清乾隆年製」銘;青花の波濤文の上に、紅彩龍で中央に一匹、回りに龍4匹を描く。中央の龍は、S字の胴体から左右にまっすぐ曲げずに手足4つを伸ばしている。なんとも可愛らしいポーズ。
    46*, **《青花黄彩雲龍文盤》「大清乾隆年製」銘;
    47《臙脂紅吉祥唐草文香炉》「大清乾隆年製」銘
    49* 重美《青花臙脂紅龍鳳文瓶》一対 「大清乾隆年製」銘 
    51**《粉彩百鹿図壺》「大清乾隆年製」銘;山水を背景に躍動的に描かれた鹿が見事。
    52《豆彩八吉祥唐草文龍耳瓶》「大清乾隆年製」銘
    53*《粉彩梅花喜鵲図象耳瓶》「大清乾隆年製」銘;瓶の首はpale blue、胴は白地。見事に装飾的に描かれた梅花喜鵲図。象耳が可愛らしい。
    62《粉彩柘榴文双耳瓶》「慎徳堂製」銘
    63《粉彩歳寒三友図盤》一対 「慎徳堂製」銘
    64《粉彩蓮池鴛鴦文碗》「慎徳堂製」銘;
    78*《黒釉輪花盤》2枚「大清雍正年製」銘;菊花形。
    84*《青磁象耳瓶》「大清雍正年製」銘
    85*《青磁象耳瓶》「大清雍正年製」銘

    *ちらしに写真有り
    ** webに写真あり

    (16日)
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    特別公開 国宝 紫式部日記絵巻 @五島美術館

    2006-10-15 | 美術
    館蔵 秋の優品展(後期)
    絵画・墨跡と李朝の陶芸
    2006年9月2日から10月22日
    五島美術館

    前期の記録 古写経絵画、とくに歌仙絵墨蹟茶道具 李朝の陶芸

    奈良時代
  • 過去現在絵因果経断簡(益田家本)耶舎長者出家願図
    (前回の記事(古写経)に追記しました。)

  • 重文 佐竹本三十六歌仙絵 清原元輔像
    詞書は伝 後京極良経、画は伝 藤原信実。
     佐竹本三十六歌仙絵は、東京国立博物館(記録はこちら)で鑑賞のこつを教わったばかり。五島美術館では、かなり間近に鑑賞できるのですが、髪形と顔の描き方、柔らかな曲線で輪郭の描かれた束帯姿の描き方など、いいですね。
    佐竹本三十六歌仙 一覧表はこちら

  • 重文 前九年合戦絵巻断簡 帰順願図

  • 国宝 紫式部日記絵巻 五島本(旧森川家本の五段のうち、一段目、二段目、四段目)



    (画像はSRCリンク)

    紫式部日記は、寛弘5年(1008)7月から同7年(1010)正月までの約1年半の間に書き遺した日記。藤原道長の娘であり一条天皇の中宮であった彰子に仕えた紫式部が、彰子の二度の皇子出産とその祝賀の華やかな様子を中心に、当時の権力者道長をめぐる様々な平安貴族の様子を生きいきと描き出した日記文学。
    「紫式部日記絵巻」は、それを約250年後の鎌倉時代前期に絵巻にした作品。
    詞書は、伝 後京極良経(1169―1206)、絵は 伝 藤原信実(?―1233―1266―?)。つまり伝後京極良経ついては勘定があいません。

    「紫式部日記絵巻」は、全十巻程度の巻物であったが、現在はその約4分の1にあたる四巻分が伝わる。
    http://www.sainet.or.jp/~eshibuya/emaki.htmlによれば、
  • 「蜂須賀家本」(重要文化財 蜂須賀家蔵 1巻)
  • 「藤田家本」(国宝 藤田美術館蔵 1巻)


    (画像はSRCリンク)
  • 「藤田家別本」(田中親美模本 田中家蔵 1葉)
  • 「旧森川家本」(国宝 五島美術館蔵 額装6面)(一段目、二段目、四段目)
  • 「旧森川家本」(重要文化財 東京国立博物館 1幅)(三段目)(こちら
  • 「旧森川家本」(重要文化財 森川家蔵 1幅)(五段目)
  • 「旧久松家本」(重要文化財 日野原家蔵 1巻)

    旧森川家本は、もともとは、東京国立博物館のサイトの情報によれば、伊予西条(愛媛県)藩主松平家に伝来。その後、大正9年(1920)に名古屋の森川勘一郎(1887―1980)が発見し、昭和7年(1932)、益田鈍翁(1847―1938)が購入する際に第五段目を切断、森川家に残し(現在、個人蔵)、さらに翌年、鈍翁は第三段目を切り離し掛軸に改装(現在、東京国立博物館蔵)、残りの三段分はその翌年額装となり、戦後、高梨家を経て五島美術館が所蔵。

    今回の展示場面は、寛弘5年(1008)10月17日の夜、宮の内侍と紫式部を二人の公卿(藤原実成と藤原斉信)が訪ねる場面。11月1日の夜、皇子誕生五十日目の祝の日の様子。若宮(のちの後一条天皇)を抱く中宮彰子と女房たちを描く。酔い乱れた公卿たちが女房たちと戯れている様子。
    絵のおかげで筋もよく判り、紫式部って道長の娘の中宮彰子と同時代の人か、藤原行成、藤原公任とかも同時代か、鎌倉前期に作られたとすると、武家社会が成立して、昔の栄華を偲んで制作したのでしょうか?
    詞書の部分の料紙も豪華絢爛。金地に薄い金色と銀色で雲のように棚引くように模様が描かれている。箔などは散らしたりはいないので、平家納経ほどではないが、でも豪華な料紙です。
    絵はカラフルにはなったものの、藤原信実画というには、ちょっと顔の表現とかは、やはり佐竹本三十六歌仙絵のほうがいいなあというところでしょうか
    2月に東京美術倶楽部 創立100周年記念「大いなる遺産 美の伝統展」(記録はこちら)で一部鑑賞してるはずですが、今回のほうが空いていたので、ジックリと鑑賞できて、歴史を絵で再認識できて大満足でした。

    GOOGLEしていたら、2000円札の裏の図柄は、五島美術館の「源氏物語絵巻」と「紫式部日記絵巻」の一場面の紫式部を重ね合わせたものとのこと。今度手元にきたら観てみよう。
    二千円日本銀行券の主な様式等について。裏の図柄。左側に、「源氏物語絵巻」第三十八帖(じょう)「鈴虫」その二の絵の一部分に、同帖の詞書(ことばがき)の冒頭部分を重ね合わせたものを配し、右側に、源氏物語の作者である紫式部の絵を配したものとする。
    (注1)「源氏物語絵巻」の「鈴虫」の絵及び詞書は、国宝で五島美術館所蔵。
    (注2) 「紫式部日記絵巻」の一場面(「紫式部の局(つぼね)を訪(と)う斉信(なりのぶ)と実成(さねしげ)」)の絵(国宝、五島美術館所蔵)に描かれている紫式部。 http://www.mof.go.jp/jouhou/sonota/so004.htmから


    実は、前回の前半との差分はこんなものですが、もう一度、歌仙絵や墨跡をじっくりと鑑賞したりして、もう一度楽しめました。



    この日は、運動不足解消のため、朝から自宅から五島美術館まで遠路徒歩で行き、静嘉堂文庫美術館を訪れ、砧講演を横切り、世田谷美術館を経て、さらに遠路自宅まで歩きました。でも体重が減った形跡がない。
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