生誕130周年 松園と美しき女性たち @山種美術館(その1)
2005年10月8日から11月27日まで
26日に、松園の作品18点を展示した「生誕130周年 松園と美しき女性たち」に見に山種美術館に行ってきました。過去何度か松園をフィーチャした展覧会はあったと思いますが、私自身はまとめて観覧するのは初めてです。
上村松園(1875(明治8)-1949(昭和24)、鈴木松年や竹内栖鳳などに師事。新文展招待展出品「序の舞」(重文 東京芸術大学保管)が代表作)1948(昭和23)女性として初めて文化勲章を受章)
「つれづれ」(昭和16年)「春のよそをひ」(昭和11年)「夕べ」(昭和10年 第一回五葉会展)と淡青をベースとした無地の着物の作品がつづきます。並べてみると微妙に色合いは違います。「盆踊り」(昭和9年)。
「牡丹雪」(昭和19年 芸術院会員陸軍献納画展)「娘」(昭和17年)は、萌黄色の無地の娘姿。「庭の雪」(昭和23年)は、「牡丹雪」と同じく雪を愛でる娘姿の作品です。
「新蛍」(昭和4年 昭和5年ローマで開催された日本美術展に、「伊勢大輔」とともに出品された)は、「蛍」(後述)「夕べ」や簾越しの作品。
「砧」(1938(昭和13) 第2回新文展)は、謡曲「砧」から題材をとった作品。松園は本図について「都にある夫を想いながら空の一角を仰いで月を見、これから砧を打とうというところの妻女を、肖像のような又仏像のような気持ちで描いて見たものです。」と説明している。という。
「折鶴」(昭和15年頃)、「夏美人」(昭和17年頃)は、どちらも娘を描いた作品。「夏美人」は澄ました感じで戦時中の作品とは思えない小品です。「杜鵑を聴く」(昭和23年)。「春風」(昭和15)は、えび茶の無地の着物がきれいでした。「夕照」(大正初期)、「桜可里」(昭和1頃)。
そして、「蛍」(大正2年 第7回文展)。先般、ホテルオークラで開催された ヨーロッパと日本 ~きらめく女性たち~で最近みた作品。浴衣姿で蛍を眺める女性の一瞬の美しさをとらえます。「春芳」(昭和15年 本山幽篁堂展)芳(かぐわ)しい花の香りを楽しむ女性。
どの作品も、女性の一瞬の立ち居振る舞いの美しさ、四季を愛でる女性の細やかさを描きます。今回見た作品は、着物はあくまでも無地をベースにしている作品が多く、それは清澄さを念願とする松園の理想とするところでしょう。それにしても、やはり京都生まれ、無地の着物の微妙な色合いの違いは、普段着物を見慣れ、着付けている雅な空間で生活する京の女性ならではしょう。
上記の松園の作品の作品の画像は、すべて山種美術館のHPでみれます。すごい。
松園以外の作品はその2でかきます。
その2へつづく
2005年10月8日から11月27日まで
26日に、松園の作品18点を展示した「生誕130周年 松園と美しき女性たち」に見に山種美術館に行ってきました。過去何度か松園をフィーチャした展覧会はあったと思いますが、私自身はまとめて観覧するのは初めてです。
上村松園(1875(明治8)-1949(昭和24)、鈴木松年や竹内栖鳳などに師事。新文展招待展出品「序の舞」(重文 東京芸術大学保管)が代表作)1948(昭和23)女性として初めて文化勲章を受章)
「つれづれ」(昭和16年)「春のよそをひ」(昭和11年)「夕べ」(昭和10年 第一回五葉会展)と淡青をベースとした無地の着物の作品がつづきます。並べてみると微妙に色合いは違います。「盆踊り」(昭和9年)。
「牡丹雪」(昭和19年 芸術院会員陸軍献納画展)「娘」(昭和17年)は、萌黄色の無地の娘姿。「庭の雪」(昭和23年)は、「牡丹雪」と同じく雪を愛でる娘姿の作品です。
「新蛍」(昭和4年 昭和5年ローマで開催された日本美術展に、「伊勢大輔」とともに出品された)は、「蛍」(後述)「夕べ」や簾越しの作品。
「砧」(1938(昭和13) 第2回新文展)は、謡曲「砧」から題材をとった作品。松園は本図について「都にある夫を想いながら空の一角を仰いで月を見、これから砧を打とうというところの妻女を、肖像のような又仏像のような気持ちで描いて見たものです。」と説明している。という。
「折鶴」(昭和15年頃)、「夏美人」(昭和17年頃)は、どちらも娘を描いた作品。「夏美人」は澄ました感じで戦時中の作品とは思えない小品です。「杜鵑を聴く」(昭和23年)。「春風」(昭和15)は、えび茶の無地の着物がきれいでした。「夕照」(大正初期)、「桜可里」(昭和1頃)。
そして、「蛍」(大正2年 第7回文展)。先般、ホテルオークラで開催された ヨーロッパと日本 ~きらめく女性たち~で最近みた作品。浴衣姿で蛍を眺める女性の一瞬の美しさをとらえます。「春芳」(昭和15年 本山幽篁堂展)芳(かぐわ)しい花の香りを楽しむ女性。
どの作品も、女性の一瞬の立ち居振る舞いの美しさ、四季を愛でる女性の細やかさを描きます。今回見た作品は、着物はあくまでも無地をベースにしている作品が多く、それは清澄さを念願とする松園の理想とするところでしょう。それにしても、やはり京都生まれ、無地の着物の微妙な色合いの違いは、普段着物を見慣れ、着付けている雅な空間で生活する京の女性ならではしょう。
上記の松園の作品の作品の画像は、すべて山種美術館のHPでみれます。すごい。
松園以外の作品はその2でかきます。
展覧会の説明から: 美人画の第一人者として名高い上村松園は、明治8年京都の四条で葉茶屋を営む家に生れました。それから、明治、大正、昭和、そして平成と130年のときが経ち、女性を取巻く社会は激動の歴史と共に大きく変化してまいりました。
松園は京都府画学校に学んだ後、鈴木松年、幸野楳嶺、及び竹内栖鳳に師事し、早くから内国勧業博覧会などで評価を得、文展で受賞を重ね、昭和23年には女性として初めて文化勲章を受章しています。「私は大てい女性の絵ばかり描いている。しかし、女性は美しければよい、という気持で描いたことは一度もない。一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである。」と近代日本画の理想を述べていますが、芸術に対するその真摯な態度こそが松園作品に凛とした美しさを与えているのではないでしょうか。
本展覧会は当館所蔵の松園作品をご覧頂くとともに、女性を描いた作品ばかりを展示し、「女性の美」を追求致しました。本展をどうぞ心ゆくまで楽しんで頂けましたら幸甚でございます。
その2へつづく