時々新聞社

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キヤノンが減収減益で、それが何か?

2008年10月29日 | 経済問題
キヤノンは、平成20年12月期の連結業績予想(米国会計基準)を下方修正したと発表した。最終利益は前期比23.2%減の3750億円。従来は5000億円と予想していたが、金融危機を契機とした世界的な景気低迷や販売価格の下落に加え、大幅な円高の進行が直撃する。7月時点の増収増益予想が一転し、9年ぶりの減収減益に陥るそうだ。
本業のもうけを示す営業利益は、通期で5800億円の見通しとなり、前期から1767億円減少する。同社の予測によると、円高に伴う為替差損だけで営業利益が1568億円吹き飛ぶ見通し。キヤノンの営業利益は、1円の円高で対ドルでは26億円、ユーロでは17億円の下振れ要因になるだけに、同日会見した大沢正宏常務は「まさに100年に1度の景気停滞。為替の急激かつ大幅な円高で、業績に多大なマイナス影響を与えた」と急激な円高を嘆いた。
また、現在の為替水準を受けて、10~12月期の想定為替レートをこれまでの1ドル=105円から100円に、1ユーロ=165円から135円にそれぞれ変更したという。
さて、「9年ぶりの減収減益」などと大きな見出しが付いているので、どうしたんだと思って読んでみたがまったくたいした記事ではない。
バブル崩壊以後、国民が塗炭の苦しみを味わっている時に、よく9年間にもわたって、増収増益を続けてきたものだ、と感心することはあっても、別に今回の減収減益など驚きもしない。
これだけ、世界の経済が大きな打撃を受けている時に、減収減益になりながらも、多額の黒字を出したことは、キヤノンが非正規雇用者を大量に雇用して人件費を浮かすだけでなく、労基署から偽装請負という違法行為についてたびたび指摘をされながらもそれを改めずに、労働者を絞り上げてきた結果に他ならない。
したがって、キヤノンの「厚顔無恥」ぶりについて驚くことはあっても、減収減益になったからといって、別にたいしたことはない。しかも、赤字に転落したわけではない。しっかりと利益を確保しているではないか。
それとも企業というのは、毎年、毎年、増収・増益にしなければならないものなのだろうか?もちろん、それが望ましいことは言うまでもないが、たまには、減収したり、減益になったりすることもあるだろう。別に驚くことではない。
いくら良い製品を作っても、キヤノンの労働者自身が、自社製品を買えないような貧困状態に置かれていたのではどうしようもあるまい。
次にキヤノンが取り組むべきことは、非正規雇用を解消し、正規雇用を促進することだ。また、今までにもうけたお金を労働者にきちんと分配し、内需の拡大で日本経済に貢献することである。


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