新聞の役割とは一体なんだろう。
2000年6月に制定された「新聞倫理綱領」の冒頭の文章を以下に示しておこう。
「21世紀を迎え、日本新聞協会の加盟社はあらためて新聞の使命を認識し、豊かで平和な未来のために力を尽くすことを誓い、新しい倫理綱領を定める。
国民の「知る権利」は民主主義社会をささえる普遍の原理である。この権利は、言論・表現の自由のもと、高い倫理意識を備え、あらゆる権力から独立したメディアが存在して初めて保障される。新聞はそれにもっともふさわしい担い手であり続けたい。
おびただしい量の情報が飛びかう社会では、なにが真実か、どれを選ぶべきか、的確で迅速な判断が強く求められている。新聞の責務は、正確で公正な記事と責任ある論評によってこうした要望にこたえ、公共的、文化的使命を果たすことである。」
誠に、見事な倫理綱領ではないかと感心するばかりである。
いずれの新聞社も第2次世界大戦、太平洋戦争の激化ともに、言論人としての精神を失い、大本営発表を鵜呑みにした記事を報道し続けた。戦後はその反省の上に立って、この倫理綱領の精神を心に刻みながら、平和で民主的な社会の実現を目標に発行を続けてきたものと理解している。
それでは、新聞各社は実際に「憲法改正」の議論について、どのような態度をとっているだろうか。
戦争を放棄を明記した憲法9条を含む「改正」案が自民党から提案されているが、これに対して正面から批判の論陣を張った大手新聞社は1社もない。また、安倍晋三の「憲法や教育基本法の「改正」し、「美しい日本」を作る」との発表についても、いかにも客観的な報道を装いながら、その実、彼の主張をそのまま発表するだけである。戦前の大本営発表とどれほどの違いがあろう。
自衛隊の海外派兵という明確な憲法違反の行動に対して、新聞はどのように報道しただろうか。
1面の見出しには、「イラク派兵を決定」などと大々的に報道し、隅っこに、「憲法上の疑義もある」などと小さく報道するだけである。なぜ正面から、「憲法違反のイラク派兵を決定」、「イラク派兵は止めよ」と主張できないのであろうか。
中には、憲法「改正」を社是であると主張するような愚かしい新聞もあるが、先に掲げた倫理綱領に照らせば、言語道断である。
ここ1年ほど格差社会について、告発の連載を続けている新聞社があるが、そのような悲惨な実態があることを報道するのみで、その根幹にある政府の構造改革路線への批判やその転換に話が及ぶと、いきなりトーンダウンしてしまうのだ。所詮、ここまでの報道が限界なのである。
大手新聞社といえども、読者からの購読料だけで経営をしているわけではない。財界、大企業や政府関係の膨大な広告、そして選挙ともなれば、自民党は大のお得意様であり、そのお得意様の主張を公然と批判することはできないのである。
これが、現在の大手新聞社の実態であり、乗り越えられない壁なのである。
しかし、大手各紙は、このような報道姿勢をいつまで続けるつもりだろうか。憲法「改正」までが日程に上っている現在、どこまで「沈黙」や「客観報道」で済ませることができるだろうか。それは新聞の自殺行為であると思われる。
2000年6月に制定された「新聞倫理綱領」の冒頭の文章を以下に示しておこう。
「21世紀を迎え、日本新聞協会の加盟社はあらためて新聞の使命を認識し、豊かで平和な未来のために力を尽くすことを誓い、新しい倫理綱領を定める。
国民の「知る権利」は民主主義社会をささえる普遍の原理である。この権利は、言論・表現の自由のもと、高い倫理意識を備え、あらゆる権力から独立したメディアが存在して初めて保障される。新聞はそれにもっともふさわしい担い手であり続けたい。
おびただしい量の情報が飛びかう社会では、なにが真実か、どれを選ぶべきか、的確で迅速な判断が強く求められている。新聞の責務は、正確で公正な記事と責任ある論評によってこうした要望にこたえ、公共的、文化的使命を果たすことである。」
誠に、見事な倫理綱領ではないかと感心するばかりである。
いずれの新聞社も第2次世界大戦、太平洋戦争の激化ともに、言論人としての精神を失い、大本営発表を鵜呑みにした記事を報道し続けた。戦後はその反省の上に立って、この倫理綱領の精神を心に刻みながら、平和で民主的な社会の実現を目標に発行を続けてきたものと理解している。
それでは、新聞各社は実際に「憲法改正」の議論について、どのような態度をとっているだろうか。
戦争を放棄を明記した憲法9条を含む「改正」案が自民党から提案されているが、これに対して正面から批判の論陣を張った大手新聞社は1社もない。また、安倍晋三の「憲法や教育基本法の「改正」し、「美しい日本」を作る」との発表についても、いかにも客観的な報道を装いながら、その実、彼の主張をそのまま発表するだけである。戦前の大本営発表とどれほどの違いがあろう。
自衛隊の海外派兵という明確な憲法違反の行動に対して、新聞はどのように報道しただろうか。
1面の見出しには、「イラク派兵を決定」などと大々的に報道し、隅っこに、「憲法上の疑義もある」などと小さく報道するだけである。なぜ正面から、「憲法違反のイラク派兵を決定」、「イラク派兵は止めよ」と主張できないのであろうか。
中には、憲法「改正」を社是であると主張するような愚かしい新聞もあるが、先に掲げた倫理綱領に照らせば、言語道断である。
ここ1年ほど格差社会について、告発の連載を続けている新聞社があるが、そのような悲惨な実態があることを報道するのみで、その根幹にある政府の構造改革路線への批判やその転換に話が及ぶと、いきなりトーンダウンしてしまうのだ。所詮、ここまでの報道が限界なのである。
大手新聞社といえども、読者からの購読料だけで経営をしているわけではない。財界、大企業や政府関係の膨大な広告、そして選挙ともなれば、自民党は大のお得意様であり、そのお得意様の主張を公然と批判することはできないのである。
これが、現在の大手新聞社の実態であり、乗り越えられない壁なのである。
しかし、大手各紙は、このような報道姿勢をいつまで続けるつもりだろうか。憲法「改正」までが日程に上っている現在、どこまで「沈黙」や「客観報道」で済ませることができるだろうか。それは新聞の自殺行為であると思われる。