時々新聞社

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日本経済は試練のとき?

2008年07月24日 | 経済問題
大田経済財政相は閣議に、2008年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。
白書は日本経済の現状について、「久々に試練のときを迎えている。(2002年2月から続いてきた)景気回復に『黄信号』がともっている」との認識を示した。
副題は「リスクに立ち向かう日本経済」とある。白書は2008年に入って景気が足踏み状態となった主な理由として、原油・原材料価格の高騰と、低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付き問題をきっかけとするアメリカ経済の減速を挙げた。製造コストが増えたり、対米輸出が鈍ったりしたことにより、企業業績が悪くなり、期待されていた「企業から家計への景気回復の波及」が実現していないことを率直に認めている。
原油価格が高騰したことにより、2005~2007年度の3年間で計7.5兆円の所得が中東などの産油国に移転したと試算した。価格が横ばいなら国内にとどまったはずの金額だ。第1次石油危機の時は賃金が上がったため家計の実質的な負担増はほとんどなかった。しかし、今回は企業の収益が悪くなって賃金が抑えられるという形で、企業と家計が負担を分かち合っていると分析している。
ただ、景気の先行きについての見通しはやや楽観的で、「雇用や設備投資に過剰感はみられず、在庫調整の動きも一部の財にとどまっている」と指摘している。米国経済の低迷や原材料価格の高騰がさらに続くなどの事態に陥らなければ、日本経済が自律的に景気後退に至る可能性はそれほど高くないと説明している。
さらに、今回の白書は、税制改正の必要性など政策面での課題について取り上げたことも特徴だ。特に消費税について、「先進各国では消費税の役割が高まっている」と指摘、社会保障財源を確保するためにも税率引き上げに向けた本格的な議論に入る必要があると主張している。
さて、読者諸兄は、この説明を聞いてどのように感じただろうか。
・2002年以来、景気回復を感じていただろうか?
・企業と家計が負担を分かち合っていると感じているだろうか?
・「社会保障」のために、消費税の増税がふさわしいと感じているだろうか?
バブル崩壊後、リストラが大規模に行われ、運良く企業に残った人間も成果主義、能力主義の導入で賃金は伸び悩み、昨今の原油高、食料品高で、家計は疲弊しているのは明らかであり、国民はずっと「試練のとき」を過ごしてきた。
にもかかわらず、「(日本経済が)久々に試練のときを迎えている。」という認識はどこから来るのだろうか?
輸出企業を中心に、大企業はバブル期にも達成できなかったような巨額の利潤を得ながら、同時に、法人税の実効税率は低下し、IT減税などの恩恵を受け続けてきた。
この利潤が、これからは確保できないかもしれない、そのことを危惧した言葉であろう。
政府が、どこを向いて経済、金融政策の舵取りをしているかは明瞭である。
輸出企業や大企業の利潤ではなく、国民の購買力を引上げ、内需を拡大することこそ、景気回復の最大の決め手である。そのためには、庶民減税や社会保障の充実などで国民の懐を応援するしか方法はないと思うが、いかがだろうか?

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