朝日新聞のインターネット版に経済評論家の荻原博子の「がんばれ!家計」というコーナーがある。
新春早々のこの欄のエッセーを要約すると、
今年は家計にとって、厳しい年となる。なぜなら、大増税をはじめとする負担増と、それに見合うだけの給料アップが見込めないという厳しい現実があるからである。
2006年に引き続き、2007年も、大増税の年となる。すでに決まっているのが、定率減税の全廃による実質増税がある。
年収500万円のサラリーマン家庭(専業主婦の妻と高校生、中学生の子供で、生命保険料、損害保険料を控除額いっぱいまで支払っているという設定)でシミュレーションすると、この家庭の一昨年(2005年)の税金は、所得税と住民税を合わせて14万1100円。これが、昨年は定率減税が半減したために、1万3800円の増税となり、さらに、今年は定率減税が全廃になり、税金は3万1000円増え、2年間で4万4800円も増税になるという
定率減税の廃止は、すでに決まっているが、ウヤムヤになっている消費税アップや配偶者控除の廃止、給与所得控除の縮小などの増税話も、参議院選挙が終わったら出てくると予想している。
しかも、増えるのは税金だけではなく、4月には国民年金の保険料がアップし、10月には厚生年金の保険料がアップする。
また、一方の収入増は見込めないと予想している。
なぜなら、企業が、終身雇用や年功序列を捨てて、アメリカのような能力給を取り入れており、政府も、それを奨励しており、昨年5月に成立した新しい会社法では、株主の権利が色濃くうたわれたことを上げている。今まで日本の会社は、社長と従業員が支え、不況の時にはみんなで我慢し、そのぶん、好況になると利益が社員に還元される仕組みであったが、今後は、株主はより自分の利益を増やすために、給料を押さえようとする。
派遣社員の自由化やホワイトカラーエグゼンプション制度導入なども、実は、社員の給与を低くおさえるためのものであり、従来のような給料アップは望めないと分析している。
このような中で、荻原氏が主張しているのは、家族みんなで協力して強い家計をつくることが大切であり、いつ、どれくらいのお金が必要になるのか、そのために、どれくらい貯金をしなくてはいけないのか、貯金するためには、生活費をどれくらいに押さえなくてはいけないのかを計算し、家計に無理がありそうだと思ったら、収入を増やすために、妻がパートに出るだけでなく、子供も大きければアルバイトをしよう、と述べている。
彼女の家計や経済を取り巻く現状認識や分析には納得できるが、対策は必ずしもいただけない。
家計を考える時に、子供の成長、自分の老後などの将来設計を考慮して、計画を立てることは重要である。
しかし、足りなくなったら、節約して、とにかく家族みんなで働くしかないというのはどうもいただけない。
彼女自身が指摘しているように、派遣労働の広がりで、働いても生活保護基準以下のワーキングプアを生み出すような社会の仕組みに問題があるのだ。また、企業の利益が従業員に適切に配分されていないことに根本的な原因があるのだ。
この仕組みを変えない限り、庶民の家計はこれからますます追い詰められることになるだろう。
楽しく読ませていただいているエッセーであるが、現状の打開のための提案が乏しいと感じるのは私だけではあるまい。
こうすればこの社会を変えられる、と多くの国民が納得し希望を持てるような提案を希望したい。
新春早々のこの欄のエッセーを要約すると、
今年は家計にとって、厳しい年となる。なぜなら、大増税をはじめとする負担増と、それに見合うだけの給料アップが見込めないという厳しい現実があるからである。
2006年に引き続き、2007年も、大増税の年となる。すでに決まっているのが、定率減税の全廃による実質増税がある。
年収500万円のサラリーマン家庭(専業主婦の妻と高校生、中学生の子供で、生命保険料、損害保険料を控除額いっぱいまで支払っているという設定)でシミュレーションすると、この家庭の一昨年(2005年)の税金は、所得税と住民税を合わせて14万1100円。これが、昨年は定率減税が半減したために、1万3800円の増税となり、さらに、今年は定率減税が全廃になり、税金は3万1000円増え、2年間で4万4800円も増税になるという
定率減税の廃止は、すでに決まっているが、ウヤムヤになっている消費税アップや配偶者控除の廃止、給与所得控除の縮小などの増税話も、参議院選挙が終わったら出てくると予想している。
しかも、増えるのは税金だけではなく、4月には国民年金の保険料がアップし、10月には厚生年金の保険料がアップする。
また、一方の収入増は見込めないと予想している。
なぜなら、企業が、終身雇用や年功序列を捨てて、アメリカのような能力給を取り入れており、政府も、それを奨励しており、昨年5月に成立した新しい会社法では、株主の権利が色濃くうたわれたことを上げている。今まで日本の会社は、社長と従業員が支え、不況の時にはみんなで我慢し、そのぶん、好況になると利益が社員に還元される仕組みであったが、今後は、株主はより自分の利益を増やすために、給料を押さえようとする。
派遣社員の自由化やホワイトカラーエグゼンプション制度導入なども、実は、社員の給与を低くおさえるためのものであり、従来のような給料アップは望めないと分析している。
このような中で、荻原氏が主張しているのは、家族みんなで協力して強い家計をつくることが大切であり、いつ、どれくらいのお金が必要になるのか、そのために、どれくらい貯金をしなくてはいけないのか、貯金するためには、生活費をどれくらいに押さえなくてはいけないのかを計算し、家計に無理がありそうだと思ったら、収入を増やすために、妻がパートに出るだけでなく、子供も大きければアルバイトをしよう、と述べている。
彼女の家計や経済を取り巻く現状認識や分析には納得できるが、対策は必ずしもいただけない。
家計を考える時に、子供の成長、自分の老後などの将来設計を考慮して、計画を立てることは重要である。
しかし、足りなくなったら、節約して、とにかく家族みんなで働くしかないというのはどうもいただけない。
彼女自身が指摘しているように、派遣労働の広がりで、働いても生活保護基準以下のワーキングプアを生み出すような社会の仕組みに問題があるのだ。また、企業の利益が従業員に適切に配分されていないことに根本的な原因があるのだ。
この仕組みを変えない限り、庶民の家計はこれからますます追い詰められることになるだろう。
楽しく読ませていただいているエッセーであるが、現状の打開のための提案が乏しいと感じるのは私だけではあるまい。
こうすればこの社会を変えられる、と多くの国民が納得し希望を持てるような提案を希望したい。