時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

不景気にならないと減らない残業代

2009年02月05日 | 経済問題
厚生労働省が発表した2008年の毎月勤労統計調査(速報)によると、残業などを含めた1人あたりの年間総実労働時間数は1792時間だった。
1990年に現行の調査対象となって以来の最短記録となり、初めて1800時間を割り込んだという。
平均すると1か月で149.3時間で、前年比0.9%減で2年連続減少だった。このうち残業などの所定外労働時間の月平均が2.7%減の10.7時間と大幅に減少したのが押し下げ要因となったそうだ。正規の勤務時間である所定内労働時間も138.6時間で0.8%減だった。厚労省は景気の悪化で、勤務時間の調整が行われたのが要因と見ている。
また雇用形態では、直接雇用のうち一般労働者数が前年比1.6%増だったのに対し、パートタイム労働者数は前年比1.5%増。パートタイム労働者の増加率が一般を下回るのは、1990年調査開始以来初めてだそうだ。雇用調整が非正規労働者から行われていることを裏付けた。
一方、賃金は景気が安定した昨年春ごろに労使で妥結されたために増加傾向だった。給料の月平均額である現金給与総額は、前年比0.3%増の33万1026円で、2年ぶりに増加したという。
こういう記事を見ると、機械化が進み、生産性はどんどん向上しているにもかかわらず、労働時間は高度経済成長の時代と比べてもそれほど減っていない。
同じ商品がより短時間で、より効率的に生産できるようになっているわけだから、当然、労働時間は短くなって当たり前であるが、現実はそのようになっていない。また、もし労働時間が変わらなければ、賃金の上昇に反映されていなければならないだろう。そのようにもなっていない。
確かに昔に比べれば、生活が便利になり、生活水準は向上しているが、生産性向上の規模とスピードほどではない。
要するに、生産性が向上し、それによって作られた富は、特定の階層に偏在して蓄積されたということだろう。
残業時間の削減は、人間が豊かな生活を送るうえで、お金と同様に重要なものである。
働く人間が、お金も時間も享受できる社会になっているにもかかわらず、それを阻害する社会の仕組みが厳然と存在しているということだろう。