時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

なぜ起きる政治家のカネ問題

2007年07月29日 | 政治問題
今日は参議院選挙の投票日である。
今回の選挙では、不明年金問題や住民税増税など国民生活の大もとに関わる問題が話題になり、これに伴う格差問題もずいぶんと議論された。
しかし、憲法問題や政治とカネの問題では、どうも盛り上がりにかけたことは否めない。
選挙のマニフェストの中に、自民党は憲法改定を書き入れ、公明党も「加憲」などと微妙にニュアンスを変えながらも、これに追随した。にもかかわらず、民主党のマニフェストの中には、憲法には触れられていない。
また、政治とカネの問題を巡っても、選挙前には、多額の事務所費を計上していた松岡前農水相や赤城農水相の問題で、国民の怒りが沸騰し、選挙中にも、赤城農水相が同じ領収書のコピーを二重計上していた問題が新たに発覚した。これに対して、自民党はもちろんダンマリを決めているが、野党第一党の民主党もこの点での追及は鈍い。
これには、理由がある。
憲法問題では、自民党も民主党も、「憲法を変える」という点でまったく違いがないからである。
憲法を公約の第一に押し出した自民党に対して、この点で違いを打ち出すことができないのだから、民主党は戸惑ったに違いない。
ここに降って沸いたのが、あの年金問題だ。民主党はこれ幸いとこれに飛びつき、年金問題を第一の争点に押し上げる作戦が成功し、躍進が予想されているのが今回の選挙だ。
マスコミの予想通り、もし民主党が躍進すれば、憲法改定へのレールが一段と強く敷かれることを懸念するものである。
もう一つの政治とカネの問題では、そもそも政治家のモラルの低下が問題である。モラルを低下させているもっとも大きな要因は、自分のカネでない資金がふんだんに自由に使える政党助成金制度である。この制度が、政党や政治家のモラル低下の大きな要因になっている。また、もう一つの要因は企業献金であろう。企業からふんだんに資金が提供され、政治家になれば一財産が築けるような状態が、政治家の金銭感覚を麻痺させている。
このカネの問題でも、自民、民主が揃って、政党助成金を受け取り、経団連に献金の無心に行くような状況になっている。
これで、政治家とカネの問題を解決できるだろうか。
問題は、単に経費として正しく使用しているか、あるいは、帳簿をきちんとつけているか、といったことではなく、自らの政党活動を通じて、活動資金を獲得できているかどうかが問われるのである。
明朝には、参院選の結果も判明していることだろう。
自民、公明の与党に厳しい審判が下ることを期待するとともに、憲法やカネの問題など、十分に議論にならなかった問題にも、選挙後に国民の期待に沿った対応が図られることを切に希望するものである。