時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

被災者の半数が地震の「備えなし」

2007年07月22日 | 社会問題
新潟県中越沖地震により、柏崎市内の12ヵ所の避難所で生活を続ける被災者130人を対象に、読売新聞が聞き取り調査を実施したという。
回答者は男性61人、女性69人。年齢別は30代26人、40代24人、50代18人、60代31人、70代以上31人。中越地震を経験した人は、93%にあたる121人だった。
その結果、2004年の中越地震の教訓を生かした備えができていなかったと回答した人が半数以上にのぼったという。
中越地震を経験した地域だが、9割近くは「その後の大規模地震を想定していなかった」とし、自宅で元の生活に戻る見通しを持てない人は4割に達しているそうだ。
自宅に戻れない4割の被災者は、備えをしていたが、自宅の損傷がひどく役立たなかった可能性はあるが、中越地震の被災経験者の半数以上で「備えがなかった」という結果は、大変残念だ。
こう言っては失礼かもしれないが、自然災害を甘く見ていないだろうか。
中越地震の経験者が9割もいながら、備えが不十分だった人が半数にも及ぶというのは、由々しき事態ではなかろうか。
大きな災害を経験すると、非常用グッズが一時的に大量に売れるが、時を経るごとにその意識や経験は風化し、数年を経ると、実際に備えをする人は激減する。
もっとも、備えをしていても、それが役立たないほどの大きな災害であればどうしようもないが、やはり「備えあれば憂いなし」だろう。
また、負傷者もずいぶんと出たようだが、軽症者まで病院に押しかけると、とんでもないパニックになるだろう。重傷者への治療の妨げにもなる。多少の怪我などであれば、自宅でもきちんと治療できるだけの準備が必要だ。
数日間は、支援物資がなくとも生活できる準備が求められる。
阪神大震災の時もそうだったが、大都市でこれだけの地震が発生すれば、食事も十分に行き渡らず、病院でも十分な治療が受けられないだろう。東京都も、各家庭に3日分の食料準備を呼びかけている。要するに、自治体としては、災害後3日間は支援できないということだ。
日本は地震大国である。また近年は、水害も多発し、避難生活を強いられることも多くなっている。
今回の地震は大変不幸な出来事ではあるが、これを教訓に、各家庭で少なくとも数日間にわたり、家族が十分に生活できるだけの水や食料などを確保しておくべきであろう。
自治体の備えも問題である。
先日の記事でも述べたが、今回の地震における1避難所当りの平均避難者数100人に満たない。それでも、炊き出しなどが行われたのは、地震発生日の夜になってからであり、それさえも被災者全員に十分に行き渡ったとは言いがたい。
また、避難所以外の被災者には救援物資を届ける体制がなく、おにぎりなどは大量に捨てられているという。
官民揃って、自然災害への備えをもう一度見直すべきである。
それと同時に、生活に不要なものは処分し、家具なども最小限とし、できる限り身軽で簡素な生活を常日頃から心がけることだ。編集長もこの点を大いに反省している。