時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

朝令暮改:2題

2007年05月31日 | 政治問題
国土交通省は、タクシーの台数が過剰となった地域で増車などを一時的に規制する「緊急調整措置」の発動要件を今秋に緩和し、規制を強化しやすくする方向で検討に入ったという。
やれやれ、まったくお粗末な話ではないか。
そもそも、自民・公明の与党と野党第一党の民主党がこぞって「規制緩和」を叫び、国民の多くがこれを熱狂的に受け入れた結果が、タクシーや運送業の過剰となって現れているわけである。
この結果、タクシー、観光バス、貨物トラックなどの運送業では、過当競争によって運転手の賃金はどんどん減り続け、倒産企業も植えている。また、長時間、過密労働によるトラックや観光バスによる事故も相次いで起きている。
これらの現象は、「規制緩和」によって当然予想された事態である。
国土交通省によると、新規参入規制などを撤廃したタクシーの自由化で、地域によっては過当競争が起き、交通事故の増加などの弊害が目立ち始めたため、改善を図るのだというが、朝令暮改も甚だしいではないか。
たった数年後の見通しもなく、政策を決めるこの国の政治のあり方に疑問を感じるのは編集長ばかりではあるまい。
多くの国民(すべてではない)も、政権与党である自民、公明あるいは、二大政党などと騒いで民主党に投票し、この「規制緩和」を推進してきた自らの愚かさや誤りを真摯に反省すべきであろう。
次は、義務教育問題だ。
政府の教育再生会議は28日、首相官邸で合同分科会を開き、第2次報告の原案を了承した。原案には道徳に代わる「徳育」を従来の教科とは異なる「新たな教科」として導入することや、ゆとり教育を見直し授業時間を増やすための土曜授業実施や春・夏休みの活用などが盛り込まれている。6月1日の総会で決定する見通しと報じられている。
土曜授業を実施するための週休2日制の廃止について「廃止すれば十数年前に戻るだけだ」との慎重意見も出たが、最終的に了承され、今後は土曜授業復活に向けて動きが加速しそうだ。
しかし、ついこの間までゆとり教育などと騒いでいたと思ったら、今度は土曜授業の復活だという。週休2日制が定着している現在、教員の土曜出勤は可能なのか、土曜日に塾通いやスポーツなどをしている子供たちは、日程を変更してもらわなければならなくなるのでは、などと心配になる。
一方、徳育を「新たな教科」とすることには異論が出なかったというが、「徳育」の内容としてどういうことを教えようとしているのか、まったくわからない。胡散臭い印象を持つのは編集だけではないと思われるがいかがだろうか。