時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

「百年安心」の年金の加入記録に不備続出

2007年05月11日 | 政治問題
社会保険庁は、58歳に達した年金加入者を対象に保険料の加入記録を事前に通知した計約466万人(2004年3月から2006年12月まで)のうち、約41万人が「過去の勤務先の加入記録がない」などとして、加入記録の調査を求めていたことを明らかにした。
事前通知制度は、年金給付開始前に加入者に年金額などを確認してもらうため、2004年に始まった。生涯1つの番号で加入記録を管理する基礎年金番号が1997年に導入される前は、転職のたびに異なる年金手帳記号番号が発行され、加入者が複数の加入記録を持つケースが多かった。
今回の41万人分の調査では、加入記録の修正で解決することが多いとみられるという。
しかし、この実態はあまりにもズサンではないか。
以前にも、テレビで20人ほどの年金加入者に、最寄りの社会保険事務所に行ってもらい、加入記録を確認したところ、約1割に記録のミスが見つかっている。
今回の調査の結果もおよそ1割で不備が見つかっており、大体同じ比率である。
要するに、今後も1割くらいのミスは十分に起こり得るということを示している。
何十年も前に勤務していた会社が現時点で存在していない場合は、その時の給与明細、国民年金保険料の領収書など、年金を支払っていた証拠書類を保管しておかないと、とんでもない結果を招きかねない。
実際に、何の証拠もないために、その期間に相当する年金を受給できず、トラブルになっている例もテレビで放映されていた。
2004年の国会で、年金保険料の引き上げ、支給年齢の引き上げや支給額の削減などが行われた。与党の一角を占める公明党は「百年安心」などと胸を張ったが、選挙が終わった途端に、年金改革だとか、年金財政が破綻するなどと騒いでいる。将来の年金支給の保証はもとより、加入記録という財産管理すら、実態はこの通りのお粗末さである。
付け加えて言えば、今年の4月初旬には、年金加入記録のうち5000万件が該当者不明との報道もあった。厚生・国民年金の約5000万件の加入記録が2006年6月現在、基礎年金番号が付与されず、現在の加入者と結びつかない状態にあることも明らかになっている。
その多くが加入者の死亡、加入期間の不足による受給資格の喪失者など付与する必要のない記録らしいが、氏名の入力間違いなど社会保険庁のミスが原因のケースも相当数含まれることもわかっている。
たとえば、2001年4月~2007年2月の間に、約22万件の支給漏れが発覚している。これは、基礎年金番号が付与されていない約5000万件の記録の一部である。
将来も、年金が確実に支給されると思っている国民は少なく、多くの国民は、支払った保険料さえ戻ってこないのではないかと思っているに違いない。
いま、基礎年金の国庫負担割合を、現行の3分の1から2分の1に引き上げが計画されているが、元々は、国庫負担は2分の1だったのを、新幹線や道路など、いわゆる大型開発に予算をつぎ込むために3分の1に削減してきたのは、自民党である。そして、今度はそれを元に戻すために、消費税の増税が必要などと主張しているのである。消費税がない時代には2分の1を国庫負担できていたものを元に戻すのになぜ新たな増税が必要なのか、国民にきちんと説明してもらいたいものである。
また、加入記録そのものがいい加減だというような実態については、早急な改善を望みたい。