阿部ブログ

日々思うこと

静岡県知事選における川勝氏の圧勝とトリウム原子力

2013年06月18日 | 雑感
久し振りにトリウムです。

6月16日(日)に実施された静岡県知事選で、現職の川勝平太氏が108万609票を得て再選された。この得票は、静岡県知事選挙で史上最高。川勝氏の再選で、中部電力でのトリウム原子力の研究支援の継続性が高まった。川勝知事は、福島第一原発事故後、ウランと並ぶトリウムを燃料とするトリウム炉の研究開発を提唱されている。
中部電力では、原子力安全の向上を目指して、浜岡原子力発電所内に「原子力安全技術研究所」を設置し、新型原子炉に関する技術開発や、原子力の安全性を高める新型炉の概念検討、それとトリウムなどエネルギー源の多様化研究などに取り組んでいる。中部電力がトリウムの研究を軽重はともかく、掲げた事は貴重な一歩だと思う。

中部電力・原子力安全技術研究所は、今年3月18日に公募研究募集の結果を発表した。公募総数81件、採択は13件。採択された研究テーマの中にはトリウム溶融塩炉の研究も含まれ、「原子力の将来技術に資する基礎基盤的研究」として『トリウム溶融塩炉の苛酷事故ソースターム評価手法の構築を目指す基礎的研究』。提出したのは、福井大学の山脇道夫教授。
     
山脇教授は、5月17日、静岡県男女共同参画センターで開催れた原子力エネルギーシステムシンポジウム「トリウム燃料を利用した原子炉開発の課題と展望」-世界各国および我が国の研究開発状況を知り、今後の課題と展望を探る-で「トリウム炉の安全研究・工学的研究の現状と課題」と題して講演している。
山脇教授の研究に対して、中部電力から研究費として上限500万円/年が支給される。研究成果は、地元での説明会が企画されるとの事、是非とも参加したいと思っている。

中部電力としては、川勝知事から突然「トリウム炉の研究を」と言われていた訳ではなく、2010年10月29日に東京大学・駒場キャンパスで開催された『資源経済シンポジウム「トリウムとレアアース」』に中部電力の方が参加され、情報収集されていた。多分、彼はラガーマンだろう。筋肉質の肉体がスーツに透けるようだった。
東京大学でのシンポジウムについては、過去ブログを参照の事→「資源経済シンポジウム「トリウムとレアアース」が盛況裡に終了

トリウムに関しては中部電力だけでなく、原子力委員会も、5月9日に臨時会議を開催し、トリウム利用技術の研究開発動向について、NPO法人「トリウム溶融塩国際フォーラム」の吉岡律夫理事長から聴取している。吉岡氏は、故古川博士の意志を継いでNPOを引き継いだ元東芝の炉心設計者で、トリウム溶融塩炉は高レベル放射性廃棄物の減容化や核不拡散につながるとし、研究開発を進めるべきと持論を展開した。また木下幹康氏(東京大学客員研究員)は、日本単独で研究開発を行った場合、15年間で約2200億円の費用が掛かるとの試算を示している。
吉岡氏と木下氏の説明資料は、「トリウム利用技術とその研究開発について」

過去ブログもご参照下さい。
レアアースとトリウム
トリウム溶融塩炉とトリチウム(三重水素)
核武装 と トリウム溶融塩炉
第2の原子燃料 トリウム
レアアースとトリウムの動向_2010
『原爆帝国主義』におけるトリウム
日本トリウム協議会の設立が宣言された
レアアース&トリウムを一体処理する国内施設の必要性
「トリウム熔融塩炉の設計」について豊橋技術科学大学の三田地紘史名誉教授が講演
明日、いよいよNHK 『クローズアップ現代』 でトリウムがメインテーマで報道されます。
アメリカと中国がトリウム溶融塩炉の開発に着手か~
DARPAと原子力、殊にトリウム
亀井敬史氏の東洋経済に寄稿しているトリウム原子炉の記事が好評だ

最新の画像もっと見る