阿部ブログ

日々思うこと

核武装 と トリウム溶融塩炉

2011年10月02日 | 日記
NHKの「“核”を求めた日本」(2010年10月放送)によると佐藤政権内部で核武装を検討するグループが形成され、当時の西ドイツ政府に秘密協議を申し入れていた。核武装検討グループは1970年代後半から1980年代の前半に核武装する計画を立案していたが、核武装するには核兵器の開発に止まらず運搬手段、精密誘導技術、核兵器管理運用体制、核専門人材の育成、防諜など情報管理、老巧した核兵器の廃棄(プルトニウムは恒常的にアルファ線を発し続け、10年ほど経つと軍事用途としての機能を果たさなくなる為、解体・廃棄が必要)など検討すればすると、当時の日本では核武装の技術的、コスト的&政治外交的なハードルが高いとの判断に至ったようだ。

しかし、我が国はまだ核武装を諦めていないだろう。
例えば宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打上げた月周回衛星「かぐや(SELENE)」を月の表面に制御落下(2009年6月11日午前3時25分、月の南緯65.5度、東経80.4度)させたが、見る人が見れば、これは核弾頭を誘導する技術の実証と写るし、また六ヶ所村の再処理施設についても、核兵器用金属プルトニウムの製造は可能だし、現在性能試験中の「もんじゅ」の燃料棒には「MIL-SPEC」のプルトニウムが存在する。

因みに六ヶ所村の再処理工場は世界で唯一、硝酸ウランと硝酸プルトニウムの混合溶液を電磁波加熱してウランとプルトニウムの混合酸化物を作る方式を採用している。
フランスのラアーグや英国ウィンズケールなどの再処理工場では、プルトニウム硝酸溶液に蓚酸を添加し、蓚酸プルトニウムの沈殿を生成し、これをろ過&乾燥してプルトニウム酸化物(PuO2)の微粉末をつくるが、硝酸プルトニウムさえあれば、後はこのプルトニウム硝酸に弗化水素を加えて三価フッ化プルトニウム(PuF3)を生成し、次に金属溶融還元を施すと核兵器用金属プルトニウムが得られる。

蛇足ながらトリウム溶融塩炉の実現を目指す私としては1点注意することがある。
通常の再処理プロセスで出来るプルトニウム化合物は全て4価である事。つまり溶融塩炉での燃料になりうるプルトニウムは3価でなくてはならないが、3価のプルトニウムは、上記のように核爆弾となる材料である点。

つまり、我が国においてトリウム燃料サイクルを実現する為には、六ヶ所村の再処理工場において、軍用転用が可能なプルトニウムの製造が必要なのだ。
現行の「ウラン=プルトニウム燃料サイクル」から「ウラン=プルトニウム=トリウム燃料サイクル」へ拡大転換の為には、核武装を目指す人達と連携するのが良いかも知れない。
核燃料サイクルの転換する為、また溶融塩炉による核廃棄物の減量処理を実現する為、国内の再処理工場にて三フッ化プルトニウムを製造し、溶融塩炉でトリウム&プルトニウムを燃料として燃焼させる。トリウムは最終的にウラン233となり、これがまた核分裂性のウランで燃料となり、現行の燃料サイクルを拡大しつつ転換する事が可能となるだろう。

因みに1979年のオークリッジ国立研究所の論文によると、溶融塩炉に三フッ化プルトニウムを供給し、1GWe規模の炉で1年間運転すると、ウラン233を750kgが生成されるとい言う。

311以降、原子力発電への強烈な逆風が吹いている。これは私感だが、国家として現在の原子力政策を堅持すると言う強い意志をヒシヒシと感ずる。
ただ、現行の核燃料サイクルは破綻しており、これをどのように転換したら良いか、正直分からないと言うのが現実の状況なのだろう。
そのような意味で、トリウムを燃料サイクルに取り込む事により、長期のエネルギー政策の大幅な変更を伴わず、核廃棄物の減量処理まで可能とする溶融塩炉の早期開発と運用は、今のジレンマを解決する方策としては有効ではないだろうか。

それと視点は変わるが「もんじゅ」の研究開発者は、そのまま溶融塩炉開発へ転用可能だと考えており、貴重な原子力人材の有効活用と職の安定化が図れる。
人材こそが日本のこれからの更なる発展に欠かせないことを考えると非常に重要であろう。
  

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