Trio Music, Live In Europe/Chick Corea
(ECM 1310, reissue)
録音が素晴らしいECMの美しいサウンド,ライブだけど黒人ジャズの熱気や憂鬱は全く感じない。普段からケリー,クラーク,トミフラのトリオなどいわゆるモダンジャズの教科書的ピアノトリオばかり聴いていると、このチックのピアノトリオは相当に違った雰囲気ですよね。既存のジャズと言う領域を越えたピアノ~ベース~ドラムの3者がおりなす音の会話,むしろクラシック的な味わいもありますよね。これがやっぱり80年代以降のピアノトリオのあり方なのかも知れません。久々に聴いたチックのトリオの印象です。
84年ミュンヘンのライブ,余り得意な年代の演奏ではないですが,このメンバーを見たらやっぱり食指が動かされてしまうのはやむおえない所です。チック,ビトウス,ロイ・ヘインズのトリオなのです。もうピーンと来ますよね。Solid Stateのチックの最高傑作とも言える"Now He Sings, Now He Sobs"(68年録音)と同じメンバーです。スタジオ録音とライブという違いこそあれ,トリオのまとまりはさすがです。3者がオリジナルを提供し、スタンダードの"I Hear a Rhapsody"や”Night And Day"を演奏していますが,テーマ以外はほとんどこの有名なスタンダードを演っているとは感じさせない単なるインプロビゼーションのマテリアルという感じです。曲を楽しむよりこの3人の一体となった音のタペストリーを味わうって感じでしょうか?たまには、こういった別の意味でのクールなジャズ?も良いかもです。
所有盤はECMの再発輸入盤です。此のあたりになると,もはやオリジナルもクソもないですね!