夕方になると、島絣のたもとをはだけたオジイたちが、決まって、湯飲みを片手にふらふらとやって来て、「きょうの、味みましょうね」とだれにいうともなく、口々に言い、湯飲みを差し出す。
島の泡盛蒸留所の大釜の前は、大木戸が開かれ、風を通している。はな垂れという、できたての原酒を絞り出し、ぽたぽたと落ちる口に、湯飲みを差し出すのだ。
オジイは3人、4人といて、みな注いでもらうときはおとなしいのだが、それを口にするやいなや、「味いいね。きょうのも上出来さ」
そういうオジイ達を見たのは小学生の頃だったね、と、石垣島の高嶺酒造三代の若社長が話してくれた。オジイ達の夕景だ。そうして小さな蒸留所に帳が下りていく。どこからともなく、三線(さんしん)の音色が聞こえて来る。
今は昔の話。またオジイたちが復活するときが来るさあ。
島の泡盛蒸留所の大釜の前は、大木戸が開かれ、風を通している。はな垂れという、できたての原酒を絞り出し、ぽたぽたと落ちる口に、湯飲みを差し出すのだ。
オジイは3人、4人といて、みな注いでもらうときはおとなしいのだが、それを口にするやいなや、「味いいね。きょうのも上出来さ」
そういうオジイ達を見たのは小学生の頃だったね、と、石垣島の高嶺酒造三代の若社長が話してくれた。オジイ達の夕景だ。そうして小さな蒸留所に帳が下りていく。どこからともなく、三線(さんしん)の音色が聞こえて来る。
今は昔の話。またオジイたちが復活するときが来るさあ。