私のつれづれ草子

書き手はいささかネガティブです。
夢や希望、癒し、活力を求められる方の深入りはお薦めしません。

島にかかる橋を行く②

2010-05-08 | 14楽しむ
そもそも島というところは、豊かな環境に置かれているのかもしれぬ。
特に瀬戸内の島々は、豊かな恵みをもたらす穏やかな海と、降り注ぐ太陽の光によって大いなる自然の恵みを得ることが容易だ。

闘ったり競ったりする必要も少なく、のんびり過ごすことが出来る環境下で、人々の表情は穏やか。自由な行動も島のルールを守っていれば容認される。

何代にも渡って素生のわかった人たちの、しっかりとした繋がりがあって、円滑に物事が運んでいる間は非常に住みやすい環境であるだろう。

そこに巨費が投入され、道路が整備され、橋がかかる。
橋を架ける場合、その下を航行する船のことを考えて、始点も終点も山腹である必要があるのだそうだ。
かくして、橋を架けるには山を削り、立派な山道やトンネルを整備する必要が生じる。

素生のしれない人々が流れ込み、そこここを車で走り抜け、多くのゴミを残してゆく。
多少の金銭も残してはゆくだろうが、プラスマイナスしてみて得るものはどれ程だろうか。

懐の豊かな時代でなければ、費用対効果の考え方からプラスの想定し難い架橋計画は成り立ち得なかったろう。

個人的には、ものをつくる仕事に憧れがあり、青い海にかかる橋を造るというプロジェクトは大好きなのだけれども、懐に冷たい風が吹き込むようになっては、想定することさえできない事業である。
コメント
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