私のつれづれ草子

書き手はいささかネガティブです。
夢や希望、癒し、活力を求められる方の深入りはお薦めしません。

春のテレビドラマ(其の弐)

2009-06-01 | 2見る・読む・聴く
お気に入り2本目は「ぼくの妹」。

いきものがかりが歌う主題歌「ふたり」がいいですね。

オダギリジョーも好きな俳優さんですが、このドラマ、初めはサスペンスかと思っておりました。

回を重ねるごと、私には想定外の展開で、昨夜の放送あたりから兄と妹のヒューマニズムとか、女性に対する畏敬の念とか…そういったものを強く感じさせる筋となってきています。

人間らしいと言えば、オダギリジョーさんもそうですが、大滝秀治さんが温かい人間性にあふれていて、いいですね。

話の展開自体は面白いと思いますが、そんなに深淵な哲学を感じる訳ではありません。
けれども、大滝さんの語りを聞いていると涙が溢れてきます。
年をとって、鋭敏な感受性はなりをひそめているのですが、大滝さんが、じわじわと人の心に沁み入るような迫り方をなされる俳優さんだからでしょうね。
私の涙腺は、ゆるんでしまうようです。

格差社会を生きる人間をピックアップしながら、松本清張の作品のようにドロドロとどす黒い情念を感じないのは、現代日本に生きる作家の脚本だからかなぁ…と思います。

現代日本においても、生きる環境に格差はずっとあった訳だけれども、高度経済成長にのって生きることのできた日本人には、総じてどこか気持ちのゆとりがありました。

社会全体が上昇気流にのっていた時代に育つことによって、誰もがどこかしらボンボン気質を持ちあわせているような…。

のほほんとした人の好さがあります。

プロレタリアリズムを激しく語る方達からは批判を受けそうですが、最近、近隣の国々のあらゆる事象に対する反応を見るにつけ感じることです。
日本は守られし国でした。

これからは、様子が変わって来るでしょう。
「ぼくの妹」のような、温かいぬくもりに包まれたドラマは、生まれにくくなってくるかもしれません。

そして、松本清張の作品のような、底に暗い濁った河の流れを感じさせる…そんな作品が生まれやすい時代が訪れるのかもしれません。
コメント
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