ハイ!読者諸賢!悩んでる?ハウリンメガネである。
筆者は毎日悩んでいる。これどう弾けゃいいんだ?とか、どうして俺の音は荒っぽくなるんだ!とか、それはもう悩みの嵐である(結局ギターのことかい!と突っ込まれそうだが、いいんだよ、仕事だの社会のことだのは別途日々悩んでるから)。
今回はそんな悩みが一つ解決した喜びを諸賢と共有させて頂きたい。
つい先日のこと。
相も変わらずギターを片手に第二期ジェフ・ベック・グループのラフ・アンド・レディ(個人的にはこれがジェフの最高傑作だと思っている。編集長にいうと「え?第一期の方が絶対いいじゃん」という返事と共に、まだまだ分かってないねぇ、という生暖か〜い笑みを返されるのだけどそれはそれ)を聴き狂いながら、
「なんでこんなにギターの音がスムーズなんだ?腕か?腕が違うからか?そりゃそうだけどぉ!」と煩悶していた私。
具体的にいうと「ガット・ザ・フィーリン」で聴ける、ロックらしいドライブサウンドなのにブルージーなキレがある音と、そこからスッ、とスムーズに、薄く歪み、サスティーンがありつつもソフトタッチのジャジーなサウンドへと変化するジェフのトーンのカラフルさに煩悶していたのである。
時期的にはストラトとマーシャルの組み合わせにプラスαでワウとブースター(カラーサウンドのパワーブースト)というシンプルなセットアップ。そして指ではなくピックで弾いている時期(この時代の人たちはみんなそうだがギターとアンプにペダル一つ二つでなんぼでも良い音出しますな)。
ギターのボリュームを絞ることでアンプの歪みはクリーントーンへ近づくし、トーンを絞ればトレブルが減り、ジャジーなトーンが出しやすくなるのはギタリストの基礎教養だが、ジェフのこのサウンドに近づけない原因はそこじゃない。それ以前の「弾き方」の問題だ。
ジェフの環境に近づけようとアンプにダイレクトインで、こうか?違うな、こうか?と弾いていたがやっぱり私の音はどうも荒い。ジェフのトーンの甘さがない。
この下手くそめ!ちんちくりんの唐変木め!と己を呪うあまり知恵熱が出そうになったが、かっかした頭のオーバーヒートが功を奏したか(そういえばちょうどラフ・アンド・レディが出た頃にジェフ・ベック・グループがテレビ出演した映像がネットにあったな)と思い出した私。
ヒントになるはず、と早速視聴。
やっぱりいい音してんなぁ。ん〜、やっぱりしょっちゅうボリュームとトーンいじってるな、そりゃそうだわな。でも肝はそこじゃないよなぁ。
あとは……やっぱりピッキングする場所も出したい音で変えてる……ん?柔らかい音なのにえらくブリッジ側で弾いてる?んんん?右手のタッチが軽い?全然力んでない……あっ。
ギターを抱えなおし、ピックを持つ、いや、つまむ。
全く力を入れずに「つまむ」。そのまま弦を撫でるようにピックを「滑らせる」。
……ははぁ!そういうことですか、ジェフ師匠!
要するにピックを持つ指が力んでいたのだ。
いや、正確に言おう。「力を抜いていたつもりが全く抜けてなかった」のだ!
「ピックは握るな、柔らかく持て」というのはギタリスト界隈ではよく聞く金言。
私もその言葉に従っていたつもりだったが……甘かった!(いや、まあ、私が下手くそなだけかもしれんが)
はっきり言って、親指と人差し指の間にピックを挟むだけでいい。「持つ」という考え方を捨てるべきだ。
この状態で弾くと弦に対してピックの入りが浅くなる。
この状態で弦を撫でれば太く、甘いトーンに。ピックをシャープに走らせればザラっとしたロックの音がちゃんと出る。
〈写真参照〉
だが、「持って」しまうと弦に対してピックの入りが深くなっても力技でふり抜けてしまい、結果、どれだけ柔らかく弾いたつもりでもピッキング音が目立つ荒れた音になってしまう。
〈写真参照〉
※なお写真はイメージを強調するためにピックの入りを極端にしているが、実際、意識としてはこれぐらい差があるとおもってよい。
そして、この時に気づいたのだが、この浅いピッキング、指弾きの際の弦に対する入りにとても近い(指弾きだとこのくらいの浅さで弾いてもピック弾きよりもっと太い音が出る)。
〈写真参照〉
近年のジェフが指弾きに完全スイッチしたのは元々こういうピックの角度による音色コントロールへの意識があり、指のほうがよりコントローラブルにやれる、という確信があったからではなかろうか(ちなみに編集長もリンジー・バッキンガム、マーク・ノップラータイプの指弾きの人で、私も昔っから「ピックぅ?要らねぇ要らねぇ!指だよ指!」と言われ続けて早20年。指弾きの良さは分かっていたものの、ようやくロジカルに言語化できました。まあ、私ゃピックも使うけど(笑))。
そんな訳で長年の悩みに解決の糸口が見えたことに喜びを隠しきれない私。
喜び余って今回のコラムになりましたとさ。
ちょっとでも皆さんのヒントになればこれ幸い。
んじゃまた!ハウリンメガネでした!
さあさあギターだギターだ……今日もギターを弾くんだよっと