読者諸賢、お元気?
ハウリン・メガネである。
今回は前回ちょこちょこ名前が出ていたギターゴッド、そう!
「エリック・クラプトン」
彼の異名を表題とした名盤、
「SLOWHAND(USオリジナル盤Mat1/1)」
の話である。
(なお、Slowhandの由来は諸説ある。気になる方は調べてね)
まずはジャケットをじっくり見てほしい。
...やっぱりカッコいいよなぁ(笑)。
私はこのジャケットが大変好きで
この盤を買ったくらいなのである。
(でかいジャケットのカッコよさも
当然アナログ盤の魅力の一つだ)
このジャケットを見たギター弾きは皆一度は
このジャケの真似をしてギターのヘッドに煙草を挿したものである。
(そして皆ヘッドを焦がした…のである。
Mash氏も昔ヤってしまった…と聞いた事がある)
さて、レイドバック期の彼の代表作といわれる今作だが、
実は個人的な思い入れは薄かった。
少なくとも若い頃に聴きこんだ盤ではない。
小僧の頃に聴いたせいか
「CocainのリフはCreamのSunshine of your loveっぽいな」
くらいの感想しかなかったのだ!
(話が逸れるがクラプトンは基本的にフレーズをよく使いまわす人なので、
「~っぽいな」はよくあるケース。
ある意味究極のワンパターン男なのだが、
彼の凄さはそれでも人を聴き込ませるところにあるのだと思う)
よって、きちんと「良い盤だ」と認識できたのは近年の話で、
オリジナル盤で聴いてから、なのである。
今回、このレビューを書くにあたって、
改めてCDでも聴いてみたのだが、私がなぜ若い頃に大した感想を抱かなかったかがよく分かった。
CD版の感想を一言で言ってしまおう。
「やかましい」
まずギターがうるさい。
リードギターの音がうっとおしいほどうるさい!
(ECのギターは元々主張が強いからCDだとくどく聴こえる)
シンバル、特にハイハットが耳障りだ。
(これは彼の90年代までのアルバムも同様。
アナログだと気にならない音が、CDで聴くと妙に大きく聴こえるのだ)
一番分かりやすいのでA-1「Cocain」を例に出す。
(J.J ケイルの名曲。彼の原曲も凄くイイので、当然必聴である)
まず、ベースの伸びが違う。
CDはベースがブツッと消えてしまい、余韻がない。
ドラムの音も上で述べた通り…。
CDだとシンバルが強すぎて、太鼓の音がマスキングされてしまう。
詳しく言えば、スネアの細かなロールや、フィルのタイム感など、
細かなニュアンスがことごとく死んでいる。
ギターについてもクラプトンがこの頃に目指していた
「バンドの一員としてのクラプトン」ではなく、
「ギターヒーローとしてのクラプトン」
像が強調された音になっている。
(なお、これらはCDリマスターものの音源に必ずついて回る問題で、
大抵のアルバムはリマスター時に市場に合わせて音を変えてしまう。
ある意味ではリスナー側にも問題があるのだ)
アナログは無論、CDの逆を行く。
針を落とせば一発で分かる。
ベースに音の余韻があり、ドラムの音もタイトな太鼓が中心にあり、
シンバルも柔らかく聴こえる。
そして、ギターもバッキングでは出しゃばらず、
リードでも出過ぎない絶妙な音量で聴こえる。
これらの要素が何を意味しているのか?
もう勘の良い読者の方はお気づきだろう。
グルーヴがまったく異なるのである!
(なお、このグルーヴという言葉、
アナログ盤の溝が語源である。閑話休題)
上記で述べたベースの余韻、
ドラムのタイムコントロール、
などがグルーヴを支配する!
(ゆえにそこのバランスが崩れると名盤すら凡盤、
駄盤と化す!)
クラプトンが当時目指していた、
「バンドが一丸となって鳴らすグルーヴ」
が聴きたければアナログで聴け!
それが彼への敬意というものだ!
私も一介のギター弾きとして、
クラプトンには多大な影響を受けた口である。
(なにせ最初に弾きかたを覚えたリフは前述のSunshine of your loveだったのだ!)
今後、この連載でも何度か触れる機会があるだろうが、
その度にハウる予感がある。
そのくらい、この人は良い盤を残しているのだ。
さて、次回はちょっと毛色を変えてハウる予定!
乞うご期待!
盤がある限り、私はハウる!
そう!ハウるために生まれて来たのだぁ〜!
ハウリン・メガネでした!