まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

EU都市に見るサステイナブルシティの市街地像

2008-11-17 15:31:00 | 建築・都市・あれこれ  Essay

国際長寿センター(ILC-JAPAN)発行の『長寿社会グローバル・インフォメーション 2008年9月号』に、「EU都市に見るサステイナブルシティの市街地像」が掲載されています。

記事:「EU081117.pdf」をダウンロード

 

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高谷時彦記 Tokihiko Takatani


カーソンピリースコットビル

2008-11-16 19:07:00 | 海外巡礼 Asia America

9月の視察で訪れたカールソンピリースコットデパート(Carson, Pirie, Scott Co. Building)はルイスサリヴァン設計のシカゴ派を代表する建築です。シカゴの中心部Loopの中央部にあります。

実際にはサリヴァン設計の9階建てに、バーナム&ルートがそのデザインの方向性に沿って12階建てを増築したものです。現在は修復工事を行っており、外部からは有名な低層部のアイアンワークを見ることができません。私たちはイリノイ州の歴史保全局のアンソニーさんの計らいで、修復を担当する建築家の案内で中を見るという幸運に恵まれました。

このとき連邦の国立公園局(National Park Service)の方も同行しました。なぜ公園担当の行政官がこられているのか不思議でしたが、 Landmark建築の税制優遇などに国立公園局が関わっているのです。

中に入ると、まさに修復工事が真っ最中です。取り外されたアイアンワークや、シカゴ大火以降義務付けられた鉄骨の耐火被覆としてテラコッタが用いられていることなど、よくわかります。

内部の床スラブは薄いボールト状をしています。私は、これをそのまま見せたほうが美しいのではないかといいましたが、それは正統性(Authenticity)の観点からできない。もとあったように石膏ボードの天井を張ることになるとのことでした。このほか後で付け加えられた暖房器具を修復すべきか撤去すべきかなど多くの議論を続けているようでした。

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外観を大きく損ねていたコーニス(軒のライン)部分はほとんど修復されもとのように頂部を水平方向に引き締める要素として復元されていました。そのコーニスを強調するためにもともと最上階は少し内側にリセスしていたのですが、今回の改装ではそこまでこだわり、床面積を小さくしてでも壁面の位置を下げ、外観デザインを完全に修復したとのことでした。

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高谷時彦記 Tokihiko Takatani

 

   

 

 

 

 

 

 


アールデコの映画館

2008-11-15 17:10:03 | 海外巡礼 Asia America

シカゴの近郊都市オークパークやセントチャールズには典型的なアールデコスタイルの映画館や劇場がありました。

以前にも紹介したレイクシアター。これはオークパークのダウンタウンのメーンストリートであるフォレストアヴェニューにあります。すべっとした(sleek)、流線型的な造形は1936年に建築家Thomas Lambによるものです。当時は1929年に始まる大恐慌からようやく脱したころで、まちの人口も増えていたようです。

P1040672出来た当時はひとつの劇場でしたが、シネコンの時代に対応してか、大空間を分割したり、隣地に増やしたりで、7館で運営しています。残念ながら中のインテリアは見れませんでしたが、創建当時のものを多く残しています。

夜になっても子供たちが周りをうろうろしていましたが、このあたりは治安もよいようです。

レイクシアター

 

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同じくシカゴ近郊のセントチャールズにもArcada Theatreという劇場がありました。これは1926年築で当時5000人のまちの人口に対し1009席のキャパシティを誇ったそうです。大きさではシカゴにもっと大きいものがあるかもしれないが劇場としての美しさと美的なステージセットは負けるものではないといわれていたことが、劇場のホームページに出ています。

この劇場は映画も含む多目的に使われていたようですが、映画館のような単一目的ではなく劇場としての本格的な設備やスペースを備えていたことで、Performing Art Centerとして生き残っていけたとのことです。

かつてここに出演した人の名前をみるとオリビアデハビラントなどそうそうたる名前が並んでいます。また案内してくれた方によるとケネディも選挙のときにここで演説をしたそうです。

Arcada_theatre

Arcada_facad

Arcada Theatre

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                                      

 

                                     

これら劇場や映画館のほかにも、下の写真(左)のようなアールデコスタイルもあります。ちなみにその横は、山形県鶴岡市にある閉鎖された映画館スカラ座の外観です。現在は使われておらず、外観が覆われていますが、それらをはがすとアールデコ(風?)のものが出てくるような気がします。

Art_deco_oakpark

Scala左Forest Street (Oak Park)

 

 

 

 

 

 

右鶴岡スカラ座

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


オバマとフランクロイドライト

2008-11-12 00:58:46 | 海外巡礼 Asia America

シカゴ近郊都市のダウンタウン再生活動視察の報告をしました。

東北公益文科大学総合研究所のニューズレターに9月に行ったアメリカシカゴ近郊都市視察をレポートしました。短い文章にするつもりでしたが書き始めてみると日本の地方都市で参考にすべき内容がたくさんあり、大変長い下書きができてしまいました。きちんとした報告は別の機会に譲り、ニューズレターではメインストリートプログラムの活用事例のみの紹介にとどめました。

皆さんに紹介しようとするとどうしてもA都市はメインストリートプログラム、B都市はBIDなど、手法別に分類しようと考えてしまいますが、現地でそのように町を見ていたわけではありません。むしろ手法は後から付いて来るものであり、まずはダウンタウンを自分たちのアイデンティティ確認にとって欠かせないもの(heart)と捉え、それを自分たちでボランティア的に何とかしようという草の根的精神の存在こそが重要だというのが現地での第一の感想です。

忙しい毎日の中で、初めての中西部滞在のことをすっかり忘れていましたが、原稿書きが、少し思い出させてくれました。シカゴにおけるオバマ人気、フランクロイドライトのユニティチャーチなど・・・・・・。

P1040862 オバマバッジ、ライトのステンドグラス


 

 

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