まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

カーソンピリースコットビル

2008-11-16 19:07:00 | 海外巡礼 Asia America

9月の視察で訪れたカールソンピリースコットデパート(Carson, Pirie, Scott Co. Building)はルイスサリヴァン設計のシカゴ派を代表する建築です。シカゴの中心部Loopの中央部にあります。

実際にはサリヴァン設計の9階建てに、バーナム&ルートがそのデザインの方向性に沿って12階建てを増築したものです。現在は修復工事を行っており、外部からは有名な低層部のアイアンワークを見ることができません。私たちはイリノイ州の歴史保全局のアンソニーさんの計らいで、修復を担当する建築家の案内で中を見るという幸運に恵まれました。

このとき連邦の国立公園局(National Park Service)の方も同行しました。なぜ公園担当の行政官がこられているのか不思議でしたが、 Landmark建築の税制優遇などに国立公園局が関わっているのです。

中に入ると、まさに修復工事が真っ最中です。取り外されたアイアンワークや、シカゴ大火以降義務付けられた鉄骨の耐火被覆としてテラコッタが用いられていることなど、よくわかります。

内部の床スラブは薄いボールト状をしています。私は、これをそのまま見せたほうが美しいのではないかといいましたが、それは正統性(Authenticity)の観点からできない。もとあったように石膏ボードの天井を張ることになるとのことでした。このほか後で付け加えられた暖房器具を修復すべきか撤去すべきかなど多くの議論を続けているようでした。

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外観を大きく損ねていたコーニス(軒のライン)部分はほとんど修復されもとのように頂部を水平方向に引き締める要素として復元されていました。そのコーニスを強調するためにもともと最上階は少し内側にリセスしていたのですが、今回の改装ではそこまでこだわり、床面積を小さくしてでも壁面の位置を下げ、外観デザインを完全に修復したとのことでした。

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高谷時彦記 Tokihiko Takatani

 

   

 

 

 

 

 

 


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