別所温泉の素晴らしい建築(柏屋別荘と倉沢蚕室)に引き続いて、上田市内の常田館製糸場を訪ねました。
新幹線の駅に近いところに、下写真のような建築が堂々とした姿を見せています。重要文化財の「四階繭倉庫」(1910)です。まさに蚕都上田です。
工場の中を見学することができます。上写真の建物は非公開ですが、重要文化財の3つの建物を見ることができます。まずは「五階鉄筋繭倉庫」(1926)。アールデコっぽいデザインを感じます。
中はRCの堅固な作りです。
前面の回廊で、隣の木造の繭倉庫と結ばれています。
離れてみると、結構サマになる姿、立ち姿です。
前回のブログで紹介した、倉澤蚕室(1920)と共通する外観です。漆喰の白い壁と各層につく、霧除け庇。こちらの方が古くて、左側の「三階繭倉庫」が1903年、右の「五階繭倉庫」が1905年です。構造的には土蔵造りということになるようです。
回廊を通り、繭倉庫に入ります。急な階段で上階に導かれます。
基本的に倉庫です。規則的に柱が並びますが、桁行方向、三間毎に太い通し柱です。
最上階に来るとトラスの小屋組みもきれいに見えます。
柱に貫穴のように見える小穴は、下の解説写真を見るとよくわかります。蚕棚を載せるための仕掛けです。
外を眺めると、工場の全景(一部?)が見えます。正面の平屋は繰糸棟です。かつては同じような棟が何棟も軒を接していました。
下写真の右手に見える煙突も市の指定文化財で、同時に国の近代化産業遺産にもなっています。
信州では、諏訪地方、岡谷とか塩尻などが蚕糸業の中心だというイメージがありました。上田が蚕都と呼ばれた一大産地であったことは、恥ずかしながら今回の旅で知ることになりました。上州との関係、日本海側や東北の蚕糸地帯との関係など、少し勉強をして、頭の中を整理する必要がありそうです。
architecture/urban design
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