まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

旧割烹小幡が紹介されています

2018-05-26 16:52:56 | 公共建築 Public architecture

日経アーキテクチュアの最新号に旧割烹小幡の記事が(小さく)出ています。

映画おくりびとのロケ地である旧割烹小幡を、地域の交流施設として、隣接する日和山公園と一体的に整備することが紹介されています。

一時は費用や活用の方針が見えないことから、多くの部分について解体やむなしという「空気」もあったようです。この度、私たちに調査の機会が与えられ、市役所の方々と歴史資料の収集や、現場調査を進める中で、酒田地震(明治27年)に耐えた古い建築である可能性、地元の名棟梁の関与が推測される珍しい構造方式の存在、大正期にフレンチレストランとして建てられた斬新なデザイン(無筋コンクリートと木造の混構造)、当時珍しいマジョリカタイルの使用等々、湊町酒田にとってその歴史を物語る大変貴重な建物であることが分かってきました。

また、法規上の問題を整理したうえで、できるだけ工事費を押さえるような構造の補強方法や、洋館のフレンチレストランとしての再生や、和館の庭と一体となった地域交流施設としての活用を提案し、その方向での整備が酒田市によって方向づけられました。

お祭り(酒田祭り)の時に見ると、小幡楼(副島種臣により瞰海楼と名付けられていました)周辺が、一つのクライマックスとなっていることがよくわかります。

また、まちの方向を見ると、このあたりが酒田の中で一番高く、小幡楼(瞰海楼)がまちから見上げられたランドマークであったことが確認できます。

ついでながら、日和山から鶴岡方面を見ると月山の全貌が大変美しく見えます。右手の湯殿山、左手前の羽黒山(出羽三山)もはっきりと見分けることができます。

逆に鶴岡からは鳥海山の全貌がこれまた美しく眺められます。

Kyu Kappou Obata house, an deserted old building which was once used as a Japanese restaurant, was on the brink of being demolished because of high maintenance manegement cost. Sakata municipal office, the owner of the building, asked us to clarify the value of the building. Through our investigation the building was proved to be greatly worthy of being preserved from various points of view. The Mayor declared at the press meeting to preserve Kyu Kappou Obata house and renovate and use it according to the way  we proposed. I feel that we are very much responsible for the whole process of the conversion of the deserted building to the vibrant place where people enjoy interaction with other people and reborn SAKATA FRENCH cuisine.        

 

高谷時彦  建築/都市デザイン

設計計画高谷時彦事務所 

東北公益文科大学大学院

Tokihiko Takatani  Architect/Professor

Takatani Tokihiko & associates

Graduate School of Tohoku Koeki university