今回ずっと養殖のお手伝いをしておったぐりですが。
活動日程のうちの前半の数日、チームに女子大生のボランティアが参加していた。
国立大の3年生だという彼女はまさに就活中のはずだが、唐桑がすっかり気に入って、「もうここに嫁に来る!絶対来る!」と連呼していた。連呼するだけでなく、実際に独身の漁師さんに積極的にモーションをかけていた。
残念ながらぐりは、若くて楽しそうでいいね、と一蹴できる性格ではないので正直にいってかなり不愉快だった。
前述の通り、この土地の漁師さんたちにとって結婚は非常に重要な課題である。老いも若きもどの漁師さんも、寄ると触ると結婚の話ばかりしている。既婚の漁師さんは自分の子どもや身内の結婚を心配しているし、お母さんたちは娘息子だけでなく近所の独身漁師の結婚にまで頭を悩ませている。
娘のお婿さん候補に全国各地から来るボランティアや支援団体の職員だけでなく、被災地警護に各地の県警から応援に来ている警察官にまで目をつけているお母さんもいる。ぐり自身、朝、漁師さんたちとの共同作業の現場に着いたとたん、名前を訊く前に「独身?人妻?」と訊かれたこともある。
はっきりいって冗談では済まない話題なのだ。
女子大生本人がどこまで本気かは別としても、これまでにたくさんの学生ボランティアを目にして来たぐりからみれば、被災地を離れ現実社会に戻った大半の学生にとって、ボランティア生活のことはあくまでも青春の思い出の一ページでしかない。
それはそれで悪いことではない。若者には無限の可能性があるのだから、過ぎたことは後へ置いて自らの将来を信じて、先へ先へと人生を開拓していくべきなのだから。
ぐりがボランティア生活での恋愛ごっこに興じる若い女の子にイライラするのは単に歳のせいかもしれないし、自分で同じような楽しみ方ができないやっかみかもしれない。
GWに初めて被災地を訪れて以来半年強、ほんとうにたくさんの出会いがあった。ふだんの生活ではまず出会えないくらい、さまざまな人に出会った。
なかには「いいな」とチラッと思うような人がまったくいなかったわけではない。ずばりストライクど真ん中!な人もいるにはいた。
でも、そんなときでもぐりはかの女子大生のように露骨に接近したりは絶対にできない。恋愛の楽しさよりしんどさをまず想像してしまうからだ。だいたいがぐりが「いいな」と思うような人にはアプローチするのに必ず何か障害がある。既にパートナーがいたり、住まいが遠過ぎたり、収入が不安定だったり、状況はそれぞれである。
そういう些細な事実に触れるだけで、ぐりの心は臆病なヤドカリのようにするすると殻の中に引っ込んでしまう。障害を超えることよりひとりで平和に静かに生きていく方がずっと楽だからだ。
それにしても、異常に真剣!に作業しているぐりに向かって、いっそのことここにお嫁に来ればいいのに、と揶揄する人はボランティアにも漁師さんにもやたらいたけど、こういうジョークってどうリアクションすればいいのかよくわからなくていつも困る。
どーすればいーんだろ?ね?
瓦礫の中に咲く朝顔。陸前高田市にて。
11月1日(火)~6日(日)震災ボランティアレポートIndex
10月21日(金)~24日(月)震災ボランティアレポート
10月6日(木)~10日(日)震災ボランティアレポート
8月26日(金)~9月4日(日)震災ボランティアレポートIndex
8月11日(木)~15日(月)震災ボランティアレポートIndex
4月29日(金)~5月7日(土)震災ボランティアレポートIndex
Googleマップ 震災ボランティアレポートマップ(ver.3.2)
活動日程のうちの前半の数日、チームに女子大生のボランティアが参加していた。
国立大の3年生だという彼女はまさに就活中のはずだが、唐桑がすっかり気に入って、「もうここに嫁に来る!絶対来る!」と連呼していた。連呼するだけでなく、実際に独身の漁師さんに積極的にモーションをかけていた。
残念ながらぐりは、若くて楽しそうでいいね、と一蹴できる性格ではないので正直にいってかなり不愉快だった。
前述の通り、この土地の漁師さんたちにとって結婚は非常に重要な課題である。老いも若きもどの漁師さんも、寄ると触ると結婚の話ばかりしている。既婚の漁師さんは自分の子どもや身内の結婚を心配しているし、お母さんたちは娘息子だけでなく近所の独身漁師の結婚にまで頭を悩ませている。
娘のお婿さん候補に全国各地から来るボランティアや支援団体の職員だけでなく、被災地警護に各地の県警から応援に来ている警察官にまで目をつけているお母さんもいる。ぐり自身、朝、漁師さんたちとの共同作業の現場に着いたとたん、名前を訊く前に「独身?人妻?」と訊かれたこともある。
はっきりいって冗談では済まない話題なのだ。
女子大生本人がどこまで本気かは別としても、これまでにたくさんの学生ボランティアを目にして来たぐりからみれば、被災地を離れ現実社会に戻った大半の学生にとって、ボランティア生活のことはあくまでも青春の思い出の一ページでしかない。
それはそれで悪いことではない。若者には無限の可能性があるのだから、過ぎたことは後へ置いて自らの将来を信じて、先へ先へと人生を開拓していくべきなのだから。
ぐりがボランティア生活での恋愛ごっこに興じる若い女の子にイライラするのは単に歳のせいかもしれないし、自分で同じような楽しみ方ができないやっかみかもしれない。
GWに初めて被災地を訪れて以来半年強、ほんとうにたくさんの出会いがあった。ふだんの生活ではまず出会えないくらい、さまざまな人に出会った。
なかには「いいな」とチラッと思うような人がまったくいなかったわけではない。ずばりストライクど真ん中!な人もいるにはいた。
でも、そんなときでもぐりはかの女子大生のように露骨に接近したりは絶対にできない。恋愛の楽しさよりしんどさをまず想像してしまうからだ。だいたいがぐりが「いいな」と思うような人にはアプローチするのに必ず何か障害がある。既にパートナーがいたり、住まいが遠過ぎたり、収入が不安定だったり、状況はそれぞれである。
そういう些細な事実に触れるだけで、ぐりの心は臆病なヤドカリのようにするすると殻の中に引っ込んでしまう。障害を超えることよりひとりで平和に静かに生きていく方がずっと楽だからだ。
それにしても、異常に真剣!に作業しているぐりに向かって、いっそのことここにお嫁に来ればいいのに、と揶揄する人はボランティアにも漁師さんにもやたらいたけど、こういうジョークってどうリアクションすればいいのかよくわからなくていつも困る。
どーすればいーんだろ?ね?
瓦礫の中に咲く朝顔。陸前高田市にて。
11月1日(火)~6日(日)震災ボランティアレポートIndex
10月21日(金)~24日(月)震災ボランティアレポート
10月6日(木)~10日(日)震災ボランティアレポート
8月26日(金)~9月4日(日)震災ボランティアレポートIndex
8月11日(木)~15日(月)震災ボランティアレポートIndex
4月29日(金)~5月7日(土)震災ボランティアレポートIndex
Googleマップ 震災ボランティアレポートマップ(ver.3.2)