落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

ボランティアラブ

2011年11月07日 | 復興支援レポート
今回ずっと養殖のお手伝いをしておったぐりですが。

活動日程のうちの前半の数日、チームに女子大生のボランティアが参加していた。
国立大の3年生だという彼女はまさに就活中のはずだが、唐桑がすっかり気に入って、「もうここに嫁に来る!絶対来る!」と連呼していた。連呼するだけでなく、実際に独身の漁師さんに積極的にモーションをかけていた。
残念ながらぐりは、若くて楽しそうでいいね、と一蹴できる性格ではないので正直にいってかなり不愉快だった。

前述の通り、この土地の漁師さんたちにとって結婚は非常に重要な課題である。老いも若きもどの漁師さんも、寄ると触ると結婚の話ばかりしている。既婚の漁師さんは自分の子どもや身内の結婚を心配しているし、お母さんたちは娘息子だけでなく近所の独身漁師の結婚にまで頭を悩ませている。
娘のお婿さん候補に全国各地から来るボランティアや支援団体の職員だけでなく、被災地警護に各地の県警から応援に来ている警察官にまで目をつけているお母さんもいる。ぐり自身、朝、漁師さんたちとの共同作業の現場に着いたとたん、名前を訊く前に「独身?人妻?」と訊かれたこともある。
はっきりいって冗談では済まない話題なのだ。

女子大生本人がどこまで本気かは別としても、これまでにたくさんの学生ボランティアを目にして来たぐりからみれば、被災地を離れ現実社会に戻った大半の学生にとって、ボランティア生活のことはあくまでも青春の思い出の一ページでしかない。
それはそれで悪いことではない。若者には無限の可能性があるのだから、過ぎたことは後へ置いて自らの将来を信じて、先へ先へと人生を開拓していくべきなのだから。

ぐりがボランティア生活での恋愛ごっこに興じる若い女の子にイライラするのは単に歳のせいかもしれないし、自分で同じような楽しみ方ができないやっかみかもしれない。
GWに初めて被災地を訪れて以来半年強、ほんとうにたくさんの出会いがあった。ふだんの生活ではまず出会えないくらい、さまざまな人に出会った。
なかには「いいな」とチラッと思うような人がまったくいなかったわけではない。ずばりストライクど真ん中!な人もいるにはいた。
でも、そんなときでもぐりはかの女子大生のように露骨に接近したりは絶対にできない。恋愛の楽しさよりしんどさをまず想像してしまうからだ。だいたいがぐりが「いいな」と思うような人にはアプローチするのに必ず何か障害がある。既にパートナーがいたり、住まいが遠過ぎたり、収入が不安定だったり、状況はそれぞれである。
そういう些細な事実に触れるだけで、ぐりの心は臆病なヤドカリのようにするすると殻の中に引っ込んでしまう。障害を超えることよりひとりで平和に静かに生きていく方がずっと楽だからだ。

それにしても、異常に真剣!に作業しているぐりに向かって、いっそのことここにお嫁に来ればいいのに、と揶揄する人はボランティアにも漁師さんにもやたらいたけど、こういうジョークってどうリアクションすればいいのかよくわからなくていつも困る。
どーすればいーんだろ?ね?


瓦礫の中に咲く朝顔。陸前高田市にて。

11月1日(火)~6日(日)震災ボランティアレポートIndex
10月21日(金)~24日(月)震災ボランティアレポート
10月6日(木)~10日(日)震災ボランティアレポート
8月26日(金)~9月4日(日)震災ボランティアレポートIndex
8月11日(木)~15日(月)震災ボランティアレポートIndex
4月29日(金)~5月7日(土)震災ボランティアレポートIndex
Googleマップ 震災ボランティアレポートマップ(ver.3.2)

宮城県で6度目の災害ボランティアに参加して来ました

2011年11月07日 | 復興支援レポート
11月1日(火)~6日(日)の日程でまたまた宮城県に行って来ました。
車中泊を含め活動日数は5日間。場所はこの3ヶ月余り繰返し訪問して来た気仙沼市唐桑半島。
今回は日程中ずっと、ひたすら養殖のお手伝いをしていた。

8月以降参加して来たボランティアセンターの拠点が今月閉鎖されることになり、おそらく現地に行けるのは今回が年内最後になるかと思う。
個人的にはこの地域への思い入れもあるし、支援は今後も続けたいと思う。その方法はこれから模索していかなくてはならない。計画はいろいろと妄想しているところである。

閉鎖されるボラセンは本来の運営団体が今後営利施設として、別の形で継続していく方向で準備を進めていくという噂は耳にしている。営利とはいえ、その運営目的には勿論復興支援、地域支援も含まれている。お金がなくてはどんな支援活動も実行不可能なのだから、震災から時間が過ぎて人もお金も集まらなくなっていくにつれて形態を変えていかなくてはならないのは必須である。
それについて思うことはてんこもり山ほどあるので、別記事にぶちまけさせていただこうと思う。

唐桑半島はほんとうにほんとうに美しいところである。
切り立った山に囲まれた小さな入り江が連なり、海はあくまでも青く透き通っていて、空気は澄み渡り、緑も豊かで、夜は空いっぱいに宝石箱をひっくりかえしたような星と、水平線に並んだ漁り火の輝きを同時に楽しむことができる。
新幹線の駅からも高速のICからもかなり距離があり、交通の便がよくないところが欠点ではあるが、ぐりは初めて訪問した夏に一目惚れして、活動を通じて触れた地元の人々の心にも打たれ、正直な話、ここを第二の故郷にしたいくらい愛している。

津波によって大きな被害を受けた唐桑半島だが、多くの人の努力によって、周辺地域よりも復興は進んでいる部分もあるものの、観光客の数は10分の1にまで激減した。
確かにここは被災地だが、美しい景観は露ほども損なわれてはいない。あらゆる新鮮な海産物が心ゆくまで堪能できるようになる日も近い。
早くたくさんのお客さんが戻って来てくれることを心から願っている。

ボランティアラブ
ボランティアデブ
牡蠣漁師一家のお話
こんにちはさようなら


唐桑半島に上る朝日@秋。

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マグロ

2011年11月05日 | 復興支援レポート
作業に参加していた漁師さんが、ご近所のかたからいただいたマグロをお昼に持って来てくださった。
漁師さんはこれにわさびではなくマヨネーズをつけて食べてました。
試してみたらなかなかおいしかったです。
皆様もお試しあれー