落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

ひさびさに東北

2012年11月18日 | 復興支援レポート
先週末のことですが。引越しだなんだでお盆以来約3ヶ月ぶりの東北。
つーても今回の訪問目的はミーティングとヒアリングのみ、金曜日の夜出て日曜日の夜帰る強行軍で、実際の活動は特に何もしなかった。
個人的にはその前日木曜日から金曜日の2日間泊まりがけで職場の会議で、それでまた週末会議だったのでもうむちゃくちゃに疲れた。脳みそ限界まで使ったって感じ。
何しろ木曜一日深夜まで会議やって寝たらハゲる夢見たもん。んで金曜日会議終わったその足でクルマで東北入りして、土曜日も夜中まで喋って寝たら、またハゲる夢見たよ。

東北に通い続けて1年7ヶ月。
地域社会の深みにハマればハマるほど、こういう公の場で気安くアピールできることは少なくなっていく。不用意に発した言葉が招く事態の重さに責任を感じる。それだけに、地域の人たちの信頼をあたたかくも思う。
けどだからといってできることが飛躍的に広がるわけでもない。地域を知れば知るほど、個人のボランティアの限界を痛感してばかりいる。
震災から1年8ヶ月、ぐり個人の生活も大きく変わった。転職もしたし、引越しもした。悲しいかなボランティアに割ける時間や精神的余裕はだんだん減っていく。
自分の非力さを恨むことばかりで、もうやめた方がいいのかもしれないと思うこともしょっちゅうある。

でも、たぶん東北に通うことはやめられないだろうということもわかっている。
今回、金曜日の夜に東京を出て朝現地に着いて朝食を買いに入ったコンビニで、顔なじみの漁師さんに偶然遭遇した。翌日ご自宅を訪問する予定の漁師さんだった。ふだんからすごく無口な人だけど、びっくりしながらとても嬉しそうに「来てたのか」と歓迎してくれた。
翌日の日曜日、午前中にご自宅で奥さんや近所の人からいろいろとお話を伺った。漁師さんはまったく話さず、茶の間を出たり入ったりしていた。
お昼になって引き揚げるとき「いつ帰るの」と訊かれたのでこれから帰京すると伝えたところ、漁師さんはひどくがっかりして「なんだ帰っちゃうのか」と寂しそうだった。

週が明けて、実は漁師さんが私たちのために黙ってバーベキューとお酒の用意をしてくれていたことがわかった。奥さんも知らなかったらしく「うちの人無口だから」といっていたけど、なんだか心が痛かった。
よその土地からボランティアに通う私たちを、常に笑って迎えてくれる地域の人たち。確かにこの地域の食べ物はなんでもおいしいし、食べ物で歓迎してくれるのは本当にありがたいけど、何もそれだけが目的で通ってるわけじゃない。
自然豊かな環境、こんな風にやさしくあたたかく迎えてくれる人たちの魅力に触れるたび、心も身体も癒される。そこで何かの役に立てるだけで嬉しい。だから、ぐり自身は純粋に自分のために東北に通っている。

しかしシャイで静かで誰にでもなかなか親しくしない漁師さんが、こそっとサプライズでバーベキューやお酒を用意してくれてる姿を思うと、正直それだけでもうごはんどんぶり3杯はいけるくらい萌えるね。
東北通いのほんとの目的はそこかもしれない。


特大えのころ草。