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落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

ユートピアの餅

2010年02月03日 | book
『入管戦記―「在日」差別、「日系人」問題、外国人犯罪と、日本の近未来』 坂中英徳著

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現在は一般社団法人移民政策研究所所長で元東京入国管理局局長、1970年の入省以来2005年に依願退職するまでの35年間、法務省で入管業務の最前線で活動した元官僚の手記。
んー。おもろかったけど。けど。
でもなんか、どっかで読んだことあるなー?このトーン・・・と思ったらば。アレですね。『通訳捜査官』(坂東忠信著)でした。
坂東さんは一介の元警察官、一方の坂中さんは官僚ですから、クラスがかなり違いますけれど。スタンスは似てるんだよね。正義感はたっぷりこってりなのにどっか強引とゆーか、大雑把だろーが乱暴だろーがとりあえずやったもん勝ちみたいな。
ビジョンは違うけどね。官僚は法律をつくって国を動かしていく権力だけど、警察はできあがった法律で国を守ってくための権力だから。
いってみれば同じチームのメンバーなんだけどポジションが微妙に違うみたいな感じでしょーか。

サブタイトルにもあるように、坂中さんは在日コリアン問題にもけっこう深くコミットされてるらしー。らしー、とゆーのは、ぐり本人が在日コリアンなのにそーゆー政治的な問題にはとーんと疎いからでございます。まあ、あんまし関心はない。
だからこの本の後半大部分を占めるその関連項目も、ぶっちゃけちゃんとは読まなかった。流し読みしました。正直いって真剣に読む気がまったく起きなかったし、読んでて気持ちのいいものではなかったので。
坂中さん自身は在日コリアンに対して差別意識は全然もってないだろうし、どちらかといえば、理解もある人なんだろうと思う。日本という国を構成する仲間として、日本国民と同じように法的に安定した地位と環境が在日コリアンにも与えられてしかるべきとゆー、いまどきの日本では相当に親切な(?)考え方をされている。それはいいことです。結構じゃないかと思う。
けどね、「在日コリアンはこれこれこのよーな人々である」からして、すなわち「在日コリアンはこれこれこのよーに生きて行きなさい」なんて誰にもいわれたかないよ。それ、逆の立場で考えらんないのかねー?さすが日本人(おっと人種差別)。さすが官僚(おっと職業差別)。

官僚は法律をつくって国を動かしてくのがお仕事です。だから、なるべくなんでも類型にはめてものを考えてかないとお仕事がかたづかない。そんなこたわかってます。
だけどね、でももうちょっと、ほんとにもうちょびっとでいいから謙虚になれんもんかね?って思うよ。
文中に、法務局で「いま、いちばん望んでいることは?」と尋ねられた在日コリアン青年が「日本人に生まれたかった」と答えたというエピソードが書かれてたけど、ほんとに官僚に考えてもらいたいのは、なんで彼が「日本人に生まれたかった」なんていわなきゃいけなかったのかというその気持ちよりも、彼にそんな悲しいことをいわせているのは日本のいったい何なのか、そこのとこじゃないのかい?と、強く思うわけでございますです。
はあー。


坂中さんのブログ SAKANAKA CHANNEL