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落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

レンタルまつり テーマなし

2006年03月20日 | movie
『セクレタリー』
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リー(マギー・ギレンホール)は従順で内向的で自傷癖のある女の子。精神病院を退院して自立のために弁護士事務所で秘書として働き始めるが、潔癖で几帳面なボス(ジェームズ・スペイダー)の職業的“指導”がきっかけになり、隠された自分の性癖に目覚めていく。
よーするにアレですね、ソフトSM。変態映画ですわ。けどエロくはないよね?これ?TSUTAYAじゃエロなコーナーに置いてあったけどさ。タイトルも『“秘書”セクレタリー』になってた(そのまんま。ダサ)。つーかどっちかというとコメディ?じゃないですかね?
プロダクションデザインがすごくいい。ってそこは見どころじゃないでしょーが!?とツッコまれるかもしれませんがー。でもホント配色がおしゃれなんだよー。ベースが蘭の花の色─バーガンディとモスグリーン─で、そこにスモーキーなピンクや芥子色、ラベンダーなどを加えて、ぼやーんとしたやわらかい照明を使って、ガーリーなんだけどもそこはかとなく妖しげとゆー、えもいわれぬ雰囲気の映像になってます。つまり見た目からして既に完全に女性向けなの。
主人公のキャラクターがとってもキュート。自傷癖のあるマゾって聞いただけだと相当イタイと思うんだけど、とろんとした喋り方とか怯えたような目つき、髪をやたらいじったり舌なめずりをしたり、幼女みたいな立ち居振舞いをマギーが演じてるとぜんぜん嫌味がないです。実はこの人ほんとにこんなんだったらどうしよう?と思ったり(そんなことありません)。演技うまいんだねえ。
しかし映画としておもしろいか?好きか?と訊かれるとそこはやっぱビミョー(笑)。イヤぐりがまったく変態ではないからこれが理解出来ないとか、そういうことをいいたいわけではないんだけど(笑)、ちょっと展開がもたもたしてるうえにご都合主義的とゆーか、甘いよね、万事において。丁寧なんだけど大味とゆーか。何もかもがジェームズ・スペイダーとマギーの熱演のうえにのっかっちゃってる。コメディだからいーんだよー、といわれるとそーかなー?とも思いますけども。それにしてはムダに長いよ(111分)。この内容なら余裕であと20分くらいは削れるね。
マギーは美人でも巨乳でも美脚でもないけど、適度に健康的にセクシーでチャーミング。弟(ジェイク)とは似てないなあと思ってたけど、口元の動きがいっしょだなと今回気づき。笑顔がカワイイです。彼女のクマっぽい恋人ピーター(ジェレミー・デイヴィス)のキャラもぐりはけっこー好きでした。

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2006年03月20日 | movie
『同級生』
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誰だこんな恥ずかしい邦題つけるやつはー。陳腐にもほどがある。もホント勘弁してくださいよ・・・つっても原題も『GET REAL(現実をみよ)』だからどっこいかもしれませんけども。
スティーブン(ベン・シルヴァーストン)は16歳。11歳のときから自分がゲイだということを知っている。もちろん両親には打ち明けられないし、学校の友だちにも内緒だ。とはいえ、ときどき公園でナンパした男とゆきずりのセックスを楽しむことはできるし、隣家に住むリンダ(シャーロット・ブリテン)というよき理解者もいる。気になるのは同じ学校のジョン(ブラッド・ゴートン)。ハンサムでスポーツマンでみんなの人気者、そのうえモデルのガールフレンドもいる彼のことは完全に片思いだと思っていたスティーブンだったが・・・とゆー、なんちゅうかめちゃめちゃベタな青春映画ですー。
イギリス映画だし主人公はゲイだし高校生だし、確か日本公開時もお耽美な美少年映画みたいな扱いになってましたが、さっぱりそんなことありません。もっと全然お気楽な、今どきのティーンエイジャーらしいライトでユーモラスな学園ドラマ。下品なところがまったくなくて、かといってヘンに気取ってもいない、笑いの絶妙な匙加減はさすがイギリス映画というべきか(てゆーほどイギリス映画ぜんぜんみてないけど)。
主人公スティーブンは自分のセクシュアリティをちゃんと受け入れてるし、そのことを怖れてもいない。彼が苦悩するのは、もっぱら両親に嘘をついてたり、友だちにありのままの自分をさらけだせないから。でも彼には彼なりの覚悟はあって、自立したゲイとして社会に一歩を踏み出すきっかけを模索してもいる。しかし愛しの君・ジョンはそうはいかない。彼は自分がゲイであるという事実をなかなか認められないし、そんな自分に向きあうことにすら怯えている。物語は主にこのふたりの対比によって進行する。
つまり、人間誰でも成長の過程で「自分が何者であるか」「いかに生きるべきか」という命題に出くわす訳で、この映画はその分岐点をスティーブンとジョンというふたりのゲイの少年の姿を通して描いている。
こんな風に簡単にまとめてしまうとそれだけのように聞こえるけど、ちょっと深刻そうなストーリーを、修羅場をスッキリ排除したうえで聞かせるところはきちっと聞かせて、笑えるところはにやっと笑えて、ほろっとさせるところはうまくほろっとさせる、という具合に全体にテンポよくバランスよくまとめていて、結構ちゃんと楽しめる映画になってました。実はすごく大事な話なんだけど、あえて重大ぶらないで、サラッとした語り口で表現してる。人によっては軽過ぎる!と思う人もいるかもしれないけど、こういうノリってオトナっぽくっていいと思います。ぐりは。
とくに主人公のキャラがいいです。真面目すぎて軽いイジメみたいのには遭ってたりするけど、文章を書くという特技はちゃんとあるし、家族仲は良いし、友だちもいるし、女の子受けも悪くない。要するにごくフツウのまともな男の子。映画に出てくるゲイといえば即不幸!とか暗い!とか、あるいはオカマっぽいとか、そーゆー型にハマったタイプではまったくない。なので非常に共感しやすかったです。

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2006年03月20日 | movie
『いつか晴れた日に』
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19世紀初めのイギリス。領主ダッシュウッド氏の逝去により荘園は前妻の息子(ジェームズ・フリート)が相続、後妻(ジェンマ・ジョーンズ)と3人の娘は親類を頼って見知らぬ土地へ移ることになった。後ろ盾も財産もなく女ばかりで寂しく暮す一家の希望は長女エレノア(エマ・トンプソン)や次女マリアンヌ(ケイト・ウィンスレット)の幸せな結婚の夢ばかり。だがやはりそこには地位や身分という壁が立ちはだかる。
李安(アン・リー)のちょうど10年前の作品だけど、これはアレですね、1980〜90年代に続けてヒットしてたジェームズ・アイヴォリーの一連のイギリス上流階級モノのひとつといっていいかもしれない。崩壊の兆しを見せ始めた階級社会時代の、儚いが清々しい黄昏のような輝き。遥かに去ってしまった美しい時代へのノスタルジー。
女性が主人公で、結婚で女性の人生のすべてが決まってしまう時代の物語、原作者も脚本家も女性(脚本は主演のエマ・トンプソン)なので、正直にいってかなーり、女くさいです。ものすごおおおおく、女くさい。
でも女くさくたっていいのです。ぜんぜん悪くない。女にだって男にだって結婚は大切だ。それは今も同じです。てゆーか人間100年や200年でそうそう変わるもんじゃない。この映画では、人が愛と幸せの両者を手にすることの難しさとその尊さという普遍の命題を、穏やかに丁寧に描いている。価値観が多様化した現代だからこそ、こういうシンプルな物語がストレートに率直に響いてくる気がする。
李安やっぱり地味ですねー。てゆーか地味がウリなのか。この人は。そーゆーのぐりはすごく好きですけど。しかしこの映画公開されたときはヒットしたんですかね?スターもいないし(ケイト・ウィンスレットが『タイタニック』に出たのはこの2年後。ヒュー・グラントはチョイ役)これといって見せ場もないし、商業映画としてはちょっと、地味すぎるんでは。こんなんでいいのか。そこが謎。
観ててこの話なんかに似てるなー、とずーっと思ってたんですが。フォースター作品とかじゃなくて。あのー、日本の藤沢周平とか山本周五郎の時代小説にノリが似てるんだよね。貧乏でもいーじゃないか、人間は正直で誠実がいちばん、最後には絶対信義が勝つ!めでたしめでたしー。みたいな。
結局どれだけ時代が移っても、やっぱり人間が好きなもの、憧れるものってそうそう変わらない。とくに過去の時代の物語は今では完全に幻想になってしまった。幻想は人の心の中だけに安らかに生き続け、どこへも逃げていかない。だからこそ憧れなのだ。
美術もいいし、衣装もすてき。音楽もいいです。しかし地味だ。それに尽きる。地味でもいいですけどねー。
お話もおもしろかったし、原作も一度読んでみたいです。

原作レビュー:『分別と多感』 ジェイン・オースティン著