goo blog サービス終了のお知らせ 

落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

レンタルまつり 犯罪系

2006年03月11日 | movie
『リプリー』
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=htsmknm-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B00005HREH&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>

アラン・ドロンの出世作『太陽がいっぱい』のリメイク。
ぐりはこの旧作を中学生のころにみて結構ハマった記憶があるのだが、今リメイクを観ても内容をあまり思いだせない。ただアラン・ドロンのギラギラするような美貌と、ショッキングなエンディングの印象だけはよく覚えている。
1999年版『リプリー』は旧作のサスペンス色はそのままで、そこへ恵まれない青年の屈折した変身願望と同性愛的な同化意識をドラマチックに加えてあるのだが、それにしても主人公トム・リプリー(マット・デイモン)の惨めったらしさはちょっとやりすぎかもしれない。ディッキー(ジュード・ロウ)のキャラクターがあまりにも魅力的なためなのか、彼のいう通り、トムがただただ貧乏くさくて退屈でうす気味の悪い、何の長所もない人間のようにみえてなかなか共感しにくい。それが狙いなんでしょーけども。
この物語はもしかすると女性よりも男性の方がより深く共感出来るのではないだろうか。同性に憧れて相手に同化したくなる欲求は、女性よりも男性の方が強いからだ。女性も同性に憧れてファッションや生き方を真似たいと思う場合はあるが、その深刻さでは男性には及ばない。そうした感情と同性愛は同じではないだろうけど、ある部分では重なりあっているということをこの映画では強調してみせている。
トムはディッキーというひとりの人物に魅せられ、溺れ、自分自身を見失うが、おそらく彼は本来は同性愛者ではない。彼がディッキーにどうしようもなく焦がれてしまったのは、これまでに会ったこともないほど魅力的な人物に間近に接し過ぎたのと、解放的なイタリアでの華やかな生活というそれまでの彼の人生と激しくかけ離れたシチュエーションのせいだったかもしれない。その場所から振り返った彼のもとの生活はどんな風にみえただろう。孤独で、平凡で、灰色にくすんで、省みる価値もない生活。逆にいえば、ある程度の条件が揃えば、人の恋愛感情に性別なんか関係なくなるのだろうか。
旧作ではどうだったかよく覚えてないけど、モンジベロ、ナポリ、サンレモ、ローマ、ヴェネツィアとイタリア各地の情緒的な風景が、太陽のように輝くディッキーと同じようにトムのいじらしさをひきたてている。みている間じゅう、「ああイタリア行きたい!!」と思ってました(笑)。この映画は舞台が1958年なんだけど、イタリアだけじゃなくてヨーロッパって100年や200年じゃ街の風景が変わらないから、こういう撮影は楽でいいねとも思い(笑)。こないだ観た『ミュンヘン』だ?チて70年代のヨーロッパが舞台だけど、走ってる車と人物のファッションだけあわせれば、建物の飾り替えとかほとんどいらないもんね。
旧作のラストシーンもインパクトあったけど、今作のはある意味もっともっとひどい。考えたね。
ところでグウィネス・パルトローとケイト・ブランシェットってキャラかぶってません?遠目だと見分けつきにくいよ。

レンタルまつり 犯罪系

2006年03月11日 | movie
『ケリー・ザ・ギャング』
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=htsmknm-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B00116D6G2&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>

オーストラリアで有名な19世紀のギャング、エドワード・ケリー(通称ネッド・ケリー)の伝記映画。しかしこの邦題は(以下省略)。
日本でいうと誰にあたるんですかね?ぐりはこの人のこと今まで全然しらなかったんだけど・・・てゆーかオーストラリアのこと自体全然なんにもしらないとゆーことに今回初めて気づいて自分でも驚き。
まあとりあえず死後1世紀以上経た今も、オーストラリアでは絶大な人気を誇る国民的ヒーローであるらしい。これまでに彼を主人公にした映画も何本もつくられているし(1970年の『太陽の果てに青春を』ではミック・ジャガーがネッドを演じている)、小説や演劇や音楽の題材にもなっているそうだ。
今回の主役はヒース・レジャー。共演はオーランド・ブルーム、ジェフリー・ラッシュ、ナオミ・ワッツ。
おもしろかったですよ。うん。ネッドのことはしらなくても、充分楽しめました。入植者の間にも階級差別があった苛酷で貧しい開拓時代とか、オーストラリアの美しいが厳しい自然環境とか、強盗殺人犯であるはずのネッドが民衆に支持された社会背景とか、そういう物語の世界観が見事な映像に丹念にしかしダイナミックに描写されている。風の香りや緑の輝き、夜の冷ややかな空気の感触が画面からあざやかに伝わってくる。
逆に、ネッド一味のキャラクターについてはとくに凝った説明などはしていない。率直で情熱あふれる健康な青年たちとして、ごくのびのびと描いている。おそらくこの映画の成功はこの点にあるんではないだろうか。彼らを無理にヒロイックなキャラクターにつくりこまずシンプルかつニュートラルな視点でとらえ、演じる俳優の魅力に任せた人物造形をしている。
要するにいい素材をしっかり揃えて、素材を活かすつくりかたをしてある。
実際ヒースもオーランドもとってもカッコイイですよー。ヒースは最近「アメリカのキムタク」みたいなこと書かれてたのをどっかで見たけど、この映画みるとそれすごいわかりますねえ。タフでクールでワイルドでセクシーで、体育会系なんだけど不良っぽくもあり、ちょこっと少年っぽいとこもある。ハリウッドに進出してわずか5年あまりの間にリサ・ゼーン、ヘザー・グラハム、ナオミ・ワッツ、スカーレット・ヨハンソンなどなど大物女優が次々とコマされてしまったのも頷ける(笑)。今はミシェル・ウィリアムズと子どもをもうけてすっかり落ち着いてしまったよーですがー。にしてもホントこの人ってデッカイ(身長188センチ)。作中に馬がいっぱい出てくるんだけど、馬がちいこく見えます(笑)。オーランドはヒゲもしゃもしゃ生やしてて、指輪系の王子キャラとはまったく違ってて新鮮。
ヒースとかオーランドのアイドル映画としてはもちろんだけど、日本ではあまり知られることのないオーストラリアの歴史的側面の一部を垣間みられる娯楽映画としては、いい映画だと思います。ハイ。

レンタルまつり 犯罪系

2006年03月11日 | movie
『マリー・アントワネットの首飾り』
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=htsmknm-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B00012T22Y&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>

フランス・ブルボン王朝始まって以来の宮廷スキャンダルといわれた1785年の首飾り事件を、首謀者ジャンヌ・ヴァロア側の視点から新解釈で描いた物語。
えーと・・・コレはけっこームリのある話ですね。この有名な事件はもっぱらフランス革命の引き金のひとつともいわれてますが、実際には今もって謎の部分が多く全容は解明されないままになっている。逆にいえばいくらでも創作の余地のある魅力的なモチーフではあるが、この映画に関していえば、そこの“余地”部分にいささか溺れた感がある。
まずヒロイン・ジャンヌ(ヒラリー・スワンク)の人物造形が不自然。彼女を「プライドは高いが一途で健気な女性」、つまり一般の観客が共感しやすいキャラクターとして描こうとした気持ちはわからないではないけど、そういう人間が約192億円もの宝飾品を他人から騙しとり、脱獄後には真っ赤な嘘で塗りかためられた回想録を書きまくって大儲けしたという事実がまず噛みあわない。アプローチによっては噛みあうのかもしれないけど、この映画の上では噛みあってるようにはみえない。かといって共犯者の夫ニコラス(エイドリアン・ブロディ)やレトー(サイモン・ベイカー)、詐欺師カリオストロ(クリストファー・ウォーケン)やロアン枢機卿(ジョナサン・プライス)など大の男たちを次々と手玉にとり自らの野望の下に跪かせたにしては、それほど強烈な吸引力のあるヒロインにもみえない。
それから18世紀のフランス宮廷という独特の世界観の描写が致命的におざなり。余分な表現を徹底的に削ぎ落として効率良くストーリーを展開させたかったんだろうけど、この事件の背景にあった淫欲と陰謀のうずまく特異な宮廷風俗がきちんと描かれていないがために、肝心のサスペンスに緊張感も説得力も表現できていない。『SAYURI』といっしょ?ナすね。物語の世界観が完全にお芝居の書割り扱いになっている。肝心の首飾りの魅力─しばしば宝石には人を狂わせる魔力があるともいわれ?驍ェ─にもまったく触れずじまい。
ジャンヌの処刑(鞭打ちと焼ごて)シーンの直後がマリー・アントワネットの処刑(ギロチン)ってのも強引すぎるし・・・。結局、この映画でつくり手が何をしたかったのかがよくわからない。
ただし映像は綺麗です。ちゃんとヴェルサイユ宮殿でロケしてるし、衣装も豪華。単なるコスプレとしてはしっかりお金もかかってるし、気軽に楽しむにはぼちぼちな娯楽映画かもしれない。
唯一、ニコラスを演じたエイドリアン・ブロディのやさぐれっぷりがおもしろかったです。あんまし出番なかったけど(爆)。