メジャーリーグではホームランの判定に限りビデオ導入を決めた。
その第一号はA・ロッド(ヤンキース)の打った打球だった。審判の判定はホームランだったが相手チームからファールではないかと抗議が出てビデオ判定となった。
テレビでもスロービデオを流していたが、ボールがポールの金網に当たっているのが見えた。確かにビデオだとよくわかる。
結局ビデオ判定でもA・ロッドの打球はホームランと判定され、試合は再開された。ビデオ判定への抗議はできないそうだ。
日本でもホームランかファールかの微妙な判定は後を絶たない。その中で最も記憶に残るものは「世紀の大誤審」と言われた、大杉勝男(当時ヤクルト)の放った大飛球だ。
1978広岡監督率いるヤクルトスワローズはセ・リーグ初優勝を果たし、日本シリーズでもっか三連覇中の常勝軍団阪急ブレーブスに挑戦していた。
三勝三敗で迎えた後楽園球場の第七戦。ヤクルト一点リードの六回ウラ四番大杉はレフトポールぎりぎりに大飛球を放つ。
判定はホームラン。阪急上田監督の猛烈な抗議が延々と続いた。終いには当時の金子コミッショナーが説得するまでに至った。
その間テレビでは何回となく拡大されたスロービデオが流れた。自分はヤクルトを応援していたが正直ビデオを見てファールと思えた。
結局1時間19分という日本シリーズ最長の中断時間を経て試合は再開された。上田監督はこの時点で辞任を決意していたと言う。
このホームランでヤクルトは勝利を引寄せ日本一に輝く。また大杉は八回ウラに正真正銘のホームランを打ちMVPを獲得している。
もしそこにビデオ判定が導入されていれば「世紀の大誤審」と言われないですんだかも知れない。でも「審判は誤審でも正しい」この大原則の方が壊れてしまう。