(1)主旨
〈現代短歌〉の始まりには諸説あるが、大きく言って
1.合同歌集『新風十人』が発表された1940年(菱川善夫説)
2.第二次大戦敗戦による「戦後」が始まった1945年
3.前衛短歌勃興期の1954年(篠弘説)(①)
の3つが挙げられよう。
しかし西暦も2010年となり、菱川説から70年、篠説から見ても56年が経過している。「現代短歌の諸相を分析する」と言っても、その〈現代短歌〉の歴史的範囲が広すぎはしないか。
今後の短歌史研究において、より詳細に分析が進められていくためにも、〈現代短歌〉に一つの区切りを入れることを提案する。
私案として、その時期を1989年に設定する。
その数年前から議論されていたライトヴァース問題、そして俵万智の第一歌集『サラダ記念日』に端を発する大ブームが一応の集結を見たのがこの年だからだ。
これ以降の時代を、仮に〈「現在」短歌〉時代と呼ぼう。
〈現代短歌〉と〈「現在」短歌〉。この二つを区切る出来事はどのように進行し、どのような意味を持っていたのか。
ここでは、特に『サラダ記念日』ブームを中心に論を進めるが、問題点を整理するため、マスメディアを中心とした反応と、文学的な影響の二側面に分けて考えてみる。
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