はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

〈現代〉と〈現在〉のあいだ~『サラダ記念日』を基点として (5)

2010年09月21日 19時47分44秒 | インターミッション(論文等)

   (5)まとめ


 以上、マスメディア、歌壇双方の面から、『サラダ記念日』ブームについて考えてきた。

 この文の始めにおいて私は、〈現代短歌〉と〈「現在」短歌〉の区切りを、この歌集刊行の2年後である1989年に設定した。
 その理由については、今までに述べてきたとおりだが、とりわけ、先に挙げた岡井隆の

 〈(俵万智は)最初のランナーではなくて最終ランナーだった〉

という発言が、端的に物語っているだろう。

 比喩を許してもらえるなら、『サラダ記念日』ブームとは、ある一つの島を襲った暴風雨だった。
 それはあまりにも大きなパワーを持っていたので、島にある多くの物が吹き飛ばされ、多くの物が混乱に巻き込まれた。
 島のある部分では、地形や植生まで変化してしまった。
 そして暴風雨が去った後、変化した部分の土壌には新種の種子が土着し、成長し始めた。

 変化した地形・植生と新たな種子のその後について語ることは、この文の本義ではない。
 とにかく、このようにして『サラダ記念日』ブームは歌壇に少なからぬ変化をもたらし、新たな土壌を作るきっかけとなった。

 時代の区切りとしての役割を、十二分に果たしたのである。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿