チェシャ・ネコのすがたがアリスのスカートがゆっくり消えるきんいろの午後
小軌みつき (小軌みつき-つれづれ日和-)
「チェシャ・ネコ」って、姿が消えてもニヤニヤ笑いだけは残っている
猫ですね。
そしてアリス。足下からゆっくり消えていくのを、主体はただ見つめて
います。
ひだまりの中で本を読み終わった、と解釈することもできそうですが、
それよりは、一つの空間に主体とアリスたちがいっしょにいた、と読ん
だ方が味わい深いと思いました。
「きんいろの午後」って、読み流してしまいそうですが、なかなか思い
浮かばない言葉ですね。
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制服のスカート寝押し ずれぬよう 布団にもぐりこみし明け方
鈴雨 (鈴雨日記)
「ずれぬよう」の前後の一字あけで、慎重に布団にもぐりこむ動作や時間
が伝わってきます。
高校生でしょうか?制服のままどこかに行っていて、やっと明け方に帰
ってきた。
明日(というかもう今日)も学校がある。寝押しだけでもしておかなきゃ。
おおらかだけど潔癖な性格なのでしょうか。
あるいは〈帰ってきた〉のではなく、外泊先の出来事かもしれないですね。
さて、どこに?
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ヨカナーンの血よりも黒き百合咲かば風に膨らむスカートを脱ぐ
夜さり (夕さり夜さり)
「ヨカナーン」はオペラ〈サロメ〉に出てくる預言者。
サロメの邪恋から、生首を銀盆に乗せられる最期を遂げます
(けっこうかわいそうな人だなあ)。
そのヨカナーンの血を連想させる百合が咲いたなら、風の中でスカートを
脱ごう、と思う主体は、サロメの血を引く者なのでしょうか。
颯爽とした歌ですが、どこか乾いた哀しみが漂っています。
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スカートのすそひるがえし「じゃあね」って そんな感じでそれが最後で
animoy2 (~うたよみ日記(短歌とともに)~)
歌意としては、深読みすることもなく素直に受け取ればよいのでしょう。
むしろ、この歌から伝わってくる、透明な寂寥感に心を奪われました。
自戒を込めて書きますが、珍しい単語や凝った言い回しを使うことと、
すっと心に届く歌を作ることとは別なんですよね。
ひとつ読ませてもらうとすれば、若い女性どうしの友達の別れ、では
ないかと感じました。