早起き鳥 

【未明混沌】今日も必ずお元気で…!

rakuten

ひとりぼっちのツバメ

2006年12月03日 03時56分47秒 | 読書


朝、街の中の電線にわたしは
一羽のツバメを発見しました
陽は高く昇りながら
空気の冷たい朝ででした

ツバメだとわかったのは
椋鳥の群れが来てそれを追い払った時です
冷え冷えとした空気の中を
飛び立った姿は
間違いなくツバメでした

椋鳥よ
大勢を頼んで
一人ぼっちの
ツバメをいじめないでくれ
一人ぼっちのツバメは
お前たちにいじめられても
声も出さずに逃げたじゃないか
「お父さん!お母さん!」
と声を出しても
飛んできてくれる
親がいないからです
 受身 相田 みつお

仲間の群れから外れて
南へ帰りそびれたつばめでしょう
ここは間もなく
冷たいカラッ風が吹くから
ツバメの冬越しはできません

どんなにいじめられても
どんなに辛くても
親のない子は
声を出してはなかないそうです
声を出せないのじゃない
出しても虚しいからです
どんなに泣き叫んでも
誰も来てはくれないからです
声を出してなける子は幸せなんです
 頑張れ!早起き鳥

椋鳥達に追われた
一人ぼっちのツバメは
泣き声も出さずに
冷たい空の彼方へ飛んでゆきました
声は出さないけれど
ツバメは泣いていたのです

声を出さずに
小さなからだをふるわせながら
泣いて行ったのです
 みつお