先に台湾を訪問した麻生太郎自民党副総裁が、台湾有事を想定して日台が戦う姿勢を見せることが抑止に繋がると言わずもがなの威勢の良い演説をぶった。
これに対し、中国が直ちに反応、あたかも麻生氏は血迷って迷い事を言っているかのような侮蔑的な言葉を返した。
中国からしてみると麻生氏の発言は、大勢としては余り影響力のない日本の元首相だった老政治家の発言なので、常に仰々しい反応を示す中国の割には受け流した感じもする。
しかし、可能な限り台中関係の平和を願い、いたずらに沖縄周辺を脅威にさらしたくないと願っている多くの国民の望みを踏みにじるものだ。
恐らく、麻生氏の祖父である泉下の吉田茂元首相も、孫の軽率な言動に苦虫を噛み締めていることだろう。
台中有事の場合、アメリカの対応については、先に中国の反対を無視して台湾を訪問したアメリカ連邦議会のペロシ下院議長(当時)が軍事関与を否定した。
アメリカのバイデン大統領も、記者の質問に対し、有事の関与を「イエス」と肯定したが、直後にアメリカ国防省はこれを打ち消している。
このようなデリケートな問題を、アメリカの基本姿勢を知ってか知らずか、今回の麻生発言はいかにも唐突感を免れない。
ただ、一部では、岸田文雄首相も同感であり、麻生氏に言わせたという見方もあるから深刻だ。「関連:8月10日」